JP2005045188A - 電子素子、集積回路およびその製造方法 - Google Patents

電子素子、集積回路およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 環境負荷が少なく、半導体特性に優れた輸送層を備えた電子素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 基体12の表面に、少なくとも、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体層14により構成された輸送層を備える電子素子、並びに、基体12の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液を塗布する塗布工程と、塗布後の前記溶液を硬化して、輸送層として用いられ、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体層14を形成する架橋工程とを含む電子素子の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、輸送層としてカーボンナノチューブ構造体を用いた電子素子、この電子素子を用いた集積回路、および、その製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)は、その特異な形状や特性ゆえに、様々な応用が考えられている。カーボンナノチューブの形状は炭素原子の六員環で構成されるグラフェンシートを巻いた1次元性を有する筒状であり、グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブを単層ナノチューブ(SWNT)、多層の場合を多層ナノチューブ(MWNT)と呼ぶ。SWNTは直径約1nm、多層カーボンナノチューブは数十nm程度であり、従来のカーボンファイバーと呼ばれる物よりも極めて細い。
また、カーボンナノチューブは、マイクロメートルオーダーの長さを有し、直径とのアスペクト比が非常に大きいことが特徴的である。さらに、カーボンナノチューブは炭素原子の六員環の配列が螺旋構造をとることから、金属性と半導体性の両方の性質を有するという、極めて希有な特性を有する物質である。加えて、カーボンナノチューブの電気伝導性は極めて高く、電流密度に換算すると100MA/cm2以上の電流を流すことができる。
カーボンナノチューブは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを越えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノチューブは様々な優れた性質を有するため、工業材料として、極めて魅力的な物質である。
これまでに、カーボンナノチューブの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。樹脂の強化や伝導性複合材料としてカーボンナノチューブを添加したり、走査プローブ顕微鏡の探針として利用されたりしている。また、微小電子源として、電界放出型電子素子やフラットディスプレィとしてカーボンナノチューブが利用され、さらに水素貯蔵への応用が進められている。
また、近年の情報処理や通信などの高速化に伴い、現在使用されているシリコンやガリウム砒素を使用したトランジスタで処理できる周波数以上の高い周波数の電気信号の制御もしくは増幅する必要がある。そして、シリコン、ガリウム砒素を使用して製造される電子デバイスにはデバイス自身および製造工程に環境に負荷の大きい物質が使われることもある。そこで、環境負荷の少ない炭素で構成され、シリコン、ガリウム砒素よりも高い周波数で動作すると考えられるカーボンナノチューブが注目を浴びており、トランジスタなどの電子デバイスの試作が行われている。しかし、上記のようなカーボンナノチューブを使用した電子デバイスを実用化するためには、ナノメートルオーダーのハンドリング技術が必要となる。
例えば、特許文献1には、複数のカーボンナノチューブをソース・ドレイン電極間に並列配置させて構成した電界効果トランジスタが開示されている。これらのカーボンナノチューブを配置する方法として、自己組織化分子膜を使い、分子膜の帯電性を場所ごとに異ならせることで、負に帯電する性質を有するカーボンナノチューブを任意の位置に配置することができるというものである。しかしながら、カーボンナノチューブは極めて細い繊維状の材料であるため、例えカーボンナノチューブの一部が正の帯電性を示す領域に吸着したとしても、それがソース・ドレイン間を接続するように配置するとは限らず、電極の一方しか接続しない場合や、電極間に位置して全く電気接続しない場合も生じてしまい、不確実に過ぎる。別の方法として、光ピンセット法や電場による配向法が開示されているものの、偶然に頼らざるを得ない点では相違がなく、集積化するための技術としては不十分なものであった。
他にも、カーボンナノチューブを配線する技術がいくつか試みられているが、いずれも個々のカーボンナノチューブを電極間に結合できる確率は非常に低いものであるか、極めて生産性の低いものであった。
一方、カーボンナノチューブを液体中に分散し、基板上に塗布・堆積し、塗布膜を輸送層(チャネル)に用いる試みもなされている。例えば、非特許文献1には、高密度に単層カーボンナノチューブを分散させた液体を塗布して用いることで、多くの接触が形成されてカーボンナノチューブ間の接続が発生し、薄膜トランジスタに利用することができると報告している。しかしながら、単なる分散膜では、チャネルが大面積であれば、どこかに電気的なパスが発生するものの、微細化するに従い、その確率は減少してしまうため、高密度化に困難である。さらに、微細化・集積化を行うためには、その領域外に長尺のカーボンナノチューブの一端がはみ出してしまっては、他の素子や配線とショートしてしまう可能性があるためパターニングを行って、余分なナノチューブを切断・除去する必要があるが、接触状態にある堆積物をパターニングするのは極めて困難で、エッチング作業中にカーボンナノチューブが飛散してしまい、事実上パターニングは不可能である。また、単なる接触であるため、デバイスとしても不安定で、振動や電圧印加に伴い、電流が変動するという欠点がある。
カーボンナノチューブの接触による塗布膜の欠点を解決する手法としては、カーボンナノチューブを樹脂中に分散させ、これを固化あるいは塗布する等の方法がある。例えば、特許文献2はポリマー中にカーボンナノチューブを分散させたコンポジットを用いて薄膜トランジスタを製造する方法か開示されている。しかし、樹脂が介在することからカーボンナノチューブ同士の接触が発生しにくくなり、電気的な接続面で問題がある。また、樹脂の存在によりカーボンナノチューブの密度は低下することから、電気的なパスも減少してしまうため、電子デバイスとしての利用が困難となる。これを解消するためにカーボンナノチューブの混入量を増加させるとバインダー量が減少することから、分散膜自体の強度が低下し、先の堆積膜と同様の課題が発生してしまう。
特開2003−17508号公報 特開2003−96313号公報 特表2002−503204号公報 イー・エス・スノー(E.S.Snow)、ジェー・ピー・ノヴァク(J.P.Novak)、ピー・エム・キャンベル(P.M.Campbell)、ディー・パーク(D.Park)著、「ランダム ネットワークス オブ カーボンナノチューブズ アズ アン エレクトロニック マテリアル(Random networks of carbon nanotubes as an electronic material)」、「アプライド フィジックス レターズ(APPLIED PHYSICS LETTERS)」(米国)、2003年、Vol.82,No.13,p.2145〜p.2147。
したがって、本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。詳しくは、本発明の目的は、カーボンナノチューブの特性を安定して得ることができる電子素子を提供すること、および、安定的に均質な電子素子をえることができる製造方法を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明の電子素子は、3以上の複数の電極と、複数のカーボンナノチューブと、異なる前記カーボンナノチューブ間の化学結合からなる架橋部位とから網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体から構成される層であって、前記複数の電極に印加された電圧に応じてキャリアが輸送される輸送層とを備えることを特徴とする。
本発明の電子素子は、輸送層に、複数のカーボンナノチューブと、異なる前記カーボンナノチューブ間の化学結合で架橋する架橋部位によって網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体を用いるので、単なるカーボンナノチューブの分散膜を輸送層に用いたときと比較して、カーボンナノチューブ同士の接触状態並びに配置状態が不安定になることで電気的パスが失われたり変動するといったことがなく、電子素子として安定して動作させることができる。なお、電気的なパスとは、輸送層中を輸送されるキャリア(正孔、電子)の伝導経路を指すものである。また、電気的なパスといっても、必ずしも架橋部位中をキャリアが伝導するものとは限らず、架橋部位が十分に短いために、トンネル効果等によってキャリアの伝送が行われる場合もある。なお、網目構造のカーボンナノチューブ構造体に限らず、カーボンナノチューブ分散体中であっても、キャリア伝送の原理については、現時点では明確な理論が確立していない。したがって、将来の研究によってより妥当な説明をすることが可能となると思われるが、それらは本発明の構成により得られる電子素子の有効性を失わせるものではないことは明らかであろう。
次に、本発明の電子素子は、3以上の複数の電極を備えているが、特にこれらを電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲート電極として構成することが好ましい。なお、それ以上の電極を設けても良く、例えばゲート電極を複数設けることも可能である。また、ゲート電極は、輸送層に対して上側、あるいは下側に配置することが可能であり、必ずしも平面的でなく、輸送層を覆うように3次元的に形成してゲート電圧の作用を高めるようにしても良い。
