JP2004080436A - コモンモード信号抑制回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現する。
【解決手段】コモンモード信号抑制回路は、導電線3に挿入された第1の巻線11と、導電線4に挿入されると共に磁芯10を介して第1の巻線11に結合され、第1の巻線11と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線12と、磁芯10を介して第1および第2の巻線11,12に結合された第3の巻線13とを備えている。コモンモード信号抑制回路は、更に、第3の巻線13に接続されると共に、導電線3,4に接続された逆相信号伝送回路15を備えている。逆相信号伝送回路15は、導電線3,4上のコモンモード信号を検出し、コモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線13に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】コモンモード信号抑制回路は、導電線3に挿入された第1の巻線11と、導電線4に挿入されると共に磁芯10を介して第1の巻線11に結合され、第1の巻線11と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線12と、磁芯10を介して第1および第2の巻線11,12に結合された第3の巻線13とを備えている。コモンモード信号抑制回路は、更に、第3の巻線13に接続されると共に、導電線3,4に接続された逆相信号伝送回路15を備えている。逆相信号伝送回路15は、導電線3,4上のコモンモード信号を検出し、コモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線13に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモード信号を抑制するコモンモード信号抑制回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源、インバータ、照明機器の点灯回路等のパワーエレクトロニクス機器は、電力の変換を行う電力変換回路を有している。電力変換回路は、直流を矩形波の交流に変換するスイッチング回路を有している。そのため、電力変換回路は、スイッチング回路のスイッチング周波数と等しい周波数のリップル電圧や、スイッチング回路のスイッチング動作に伴うノイズを発生させる。このリップル電圧やノイズは他の機器に悪影響を与える。そのため、電力変換回路と他の機器あるいは線路との間には、リップル電圧やノイズを低減する手段を設ける必要がある。
【0003】
リップル電圧やノイズを低減する手段としては、インダクタンス素子(インダクタ)とキャパシタとを含むフィルタ、いわゆるLCフィルタがよく用いられている。LCフィルタには、インダクタンス素子とキャパシタとを1つずつ有するものの他に、T型フィルタやπ型フィルタ等がある。また、電磁妨害(EMI)対策用の一般的なノイズフィルタも、LCフィルタの一種である。一般的なEMIフィルタは、コモンモードチョークコイル、ノーマルモードチョークコイル、Xキャパシタ、Yキャパシタ等のディスクリート素子を組み合わせて構成されている。
【0004】
また、最近、家庭内における通信ネットワークを構築する際に用いられる通信技術として電力線通信が有望視され、その開発が進められている。電力線通信では、電力線に高周波信号を重畳して通信を行う。この電力線通信では、電力線に接続された種々の電気・電子機器の動作によって、電力線上にノイズが発生し、このことが、エラーレートの増加等の通信品質の低下を招く。そのため、電力線上のノイズを低減する手段が必要になる。また、電力線通信では、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する必要がある。このような電力線上のノイズを低減したり、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する手段としても、LCフィルタが用いられている。
【0005】
2本の導電線を伝搬するノイズには、2本の導電線の間で電位差を生じさせるノーマルモードのノイズと、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモードのノイズとがある。
【0006】
ここで、図10に、コモンモードのノイズを低減するためのLCフィルタの構成の一例を示す。このLCフィルタは、一対の端子101a,101bと、他の一対の端子102a,102bと、端子101a,101bと端子102a,102bとの間に設けられたコモンモードチョークコイル103と、一端が端子101aに接続され、他端が接地されたキャパシタ104と、一端が端子101bに接続され、他端が接地されたキャパシタ105とを備えている。
【0007】
コモンモードチョークコイル103は、1つの磁芯103aと、この磁芯103aに巻かれた2つの巻線103b,103cとを有している。巻線103bの一端は端子101aに接続され、他端は端子102aに接続されている。巻線103cの一端は端子101bに接続され、他端は端子102bに接続されている。巻線103b,103cは、巻線103b,103cにノーマルモードの電流が流れたときに各巻線103b,103cを流れる電流によって磁芯103aに誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯103aに巻かれている。
【0008】
図10に示したLCフィルタは、電力を輸送する2本の導電線の途中に挿入される。端子101a,102aは一方の導電線に接続され、端子101b,102bは他方の導電線に接続される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のLCフィルタでは、インダクタンスおよびキャパシタンスで決まる固有の共振周波数を有するため、所望の減衰量を狭い周波数範囲でしか得ることができないという問題点があった。
【0010】
また、電力輸送用の導電線に挿入されるフィルタには、電力輸送用の電流が流れている状態で所望の特性が得られることと、温度上昇に対する対策が要求される。そのため、このようなフィルタでは、所望の特性を実現するためにはインダクタンス素子が大型化するという問題点があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のコモンモード信号抑制回路は、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモード信号を抑制する回路であって、
所定の第1の位置において一方の導電線に挿入された第1の巻線と、
第1の位置に対応する第2の位置において他方の導電線に挿入されると共に第1の巻線に結合され、第1の巻線と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線と、
第1の巻線および第2の巻線との間で相互インダクタンスが発生するように、第1の巻線および第2の巻線に結合された第3の巻線と、
第3の巻線に接続されると共に、第1の位置とは異なる第3の位置において一方の導電線に接続され、更に、第3の位置に対応し、第2の位置とは異なる第4の位置において他方の導電線に接続され、コモンモード信号を抑制するための逆相信号を伝送する逆相信号伝送手段とを備えている。
【0013】
本発明のコモンモード信号抑制回路において、コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第1および第2の位置よりも第3および第4の位置に近い位置にある場合には、逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を検出すると共に、検出したコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線に供給し、第3の巻線は、第1の巻線および第2の巻線を介して、逆相信号を2本の導電線に注入する。これにより、2本の導電線において、第1および第2の位置からコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0014】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第3および第4の位置よりも第1および第2の位置に近い位置にある場合には、第3の巻線はコモンモード信号を検出し、逆相信号伝送手段は、第3の巻線によって検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を2本の導電線に注入する。これにより、2本の導電線において、第3および第4の位置からコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0015】
本発明のコモンモード信号抑制回路は、更に、2本の導電線において、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置に設けられ、通過するコモンモード信号の波高値を低減するインピーダンス素子を備えていてもよい。
【0016】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を通過させるためのハイパスフィルタを有していてもよい。このハイパスフィルタは、キャパシタを含んでいてもよい。
【0017】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、インピーダンス素子は、一方の導電線に挿入された第4の巻線と、他方の導電線に挿入されると共に第4の巻線に結合され、第4の巻線と協働してコモンモード信号を抑制する第5の巻線とを有していてもよい。第4の巻線および第5の巻線の各インダクタンスは共に0.3μH以上であってもよい。
