JP4239848B2 - マイクロ波用アンテナおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明のマイクロ波用アンテナは、基体と、複数のカーボンナノチューブが相互に電気的に接続された網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を含み、前記基体表面に支持された輻射器と、該輻射器に接続された給電電極と、を備えることを特徴とする。
またこの場合、前記架橋部位としては、−COO(CH2)2OCO−、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OHおよび−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−からなる群より選ばれるいずれかの化学構造であることが好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体層を上記第2の構造とすることで、カーボンナノチューブに結合された官能基同士を化学結合させることにより架橋部位を形成して、前記複数のカーボンナノチューブ同士を結合し、網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、架橋部位を設計した構造とすることができ、得られるカーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
この場合の架橋部位としては、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−および−S−S−からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの化学構造であることが好ましい。
少なくとも、官能基を有する複数のカーボンナノチューブを前記基体表面に供給する供給工程と、
前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成し、前記カーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、
を含むことを特徴とする。
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体およびレジスト層が積層された面に、ドライエッチングを行う(好ましくは、酸素分子のラジカルを照射。当該酸素分子のラジカルは、酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを利用することができる。)ことで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体を除去する除去工程と、
の2つの工程に分かれている態様が挙げられる。
この場合、除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層を剥離するレジスト層剥離工程を含むことで、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体層を表出させることができる。
当該手法は製造コストを下げることができる点で好ましい。
このとき、架橋剤同士の自己重合性による反応の程度を制御することは事実上困難であるため、カーボンナノチューブ相互間の架橋構造が、架橋剤同士の重合状態のばらつきに応じて、ばらついてしまう。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくともいずれか1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
この方法によれば、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ相互間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部位の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
なお、特に本発明のマイクロ波用アンテナの製造方法においては、上記官能基を含む分子をカーボンナノチューブに結合させて、上に列挙した官能基部分で化学結合して架橋部位を構成してもよい。
前記官能基同士を化学結合させる反応が脱水縮合である場合には、前記添加剤として縮合剤を添加することが好ましい。このとき好適に使用可能な前記縮合剤としては、硫酸、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つを挙げることができる。
脱水縮合で用いる前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富む。このため網目構造を形成するための官能基を、一本のカーボンナノチューブの複数箇所に導入しやすく、さらにこの官能基は脱水縮合しやすいことから、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。
前記官能基同士を化学結合させる反応が酸化反応である場合、前記官能基としては、−SHであることが好ましい。また、この場合、必ずしも前記添加剤が要求されるわけではないが、前記添加剤として酸化反応促進剤を添加することも好ましい態様である。好適に添加することができる酸化反応促進剤としては、ヨウ素を挙げることができる。
[マイクロ波用アンテナ]
本発明のマイクロ波用アンテナの特徴的な点は、アンテナの構成部材のうち、輻射器を、主として複数のカーボンナノチューブが相互に電気的に接続された網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体で構成することである。本発明のマイクロ波用アンテナについて、2つの実施形態を挙げて説明する。
図1に、本発明の好ましい一例である第1の実施形態のマイクロ波用アンテナ(以下、単に「アンテナ」という場合がある。)の模式断面図を示す。また図2は、図1における上方向から見た平面図である。
板状の誘電体基板(基体)10は、表面に輻射器の層(輻射器層20)が形成され、その裏面側に接地面となる金属電極(接地電極)12が配置されている。矩形状に形成された輻射器層20の一辺には、その上に被さるように給電用の金属配線(給電電極)14が設けられている。本発明の一例である本実施形態のアンテナにおいては、輻射器層20が、後で詳細に説明するカーボンナノチューブ構造体により構成されている。
各部材についての詳細は、後述する。