電界効果トランジスタとしては、MOS−FET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)型構造とすると、動作電力が小さくできるとともにスイッチング特性が良好となることから、高集積のデバイスを構成する場合に有効となる。
また、電界効果トランジスタとして、MES−FET(金属半導体電界効果トランジスタ)型構造とすることも、スイッチング動作を高速に行う場合には有効であり、特にカーボンナノチューブ構造体を輸送層としている場合には、カーボンナノチューブが高いキャリア輸送速度を有することから、スイッチング速度を高速にすることができる。
なお、カーボンナノチューブ構造体は、架橋部位の間をカーボンナノチューブで接続した網目構造となっているが、このカーボンナノチューブとしては、主として単層カーボンナノチューブとすることが、本来備えている半導体特性を引き出しやすい点で好ましい。
また、カーボンナノチューブを主として多層カーボンナノチューブとする場合には、架橋部位がカーボンナノチューブに結合する際に、表層のグラフェンシート構造が一部破壊されることになるが、中心に他のグラフェンシート層が形成されており、カーボンナノチューブ構造体が破断せずに電気的なパスを形成しやすくなる点で好ましい。なお、多層カーボンナノチューブとは、単に完全に同心円筒状のものに限らず、所謂カップスタック型のように、チューブの中心軸の垂直断面が多層構造を有しているものも含む。
ここで、「主として」とは、カーボンナノチューブは単層型と多層型があるが、その構成比がいずれかが多いということであり、通常カーボンナノチューブの生産方法に応じて、単層型と多層型はいずれか一方が圧倒的に多くなる場合が殆どであり、区別されて商品供給されているので、本発明の電子素子を製造する場合には、いずれかを選択して用いることができる。また、意図的に混合して使用することも可能である。
ところで、単層ナノチューブと異なり、多層カーボンナノチューブは、その電気特性が金属的であるといわれているが、本発明の架橋部位を形成したカーボンナノチューブ構造体を用いると、輸送層としても動作することが明らかになった。この理由については明らかではないが、後の実施例においてこの結果を示す。架橋部位がショットキー障壁的な構造として作用しているのではないか、との推定が働くが、明らかではない。ただし、単層カーボンナノチューブと比べて、高純度のものが大量生産しやすい、ハンドリングも容易な多層カーボンナノチューブを用いて、輸送層が形成されることが判明したことで、カーボンナノチューブの応用アクティブデバイスを工業的に大量生産することが極めて容易になる。
架橋部位を構成する化学結合としては、−COO(CH22OCO−)、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OH、−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−、および、−COO−C64−COO−からなる群より選ばれるいずれかの化学構造であることが好ましい。これらの結合はカーボンナノチューブの長さと比較して極めて短い構造であることから、架橋部位でのカーボンナノチューブ間の距離を極めて短くすることができ、結果としてカーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの密度を高めて、電気的なパスを形成しやすくできる。この結果、輸送層のサイズが小さくなっても、電子素子として安定的に動作させることができるようになり、あるいは、輸送層に流せる電流量を増加させることができる。また、特に−COO−C64−COO−を架橋部位の構造とする場合には、電気特性が安定しており、経時的劣化が少ない点でより好ましい。
前記架橋部位を構成する化学結合が、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−、および、−S−S−、から選ばれる一つとすることも、上の段落で示したのと同じ理由で好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を用い、前記カーボンナノチューブが接続された複数の前記官能基間を化学結合させて架橋部位が形成されてなるものであることが好ましい。
予め官能基が結合されたカーボンナノチューブを用いることで、架橋量がコントロールされ、カーボンナノチューブ構造体中のナノチューブの密度と架橋部位の形成量が均一なものとすることができ、集積した場合であっても、カーボンナノチューブ構造体の位置によって、電子素子の特性が大きくばらつくといったことが低減できるようになる。網目状のカーボンナノチューブ構造体を形成するのに、分離したナノチューブ間を直接架橋する化学結合を生じさせようとしても、カーボンナノチューブの表面の安定性が極めて高いことから、殆ど架橋されないか、ナノチューブ表面のグラフェンシート構造が全体的に破壊されるか、となってしまい、所望のネットワーク構造を得ることが難しい。
なお、カーボンナノチューブ構造体が、官能基を有するカーボンナノチューブおよび官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液を硬化させることにより、異なるカーボンナノチューブに結合した複数の官能基と架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成することもより好ましい。架橋が発生する官能基および架橋剤の組合せは選択できることから、架橋部位を構成する化学結合を所望の構造とすることができ、所望の特性の電子素子が得られる。
また、前記架橋剤としては、非自己重合性の架橋剤であることが好ましい。
前記架橋剤の特性として、それら同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有すると、当該架橋剤自身が2つ以上連結した重合体を前記連結基が含む状態となってしまう場合があり、カーボンナノチューブ構造体中に占める実質的なカーボンナノチューブの密度が低くなるため、輸送層としては、半導体性が十分に発揮できない場合がある。
一方、前記架橋剤が非自己重合性であれば、カーボンナノチューブ相互の間隔を、官能基と使用した架橋剤の架橋反応後の生成物のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。さらに架橋剤の反応後の残存基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、また、構造体中のカーボンナノチューブを密に構造化できるようになり、微細な電子素子を形成することができたり、あるいは、輸送層に流せる電流量を増加できるようになる。
なお、本発明において「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在の下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、塗布膜形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
架橋部位の第2の好ましい構造は、複数の官能基同士の化学結合により形成されているものである。この場合にも、カーボンナノチューブに予め接続された官能基同士が結合されたものであることから、得られるカーボンナノチューブ構造体を用いた電子素子の特性も所望のものとなる。また、官能基間に架橋剤を介在させるときに比べて、カーボンナノチューブ構造体の密度を増加させることができる。
官能基同士を化学結合させる反応としては、脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応から選ばれる一つであることが好ましい。
本発明の電子素子は、輸送層を、カーボンナノチューブ構造体を輸送層の形成領域に応じた形状にパターニングされたものとした場合、カーボンナノチューブ同士が架橋部位によって化学結合されているので、パターン内での電気的なパスが失われることがなく、安定した動作を可能とする。更に、化学結合で架橋する架橋部位によって網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体は、偶発的な接触によるカーボンナノチューブ分散膜と異なり、全体的に均質な構造体を形成しているので、パターニング前のカーボンナノチューブ構造体の位置による輸送層の特性ばらつきが小さくなり、パターニング後の電子素子の特性もばらつきが低減されたものとなる。
また、カーボンナノチューブ間を化学結合で架橋する架橋部位によって網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体を輸送層とした電子素子を、フレキシブル基板上に形成すると、従来のカーボンナノチューブの相互接触型の輸送層を持つ電子素子で不可避であった、基板の折り曲げなどの変形伴う、電気的パスの変化が引き起こす特性変化が低減される。
また、本発明の電子素子は、構造体中の電気パスが均質に形成されているため、基板上に集積回路として形成した場合にも、個々の素子の特性のばらつきの小さい集積回路とすることができる。
一方、本発明の電子素子の製造方法は、基体上に3以上の複数の電極と、前記複数の電極に印加された電圧に応じてキャリアが輸送される輸送層を備える電子素子の製造方法において、官能基を結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を前記基体上に供給する供給工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成し、前記輸送層として用いられるカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程を含むことを特徴とする。
本発明においては、まず基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(以下、単に「架橋塗布液」という場合がある。)を供給する供給工程で、基体の全面あるいはその表面の一部、あるいは所望の型の内部等に、架橋塗布液を供給する。そして、続く架橋工程で、複数の官能基間を化学結合させて、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成し、カーボンナノチューブ構造体を形成する。そしてこのカーボンナノチューブ構造体層を輸送層として用いる。この2つの工程を経ることで、前記基体表面において、カーボンナノチューブ構造体層の構造自体を安定化させる。
なお、供給工程が、基体上に前記溶液を塗布する塗布工程を含み、カーボンナノチューブ構造体を膜状とすると、網目構造で層状のカーボンナノチューブ構造体を得ることができ、後で述べるように所望の形状にパターニングすることが容易となることから、薄層のデバイスを形成する場合には好ましい。