【0018】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、第1の巻線および第2の巻線と第3の巻線との結合係数は0.7以上であってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、一対の端子1a,1bと、他の一対の端子2a,2bと、端子1a,2a間を接続する導電線3と、端子1b,2b間を接続する導電線4とを備えている。このコモンモード信号抑制回路は、交流電力または直流電力を輸送する電力線に接続されるようになっている。電力線は、2本の電力導電線を含んでいる。コモンモード信号抑制回路は、2本の電力導電線の途中に挿入されるようになっている。端子1a,2aは一方の電力導電線に接続され、端子1b,2bは他方の電力導電線に接続される。コモンモード信号抑制回路の抑制対象となるコモンモード信号の発生源は、端子1a,1bまたは端子2a,2bに接続される。従って、抑制対象となるコモンモード信号は、端子1a,1bまたは端子2a,2bからコモンモード信号抑制回路に入力される。
【0020】
ここで、コモンモード信号とは、2本の電力導電線を同じ位相で伝搬する信号である。抑制対象となるコモンモード信号には、ノイズや、不必要な通信信号がある。
【0021】
コモンモード信号抑制回路は、更に、所定の第1の位置Aにおいて導電線3に挿入された第1の巻線11と、第1の位置Aに対応する第2の位置Bにおいて導電線4に挿入されると共に磁芯10を介して第1の巻線11に結合され、第1の巻線11と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線12と、第1の巻線11および第2の巻線12との間で相互インダクタンスが発生するように、磁芯10を介して第1の巻線11および第2の巻線12に結合された第3の巻線13とを備えている。例えば、巻線11,12,13の巻数は等しくなっている。磁芯10、第1の巻線11および第2の巻線12は、コモンモードチョークコイルを構成している。すなわち、巻線11,12は、巻線11,12にノーマルモードの電流が流れたときに各巻線11,12を流れる電流によって磁芯10に誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯10に巻かれている。これにより、巻線11,12は、コモンモード信号を抑制し、ノーマルモード信号を通過させる。
【0022】
コモンモード信号抑制回路は、更に、第3の巻線13に接続されると共に、第1の位置Aとは異なる第3の位置Cおいて導電線3に接続され、更に、第3の位置Cに対応し、第2の位置Bとは異なる第4の位置Dにおいて導電線4に接続され、コモンモード信号を抑制するための逆相信号を伝送する逆相信号伝送回路15を備えている。逆相信号伝送回路15は、第1ないし第3の端子を有している。第1の端子は、第3の位置Cにおいて導電線3に接続されている。第2の端子は、第4の位置Dにおいて導電線4に接続されている。第3の端子は、第3の巻線13の一端に接続されている。第3の巻線13の他端は接地されている。逆相信号伝送回路15は、本発明の逆相信号伝送手段に対応する。
【0023】
図2は、図1に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。この例では、逆相信号伝送回路15は、コモンモード信号または逆相信号のうち、周波数が所定値以上の信号を通過させるハイパスフィルタ15Aで構成されている。ハイパスフィルタ15Aは、キャパシタ151,152を含んでいる。キャパシタ151の一端は、位置Cにおいて導電線3に接続されている。キャパシタ152の一端は、位置Dにおいて導電線4に接続されている。キャパシタ151の他端およびキャパシタ152の他端は、第3の巻線13の一端に接続されている。
【0024】
次に、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。まず、コモンモード信号の発生源が、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置を除いて、第1および第2の位置A,Bよりも第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合におけるコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。この場合には、逆相信号伝送回路15は、第3および第4の位置C,Dにおいて、コモンモード信号を検出すると共に、検出したコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線13に供給する。第3の巻線13は、第1および第2の位置A,Bにおいて、第1の巻線11および第2の巻線12を介して、逆相信号を2本の導電線3,4に注入する。これにより、2本の導電線3,4において、第1および第2の位置A,Bからコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0025】
次に、コモンモード信号の発生源が、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置を除いて、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合におけるコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。この場合には、第3の巻線13は、第1および第2の位置A,Bにおいて、導電線3,4上のコモンモード信号を検出する。逆相信号伝送回路15は、第3および第4の位置C,Dにおいて、第3の巻線13によって検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を2本の導電線3,4に注入する。これにより、2本の導電線3,4において、第3および第4の位置C,Dからコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0026】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号が抑制される原理について説明する。ここでは、コモンモード信号の発生源が、第1および第2の位置A,Bよりも第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合について説明する。図3は、図2と同様の構成のコモンモード信号抑制回路を示している。以下の説明では、ハイパスフィルタ15A(キャパシタ151,152)のインピーダンスが0であると共に、例えば巻線11〜13の各巻数が全て等しく、且つ巻線11,12と巻線13との結合係数が1であるものとする。
【0027】
ここで、図3に示したコモンモード信号抑制回路において、グランドGNDの電位に対して電位差Vinを生じさせるコモンモード信号が端子1a,1bに入力された場合について考える。コモンモード信号の周波数が、ハイパスフィルタ15Aの通過帯域内の周波数である場合には、コモンモード信号はハイパスフィルタ15Aを通過し、そのときに、キャパシタ151,152の作用によって位相が180°ずれる。その結果、第3の巻線13の両端間には電位差−Vinが発生する。この第3の巻線13の両端間に発生した電位差−Vinに応じて、第1の巻線11の両端間および第2の巻線12の両端間にも電位差−Vinが発生する。グランドGNDの電位と端子2a,2bの電位との差をVoとすると、これは以下の式で表される。
【0028】
Vo=Vin+(−Vin)=0
【0029】
このように、図3に示したコモンモード信号抑制回路によれば、ハイパスフィルタ15Aのインピーダンスが0であると共に、巻線11,12と巻線13との結合係数が1であれば、ハイパスフィルタ15Aの通過帯域内においては周波数にかかわらずに、コモンモード信号を完全に除去することができる。ただし、実際には、ハイパスフィルタ15Aのインピーダンスは0になることはなく、巻線11,12と巻線13との結合係数は1よりも小さくなる。そのため、図3に示したコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号を完全に除去できるわけではない。それでも、本実施の形態によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ簡単な構成で小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0030】
以下、図4を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について詳しく説明する。図4は、図2に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線3を通過する信号の抑制に関わる部分のみを示している。図4に示した回路は、端子1a,2aと、第1の巻線11と、第3の巻線13と、キャパシタ151とを有している。また、図4に示した回路には、コモンモード信号発生源21と負荷22とが接続されている。コモンモード信号発生源21は、端子1aとグランドGNDとの間に接続され、両者の間に電位差Vinを生じさせる。負荷22は、端子2aとグランドGNDとの間に接続され、インピーダンスZoを有している。
【0031】
図4に示した回路において、第3の巻線13のインダクタンスをL11とし、第1の巻線11のインダクタンスをL12とし、キャパシタ151のキャパシタンスをC1とする。また、キャパシタ151および第3の巻線13を通過する電流をi1とし、この電流i1の経路のインピーダンスの総和をZ1とする。また、第1の巻線11を通過する電流をi2とし、この電流i2の経路のインピーダンスの総和をZ2とする。
【0032】
また、第1の巻線11と第3の巻線13との間の相互インダクタンスをMとし、両者の結合係数をKとする。結合係数Kは、以下の式(1)で表わされる。