図3に、本発明の好ましい他の一例である第2の実施形態のマイクロ波用アンテナの模式断面図を示す。また図4は、図3における上方向から見た平面図である。本実施形態のアンテナは、第1の実施形態のアンテナとは、輻射器層およびその周辺の構成が異なっている。その他の構成は、第1の実施形態のアンテナと同様であるため、図3および図4において、第1の実施形態と同様の機能を示す部材には、図1および図2と同一の符号を付して、その説明を割愛することとする。
各部材についての詳細は、以下にまとめて説明する。
各部材の構成について、詳細に説明する。
誘電体基板(基体)10の材質としては、特に限定されるものではないが、輻射器層20を担持するには、ガラスエポキシ樹脂、ガラス、シリコン、アルミナ、サファイア、ポリカーボネート、ポリフルオレン等を利用することができる。
これら各電極等(金属電極12および金属配線14および金属パターン26)については、その形成方法に特に制限はなく、従来公知の方法を問題なく採用することができる。
本実施形態において、輻射器層20,30は、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体からなる層である。ただし、本発明において、輻射器を構成するカーボンナノチューブ構造体は、必ずしも架橋構造を有していなくてもよく、複数のカーボンナノチューブが相互に電気的に接続された網目構造を構成していればよい。勿論、本実施形態のように相互に架橋した網目構造を構成するようにカーボンナノチューブ構造体であれば、カーボンナノチューブ同士が架橋した架橋部位が、物理的な接触による電気的接続に加え、化学結合による結合部位が確実に形成されるため、多くの結合部分が形成されるようになり、多様な長さ・形状のミクロの輻射器(電流経路)を内部に有するカーボンナノチューブ構造体となる。その結果、所謂カーボンナノチューブ分散膜を輻射器に用いたときのような電気抵抗の増加や変動が防止され、カーボンナノチューブに特有の性質である高い電気伝導性を有効に活用することができる。
以下、かかる構成のカーボンナノチューブ構造体を中心に説明する。
本発明において、主要な構成要素であるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、アンテナの用途により、あるいはコストを考慮して、適宜、選択すればよい。
これらカーボンナノチューブの合成は、従来から公知のアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法のいずれの方法によっても行うことができ、本発明においては制限されない。これらのうち、高純度なカーボンナノチューブが合成できるとの観点からは、磁場中でのアーク放電法が好ましい。
一方、一般的にカーボンナノチューブの直径の下限としては、その構造から見て、0.3nm程度であるが、あまりに細すぎると合成時の収率が低くなる点で好ましくない場合もあるため、1nm以上とすることがより好ましく、10nm以上とすることがさらに好ましい。
以下、第1の方法と第2の方法に分けて、カーボンナノチューブ構造体の形成に供し得る構成成分について説明する。
架橋剤を用いて架橋部位を形成する前記第1の方法では、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの架橋剤により架橋反応を起こし得るものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR1R2、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR'3(以上、R、R1、R2およびR'は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記第1の方法では、架橋剤が必須成分となる。カーボンナノチューブの有する前記官能基と架橋反応を起こすものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類によって、選択し得る架橋剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その架橋反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
また、具体的なカーボンナノチューブの割合としては、既述の如く一概には言えないが、官能基の質量は含めないで、架橋溶液全量に対し0.01〜10g/l程度の範囲から選択され、0.1〜5g/l程度の範囲が好ましく、0.5〜1.5g/l程度の範囲がより好ましい。
架橋剤によらず、複数の前記官能基同士を直接化学結合させて架橋部位を形成する前記第2の方法では、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの添加剤により官能基同士を反応させ得るものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR1R2、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR'3(以上、R、R1、R2およびR'は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの官能基を一部に含む分子をカーボンナノチューブに結合させ、先に列挙した好ましい官能基部分で化学結合させることも可能である。この場合においても、カーボンナノチューブに結合させる分子量の大きい官能基は意図したように結合されているので、架橋部位の長さは制御可能となる。
また、脱水縮合で用いる前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。
前記官能基同士を化学結合させる反応が酸化反応である場合も、必ずしも添加剤は必要としないが、前記添加剤として酸化反応促進剤を添加することが好ましい。添加するのに好適な酸化反応促進剤としては、ヨウ素を挙げることができる。また、このとき前記官能基としては、−SHであることが好ましい。
前記架橋塗布液における前記添加剤の含有量としては、前記添加剤の種類は勿論、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えない。
前記架橋溶液において、溶剤は、前記架橋剤もしくは官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる添加剤の種類に応じて選択すればよい。具体的な溶剤の種類おより添加量としては、第1の方法で述べた溶剤の場合と同様である。
前記架橋溶液(第1の方法と第2の方法の双方を含む)においては、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等の各種その他の添加剤が含まれていてもよい。