本発明の方法で用いるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブとすることが、本来備えている半導体特性を引き出しやすい点で好ましい。
また、カーボンナノチューブを多層カーボンナノチューブとする点は、電子素子のところでも説明したように、単層カーボンナノチューブと比べて、高純度のものが大量生産しやすい、ハンドリングも容易な多層カーボンナノチューブを用いて、輸送層が形成されることが判明したことで、カーボンナノチューブの応用アクティブデバイスを工業的に大量生産できるようになる点で非常に有効である。
なお、ここで、「主として」とは、カーボンナノチューブ構造体の製造に用いる溶液中のカーボンナノチューブの単層と多層の構成比の大小関係を指しており、通常はカーボンナノチューブの製造方法に応じて得られる単層と多層のナノチューブの構成比は圧倒的に一方が多いことから、単層カーボンナノチューブ、あるいは、多層カーボンナノチューブいずれかを選択するだけでよい。ただし、意図的にこれらを混合して用いることも可能である。
また、後で述べるカーボンナノチューブ構造体のパターニングによる輸送層の形成と組み合わせることで、トップダウン式の集積回路の製造が容易になる。
本発明の電子素子の製造方法において架橋部位を形成する好ましい第1の方法は、溶液中に、複数の前記官能基間を架橋する架橋剤を含ませる方法である。官能基と架橋する架橋剤の組合せは決まっているため、カーボンナノチューブ分散膜と異なり、架橋の形成を確実に発生させることができるようになる。
また、前記架橋剤としては、非自己重合性の架橋剤を用いることがより好ましい。前記架橋剤として自己重合性の架橋剤を用い、架橋工程における架橋反応中あるいはそれ以前に、架橋剤同士が相互に重合反応を起こしてしまうと、架橋剤同士の結合が巨大化・長大化し、必然的にこれらに結合するカーボンナノチューブ相互の間隙自体が大きく離間してしまう場合がある。このとき、架橋剤同士の自己重合性による反応の程度を制御することは事実上困難であるため、構造体中におけるカーボンナノチューブ相互間の架橋構造が、架橋剤同士の重合状態のばらつきに応じて、ばらついてしまう。
しかし、非自己重合性の架橋剤を用いれば、少なくとも架橋工程ないしそれ以前に架橋剤同士が相互に重合することがなく、カーボンナノチューブ相互の間の架橋部位には、前記官能基の架橋反応後に残存する反応後の残存基同士の間に、架橋剤の1つの架橋反応による残存基だけが連結基として介在することとなる。この結果、得られるカーボンナノチューブ構造体層は、全体として特性が均一化され、この層をパターニング工程でパターニングした場合にも、パターニング後のカーボンナノチューブ構造体層の特性ばらつきを大きく低減することができる。
なお、官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基とするのが、カーボンナノチューブへの官能基の結合の容易性の点で好ましい。
また、架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤が、架橋部位のサイズを適度に小さくできる点で好ましい。架橋剤のサイズが大きくなりすぎると、実質的にカーボンナノチューブが孤立した状態となり、架橋部位による接続の効果が得られにくい。
官能基としては、特に−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であることが、カーボンナノチューブへの官能基結合の容易性から好ましく、この際、架橋剤をポリオール、より好ましくはグリセリンおよび/またはエチレングリコールとすることが、先にのべた非自己重合性の架橋剤と−COORとの架橋反応の容易性、塗布膜の形成しやすさ、生分解性が高く環境負荷が少ない点からも好ましい。
また、前記架橋剤同士が架橋しない、あるいは、カーボンナノチューブに結合している官能基に対する反応性に差があれば、複数種類の非自己重合性の架橋剤を混合して、カーボンナノチューブ間を複数種類の架橋剤で架橋させても、カーボンナノチューブ間の間隔を制御することができるので、同様のばらつき低減の効果を得ることができる。一方、段階的に異なる架橋剤を用いて架橋させる場合には、最初の架橋段階で非自己重合性の架橋剤を用いて架橋すればカーボンナノチューブの網目構造の骨格はカーボンナノチューブ間の距離が制御された状態で出来上がっているため、後の架橋工程で自己重合性の架橋剤もしくは最初の架橋剤(もしくはその残基)に架橋する架橋剤を用いてもよい。
本発明の電子素子の製造方法においては、前記塗布工程で使用する前記溶液に、さらに溶剤を含ませることができ、前記架橋剤の種類によっては、当該架橋剤が、その溶剤を兼ねることも可能である。
また、本発明の電子素子の製造方法において架橋部位を形成する好ましい第2の方法は、複数の前記官能基同士を化学結合させる方法である。
このようにすることで、架橋部位の構造は、予めカーボンナノチューブに結合された官能基により決定される。このため、カーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
さらに、官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を介在させて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部の長さを短くできるので、カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ構造体が均質化しやすい。
官能基同士を化学結合させる反応としては、縮合、置換反応、付加反応、酸化反応が特に好ましい。
本発明の電子素子の製造方法において、前記官能基としては、縮合反応では−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つ、置換反応では−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−OH、および−NCOから選ばれる少なくとも一つ、酸化反応では−SHが好ましい。
なお、特に本発明の電子素子においては、上記官能基を含む分子をカーボンナノチューブに結合させて、上に列挙した官能基部分で化学結合して架橋部位を構成しても良い。
縮合反応で用いる前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富む。このため網目構造を形成するための官能基を、一本のカーボンナノチューブの複数箇所に導入しやすく、さらにこの官能基は縮合反応しやすいことから、塗布膜形成に適している。
また、本発明のカーボンナノチューブ構造体を製造するための溶液は、それぞれ官能基を有する複数のカーボンナノチューブと、異なる前記カーボンナノチューブの前記官能基同士を結合させる添加剤とを含むことを特徴とする。
本発明の溶液を用いることで、極めて取り扱い容易に網目状の均質なカーボンナノチューブ構造体を製造することが可能となる。添加剤としては、縮合反応を利用する場合には縮合剤、置換反応を用いる場合には塩基が必須であり、酸化反応を用いる場合には酸化反応促進剤を用いることが望ましい。また、付加反応においては反応促進剤などは必ずしも必要ではない。なお、添加剤は、溶液中に予め混ぜておいても、使用直前に混ぜるようにしてもよい。
本発明の電子素子の製造方法において、更に好ましくは、パターニング工程を備えて、前記カーボンナノチューブ構造体層を輸送層に応じた形状にパターニングする。この段階では既に上記架橋工程でカーボンナノチューブ構造体層の構造自体が安定化しており、この状態でパターニングをするため、パターニング工程においてカーボンナノチューブが飛散してしまうといった不具合が生じる懸念が無く輸送層に応じたパターンにパターニングすることが可能となる。また、カーボンナノチューブ構造体層自体が構造化しているので、確実にカーボンナノチューブ相互間の接続が確保されており、電気的なパスが安定的に形成できる。また、カーボンナノチューブ構造体は、複数の官能基間を化学結合させて、複数のカーボンナノチューブを相互に架橋させているため、カーボンナノチューブ分散膜のような偶発的な接触に依存せずに、構造体全体に均質に架橋部位を形成することができる。このため、架橋工程後の大きいカーボンナノチューブ構造体を、より小さいサイズにパターニングした後も、安定的に電気パスを確保することができ、均質な電子素子を形成することができるようになる。
前記パターニング工程としては、以下AおよびBの2つの態様を挙げることができる。
A:前記基体表面における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層を前記輸送層に応じたパターンにパターニングする工程である態様。
前記輸送層に応じたパターンにパターニングする操作としては、前記パターニング工程がさらに、前記基体表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層(好ましくは、樹脂層)を設けるレジスト層形成工程と、前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、ドライエッチングを行う(好ましくは、酸素分子のラジカルを照射。当該酸素分子のラジカルは、酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを利用することができる。)ことで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層を除去する除去工程と、の2つの工程に分かれている態様が挙げられる。この場合、除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層を剥離するレジスト層剥離工程を含むことで、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体層を表出させることができる。
またこの態様においては、その他、前記輸送層に応じたパターンにパターニングする操作としては、前記基体表面における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層を前記輸送層に応じたパターンにパターニングする態様が挙げられる。