【0033】
K=M/√(L11・L12) …(1)
【0034】
上記のインピーダンスの総和Z1,Z2は、それぞれ、以下の式(2),(3)で表わされる。なお、jは√(−1)を表わし、ωはコモンモード信号の角周波数を表わしている。
【0035】
Z1=j(ωL11−1/ωC1) …(2)
Z2=Zo+jωL12 …(3)
【0036】
また、電位差Vinは、以下の式(4),(5)で表わされる。
【0037】
Vin=Z1・i1+jωM・i2 …(4)
Vin=Z2・i2+jωM・i1 …(5)
【0038】
以下、式(2)〜(5)に基づいて、電流i1を含まずに、電流i2を表わす式を求める。そのために、まず、式(4)から次の式(6)を導く。
【0039】
i1=(Vin−jωM・i2)/Z1 …(6)
【0040】
次に、式(6)を式(5)に代入すると、次の式(7)が得られる。
【0041】
i2=Vin(Z1−jωM)/(Z1・Z2+ω2・M2) …(7)
【0042】
図4に示した回路によってコモンモード信号を抑制することは、式(7)で表わされる電流i2を小さくすることであると言える。式(7)によれば、式(7)の右辺の分母が大きくなれば、電流i2は小さくなる。そこで、式(7)の右辺の分母(Z1・Z2+ω2・M2)について考察する。
【0043】
まず、Z1は、式(2)で表わされるため、第3の巻線13のインダクタンスL11が大きいほど大きくなると共に、キャパシタ151のキャパシタンスC1が大きいほど大きくなる。
【0044】
次に、Z2は、式(3)で表わされるため、第1の巻線11のインダクタンスL12が大きいほど大きくなる。従って、インダクタンスL12を大きくすれば、電流i2を小さくすることができる。
【0045】
また、式(7)の右辺の分母にはω2・M2が含まれていることから、相互インダクタンスMを大きくすることにより、電流i2を小さくすることができる。式(1)から分かるように結合係数Kは相互インダクタンスMに比例するため、結合係数Kを大きくすれば、図4に示した回路によるコモンモード信号の抑制効果が大きくなる。相互インダクタンスMは、式(7)の右辺の分母中に2乗の形で含まれていることから、結合係数Kの値によってコモンモード信号の抑制効果は大きく変化する。
【0046】
以上の説明は、図2に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線4を通過する信号の抑制に関わる部分についても同様に当てはまる。
【0047】
また、コモンモード信号の発生源が、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合には、第3の巻線13と逆相信号伝送回路15の役割が、図3および図4を用いた説明とは逆になる。しかし、この場合にも、上記の説明は、同様に当てはまる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、従来のEMIフィルタに比べて部品点数が少なく安価でありながら、コモンモード信号の抑制効果が大きいコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態において、キャパシタ151,152を用いて逆相信号伝送回路15を構成した場合には、キャパシタ151,152のみによって、コモンモード信号の検出と、この検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号の生成とを行うことができる。従って、この場合には、部品点数をより少なくすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、電力変換回路が発生するリップル電圧やノイズを低減する手段や、電力線通信において電力線上のノイズを低減したり、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する手段として利用することができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路にインピーダンス素子16を加えた構成になっている。インピーダンス素子16は、導電線3,4において、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置に設けられている。また、インピーダンス素子16は、そこを通過するコモンモード信号の波高値を低減する。これにより、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路では、インピーダンス素子16を経由して伝搬するコモンモード信号の波高値と、逆相信号伝送回路15を経由して導電線3,4に注入される逆相信号の波高値との差が低減される。その結果、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によれば、より広い周波数範囲においてコモンモード信号をより効果的に抑制することが可能になる。
【0053】
図6は、図5に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。この例では、図2に示した例と同様に、逆相信号伝送回路15はハイパスフィルタ15Aで構成されている。ハイパスフィルタ15Aは、キャパシタ151,152を含んでいる。
【0054】
また、図6に示した例では、インピーダンス素子16は、導電線3に挿入された第4の巻線161と、導電線4に挿入されると共に磁芯160を介して第4の巻線161に結合され、第4の巻線161と協働してコモンモード信号を抑制する第5の巻線162とを有している。例えば、巻線161,162の巻数は等しくなっている。磁芯160および巻線161,162は、コモンモードチョークコイルを構成している。すなわち、巻線161,162は、巻線161,162にノーマルモードの電流が流れたときに各巻線161,162を流れる電流によって磁芯160に誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯160に巻かれている。これにより、巻線161,162は、コモンモード信号を抑制し、ノーマルモード信号を通過させる。
【0055】
以下、図7を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について詳しく説明する。図7は、図6に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線3を通過する信号の抑制に関わる部分のみを示している。図7に示した回路は、端子1a,2aと、第1の巻線11と、第3の巻線13と、キャパシタ151と、第4の巻線161とを有している。また、図7に示した回路には、コモンモード信号発生源21と負荷22とが接続されている。コモンモード信号発生源21は、端子1aとグランドGNDとの間に接続され、両者の間に電位差Vinを生じさせる。負荷22は、端子2aとグランドGNDとの間に接続され、インピーダンスZoを有している。
【0056】
図7に示した回路において、第3の巻線13のインダクタンスをL11とし、第1の巻線11のインダクタンスをL12とし、キャパシタ151のキャパシタンスをC1とし、第4の巻線161のインダクタンスをL21とする。また、キャパシタ151および第3の巻線13を通過する電流をi1とし、この電流i1の経路のインピーダンスの総和をZ1とする。また、第4の巻線161および第1の巻線11を通過する電流をi2とし、この電流i2の経路のインピーダンスの総和をZ2とする。また、第1の巻線11と第3の巻線13との間の相互インダクタンスをMとし、両者の結合係数をKとする。結合係数Kは、前出の式(1)で表わされる。
【0057】
本実施の形態では、インピーダンスの総和Z1は前出の式(2)で表わされ、インピーダンスの総和Z2は以下の式(8)で表わされる。
【0058】
Z2=Zo+jω(L12+L21) …(8)
【0059】
また、電位差Vinは、前出の式(4),(5)で表わされる。第1の実施の形態と同様に、本実施の形態においても、電流i1を含まずに、電流i2を表わす式は、前出の式(7)となる。
【0060】
図7に示した回路によってコモンモード信号を抑制することは、式(7)で表わされる電流i2を小さくすることであると言える。式(7)によれば、式(7)の右辺の分母が大きくなれば、電流i2は小さくなる。そこで、式(7)の右辺の分母(Z1・Z2+ω2・M2)について考察する。
【0061】
まず、Z1は、式(2)で表わされるため、第3の巻線13のインダクタンスL11が大きいほど大きくなると共に、キャパシタ151のキャパシタンスC1が大きいほど大きくなる。この点は、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
次に、図7に示した回路では、Z2は、式(8)で表わされるため、第1の巻線11のインダクタンスL12と第4の巻線161のインダクタンスL21との和が大きいほど大きくなる。従って、インダクタンスL12とインダクタンスL21の少なくとも一方を大きくすれば、電流i2を小さくすることができる。また、式(7)から、第1の巻線11だけでもコモンモード信号を抑制することができるが、第4の巻線161を加えることでコモンモード信号をより抑制することができることが分かる。
【0063】
また、第1の実施の形態と同様に、相互インダクタンスMを大きくすることにより、電流i2を小さくすることができる。
【0064】
以上の説明は、図6に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線4を通過する信号の抑制に関わる部分についても同様に当てはまる。
【0065】
また、コモンモード信号の発生源が、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合には、第3の巻線13と逆相信号伝送回路15の役割が、図7を用いた説明とは逆になる。しかし、この場合にも、上記の説明は、同様に当てはまる。