粘度調整剤は、前記架橋剤もしくは官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な粘度調整剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
次に、架橋溶液の調製方法について説明する。
前記架橋溶液は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤、あるいは、官能基同士を化学結合させる添加剤を必要に応じて混合することで調製される(混合工程)。当該混合工程に先立ち、カーボンナノチューブに官能基を導入する付加工程を含んでもよい。
前記付加工程は、カーボンナノチューブに所望の官能基を導入する工程である。官能基の種類によって導入方法が異なり、一概には言えない。直接的に所望の官能基を付加させてもよいが、一旦、付加が容易な官能基を導入した上で、その官能基ないしその一部を置換したり、その官能基に他の官能基を付加させたり等の操作を行い、目的の官能基としても構わない。
また、カーボンナノチューブにメカノケミカルな力を与えて、カーボンナノチューブ表面のグラフェンシートをごく一部破壊ないし変性させて、そこに各種官能基を導入する方法もある。
前記官能基の中でも、特に好適な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入する方法について説明する。カーボンナノチューブに−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入するには、一旦、カーボンナノチューブにカルボキシル基を付加し(i)、さらにこれをエステル化(ii)すればよい。
カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに還流すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、5質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカーボンナノチューブカルボン酸が得られる。
得られたカーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールを添加し脱水してエステル化することで、目的の官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入することができる。
前記エステル化に用いるアルコールは、上記官能基の式中におけるRに応じて決まる。すなわち、RがCH3であればメタノールであるし、RがC2H5であればエタノールである。
一般にエステル化には触媒が用いられるが、本発明においても従来公知の触媒、例えば、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸等を用いることができる。本発明では、副反応を起こさないという観点から触媒として硫酸を用いることが好ましい。
エステル化の後の反応液から反応物を分離し、必要に応じて洗浄することで、官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)が付加したカーボンナノチューブを得ることができる。
前記炭化水素の炭素数としては2〜10個とすることが好ましく、2〜5個とすることがより好ましく、2〜3個とすることがさらに好ましい。なお、前記連結基としては、2価以上であれば特に制限は無い。
また、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とグリセリンとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。
さらに、輻射器(輻射器層20,30)全体のパターン自体は補完的なものとなるため、第1の方法や第2の方法等その形成方法によらず、形成されるカーボンナノチューブ構造体のパターンの自由度が高く、輻射器として多様な形状とすることができる。
本発明のマイクロ波用アンテナの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という場合がある。)は、上記本発明のマイクロ波用アンテナを製造するのに適した方法である。具体的には、基体と、複数のカーボンナノチューブが架橋部位で相互に電気的に接続された網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を含み、前記基体表面に支持された輻射器と、該輻射器に接続された給電電極と、を備えるマイクロ波用アンテナを製造するための方法であって、前記輻射器を前記基体表面に形成する方法として、(A)少なくとも、官能基を有する複数のカーボンナノチューブを前記基体表面に供給する供給工程と、(B)前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成し、前記カーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、を含む。
前記架橋工程に引き続いてさらに、(C)形成されたカーボンナノチューブ構造体を、所望の形状にパターニングするパターニング工程等、他の工程を含めてもよい。
ここで図5は、本発明の製造方法における、前記輻射器を前記基体表面に形成する方法の一例(後述する(C−A−2))を説明するための、製造工程中の基体の模式断面図である。図中、112は平板状の基体、114はカーボンナノチューブ構造体層、116はレジスト層である。
本発明において、「供給工程」とは、前記基体の表面に、少なくとも、官能基を有する複数のカーボンナノチューブを前記基体表面に供給する工程である。既述の架橋溶液を用いて行えばよく、薄膜状の輻射器を形成したい場合には、それを前記基体表面に塗布すればよい。
また、供給は、前記架橋溶液を前記基体の表面における所望の領域に、配置ないし接液できる方法であれば、各種方法を採用する事ができるが、塗布する事が最も容易で、かつ精密であり、しかも薄膜のカーボンナノチューブ構造体を形成できるので、最も好ましい。
なお、基体、官能基を有するカーボンナノチューブ、架橋剤、添加剤並びに架橋溶液の内容については、[マイクロ波用アンテナ]の項で説明した通りである。
本発明において、「架橋工程」とは、供給後の前記カーボンナノチューブにおける前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成し、前記カーボンナノチューブ構造体を形成する工程である。供給工程が架橋溶液を塗布する構成の場合には、塗布後の前記架橋溶液を硬化して、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する工程である。なお、架橋工程で、カーボンナノチューブ構造体を形成すべき領域は、前記所望の領域(アンテナの輻射体を形成すべき領域)を全て含んでさえいればよく、前記基体の表面に塗布された前記架橋溶液を全て硬化しなければならないわけではない。図5(a)に、当該(B)架橋工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。図5(a)においては、基体112の表面にカーボンナノチューブ構造体114が形成された状態が示されている。