B:前記基体表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、エッチング液を接液させることで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層を除去する除去工程と、
を含む工程である態様。
本発明の電子素子の製造方法は、カーボンナノチューブを化学結合の架橋部位で網目構造化したカーボンナノチューブ構造体に3電極を配置し、うち一つを制御電極とすると、単層カーボンナノチューブに限らず、生産性や入手性の高い多層カーボンナノチューブであっても半導体デバイスの如き特性を示す点を見出し、これを安定的にパターニング可能な網目状に構造化した後にパターニングすることで、カーボンナノチューブ同士の偶然の接触に頼らず、しかも接触状態では困難であった微細なパターニング可能とし、確実かつ効率的に電子デバイスが得られるという、従来の手法と比較して、極めて生産性に優れた、また、トップダウン型の集積回路の形成に適した製造方法であり、現在高く期待されているカーボンナノチューブを用いた高集積デバイスを具現化するのに極めて画期的な方法を提供するものである。
以上説明したように、本発明によれば、電気特性の安定な電子素子および集積回路を提供することが可能となり、さらに、極めて効率的に均質なカーボンナノチューブを用いた電子素子を製造することが可能となる。
以下、本発明を電子素子とその製造方法とに分けて説明する。
[電子素子]
代表的なアクティブな電子デバイスであるトランジスタは一般に輸送層につながれたソース電極とドレイン電極、そして輸送層に電界をかけることが可能なように配置されるゲートから構成されており、ゲート電極に電圧をかけることによりソース電極とドレイン電極間の電流が制御もしくは増幅される。またゲート電極と輸送層との間に絶縁膜を形成される構造のものを、MOS−FET型(Metal Oxside Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)と称され輸送層としてシリコンを使用したトランジスタに用いられている。そして、ゲート電極と輸送層の間に絶縁膜が無いものをMES−FET型(Metal Semiconductor Field effect Transistor:金属半導体電界効果トランジスタ)と呼ばれ、ガリウム砒素を輸送層として使用したトランジスタに用いられている。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタは、輸送層を、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体で構成したものである。
本発明の実施の形態の一つである、MOS−FET型(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)の薄膜トランジスタを構成した例を図1及び図2を用いて説明する。
図1は本実施形態のMOS−FET型のカーボンナノチューブトランジスタの側面図であり、図2は上面図である。カーボンナノチューブトランジスタは、シリコン基板11上に、ゲート電極14、SiO2からなるゲート絶縁膜13、輸送層10、ソース電極15およびドレイン電極16を順次積層して構成されている。
輸送層10は、複数のカーボンナノチューブ間を架橋する架橋部位を介して網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体により構成されており、架橋部位は化学結合により形成されている。このカーボンナノチューブ構造体の形成方法については、後で説明する。
この化学結合による架橋部位で網目構造化したカーボンナノチューブ構造体からなる輸送層に3つの電極を設け、ソース−ドレイン間に電流を流し、これにゲート電圧を印加すると、電流の制御作用が発生する。
また、本発明の他の実施形態として、MES−FET型(金属半導体電界効果トランジスタ)として構成することもできる。MES−FET型のカーボンナノチューブトランジスタの側面図を図3に示す。図1との違いは、ゲート絶縁膜13を介さずに、カーボンナノチューブ構造体からなる輸送層とゲート電極とが積層されている点である。他はMOS−FET型と同じであるため、説明は省略する。この構成の場合であっても、制御電極への電圧印加によりソース・ドレイン間電流の制御が可能である。
なお、トランジスタ構造としては、ゲート電極を複数にしたマルチゲート型構造、ゲート電極を3次元構造として輸送層への電界作用を効率化する構造、またゲート電極の配置に関しても、トップゲート型、ボトムゲート型等各種の構造を用いることができる。
(電極)
本発明の電子素子に用いる電極は、金、アルミニウム、銅、白金等の各種金属電極、あるいは導電性ポリマー等の有機材料等、導電性を有するものであれば用いることができる。一般的に半導体結晶を用いた半導体デバイスにおいては結晶成長の点から、電極上への輸送層の形成が困難な場合があるが、本発明の輸送層はカーボンナノチューブ構造体であることから、こういった制約がない。ただし、塗布時の塗布液の濡れ性の点から、塗布液に応じて電極材料を選択するか、電極に濡れ性を向上させるような表面処理を行うことが好ましい。
電極の形成方法としては、慣用されている各種方法が利用でき、例えばマスクを用いて蒸着する方法や、フォトリソグラフィを用いる方法、電着等がある。
基体の材質としては、特に限定されるものではないが、電子素子の輸送層を担持するには、パターニングプロセスを容易に行うために、シリコン、石英基板、マイカ、石英ガラス等を利用することが好ましい。
ただし、基体の形状や性質に応じて、直接基体表面でカーボンナノチューブ構造体層をパターニングすることができない場合があるので、そういった場合は、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体層を担持する基体ごと第2の基体に貼付けて利用する、あるいは、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体層を転写する等すればよい。そのようにすれば、最終的な電子素子が担持される基板としての制約は少なくなる。
特に、本発明の電子素子は、可撓性ないし柔軟性を有する基板を基体とした場合にも、後述する通り容易に製造することができ、しかも表面に形成されたカーボンナノチューブ構造体層が架橋構造を有しているため、当該基板を曲げ変形しても、表面のカーボンナノチューブ構造体層が破断する危険性が少なく、変形によるデバイスの性能劣化が低減される。特に電子素子として用いる場合には、折り曲げによる電気的パスの欠損の発生が低減される。
可撓性ないし柔軟性を有する基板の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド等の各種樹脂を挙げることができる。
<カーボンナノチューブ構造体>
本発明において「カーボンナノチューブ構造体」とは、複数のカーボンナノチューブと、異なるカーボンナノチューブ間を化学結合で架橋する架橋部位によって網目構造に形成された構造体である。相互に化学結合で架橋した網目構造を構成するようにカーボンナノチューブの構造体を形成することができれば、当該カーボンナノチューブ構造体は如何なる方法で形成されたものであっても構わないが、後述する本発明の電子素子の製造方法により製造されたものであることが、容易に製造可能であるとともに、低コストでしかも高性能な輸送層を得ることができ、しかも特性の均一化や制御が容易である。
後述する本発明の電子素子の製造方法により製造された本発明の電子素子における輸送層として用いられる前記カーボンナノチューブ構造体は、官能基を有するカーボンナノチューブおよび前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液(架橋塗布液)を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成されてなるものである。
以下、当該製造方法による例を挙げて、本発明の電子素子における前記カーボンナノチューブ構造体層について説明する。
(カーボンナノチューブ)
本発明において、主要な構成要素であるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。先に述べたように、本発明のごとくカーボンナノチューブ構造体を形成して輸送層として用いることで、単層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノチューブであるかに関わらず、3電極との組合せで電流制御作用が発生することが、本発明者等の研究により見出されている。このため、いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、電子素子の用途や特性により、あるいはコストを考慮して、適宜、選択すればよい。
また、単層カーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレンまたは金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、その反応性から見て問題なく使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
これらカーボンナノチューブの合成は、従来から公知のアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法のいずれの方法によっても行うことができ、本発明においては制限されない。これらのうち、高純度なカーボンナノチューブが合成できるとの観点からは、磁場中でのアーク放電法が好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの直径が、当該範囲を超えると、合成が困難であり、コストの点で好ましくない。カーボンナノチューブの直径のより好ましい上限としては、30nm以下である。
一方、一般的にカーボンナノチューブの直径の下限としては、その構造から見て、0.3nm程度であるが、あまりに細すぎると合成時の収率が低くなる点で好ましくない場合もあるため、1nm以上とすることがより好ましく、10nm以上とすることがさらに好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの長さが、当該範囲を超えると、合成が困難、もしくは、合成に特殊な方法が必要となりコストの点で好ましくなく、当該範囲未満であると、一本のカーボンナノチューブにおける架橋結合点数が少なくなる点で好ましくない。カーボンナノチューブの長さの上限としては、10μm以下であることがより好ましく、下限としては、1μm以上であることがより好ましい。