【0066】
次に、図8を参照して、図6に示したコモンモード信号抑制回路における巻線161,162のインダクタンスとコモンモード信号抑制効果との関係をシミュレーションによって調べた結果について説明する。図8は、比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示している。
【0067】
比較例の回路は、一対の端子1a,1bと、他の一対の端子2a,2bと、一端が端子1aに接続され、他端が端子2aに接続された第1のインダクタンス素子と、一端が端子1bに接続され、他端が端子2bに接続された第2のインダクタンス素子とを備えたものである。図8において符号31で示した線は、上記第1および第2のインダクタンス素子のインダクタンスを共に33μHとした場合の比較例の回路の特性を表わしている。また、図8において符号32で示した線は、上記第1および第2のインダクタンス素子のインダクタンスを共に90μHとした場合の比較例の回路の特性を表わしている。
【0068】
図8において符号33〜38で示した各線は、それぞれ図6に示したコモンモード信号抑制回路の特性を表わしている。シミュレーションでは、キャパシタ151,152のキャパシタンスを共に1000pFとし、第1の巻線11、第2の巻線12および第3の巻線13の各インダクタンスをいずれも30μHとし、巻線11,12と巻線13との結合係数を0.995とした。なお、0.995という値は、結合係数として実現可能な値である。
【0069】
シミュレーションでは、コモンモード信号の発生源が第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合と、コモンモード信号の発生源が第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合とで、コモンモード信号抑制回路の特性に差はなかった。
【0070】
符号33で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に0とした場合の特性を表わしている。なお、この場合の図6に示したコモンモード信号抑制回路の構成は、図2に示したコモンモード信号抑制回路と同じである。符号34で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に0.3μHとした場合の特性を表わしている。符号35で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に3μHとした場合の特性を表わしている。符号36で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを30μHとした場合の特性を表わしている。符号37で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを60μHとした場合の特性を表わしている。符号38で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを600μHとした場合の特性を表わしている。
【0071】
以下、図8に示したシミューレションの結果について考察する。まず、符号31,32,35で示した各線を比較すると、以下のことが分かる。第1巻線11のインダクタンスが30μHで、第4の巻線161のインダクタンスが3μHで、これらの和が33μHとなるコモンモード信号抑制回路は、インダクタンス素子のインダクタンスが33μHである比較例の回路よりも、約1MHz以上の周波数の範囲において、コモンモード信号の抑制効果が大きい。また、このコモンモード信号抑制回路は、インダクタンス素子のインダクタンスが90μHである比較例の回路よりも、約3MHz以上の周波数の範囲において、コモンモード信号の抑制効果が大きい。また、このことから、本実施の形態によれば、比較例に比べてインダクタンス素子を小型化でき、その結果、回路自体も小型化することが可能になる。
【0072】
また、符号31で示した線と符号33で示した線とを比較すると、巻線161,162のインダクタンスが0の場合、すなわちインピーダンス素子16がない場合であってもコモンモード信号の抑制効果を得ることができる。
【0073】
しかし、符号33〜38で示した各線を比較すると分かるように、インピーダンス素子16を設けない場合に比べて、インピーダンス素子16を設けた方がコモンモード信号の抑制効果が大きくなる。しかも、巻線161,162のインダクタンスが大きくなるほど、コモンモード信号の抑制効果が大きくなる。しかし、巻線161,162のインダクタンスが大きくなるほど、インピーダンス素子16の形状は大きくなる。そのため、巻線161,162のインダクタンスが600μHを超えると、実用性が薄れる。巻線11〜13のインダクタンスが30μHである場合には、巻線161,162のインダクタンスは30μHあるいは60μHあれば、十分なコモンモード信号の抑制効果を得ることができることが分かる。これらのことから、巻線161,162のインダクタンスは30μHあるいは60μHあれば十分であると考えられる。また、巻線161,162のインダクタンスは、巻線11〜13のインダクタンスと同程度の値であることが好ましいと考えられる。
【0074】
図8から考察すると、巻線161,162のインダクタンスは、0.3μH以上、600μH以下であることが好ましく、3μH以上、60μH以下であることがより好ましく、3μH以上、30μH以下であることが更に好ましい。
【0075】
次に、図9を参照して、図6に示したコモンモード信号抑制回路における巻線11,12と巻線13との結合係数とコモンモード信号抑制効果との関係をシミュレーションによって調べた結果について説明する。図9は、前述の比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示している。
【0076】
図9において符号41,42で示した各線は、図8において符号31,32で示した各線の場合と同じ条件における比較例の回路の特性を表わしている。
【0077】
図9において符号43〜46で示した各線は、それぞれ図6に示したコモンモード信号抑制回路の特性を表わしている。シミュレーションでは、キャパシタ151,152のキャパシタンスを1000pFとし、巻線11,12,13,161,162の各インダクタンスを全て30μHとした。符号43〜46で示した各線は、それぞれ、巻線11,12と巻線13との結合係数を、0.7、0.9、0.995、1とした場合の特性を表わしている。
【0078】
以下、図9に示したシミュレーションの結果について考察する。まず、コモンモード信号抑制回路において、結合係数が0.7以上であれば、比較例の回路よりも大きなコモンモード信号抑制効果を得ることができる。結合係数が大きくなるほど、コモンモード信号の抑制効果が大きくなる。図9から考察すると、結合係数は、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.995以上であることが更に好ましい。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によれば、第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路に比べて、より広い周波数範囲においてコモンモード信号をより効果的に抑制することができる。
【0080】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0081】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、逆相信号伝送回路15は、ハイパスフィルタに限らず、バンドパスフィルタであってもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。
【図2】図1に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号が抑制される原理について説明するための回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明するための回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。
【図6】図5に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明するための回路図である。
【図8】比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示す特性図である。
【図9】比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示す特性図である。
【図10】LCフィルタの構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
3,4…導電線、11…第1の巻線、12…第2の巻線、13…第3の巻線、15…逆相信号伝送回路、15A…ハイパスフィルタ、16…インピーダンス素子、151,152…キャパシタ、161…第4の巻線、162…第5の巻線。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモード信号を抑制するコモンモード信号抑制回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源、インバータ、照明機器の点灯回路等のパワーエレクトロニクス機器は、電力の変換を行う電力変換回路を有している。電力変換回路は、直流を矩形波の交流に変換するスイッチング回路を有している。そのため、電力変換回路は、スイッチング回路のスイッチング周波数と等しい周波数のリップル電圧や、スイッチング回路のスイッチング動作に伴うノイズを発生させる。このリップル電圧やノイズは他の機器に悪影響を与える。そのため、電力変換回路と他の機器あるいは線路との間には、リップル電圧やノイズを低減する手段を設ける必要がある。