本発明において、「パターニング工程」とは、前記カーボンナノチューブ構造体を所望の形状にパターニングする工程である。ただし、ここでは、従来の輻射器における輻射波長や偏向に応じた形状へのパターニングは不要である。従って、必須な工程ではない。図1(e)に、当該(C)パターニング工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。
パターニング工程の操作に特に制限はないが、好適なものとして、以下(C−A)および(C−B)の2つの態様を挙げることができる。
前記基体表面における前記輻射器に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輻射器に応じたパターンにパターニングする工程である態様。
直接前記パターン以外の領域の前記カーボンナノチューブ構造体にラジカル等を照射する方式とは、詳しくは、本パターニング工程が、前記基体表面における前記輻射器に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輻射器に応じたパターンにパターニングする態様である。
イオンビームによれば、数nmオーダー程度の緻密さで、選択的にガス分子のイオンを照射することができ、輻射器に応じたパターンのパターニングが一度の操作で容易にできる点で好ましい。
イオンビームとは、真空中ガス分子に電圧をかけることで加速させイオン化し、ビームとして照射する方式であり、エッチングの対象とする物質および照射精度は、使用するガスの種類により変更することができる。
前記パターン以外の領域をレジスト層で被覆した上で、前記基体表面の全面にラジカル等を照射する方式とは、詳しくは、本パターニング工程が、
前記基体表面における前記輻射器に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程(C−A−2−1)と、
レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層を剥離するレジスト層剥離工程(C−A−2−3)を含む場合もある。
レジスト層形成工程では、前記基体表面における前記輻射器に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体の上に、レジスト層を設ける。当該工程は、一般にフォトリソグラフィープロセスと称されるプロセスに従って為されるものであり、前記輻射器に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体の上に直接レジスト層を設けるのではなく、図5(b)に示されるように一旦基体112のカーボンナノチューブ構造体114が形成された表面全面にレジスト層116を形成し、前記輻射器に応じたパターンの領域を露光して、その後、現像することで露光部以外の部位が除去され、最終的に前記輻射器に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体の上にレジスト層が設けられた状態となる。
レジスト層の形成方法は、従来公知の方法で行えばよい。具体的には、レジスト剤を基板上にスピンコーター等を使用して塗布し、加熱することでレジスト層を形成させる。
当該樹脂層を主として構成する樹脂材料としては、ノボラック樹脂、ポリメチルメタクリレート、およびこれらの樹脂の混合物等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
レジスト層を形成するためのレジスト材料は、上記樹脂材料あるいはその前駆体と感光材料等の混合物であり、本発明では従来公知のあらゆるレジスト材料を使用しても差し支えない。例えば、東京応化工業製OFPR800、長瀬産業製NPR9710等を例示することができる。
除去工程では、前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、ドライエッチングを行うことで、前記領域以外の領域で表出している(図5(c)を参照。カーボンナノチューブ構造体114は、レジスト層116が除去された部分から表出している。)カーボンナノチューブ構造体を除去する。図5(d)に、当該(C−A−2−2)除去工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。
選択可能なガス種やその他装置および操作環境等は(C−A−1)の項で述べた通りである。
ガス種として酸素を選択する場合には、酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを利用することができる。この方式で酸素ラジカルを生ずる装置が、UVアッシャーとの商品名で市販されており、容易に入手することができる。
本発明のマイクロ波用アンテナの製造方法は、以上の(C−A−2−2)除去工程までの操作が完了した段階で終了とすることもでき、それでも本発明のマイクロ波用アンテナの一態様(図1(d)に示される態様)のものを得ることができる。しかし、レジスト層116を除去したい場合には、上記除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられたレジスト層116を剥離するレジスト層剥離工程の操作を施すことが必要となる。図5(e)に、当該(C−A−2−3)レジスト層剥離工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。
前記基体表面における前記輻射器に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、エッチング液を接液させることで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層を除去する除去工程と、を含む工程である態様。
この態様は、一般的にウェットエッチング(薬液=エッチング液を使用して任意の部分を取り除く方法)と称される方法である。
ここで、本発明において「接液」とは、対象物を液体に接触させる行為全てを含む概念であり、浸漬、スプレー、流し掛け等、いずれの方法で液体に対象物を接触させても構わない。
以上の各工程を経ることで、本発明のマイクロ波用アンテナを製造することができるが、本発明のマイクロ波用アンテナの製造方法においては、その他の工程を含めることもできる。