前記架橋塗布液におけるカーボンナノチューブの含有量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、架橋剤の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えず、硬化後良好な塗布膜が形成される程度に高濃度であることが望まれるが、塗布適性が低下するので、あまり高くし過ぎないことが望ましい。
また、具体的なカーボンナノチューブの割合としては、既述の如く一概には言えないが、官能基の質量は含めないで、塗料全量に対し0.01〜10g/l程度の範囲から選択され、0.1〜5g/l程度の範囲が好ましく、0.5〜1.5g/l程度の範囲がより好ましい。
使用しようとするカーボンナノチューブの純度が高く無い場合には、架橋塗布液の調製前に、予め精製して、純度を高めておくことが望ましい。本発明においてこの純度は、高ければ高いほど好ましいが、具体的には90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。純度が低いと、不純物であるアモルファスカーボンやタール等の炭素生成物に架橋剤が架橋して、カーボンナノチューブ間の架橋距離が変動してしまい、所望の特性を得られない場合があるためである。カーボンナノチューブの精製方法に特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。
(官能基)
本発明において、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、官能基間を化学結合させうるものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。
(官能基1)
架橋部位を形成する好ましい第1の方法は、何らかの架橋剤により官能基間で架橋反応を起こすものであり、具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR'3(以上、R、R1、R2およびR'は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)は、カルボキシル基がカーボンナノチューブへの導入が比較的容易で、それにより得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)をエステル化させることで容易に官能基として導入することができ、しかも、架橋剤による反応性も良好であることから、特に好ましい。
官能基−COORにおけるRは、置換または未置換の炭化水素基であり特に制限は無いが、反応性、溶解度、粘度、塗料の溶剤としての使いやすさの観点から、炭素数が1〜10の範囲のアルキル基であることが好ましく、1〜5の範囲のアルキル基であることがより好ましく、特にメチル基またはエチル基が好ましい。
官能基の導入量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、官能基の種類、電子素子の用途等により異なり、一概には言えないが、1本のカーボンナノチューブに2以上の官能基が付加する程度の量とすることが、得られる架橋体の強度、すなわち塗布膜の強度の観点から好ましい。
なお、カーボンナノチューブへの官能基の導入方法については、後述の[電子素子の製造方法]の項において説明する。
(架橋剤)
前記架橋塗布液において必須成分である架橋剤は、カーボンナノチューブの有する前記官能基と架橋反応を起こすものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類によって、選択し得る架橋剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その架橋反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
具体的に好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびおよびヒドロキノンを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、既述の好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表1に、カーボンナノチューブの有する官能基と、それに対応する架橋反応可能な架橋剤との組み合わせを、その硬化条件とともに列挙する。
Figure 2005045188
これらの組み合わせの中でも、官能基側の反応性が良好な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)と、容易に強固な架橋体を形成するポリオールとの組み合わせが好適なものとして挙げられる。なお、本発明で言う「ポリオール」とは、OH基を2以上有する有機化合物の総称であり、これらの中でも炭素数2〜10(より好ましくは2〜5)、OH基数2〜22(より好ましくは2〜5)のものが、架橋性や過剰分投入した時の溶剤適性、生分解性による反応後の廃液の処理性(環境適性)、ポリオール合成の収率等の観点から好ましい。特に上記炭素数は、得られる塗布膜におけるカーボンナノチューブ相互間を狭めて実質的な接触状態にする(近づける)ことができる点で、上記範囲内で少ない方が好ましい。具体的には、特にグリセリンやエチレングリコールが好ましく、これらの内の一方もしくは双方を架橋剤として用いることが好ましい。
なお、使用する架橋体によっては、得られる電子素子で用いる電流量の増大により電気伝導率が低下する場合がある。例えば、カルボキシル基を結合させた多層ナノチューブを、グリセリンを介して架橋したカーボンナノチューブ構造体は、このような傾向がみられるので、長期間安定的に使用するため、あるいは大電流を使用する場合には、輸送層を覆う保護層を形成することが好ましい。
この輸送層を保護する保護層(パシベーション膜)としては、半導体デバイスで一般的に用いられている、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミ、酸化チタン等の既存の絶縁膜等の無機物の他、エポキシ樹脂等の絶縁性の有機材料を用いることができる。
なお、逆に保護層が無くても、例えばヒドロキノンを架橋剤として用いる場合には、パシベーションをしなくても劣化がみられない場合もある。したがって、特性の長期安定性の点では、ヒドロキノンを架橋剤として用いることに利点がある。
別の視点から見ると、前記架橋剤としては、非自己重合性の架橋剤であることが好ましい。上記ポリオールの例として挙げたグリセリンやエチレングリコールは勿論、非自己重合性の架橋剤であり、より一般的に示せば、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有していないことが、非自己重合性の架橋剤の条件となる。逆に言えば、自己重合性の架橋剤とは、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有しているもの(例えば、アルコキシド)が挙げられる。
(官能基2)
また、カーボンナノチューブ構造体を、複数のカーボンナノチューブが、少なくともその一端がそれぞれ異なるカーボンナノチューブに結合された複数の官能基同士の化学結合により形成された架橋部位を介して、相互に架橋した網目構造を構成する第2の手法をとることも、好ましい。
この場合、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの添加剤により官能基同士を反応させるものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR'3(以上、R、R1、R2およびR'は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このうち、縮合反応では−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つ、置換反応では−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−OH、および−NCOから選ばれる少なくとも一つ、酸化反応では−SHが好ましい。
また、これらの官能基を一部に含む分子をカーボンナノチューブに結合させ、先に列挙した好ましい官能基部分で化学結合させることも可能である。この場合においても、カーボンナノチューブに結合させる分子量の大きい官能基は意図したように結合されているので、架橋部位の長さは制御可能となる。
(添加剤)
前記架橋塗布液において添加される添加剤はカーボンナノチューブの有する前記官能基同士を反応させるものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類および反応の種類によって、選択し得る添加剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
(縮合剤)
具体的に好ましい前記添加剤としては、縮合剤としては酸触媒、脱水縮合剤、たとえば硫酸、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミドを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの縮合剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された縮合剤により官能基同士が反応を起こし得るものを選択する。
(塩基)
前記架橋塗布液において置換反応に必須成分である塩基はヒドロキシル基の酸性度に応じて任意の塩基を選択すればよい。
具体的に好ましい前記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、ナトリウムエトキシド等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を選択することが好ましくその場合、前記官能基として、選択された塩基により官能基同士が置換反応を起こし得るものを選択する。
特に、既述の好ましい前記官能基として例示された群より、それぞれ少なくとも2つの官能基が相互に反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表2に、カーボンナノチューブの有する官能基と、それに対応した反応名を列挙する。
付加反応については、必ずしも添加剤は必要としない。酸化反応についても、必ずしも添加剤は必要ないが、酸化反応促進剤を添加する方が好ましい。具体的には、ヨウ素を挙げることができる。