【0003】
リップル電圧やノイズを低減する手段としては、インダクタンス素子(インダクタ)とキャパシタとを含むフィルタ、いわゆるLCフィルタがよく用いられている。LCフィルタには、インダクタンス素子とキャパシタとを1つずつ有するものの他に、T型フィルタやπ型フィルタ等がある。また、電磁妨害(EMI)対策用の一般的なノイズフィルタも、LCフィルタの一種である。一般的なEMIフィルタは、コモンモードチョークコイル、ノーマルモードチョークコイル、Xキャパシタ、Yキャパシタ等のディスクリート素子を組み合わせて構成されている。
【0004】
また、最近、家庭内における通信ネットワークを構築する際に用いられる通信技術として電力線通信が有望視され、その開発が進められている。電力線通信では、電力線に高周波信号を重畳して通信を行う。この電力線通信では、電力線に接続された種々の電気・電子機器の動作によって、電力線上にノイズが発生し、このことが、エラーレートの増加等の通信品質の低下を招く。そのため、電力線上のノイズを低減する手段が必要になる。また、電力線通信では、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する必要がある。このような電力線上のノイズを低減したり、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する手段としても、LCフィルタが用いられている。
【0005】
2本の導電線を伝搬するノイズには、2本の導電線の間で電位差を生じさせるノーマルモードのノイズと、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモードのノイズとがある。
【0006】
ここで、図10に、コモンモードのノイズを低減するためのLCフィルタの構成の一例を示す。このLCフィルタは、一対の端子101a,101bと、他の一対の端子102a,102bと、端子101a,101bと端子102a,102bとの間に設けられたコモンモードチョークコイル103と、一端が端子101aに接続され、他端が接地されたキャパシタ104と、一端が端子101bに接続され、他端が接地されたキャパシタ105とを備えている。
【0007】
コモンモードチョークコイル103は、1つの磁芯103aと、この磁芯103aに巻かれた2つの巻線103b,103cとを有している。巻線103bの一端は端子101aに接続され、他端は端子102aに接続されている。巻線103cの一端は端子101bに接続され、他端は端子102bに接続されている。巻線103b,103cは、巻線103b,103cにノーマルモードの電流が流れたときに各巻線103b,103cを流れる電流によって磁芯103aに誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯103aに巻かれている。
【0008】
図10に示したLCフィルタは、電力を輸送する2本の導電線の途中に挿入される。端子101a,102aは一方の導電線に接続され、端子101b,102bは他方の導電線に接続される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のLCフィルタでは、インダクタンスおよびキャパシタンスで決まる固有の共振周波数を有するため、所望の減衰量を狭い周波数範囲でしか得ることができないという問題点があった。
【0010】
また、電力輸送用の導電線に挿入されるフィルタには、電力輸送用の電流が流れている状態で所望の特性が得られることと、温度上昇に対する対策が要求される。そのため、このようなフィルタでは、所望の特性を実現するためにはインダクタンス素子が大型化するという問題点があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のコモンモード信号抑制回路は、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモード信号を抑制する回路であって、
所定の第1の位置において一方の導電線に挿入された第1の巻線と、
第1の位置に対応する第2の位置において他方の導電線に挿入されると共に第1の巻線に結合され、第1の巻線と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線と、
第1の巻線および第2の巻線との間で相互インダクタンスが発生するように、第1の巻線および第2の巻線に結合された第3の巻線と、
第3の巻線に接続されると共に、第1の位置とは異なる第3の位置において一方の導電線に接続され、更に、第3の位置に対応し、第2の位置とは異なる第4の位置において他方の導電線に接続され、コモンモード信号を抑制するための逆相信号を伝送する逆相信号伝送手段とを備えている。
【0013】
本発明のコモンモード信号抑制回路において、コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第1および第2の位置よりも第3および第4の位置に近い位置にある場合には、逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を検出すると共に、検出したコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線に供給し、第3の巻線は、第1の巻線および第2の巻線を介して、逆相信号を2本の導電線に注入する。これにより、2本の導電線において、第1および第2の位置からコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0014】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第3および第4の位置よりも第1および第2の位置に近い位置にある場合には、第3の巻線はコモンモード信号を検出し、逆相信号伝送手段は、第3の巻線によって検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を2本の導電線に注入する。これにより、2本の導電線において、第3および第4の位置からコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0015】
本発明のコモンモード信号抑制回路は、更に、2本の導電線において、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置に設けられ、通過するコモンモード信号の波高値を低減するインピーダンス素子を備えていてもよい。
【0016】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を通過させるためのハイパスフィルタを有していてもよい。このハイパスフィルタは、キャパシタを含んでいてもよい。
【0017】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、インピーダンス素子は、一方の導電線に挿入された第4の巻線と、他方の導電線に挿入されると共に第4の巻線に結合され、第4の巻線と協働してコモンモード信号を抑制する第5の巻線とを有していてもよい。第4の巻線および第5の巻線の各インダクタンスは共に0.3μH以上であってもよい。
【0018】
また、本発明のコモンモード信号抑制回路において、第1の巻線および第2の巻線と第3の巻線との結合係数は0.7以上であってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、一対の端子1a,1bと、他の一対の端子2a,2bと、端子1a,2a間を接続する導電線3と、端子1b,2b間を接続する導電線4とを備えている。このコモンモード信号抑制回路は、交流電力または直流電力を輸送する電力線に接続されるようになっている。電力線は、2本の電力導電線を含んでいる。コモンモード信号抑制回路は、2本の電力導電線の途中に挿入されるようになっている。端子1a,2aは一方の電力導電線に接続され、端子1b,2bは他方の電力導電線に接続される。コモンモード信号抑制回路の抑制対象となるコモンモード信号の発生源は、端子1a,1bまたは端子2a,2bに接続される。従って、抑制対象となるコモンモード信号は、端子1a,1bまたは端子2a,2bからコモンモード信号抑制回路に入力される。
【0020】
ここで、コモンモード信号とは、2本の電力導電線を同じ位相で伝搬する信号である。抑制対象となるコモンモード信号には、ノイズや、不必要な通信信号がある。
【0021】
コモンモード信号抑制回路は、更に、所定の第1の位置Aにおいて導電線3に挿入された第1の巻線11と、第1の位置Aに対応する第2の位置Bにおいて導電線4に挿入されると共に磁芯10を介して第1の巻線11に結合され、第1の巻線11と協働してコモンモード信号を抑制する第2の巻線12と、第1の巻線11および第2の巻線12との間で相互インダクタンスが発生するように、磁芯10を介して第1の巻線11および第2の巻線12に結合された第3の巻線13とを備えている。例えば、巻線11,12,13の巻数は等しくなっている。磁芯10、第1の巻線11および第2の巻線12は、コモンモードチョークコイルを構成している。すなわち、巻線11,12は、巻線11,12にノーマルモードの電流が流れたときに各巻線11,12を流れる電流によって磁芯10に誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯10に巻かれている。これにより、巻線11,12は、コモンモード信号を抑制し、ノーマルモード信号を通過させる。
【0022】