例えば、前記供給工程(特に、塗布による場合)に先立ち、前記基体の表面を予め処理する表面処理工程を設けるのも好適である。表面処理工程は、例えば、供給(塗布)される架橋溶液の吸着性を高めるため、上層として形成されるカーボンナノチューブ構造体と基体表面との接着性を高めるため、基体表面を清浄化するため、基体表面の電気伝導度を調整するため、等の目的で行われる。
また、保護層や電極層等その他の層を別途積層する場合には、これらの層を形成するための工程が必要となる。これら各層は、その目的に応じた材料・方法を従来公知の方法から選択して、あるいは、本発明のために新たに開発した物ないし方法により、適宜形成すればよい。
本発明のマイクロ波用アンテナの製造方法の有用な応用例として、輻射器を基体表面に形成するに際して、仮基板の表面に一旦カーボンナノチューブ構造体をパターニングした後、所望とする基体に転写(転写工程)する方法がある。また、当該転写工程において、当該仮基板から中間転写体表面にパターニングされたカーボンナノチューブ構造体を一旦転写し、さらに所望とする基体(第2の基体)に転写する構成としても構わない。
当該応用例において使用可能な仮基板としては、[マイクロ波用アンテナ]の項で説明した基体と同様の材質のものが使用可能であり、好ましいものである。ただし、転写工程における転写適性を考慮すると、少なくとも1つの平面を有することが望まれ、平板状であることがより好ましい。
当該応用例によれば、本発明のマイクロ波用アンテナを容易に製造することができる。
あるいは、仮基板(もしくは中間転写体)の表面にカーボンナノチューブ構造体が担持されたカーボンナノチューブ転写体を用いて、アンテナを構成する基体の表面に前記カーボンナノチューブ構造体だけを転写し、仮基板(もしくは中間転写体)を除去するようにすれば、利用者は架橋工程を省略しても、アンテナの輻射器を作製できるようになる。なお、ここではプロセス上中間転写体がカーボンナノチューブ転写体の仮基板となる場合があるが、カーボンナノチューブ転写体自体としては区別する必要はないので、この場合も含むものとする。
次に、図6(b)に示されように、例えば粘着テープの如き基体128を用意し、その粘着面をカーボンナノチューブ構造体124が形成された仮基板122側に向けて、基体128を矢印X方向に移動させて、図6(c)に示すように、両者を貼り合わせる。
以上のようにして、仮基板122を介して、基体128にカーボンナノチューブ構造体124がパターニングされ、本発明のカーボンナノチューブデバイスが製造される。
例えば、前記架橋工程で、供給後の前記溶液を硬化するために加熱する温度が、アンテナの基体にしようとしている材料の融点ないしガラス転移点以上となってしまう場合に、上記応用例は有効である。このとき、前記加熱温度を前記仮基板の融点よりも低く設定することで、硬化のために必要な加熱温度を確保することができ、適切に本発明のマイクロ波用アンテナを製造することができる。
接地電極を設ける場合、上記実施形態のように、基体の輻射器を支持する表面と異なる表面(基体が板状である場合には裏面)に設けてもよいし、基体の輻射器を支持する表面における、前記輻射器が支持される領域と異なる領域に設けてもよい。基体自体に厚みがある場合には、当該基体の内部に接地電極を設けても構わない。
[実施例1]
実施例1では、図5に記載マイクロ波用のアンテナの製造方法の流れにより、図10および図11に示される構成のアンテナを製造した。なお、図10は、本実施例で製造するマイクロ波用アンテナの模式断面図であり、図11は、図10における上方向から見た平面図である。本実施例で製造するマイクロ波用アンテナは、既述の第1の実施形態と、誘電体基板(基体)40の形状が異なることを除き、その構造は同一であるため、図10および図11において、図1および図2と同一の機能・構造・形状を有する構成部材に関しては、同一の符号を付している。
なお、本実施例の説明においては、図5の符号を用いる場合がある。
(A−1)架橋溶液の調製(付加工程)
(i)カルボキシル基の付加・・・カーボンナノチューブカルボン酸の合成
多層カーボンナノチューブ粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mlに加え、120℃の条件で還流を20時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。以上の反応スキームを図7に示す。なお、図7中カーボンナノチューブ(CNT)の部分は、2本の平行線で表している(反応スキームに関する他の図に関しても同様)。
また、回収された沈殿物を中性の純水に添加してみると、分散性が良好であることが確認された。この結果は、親水性のカルボキシル基がカーボンナノチューブに導入されたという、赤外吸収スペクトルの結果を支持する。
上記工程で調製されたカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、メタノール(和光純薬製)25mlに加えた後、濃硫酸(98質量%、和光純薬製)5mlを加えて、65℃の条件で還流を6時間行い、メチルエステル化した。以上の反応スキームを図8に示す。
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、グリセリン(関東化学製)4gに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール4gに加え、架橋溶液(1)を調製した。
基体112(誘電体基板40)としてのシリコンウエハー(アドバンテック製、76.2mmφ(直径3インチ)、厚さ380μm、表面酸化膜の厚さ1μm)を用意した。この上に塗布する架橋溶液(1)と、当該シリコンウエハーとの吸着性を上げるために、アミノプロピルトリエトキシシランにより、ガラス基板の表面処理を行った。
アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、密閉したシャーレ内で、上記基体112をアミノプロピルトリエトキシシラン(アルドリッチ社製)50μlの蒸気に3時間程度晒すことで行った。
工程(A−1)で調製された架橋溶液(1μl)を、表面処理が施された基体112表面にスピンコーター(ミカサ社製、1H−DX2)を用い、100rpm,30秒の条件で塗布した。
架橋溶液を塗布した後、当該架橋体膜が形成された基体112(誘電体基板40)を、200℃で2時間加熱し架橋体膜を硬化し、カーボンナノチューブ構造体114を形成した(図5(a))。なお、比較のため、表面処理を施さない比較のためのガラス基板についても、同様にして架橋体膜を硬化した。反応スキームを図9に示す。