Figure 2005045188
前記架橋塗布液における架橋剤や官能基結合用の添加剤の含有量としては、架橋剤の種類(自己重合性か非自己重合性かの別を含む)や官能基結合用の添加剤の種類は勿論、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えない。特に、グリセリンやエチレングリコールなどは、それ自身粘度があまり高くなく、溶剤の特性を兼ねさせることが可能であるため、過剰に添加することも可能である。
(その他の添加剤)
前記架橋塗布液においては、溶剤、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
溶剤は、前記架橋剤もしくは官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤や水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。かかる溶剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
粘度調整剤も、前記架橋剤や官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
これら粘度調整剤の中には、その添加量によっては溶剤としての機能を有するものがあるが、両者を明確に区別することに意義は無い。かかる粘度調整剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
分散剤は、塗料液中でのカーボンナノチューブないし架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤の分散安定性を保持するために添加するものであり、従来公知の各種界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、酸水溶液やアルカリ水溶液等が使用できる。ただし、本発明の塗料の成分は、それ自体分散安定性が高いため、分散剤は必ずしも必要ではない。また、形成後の塗布膜の用途によっては、塗布膜に分散剤等の不純物が含まれないことが望まれる場合もあり、その場合には勿論、分散剤は、添加しないか、極力少ない量のみしか添加しない。
(架橋塗布液の調製方法)
次に、架橋塗布液の調製方法について説明する。 前記架橋塗布液は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤、あるいは、官能基同士を化学結合させる添加剤を必要に応じて混合することで調製される(混合工程)。当該混合工程に先立ち、カーボンナノチューブに官能基を導入する付加工程を含んでもよい。
官能基を有するカーボンナノチューブを出発原料とすれば、混合工程の操作のみを行えばよいし、通常のカーボンナノチューブそのものを出発原料とすれば、付加工程から操作を行えばよい。
前記付加工程は、カーボンナノチューブに所望の官能基を導入する工程である。官能基の種類によって導入方法が異なり、一概には言えない。直接的に所望の官能基を付加させてもよいが、一旦、付加が容易な官能基を導入した上で、その官能基ないしその一部を置換したり、その官能基に他の官能基を付加させたり等の操作を行い、目的の官能基としても構わない。
また、カーボンナノチューブにメカノケミカルな力を与えて、カーボンナノチューブ表面のグラフェンシートをごく一部破壊ないし変性させて、そこに各種官能基を導入する方法もある。
また、製造時点から表面に欠陥を多く有する、カップスタック型のカーボンナノチューブや気相成長法により生成されるカーボンナノチューブを用いると、官能基を比較的容易に導入できる。しかし、グラフェンシート構造が完全である方が、カーボンナノチューブの特性を有効に得られるとともに、特性もコントロールしやすいため、マルチウォールカーボンナノチューブを用いて、最外層に輸送層として適度な欠陥を形成して官能基を結合し架橋させる一方で、構造欠陥の少ない内層をカーボンナノチューブの特性を発揮させる層として利用することが特に好ましい。
付加工程の操作としては、特に制限は無く、公知のあらゆる方法を用いて構わない。その他、特許文献1に各種方法が記載されており、目的に応じて、本発明においても利用することができる。
前記官能基の中でも、特に好適な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入する方法について説明する。カーボンナノチューブに−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入するには、一旦、カーボンナノチューブにカルボキシル基を付加し(i)、さらにこれをエステル化(ii)すればよい。
(i)カルボキシル基の付加
カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに還流すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、5質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
還流は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点付近が好ましい。例えば、濃硝酸では120〜130℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、30分〜20時間の範囲が好ましく、1時間〜8時間の範囲がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカーボンナノチューブカルボン酸が得られる。
(ii)エステル化
得られたカーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールを添加し脱水してエステル化することで、目的の官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入することができる。
前記エステル化に用いるアルコールは、上記官能基の式中におけるRに応じて決まる。すなわち、RがCH3であればメタノールであるし、RがC25であればエタノールである。
一般にエステル化には触媒が用いられるが、本発明においても従来公知の触媒、例えば、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸等を用いることができる。本発明では、副反応を起こさないという観点から触媒として硫酸を用いることが好ましい。
前記エステル化は、カーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールと触媒とを添加し、適当な温度で適当な時間還流すればよい。このときの温度条件および時間条件は、触媒の種類、アルコールの種類等により異なり一概には言えないが、還流温度としては、使用するアルコールの沸点付近が好ましい。例えば、メタノールでは60〜70℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、1〜20時間の範囲が好ましく、4〜6時間の範囲がより好ましい。
エステル化の後の反応液から反応物を分離し、必要に応じて洗浄することで、官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)が付加したカーボンナノチューブを得ることができる。
前記混合工程は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤を必要に応じて混合し、架橋塗布液を調製する工程である。混合工程においては、官能基を有するカーボンナノチューブおよび架橋剤のほか、既述の[ワイヤ]の項で説明したその他の成分も混合する。そして、好ましくは、塗布適性を考慮して溶剤や粘度調整剤の添加量を調整することで、塗布直前の架橋塗布液を調製する。
混合に際しては、単にスパチュラで攪拌したり、攪拌羽式の攪拌機、マグネチックスターラーあるいは攪拌ポンプで攪拌するのみでも構わないが、より均一にカーボンナノチューブを分散させて、保存安定性を高めたり、カーボンナノチューブの架橋による網目構造を全体にくまなく張り巡らせるには、超音波分散機やホモジナイザーなどで強力に分散させても構わない。ただし、ホモジナイザーなどのように、攪拌のせん断力の強い攪拌装置を用いる場合、含まれるカーボンナノチューブを切断してしまったり、傷付けてしまったりする虞があるので、極短い時間行えばよい。
以上説明した架橋塗布液を、前記基体の表面に対して塗布し、硬化することにより、カーボンナノチューブ構造体層が形成される。塗布方法や硬化方法は、後述の[電子素子の製造方法]の項で詳述する。
本発明におけるカーボンナノチューブ構造体層は、カーボンナノチューブがネットワーク化された状態となっている。詳しくは、該カーボンナノチューブ構造体層は、マトリックス状に硬化したものとなり、カーボンナノチューブ同士が架橋部分を介して接続しており、電子やホールの高い伝送特性といったカーボンナノチューブ自身が有する特徴を存分に発揮することができる。すなわち、当該カーボンナノチューブ構造体層は、カーボンナノチューブ相互が緊密に接続しており、しかも他の結着剤等を含まないことから、実質的にカーボンナノチューブのみからなるため、カーボンナノチューブが有する本来の特性が最大限に生かされる。
本発明におけるカーボンナノチューブ構造体層の厚みとしては、用途に応じて、極薄いものから厚めのものまで、幅広く選択することができる。使用する前記架橋塗布液中のカーボンナノチューブの含有量を下げ(単純には、薄めることにより粘度を下げ)、これを薄膜状に塗布すれば極薄い塗布膜となり、同様にカーボンナノチューブの含有量を上げれば厚めの塗布膜となる。さらに、塗布を繰返せば、より一層厚膜の塗布膜を得ることもできる。極薄い塗布膜としては、10nm程度の厚みから十分に可能であり、重ね塗りにより上限無く厚い塗布膜を形成することが可能である。一回の塗布で可能な厚膜としては、5μm程度である。
架橋剤を用いる第1の手法で形成された、前記カーボンナノチューブ構造体からなる輸送層は、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する部位、すなわち、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤との架橋反応による架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、前記架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となっている。