コモンモード信号抑制回路は、更に、第3の巻線13に接続されると共に、第1の位置Aとは異なる第3の位置Cおいて導電線3に接続され、更に、第3の位置Cに対応し、第2の位置Bとは異なる第4の位置Dにおいて導電線4に接続され、コモンモード信号を抑制するための逆相信号を伝送する逆相信号伝送回路15を備えている。逆相信号伝送回路15は、第1ないし第3の端子を有している。第1の端子は、第3の位置Cにおいて導電線3に接続されている。第2の端子は、第4の位置Dにおいて導電線4に接続されている。第3の端子は、第3の巻線13の一端に接続されている。第3の巻線13の他端は接地されている。逆相信号伝送回路15は、本発明の逆相信号伝送手段に対応する。
【0023】
図2は、図1に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。この例では、逆相信号伝送回路15は、コモンモード信号または逆相信号のうち、周波数が所定値以上の信号を通過させるハイパスフィルタ15Aで構成されている。ハイパスフィルタ15Aは、キャパシタ151,152を含んでいる。キャパシタ151の一端は、位置Cにおいて導電線3に接続されている。キャパシタ152の一端は、位置Dにおいて導電線4に接続されている。キャパシタ151の他端およびキャパシタ152の他端は、第3の巻線13の一端に接続されている。
【0024】
次に、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。まず、コモンモード信号の発生源が、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置を除いて、第1および第2の位置A,Bよりも第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合におけるコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。この場合には、逆相信号伝送回路15は、第3および第4の位置C,Dにおいて、コモンモード信号を検出すると共に、検出したコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を第3の巻線13に供給する。第3の巻線13は、第1および第2の位置A,Bにおいて、第1の巻線11および第2の巻線12を介して、逆相信号を2本の導電線3,4に注入する。これにより、2本の導電線3,4において、第1および第2の位置A,Bからコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0025】
次に、コモンモード信号の発生源が、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置を除いて、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合におけるコモンモード信号抑制回路の作用について説明する。この場合には、第3の巻線13は、第1および第2の位置A,Bにおいて、導電線3,4上のコモンモード信号を検出する。逆相信号伝送回路15は、第3および第4の位置C,Dにおいて、第3の巻線13によって検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号を2本の導電線3,4に注入する。これにより、2本の導電線3,4において、第3および第4の位置C,Dからコモンモード信号の進行方向の先でコモンモード信号が抑制される。
【0026】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号が抑制される原理について説明する。ここでは、コモンモード信号の発生源が、第1および第2の位置A,Bよりも第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合について説明する。図3は、図2と同様の構成のコモンモード信号抑制回路を示している。以下の説明では、ハイパスフィルタ15A(キャパシタ151,152)のインピーダンスが0であると共に、例えば巻線11〜13の各巻数が全て等しく、且つ巻線11,12と巻線13との結合係数が1であるものとする。
【0027】
ここで、図3に示したコモンモード信号抑制回路において、グランドGNDの電位に対して電位差Vinを生じさせるコモンモード信号が端子1a,1bに入力された場合について考える。コモンモード信号の周波数が、ハイパスフィルタ15Aの通過帯域内の周波数である場合には、コモンモード信号はハイパスフィルタ15Aを通過し、そのときに、キャパシタ151,152の作用によって位相が180°ずれる。その結果、第3の巻線13の両端間には電位差−Vinが発生する。この第3の巻線13の両端間に発生した電位差−Vinに応じて、第1の巻線11の両端間および第2の巻線12の両端間にも電位差−Vinが発生する。グランドGNDの電位と端子2a,2bの電位との差をVoとすると、これは以下の式で表される。
【0028】
Vo=Vin+(−Vin)=0
【0029】
このように、図3に示したコモンモード信号抑制回路によれば、ハイパスフィルタ15Aのインピーダンスが0であると共に、巻線11,12と巻線13との結合係数が1であれば、ハイパスフィルタ15Aの通過帯域内においては周波数にかかわらずに、コモンモード信号を完全に除去することができる。ただし、実際には、ハイパスフィルタ15Aのインピーダンスは0になることはなく、巻線11,12と巻線13との結合係数は1よりも小さくなる。そのため、図3に示したコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号を完全に除去できるわけではない。それでも、本実施の形態によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ簡単な構成で小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0030】
以下、図4を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について詳しく説明する。図4は、図2に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線3を通過する信号の抑制に関わる部分のみを示している。図4に示した回路は、端子1a,2aと、第1の巻線11と、第3の巻線13と、キャパシタ151とを有している。また、図4に示した回路には、コモンモード信号発生源21と負荷22とが接続されている。コモンモード信号発生源21は、端子1aとグランドGNDとの間に接続され、両者の間に電位差Vinを生じさせる。負荷22は、端子2aとグランドGNDとの間に接続され、インピーダンスZoを有している。
【0031】
図4に示した回路において、第3の巻線13のインダクタンスをL11とし、第1の巻線11のインダクタンスをL12とし、キャパシタ151のキャパシタンスをC1とする。また、キャパシタ151および第3の巻線13を通過する電流をi1とし、この電流i1の経路のインピーダンスの総和をZ1とする。また、第1の巻線11を通過する電流をi2とし、この電流i2の経路のインピーダンスの総和をZ2とする。
【0032】
また、第1の巻線11と第3の巻線13との間の相互インダクタンスをMとし、両者の結合係数をKとする。結合係数Kは、以下の式(1)で表わされる。
【0033】
K=M/√(L11・L12) …(1)
【0034】
上記のインピーダンスの総和Z1,Z2は、それぞれ、以下の式(2),(3)で表わされる。なお、jは√(−1)を表わし、ωはコモンモード信号の角周波数を表わしている。
【0035】
Z1=j(ωL11−1/ωC1) …(2)
Z2=Zo+jωL12 …(3)
【0036】
また、電位差Vinは、以下の式(4),(5)で表わされる。
【0037】
Vin=Z1・i1+jωM・i2 …(4)
Vin=Z2・i2+jωM・i1 …(5)
【0038】
以下、式(2)〜(5)に基づいて、電流i1を含まずに、電流i2を表わす式を求める。そのために、まず、式(4)から次の式(6)を導く。
【0039】
i1=(Vin−jωM・i2)/Z1 …(6)
【0040】
次に、式(6)を式(5)に代入すると、次の式(7)が得られる。
【0041】
i2=Vin(Z1−jωM)/(Z1・Z2+ω2・M2) …(7)
【0042】
図4に示した回路によってコモンモード信号を抑制することは、式(7)で表わされる電流i2を小さくすることであると言える。式(7)によれば、式(7)の右辺の分母が大きくなれば、電流i2は小さくなる。そこで、式(7)の右辺の分母(Z1・Z2+ω2・M2)について考察する。
【0043】
まず、Z1は、式(2)で表わされるため、第3の巻線13のインダクタンスL11が大きいほど大きくなると共に、キャパシタ151のキャパシタンスC1が大きいほど大きくなる。
【0044】
次に、Z2は、式(3)で表わされるため、第1の巻線11のインダクタンスL12が大きいほど大きくなる。従って、インダクタンスL12を大きくすれば、電流i2を小さくすることができる。
【0045】
また、式(7)の右辺の分母にはω2・M2が含まれていることから、相互インダクタンスMを大きくすることにより、電流i2を小さくすることができる。式(1)から分かるように結合係数Kは相互インダクタンスMに比例するため、結合係数Kを大きくすれば、図4に示した回路によるコモンモード信号の抑制効果が大きくなる。相互インダクタンスMは、式(7)の右辺の分母中に2乗の形で含まれていることから、結合係数Kの値によってコモンモード信号の抑制効果は大きく変化する。
【0046】
以上の説明は、図2に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線4を通過する信号の抑制に関わる部分についても同様に当てはまる。
【0047】