得られたカーボンナノチューブ構造体114の状態を光学顕微鏡で確認したところ、極めて均一な硬化膜となっていた。
(C−1)レジスト層形成工程
カーボンナノチューブ構造体114が形成された基体112(表面処理を施したもの)の当該カーボンナノチューブ構造体114側の表面に、スピンコーター(ミカサ社製、1H−DX2)を用い、レジスト剤(長瀬産業製、NPR9710、粘度50mPa・s)を、2000rpm、20秒の条件で塗布し、ホットプレートにより2分間、100℃で加熱して製膜させて、レジスト層116を形成した(図5(b))。
なお、レジスト剤NPR9710の組成は、以下の通りである。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:50〜80質量%
・ノボラック樹脂: 20〜50質量%
・感光剤: 10質量%未満
さらに、露光された基体112(誘電体基板40)をホットプレートにより1分間、110℃で加熱した後、放冷し、現像液として東京応化工業製NMD−3(テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド:2.38質量%)を用い、現像機(AD−1200、滝沢産業)により現像を行った(図5(c))。このとき、レジスト層116が輻射器の形状(図11における輻射器層20の形状=「所定のパターン」の形状)に形成されていることを、光学顕微鏡観察により確認した。
以上のようにしてレジスト層116が所定のパターンの形状に形成された基体112を、UVアッシャー(エキシマ真空紫外線ランプ、アトム技研製、EXM−2100BM、波長172nm)により、混合ガス(酸素10mL/min,窒素40mL/min)中200℃で加熱し、5時間紫外線(172nm)を照射することで酸素ラジカルを発生させカーボンナノチューブ構造体114におけるレジスト層116で保護されていない部分を除去した。その結果、レジスト層116で覆われた状態でカーボンナノチューブ構造体114が、図11に示されるような輻射器層20の形状に形成された(図5(d))。このとき、レジスト層116は、カーボンナノチューブ構造体114を介して基体112の表面に残存している。
上記「所定のパターン」の形状に形成されたカーボンナノチューブ構造体114の上層として残存しているレジスト層116を、アセトンで洗い流すことにより洗浄して除去し(図5(e))、本実施例においてマイクロ波用アンテナの輻射器として機能する輻射器層20(正方形、25mm×25mm)を得た。
誘電体基板40(基体112)表面に形成された、輻射器として機能するカーボンナノチューブ構造体からなる輻射器層20の一辺に接して上面から被さるように給電用の金属配線(給電電極)14を設けた。具体的には、図10および図11に示されるように、メタルマスクを用いて幅1mm長さ8mmの金配線を形成し金属配線14とした。
また、図10に示されるように、誘電体基板40の裏面側(輻射器層20等が設けられていない側)の全面に、金を蒸着することにより接地面となる金属電極(接地電極)12を形成した。
以上のようにして本実施例のマイクロ波用アンテナを製造した。
得られた本実施例のマイクロ波用アンテナについて、ネットワークアナライザー37397C(アンリツ製)および付属のユニバーサルテストフィクスチャーを用いて、反射減衰率(S11)の評価を行った。結果を図12に示す。図12に示されるように、3.2GHz〜58GHzの広い周波数範囲で−10dB以下の反射減衰率が得られた。カーボンナノチューブ構造体の利用により広帯域の輻射器が実現し、小型でありながら高感度で利用可能な周波数帯域の広いマイクロ波用アンテナが得られたことが確認された。
実施例2では、実施例1の「(A−1)架橋溶液の調製」で得られた架橋溶液を用いて、実施例1の手順に従い、図13に示される構成のマイクロ波用アンテナを製造した。なお、図13は、本実施例で製造するマイクロ波用アンテナの平面図である。本実施例で製造されるマイクロ波用アンテナは、実施例1のものと断面構造が近似するため、模式断面図は図11を代用することとする。
その他の構成は、実施例1と同様にして、本実施例のマイクロ波用アンテナを製造した。
得られた本実施例のマイクロ波用アンテナについて、実施例1と同一のネットワークアナライザーを用いて、反射減衰率(S11)の評価を行った。結果を図14に示す。図14に示されるように、6.3GHz〜18.7GHzおよび22.5GHz〜58GHzの2つの周波数範囲で−10dB以下の反射減衰率が得られた。カーボンナノチューブ構造体の利用により広帯域の輻射器が実現し、実施例1と比すれば若干低周波数領域での感度が若干狭まっているものの、小型でありながら高感度で利用可能な周波数帯域の広いマイクロ波用アンテナが得られたことが確認された。
実施例3では、実施例2の手順に従い、さらに第2の導電体としての金属パターンを形成して、図15および図16に示される構成のマイクロ波用アンテナを製造した。なお、図15は、本実施例で製造するマイクロ波用アンテナの模式断面図であり、図16は、図15における上方向から見た平面図である。
実施例2と同様にして、実施例1に言う「(C−3)レジスト層除去工程」までの操作を行い、本実施例においてマイクロ波用アンテナの輻射器として機能する輻射器層30(円形、直径4mm)が形成された誘電体基板40(基体112)を得た。
さらに、実施例1ないし2と同様にして、金属電極(接地電極)12および同軸配線16を形成、配置して、本実施例のマイクロ波用アンテナを製造した。
次に実施例1と同様にネットワークアナライザーを用いて、実施例1と同一のネットワークアナライザーを用いて、反射減衰率(S11)の評価を行った。結果を図17に示す。図17に示されるように、1.2GHz〜5.0GHzおよび6.0GHz〜58GHzの2つの周波数範囲で−10dB以下の反射減衰率が得られた。
Claims (52)
- 基体と、複数のカーボンナノチューブが相互に電気的に接続された網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を含み、前記基体表面に支持された輻射器と、該輻射器に接続された給電電極と、を備えることを特徴とするマイクロ波用アンテナ。
- 前記基体が、板状であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記給電電極が、金属電極であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記基体における、少なくとも前記輻射器を支持する表面全面が、絶縁性であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用アンテナ。