既述の如く、前記架橋塗布液においては、その構成要素である架橋剤が非自己重合性であることが好ましい。前記架橋剤が非自己重合性であれば、最終的に形成されるカーボンナノチューブ構造体層における前記連結基については、前記架橋剤1つのみの残基により構成されることになり、架橋されるカーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。また、カーボンナノチューブ間に架橋剤が多重に介在しないので、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態(カーボンナノチューブ相互が、実質的に直接接触した状態)に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができる。
なお、カーボンナノチューブにおける官能基に単一のものを、架橋剤に単一の非自己重合性のものを、それぞれ選択した架橋塗布液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合、当該層における前記架橋部位は、同一の架橋構造となる(例示1)。また、カーボンナノチューブにおける官能基に複数種のものを、および/または、架橋剤に複数種の非自己重合性の架橋剤を、それぞれ選択した架橋塗布液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合であっても、当該層における前記架橋部位は、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる(例示2)。
これに対して、カーボンナノチューブにおける官能基や架橋剤が単一であるか複数種であるかを問わず、架橋剤に自己重合性のものを選択した架橋塗布液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合、当該層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位は、架橋剤同士の連結(重合)個数が異なる数多くの連結基が混在した状態となり、特定の架橋構造が主体的とはなり得ない。
つまり、前記架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノチューブ構造体層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、架橋剤1つのみの残基で官能基と結合するため、主として同一の架橋構造となる。なお、ここで言う「主として同一」とは、上記(例示1)の如く、架橋部位の全てが同一の架橋構造となる場合は勿論のこと、上記(例示2)の如く、架橋部位全体に対して、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる場合も含む概念とする。
「主として同一」と言った場合に、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、例えば架橋部位において、カーボンナノチューブのネットワーク形成とは目的を異にする機能性の官能基や架橋構造を付与する場合も想定されることから、一律に下限値を規定し得るわけではない。ただし、強固なネットワークでカーボンナノチューブ特有の高い電気的ないし物理的特性を実現するためには、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、個数基準で50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、全て同一であることが最も好ましい。これらの個数割合は、赤外線スペクトルで架橋構造に対応した吸収スペクトルの強度比を計測する方法等により求めることができる。
このように、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造のカーボンナノチューブ構造体層であれば、カーボンナノチューブの均一なネットワークを所望の状態に形成することができ、電気的ないし物理的特性を、均質で良好、さらには期待した特性もしくは高い再現性をもって構成することができる。
また、前記連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましい。ここで言う「炭化水素を骨格」とは、架橋されるカーボンナノチューブの官能基の架橋反応後に残存する残基同士を連結するのに資する、連結基の主鎖の部分が、炭化水素からなるものであることを言い、この部分の水素が他の置換基に置換された場合の側鎖の部分は考慮されない。勿論、連結基全体が炭化水素からなることが、より好ましい。
前記炭化水素の炭素数としては2〜10個とすることが好ましく、2〜5個とすることがより好ましく、2〜3個とすることがさらに好ましい。なお、前記連結基としては、2価以上であれば特に制限は無い。
カーボンナノチューブの有する官能基と架橋剤との好ましい組み合わせとして既に例示した、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とエチレングリコールとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が−COO(CH22OCO−となる。
また、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とグリセリンとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。
また、第2の手法で形成されたカーボンナノチューブ構造体を構成する輸送層は、官能基同士を反応させて架橋部位を形成しているため、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができる。さらに官能基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、カーボンナノチューブ単体の特性を引き出しやすくなる。ナノチューブ構造体層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、官能基の化学結合であるため、構造体が主として同一の架橋構造となる。なお、ここで言う「主として同一」とは、架橋部位の全てが同一の架橋構造となる場合は勿論のこと、架橋部位全体に対して官能基同士の化学結合による架橋構造が、主体的となる場合も含む概念とする。
このように、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造のカーボンナノチューブ構造体であれば、均質な電気特性を有する輸送層を得ることができる。
以上説明したように、本発明の電子素子は、カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブが化学結合からなる複数の架橋部位を介して網目構造の状態となった状態で形成されているので、単なるカーボンナノチューブの分散膜のように、カーボンナノチューブ同士の接触状態並びに配置状態が不安定になることがなく、電子やホールの伝送特性を安定して発揮することができる。また後で述べるように、カーボンナノチューブ構造体層のパターンの自由度も高いので、輸送層として多様な形状とすることができる。
本発明の電子素子は、輸送層として用いられる前記カーボンナノチューブ構造体層および3以上の電極以外の他の層が形成されていてもよい。 例えば、前記基体表面と前記カーボンナノチューブ構造体との間に、両者の接着性を向上させるための接着層を設けることは、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体の接着強度を高めることができ、好ましい。接着層の形成方法やその他詳細は、[電子素子の製造方法]の項にて説明することとする。
また、パターニングされたカーボンナノチューブ構造体の輸送層の上層として、保護層やその他の各種機能層を設けることもできる。前記輸送層の上層として、保護層を設けることにより、架橋したカーボンナノチューブのネットワークであるカーボンナノチューブ構造体をより強固に基体表面に保持し、外力から保護することができる。この保護層には、[電子素子の製造方法]の項にて説明するレジスト層を、そのまま除去せずに残して、利用することもできる。勿論、前記輸送層に応じたパターン以外の領域も含めて全面をカバーする保護層を新たに設けることも有効である。かかる保護層を構成する材料としては、従来公知の各種樹脂材料や無機材料を問題なく、目的に応じて用いることができる。
さらに、同一基板上に複数電子素子を形成して集積回路を構成することも可能である。特に溶液の塗布によるカーボンナノチューブ構造体の層形成と、パターニングを組み合わせることで、容易にカーボンナノチューブ構造体を輸送層とした電子素子を集積することができるようになる。
あるいは、輸送層を絶縁層介して積層し、カーボンナノチューブ構造体を層間で適宜接続することにより、高集積されたデバイスを作製することも可能である。この際の層間の接続には、別途カーボンナノチューブ構造体層を設けても、他のカーボンナノチューブを用いてそれ自体を配線としても、金属膜を用いる等全く他の方法による配線としても構わない。
また、既述の通り、前記基体を可撓性ないし柔軟性を有する基板とすることもできる。前記基体を可撓性ないし柔軟性を有する基板とすることで、適用範囲が広がる。特に、本発明で用いるカーボンナノチューブ構造体は、化学結合により架橋部位が形成されていることから、カーボンナノチューブ自体のもつ柔軟性が有効に発揮され、可撓性ないし柔軟性を有する基板を用いた電子素子を用いて装置を構成しても、変形に対する安定性が極めて高い。このため、装置における多様な配置や形状、使用形態に適応させることが可能になる。
以上説明した本発明の電子素子の具体的な形状等は、次の[電子素子の製造方法]の項や実施例の項で明らかにする。勿論、後述する構成はあくまでも例示であり、本発明の電子素子の具体的な態様は、これらに限定されるものではない。
[電子素子の製造方法]
本発明の電子素子の製造方法は、上記本発明の電子素子を製造するのに適した方法である。具体的には、(A)基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(架橋塗布液)を塗布する塗布工程と、(B)塗布後の前記溶液を硬化して、輸送層として用いられ、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程、および、製造する電子素子の構造に応じて(A)、(B)の工程の前後に電極の形成工程を含む。