また、コモンモード信号の発生源が、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合には、第3の巻線13と逆相信号伝送回路15の役割が、図3および図4を用いた説明とは逆になる。しかし、この場合にも、上記の説明は、同様に当てはまる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、従来のEMIフィルタに比べて部品点数が少なく安価でありながら、コモンモード信号の抑制効果が大きいコモンモード信号抑制回路を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態において、キャパシタ151,152を用いて逆相信号伝送回路15を構成した場合には、キャパシタ151,152のみによって、コモンモード信号の検出と、この検出されたコモンモード信号に対して逆相となる逆相信号の生成とを行うことができる。従って、この場合には、部品点数をより少なくすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、電力変換回路が発生するリップル電圧やノイズを低減する手段や、電力線通信において電力線上のノイズを低減したり、屋内電力線上の通信信号が屋外電力線に漏洩することを阻止する手段として利用することができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路は、第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路にインピーダンス素子16を加えた構成になっている。インピーダンス素子16は、導電線3,4において、第1の位置Aと第3の位置Cの間の位置および第2の位置Bと第4の位置Dとの間の位置に設けられている。また、インピーダンス素子16は、そこを通過するコモンモード信号の波高値を低減する。これにより、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路では、インピーダンス素子16を経由して伝搬するコモンモード信号の波高値と、逆相信号伝送回路15を経由して導電線3,4に注入される逆相信号の波高値との差が低減される。その結果、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によれば、より広い周波数範囲においてコモンモード信号をより効果的に抑制することが可能になる。
【0053】
図6は、図5に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。この例では、図2に示した例と同様に、逆相信号伝送回路15はハイパスフィルタ15Aで構成されている。ハイパスフィルタ15Aは、キャパシタ151,152を含んでいる。
【0054】
また、図6に示した例では、インピーダンス素子16は、導電線3に挿入された第4の巻線161と、導電線4に挿入されると共に磁芯160を介して第4の巻線161に結合され、第4の巻線161と協働してコモンモード信号を抑制する第5の巻線162とを有している。例えば、巻線161,162の巻数は等しくなっている。磁芯160および巻線161,162は、コモンモードチョークコイルを構成している。すなわち、巻線161,162は、巻線161,162にノーマルモードの電流が流れたときに各巻線161,162を流れる電流によって磁芯160に誘起される磁束が互いに相殺されるような向きに、磁芯160に巻かれている。これにより、巻線161,162は、コモンモード信号を抑制し、ノーマルモード信号を通過させる。
【0055】
以下、図7を参照して、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について詳しく説明する。図7は、図6に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線3を通過する信号の抑制に関わる部分のみを示している。図7に示した回路は、端子1a,2aと、第1の巻線11と、第3の巻線13と、キャパシタ151と、第4の巻線161とを有している。また、図7に示した回路には、コモンモード信号発生源21と負荷22とが接続されている。コモンモード信号発生源21は、端子1aとグランドGNDとの間に接続され、両者の間に電位差Vinを生じさせる。負荷22は、端子2aとグランドGNDとの間に接続され、インピーダンスZoを有している。
【0056】
図7に示した回路において、第3の巻線13のインダクタンスをL11とし、第1の巻線11のインダクタンスをL12とし、キャパシタ151のキャパシタンスをC1とし、第4の巻線161のインダクタンスをL21とする。また、キャパシタ151および第3の巻線13を通過する電流をi1とし、この電流i1の経路のインピーダンスの総和をZ1とする。また、第4の巻線161および第1の巻線11を通過する電流をi2とし、この電流i2の経路のインピーダンスの総和をZ2とする。また、第1の巻線11と第3の巻線13との間の相互インダクタンスをMとし、両者の結合係数をKとする。結合係数Kは、前出の式(1)で表わされる。
【0057】
本実施の形態では、インピーダンスの総和Z1は前出の式(2)で表わされ、インピーダンスの総和Z2は以下の式(8)で表わされる。
【0058】
Z2=Zo+jω(L12+L21) …(8)
【0059】
また、電位差Vinは、前出の式(4),(5)で表わされる。第1の実施の形態と同様に、本実施の形態においても、電流i1を含まずに、電流i2を表わす式は、前出の式(7)となる。
【0060】
図7に示した回路によってコモンモード信号を抑制することは、式(7)で表わされる電流i2を小さくすることであると言える。式(7)によれば、式(7)の右辺の分母が大きくなれば、電流i2は小さくなる。そこで、式(7)の右辺の分母(Z1・Z2+ω2・M2)について考察する。
【0061】
まず、Z1は、式(2)で表わされるため、第3の巻線13のインダクタンスL11が大きいほど大きくなると共に、キャパシタ151のキャパシタンスC1が大きいほど大きくなる。この点は、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
次に、図7に示した回路では、Z2は、式(8)で表わされるため、第1の巻線11のインダクタンスL12と第4の巻線161のインダクタンスL21との和が大きいほど大きくなる。従って、インダクタンスL12とインダクタンスL21の少なくとも一方を大きくすれば、電流i2を小さくすることができる。また、式(7)から、第1の巻線11だけでもコモンモード信号を抑制することができるが、第4の巻線161を加えることでコモンモード信号をより抑制することができることが分かる。
【0063】
また、第1の実施の形態と同様に、相互インダクタンスMを大きくすることにより、電流i2を小さくすることができる。
【0064】
以上の説明は、図6に示したコモンモード信号抑制回路のうち、導電線4を通過する信号の抑制に関わる部分についても同様に当てはまる。
【0065】
また、コモンモード信号の発生源が、第3および第4の位置C,Dよりも第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合には、第3の巻線13と逆相信号伝送回路15の役割が、図7を用いた説明とは逆になる。しかし、この場合にも、上記の説明は、同様に当てはまる。
【0066】
次に、図8を参照して、図6に示したコモンモード信号抑制回路における巻線161,162のインダクタンスとコモンモード信号抑制効果との関係をシミュレーションによって調べた結果について説明する。図8は、比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示している。
【0067】
比較例の回路は、一対の端子1a,1bと、他の一対の端子2a,2bと、一端が端子1aに接続され、他端が端子2aに接続された第1のインダクタンス素子と、一端が端子1bに接続され、他端が端子2bに接続された第2のインダクタンス素子とを備えたものである。図8において符号31で示した線は、上記第1および第2のインダクタンス素子のインダクタンスを共に33μHとした場合の比較例の回路の特性を表わしている。また、図8において符号32で示した線は、上記第1および第2のインダクタンス素子のインダクタンスを共に90μHとした場合の比較例の回路の特性を表わしている。
【0068】
図8において符号33〜38で示した各線は、それぞれ図6に示したコモンモード信号抑制回路の特性を表わしている。シミュレーションでは、キャパシタ151,152のキャパシタンスを共に1000pFとし、第1の巻線11、第2の巻線12および第3の巻線13の各インダクタンスをいずれも30μHとし、巻線11,12と巻線13との結合係数を0.995とした。なお、0.995という値は、結合係数として実現可能な値である。
【0069】
シミュレーションでは、コモンモード信号の発生源が第1および第2の位置A,Bに近い位置にある場合と、コモンモード信号の発生源が第3および第4の位置C,Dに近い位置にある場合とで、コモンモード信号抑制回路の特性に差はなかった。
【0070】
符号33で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に0とした場合の特性を表わしている。なお、この場合の図6に示したコモンモード信号抑制回路の構成は、図2に示したコモンモード信号抑制回路と同じである。符号34で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に0.3μHとした場合の特性を表わしている。符号35で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを共に3μHとした場合の特性を表わしている。符号36で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを30μHとした場合の特性を表わしている。符号37で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを60μHとした場合の特性を表わしている。符号38で示した線は、巻線161,162のインダクタンスを600μHとした場合の特性を表わしている。