- さらに、前記基体のいずれかの箇所に、接地電極が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記接地電極が、金属電極であることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記基体の前記輻射器を支持する表面と異なる表面に、前記接地電極が設けられてなることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記基体の前記輻射器を支持する表面における、前記輻射器が支持される領域と異なる領域に、前記接地電極が設けられてなることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記基体の内部に、前記接地電極が設けられてなることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波用アンテナ。
- さらに、前記輻射器に電気的に接続された第2の導電体を備えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
- 前記第2の導電体が、金属電極であることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブと、少なくともその一端がそれぞれ異なる前記カーボンナノチューブに結合された複数の官能基同士の化学結合により形成された架橋部位と、からなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基を有するカーボンナノチューブと、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤と、の硬化により、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて前記架橋部位が形成されてなることを特徴とする請求項12に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記架橋部位が、−COO(CH2)2OCO−、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OHおよび−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−からなる群より選ばれるいずれかの化学構造であることを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記架橋部位が、複数の前記官能基同士の化学結合により形成された構造からなることを特徴とする請求項12に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 前記架橋部位が、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−および−S−S−からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの化学構造であることを特徴とする請求項15に記載のマイクロ波用アンテナ。
- 基体と、複数のカーボンナノチューブが架橋部位で相互に電気的に接続された網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を含み、前記基体表面に支持された輻射器と、該輻射器に接続された給電電極と、を備えるマイクロ波用アンテナを製造するための方法であって、前記輻射器を前記基体表面に形成する方法として、
少なくとも、官能基を有する複数のカーボンナノチューブを前記基体表面に供給する供給工程と、
前記官能基間を化学結合させることにより架橋部位を形成し、前記カーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、
を含むことを特徴とするマイクロ波用アンテナの製造方法。 - 前記架橋工程に引き続いてさらに、形成されたカーボンナノチューブ構造体を、所望の形状にパターニングするパターニング工程を含むことを特徴とする請求項17に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記パターニング工程が、前記基体表面における前記所望の形状に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輻射器に応じたパターンにパターニングする工程であることを特徴とする請求項18に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記パターニング工程が、
前記基体表面における前記所望の形状に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体およびレジスト層が積層された面に、ドライエッチングを行うことで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体を除去する除去工程と、
を含むことを特徴とする請求項18に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。 - 前記除去工程において、前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体およびレジスト層が積層された面に、酸素分子のラジカルを照射することを特徴とする請求項20に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体およびレジスト層が積層された面に照射するラジカルとして用いることを特徴とする請求項21に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記パターニング工程が、除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層を剥離するレジスト層剥離工程を含むことを特徴とする請求項20に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記レジスト層が、樹脂層であることを特徴とする請求項20に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記パターニング工程が、前記基体表面における前記所望の形状に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輻射器に応じたパターンにパターニングする工程であることを特徴とする請求項18に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記供給工程において、前記基体表面にさらに、前記官能基間を架橋する架橋剤を供給することを特徴とする請求項17に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記架橋剤が、非自己重合性の架橋剤であることを特徴とする請求項26に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの基であり、前記架橋剤が、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得る架橋剤であることを特徴とする請求項27に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの架橋剤であり、前記官能基が、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得る官能基であることを特徴とする請求項27に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの基であり、
前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの架橋剤であり、
前記官能基と前記架橋剤とが、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるようにそれぞれ選択されたことを特徴とする請求項27に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。 - 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であることを特徴とする請求項26に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記架橋剤が、ポリオールであることを特徴とする請求項31に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記架橋剤が、グリセリン、エチレングリコール、ブテンジオール、ヘキシンジオール、ヒドロキノンおよびナフタレンジオールからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項32に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記供給工程において、前記官能基を有する複数のカーボンナノチューブ、前記架橋剤および溶剤を含む溶液を前記基体表面に供給することを特徴とする請求項26に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記架橋剤が、前記溶剤を兼ねることを特徴とする請求項26に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記化学結合を生ずる反応が、複数の前記官能基同士を化学結合させる反応であることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記供給工程で、前記官能基同士の化学結合を生じさせる添加剤をさらに前記基体表面に供給することを特徴とする請求項36に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記反応が脱水縮合であって、前記添加剤が縮合剤であることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記縮合剤が、硫酸、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項38に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OHおよび−CHO、−NH2からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項38に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が−COOHであることを特徴とする請求項38に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記反応が置換反応であって、前記添加剤が塩基であることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジンおよびナトリウムエトキシドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項42記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C6H4)CH3からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項42に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記反応が、付加反応であることを特徴とする請求項36に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−OHおよび/または−NCOであることを特徴とする請求項45に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記反応が、酸化反応であることを特徴とする請求項37に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記官能基が、−SHであることを特徴とする請求項47に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記添加剤が、酸化反応促進剤であることを特徴とする請求項47に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記酸化反応促進剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項49に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記供給工程において、前記官能基を有する複数のカーボンナノチューブおよび溶剤を含む溶液を前記基体表面に供給することを特徴とする請求項36に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
- 前記供給工程において、前記官能基を有する複数のカーボンナノチューブ、前記添加剤および溶剤を含む溶液を前記基体表面に供給することを特徴とする請求項37に記載のマイクロ波用アンテナの製造方法。
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