【0071】
以下、図8に示したシミューレションの結果について考察する。まず、符号31,32,35で示した各線を比較すると、以下のことが分かる。第1巻線11のインダクタンスが30μHで、第4の巻線161のインダクタンスが3μHで、これらの和が33μHとなるコモンモード信号抑制回路は、インダクタンス素子のインダクタンスが33μHである比較例の回路よりも、約1MHz以上の周波数の範囲において、コモンモード信号の抑制効果が大きい。また、このコモンモード信号抑制回路は、インダクタンス素子のインダクタンスが90μHである比較例の回路よりも、約3MHz以上の周波数の範囲において、コモンモード信号の抑制効果が大きい。また、このことから、本実施の形態によれば、比較例に比べてインダクタンス素子を小型化でき、その結果、回路自体も小型化することが可能になる。
【0072】
また、符号31で示した線と符号33で示した線とを比較すると、巻線161,162のインダクタンスが0の場合、すなわちインピーダンス素子16がない場合であってもコモンモード信号の抑制効果を得ることができる。
【0073】
しかし、符号33〜38で示した各線を比較すると分かるように、インピーダンス素子16を設けない場合に比べて、インピーダンス素子16を設けた方がコモンモード信号の抑制効果が大きくなる。しかも、巻線161,162のインダクタンスが大きくなるほど、コモンモード信号の抑制効果が大きくなる。しかし、巻線161,162のインダクタンスが大きくなるほど、インピーダンス素子16の形状は大きくなる。そのため、巻線161,162のインダクタンスが600μHを超えると、実用性が薄れる。巻線11〜13のインダクタンスが30μHである場合には、巻線161,162のインダクタンスは30μHあるいは60μHあれば、十分なコモンモード信号の抑制効果を得ることができることが分かる。これらのことから、巻線161,162のインダクタンスは30μHあるいは60μHあれば十分であると考えられる。また、巻線161,162のインダクタンスは、巻線11〜13のインダクタンスと同程度の値であることが好ましいと考えられる。
【0074】
図8から考察すると、巻線161,162のインダクタンスは、0.3μH以上、600μH以下であることが好ましく、3μH以上、60μH以下であることがより好ましく、3μH以上、30μH以下であることが更に好ましい。
【0075】
次に、図9を参照して、図6に示したコモンモード信号抑制回路における巻線11,12と巻線13との結合係数とコモンモード信号抑制効果との関係をシミュレーションによって調べた結果について説明する。図9は、前述の比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示している。
【0076】
図9において符号41,42で示した各線は、図8において符号31,32で示した各線の場合と同じ条件における比較例の回路の特性を表わしている。
【0077】
図9において符号43〜46で示した各線は、それぞれ図6に示したコモンモード信号抑制回路の特性を表わしている。シミュレーションでは、キャパシタ151,152のキャパシタンスを1000pFとし、巻線11,12,13,161,162の各インダクタンスを全て30μHとした。符号43〜46で示した各線は、それぞれ、巻線11,12と巻線13との結合係数を、0.7、0.9、0.995、1とした場合の特性を表わしている。
【0078】
以下、図9に示したシミュレーションの結果について考察する。まず、コモンモード信号抑制回路において、結合係数が0.7以上であれば、比較例の回路よりも大きなコモンモード信号抑制効果を得ることができる。結合係数が大きくなるほど、コモンモード信号の抑制効果が大きくなる。図9から考察すると、結合係数は、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.995以上であることが更に好ましい。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によれば、第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路に比べて、より広い周波数範囲においてコモンモード信号をより効果的に抑制することができる。
【0080】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0081】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、逆相信号伝送回路15は、ハイパスフィルタに限らず、バンドパスフィルタであってもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、広い周波数範囲においてコモンモード信号を効果的に抑制でき、且つ小型化が可能なコモンモード信号抑制回路を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。
【図2】図1に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路によってコモンモード信号が抑制される原理について説明するための回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明するための回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の基本的な構成を示す回路図である。
【図6】図5に示したコモンモード信号抑制回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るコモンモード信号抑制回路の作用について説明するための回路図である。
【図8】比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示す特性図である。
【図9】比較例の回路および図6に示したコモンモード信号抑制回路のそれぞれについてシミュレーションで求めたゲインの周波数特性を示す特性図である。
【図10】LCフィルタの構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
3,4…導電線、11…第1の巻線、12…第2の巻線、13…第3の巻線、15…逆相信号伝送回路、15A…ハイパスフィルタ、16…インピーダンス素子、151,152…キャパシタ、161…第4の巻線、162…第5の巻線。
Claims (7)
- 2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモード信号を抑制するコモンモード信号抑制回路であって、
所定の第1の位置において一方の導電線に挿入された第1の巻線と、
前記第1の位置に対応する第2の位置において他方の導電線に挿入されると共に前記第1の巻線に結合され、前記第1の巻線と協働して前記コモンモード信号を抑制する第2の巻線と、
前記第1の巻線および第2の巻線との間で相互インダクタンスが発生するように、前記第1の巻線および第2の巻線に結合された第3の巻線と、
前記第3の巻線に接続されると共に、前記第1の位置とは異なる第3の位置において前記一方の導電線に接続され、更に、前記第3の位置に対応し、前記第2の位置とは異なる第4の位置において前記他方の導電線に接続され、前記コモンモード信号を抑制するための逆相信号を伝送する逆相信号伝送手段とを備え、
前記コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第1および第2の位置よりも第3および第4の位置に近い位置にある場合には、前記逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を検出すると共に、検出したコモンモード信号に対して逆相となる前記逆相信号を前記第3の巻線に供給し、前記第3の巻線は、前記第1の巻線および第2の巻線を介して、前記逆相信号を前記2本の導電線に注入し、
前記コモンモード信号の発生源が、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置を除いて、第3および第4の位置よりも第1および第2の位置に近い位置にある場合には、前記第3の巻線はコモンモード信号を検出し、前記逆相信号伝送手段は、前記第3の巻線によって検出されたコモンモード信号に対して逆相となる前記逆相信号を前記2本の導電線に注入することを特徴とするコモンモード信号抑制回路。 - 更に、前記2本の導電線において、第1の位置と第3の位置の間の位置および第2の位置と第4の位置との間の位置に設けられ、通過するコモンモード信号の波高値を低減するインピーダンス素子を備えたことを特徴とする請求項1記載のコモンモード信号抑制回路。
- 前記逆相信号伝送手段は、コモンモード信号を通過させるためのハイパスフィルタを有することを特徴とする請求項1または2記載のコモンモード信号抑制回路。
- 前記ハイパスフィルタは、キャパシタを含むことを特徴とする請求項3記載のコモンモード信号抑制回路。
- 前記インピーダンス素子は、一方の導電線に挿入された第4の巻線と、他方の導電線に挿入されると共に前記第4の巻線に結合され、前記第4の巻線と協働して前記コモンモード信号を抑制する第5の巻線とを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコモンモード信号抑制回路。
- 前記第4の巻線および第5の巻線の各インダクタンスは共に0.3μH以上であることを特徴とする請求項5記載のコモンモード信号抑制回路。
- 前記第1の巻線および第2の巻線と前記第3の巻線との結合係数は0.7以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のコモンモード信号抑制回路。
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