さらに、必要に応じて、(C)前記カーボンナノチューブ構造体を輸送層に応じたパターンにパターニングするパターニング工程等、他の工程を含めてもよい。
以下、これら各工程に分けて、本発明の電子素子の一形態であるMOS−FET型のカーボンナノチューブトランジスタの製造方法について図4の模式断面図を用いて説明する。
(1)および(2)ゲート電極の形成工程
基板表面を清浄化した基板11を用意し、蒸着装置内に配置し、ゲート電極14となる金属電極を蒸着する。基板及び電極材料は先に述べたように、特に後のエッチングや加熱プロセスによる耐性を考慮して、適宜選択することができる。
(3)ゲート絶縁膜形成工程
MOS型のFETではゲート電極14と輸送層10間にゲート絶縁膜13を形成する必要がある。ゲート絶縁膜としては、シリコンなど無機半導体材料を輸送層として用いる場合には、半導体結晶の表面酸化に伴う界面順位密度の増加を防止するため、シリコンと良好な界面を形成しやすいシリコン酸化膜やシリコン窒化膜が用いられている。カーボンナノチューブ構造体を輸送層として用いる場合においても既存の半導体プロセスを活用できるシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、酸化アルミ、酸化チタン等の既存の絶縁膜を用いることが出来る。
ゲート絶縁膜13の形成方法はその材料によるが、MOD(Metal Organic Decomposition:有機金属材料)材料を塗布焼成する、あるいは、蒸着等を利用することができる。
(4)供給工程
本発明において、「供給工程」とは、前記基体11の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブ、および、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液100(架橋塗布液)を供給する工程である。なお、供給工程で前記架橋塗布液100を供給すべき領域は、前記所望の領域を全て含んでさえいればよく、前記基体11の表面の全面に供給しなければならないわけではない。
供給方法としては、架橋溶液の塗布が好ましいが、その手法に特に制限はなく、単に液滴を垂らしたり、それをスキージで塗り広げたりする方法から、一般的な塗布方法まで、幅広くいずれの方法も採用することができる。一般的な塗布方法としては、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、キャストコート法、ロールコート法、刷毛塗り法、浸漬塗布法、スプレー塗布法、カーテンコート法等が挙げられる。 なお、基体、官能基を有するカーボンナノチューブ、架橋剤並びに架橋塗布液の内容については、[電子素子]の項で説明した通りである。
(5)架橋工程
本発明において、「架橋工程」とは、塗布後の前記架橋塗布液100を硬化して、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体101を形成する工程である。なお、架橋工程で前記架橋塗布液を硬化して、カーボンナノチューブ構造体101を形成すべき領域は、前記所望の領域を全て含んでさえいればよく、前記基体の表面に塗布された前記架橋塗布液100を全て硬化しなければならないわけではない。
架橋工程における操作は、前記官能基と前記架橋剤との組み合わせに応じて、自ずと決まってくる。例えば、前掲の表1に示す通りである。熱硬化性の組み合わせであれば、各種ヒータ等により加熱すればよいし、紫外線硬化性の組み合わせであれば、紫外線ランプで照射したり、日光下に放置しておけばよい。勿論、自然硬化性の組み合わせであれば、そのまま放置しておけば十分であり、この「放置」も本発明における架橋工程で行われ得るひとつの操作と解される。
例えば、官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)が付加したカーボンナノチューブと、ポリオール(中でもグリセリンおよび/またはエチレングリコール)との組み合わせの場合には、加熱による硬化(エステル交換反応によるポリエステル化)が行われる。加熱により、エステル化したカーボンナノチューブカルボン酸の−COORと、ポリオールのR'−OH(R'は、置換または未置換の炭化水素基)とがエステル交換反応する。そして、かかる反応が複数多元的に進行し、カーボンナノチューブが架橋していき、最終的にカーボンナノチューブが相互に接続してネットワーク状となったカーボンナノチューブ構造体層14が形成される。
上記の組み合わせの場合に好ましい条件について例示すると、加熱温度としては、具体的には50〜500℃の範囲が好ましく、150〜200℃の範囲がより好ましい。また、この組み合わせにおける加熱時間としては、具体的には1分〜10時間の範囲が好ましく、1〜2時間の範囲がより好ましい。
(6)パターニング工程
本発明において、「パターニング工程」とは、前記カーボンナノチューブ構造体層を輸送層に応じたパターンにパターニングする工程である。図5(6)〜(9)に、当該(6)パターニング工程を表す模式断面図を示す。
パターニング工程の操作に特に制限はないが、好適なものとして、以下(6−A)および(6−B)の2つの態様を挙げることができる。
(6−A)
前記基体11上における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層101に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層101を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層101を前記輸送層10に応じたパターンにパターニングする工程である態様。
ドライエッチングを行うことで、前記輸送層10に応じたパターンにパターニングするということは、結局は、前記基体表面における前記パターン以外の領域の前記カーボンナノチューブ構造体層101に、ラジカル等を照射することを意味する。そして、その手法としては、直接前記パターン以外の領域の前記カーボンナノチューブ構造体層101にラジカル等を照射する方式(6−A−1)と、前記パターン以外の領域をレジスト層17で被覆した上で、前記基体上(勿論、前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が形成された側)の全面にラジカル等を照射する方式(6−A−2)が挙げられる。
(6−A−1)
直接前記パターン以外の領域の前記カーボンナノチューブ構造体層101にラジカル等を照射する方式とは、詳しくは、本パターニング工程が、前記基体表面における前記輸送層10に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層101に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層101を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層101を前記輸送層10に応じたパターンにパターニングする態様である。
イオンビームによれば、数nmオーダー程度の緻密さで、選択的にガス分子のイオンを照射することができ、輸送層に応じたパターンのパターニングが一度の操作で容易にできる点で好ましい。
選択可能なガス種としては、酸素、アルゴン、窒素、二酸化炭素、六フッ化硫黄等が挙げられるが、本発明においては特に酸素が好ましい。 イオンビームとは、真空中ガス分子に電圧をかけることで加速させイオン化し、ビームとして照射する方式であり、エッチングの対象とする物質および照射精度は、使用するガスの種類により変更することができる。
(6−A−2)
前記パターン以外の領域をレジスト層17で被覆した上で、前記基体表面の全面にラジカル等を照射する方式とは、詳しくは、本パターニング工程が、 前記基体表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層101の上に、レジスト層17を設けるレジスト層形成工程(6−A−2−1)と、
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層101およびレジスト層17が積層された面に、ドライエッチングを行うことで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層101を除去する除去工程(6−A−2−2)と、を含む態様であり、除去工程に引き続いてさらに、
レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層17を剥離するレジスト層剥離工程(6−A−2−3)を含む場合もある。
(6−A−2−1)レジスト層形成工程
レジスト層形成工程では、前記基体表面における前記輸送層10に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層101の上に、レジスト層17を設ける。当該工程は、一般にフォトリソグラフィープロセスと称されるプロセスに従って為されるものであり、前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に直接レジスト層を設けるのではなく、図5(6)に示されるように一旦基体11のカーボンナノチューブ構造体層101が形成された表面全面にレジスト層170を形成し、前記輸送層に応じたパターンの領域を露光して、その後、現像することで露光部以外の部位が除去され、最終的に前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層101の上にレジスト層17が設けられた状態となる。
図5(7)に、当該(C−A−2−1)レジスト層形成工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。なお、レジストの種類によっては、露光部以外が現像により除去され、非露光部が残存する構成の場合もある。
レジスト層の形成方法は、従来公知の方法で行えばよい。具体的には、レジスト剤を基板上にスピンコーター等を使用して塗布し、加熱することでレジスト層17を形成させる。
レジスト層17の形成に用いる材料(レジスト剤)としては、特に制限されず、従来よりレジストの材料として用いられている各種材料をそのまま用いることができる。中でも樹脂により形成する(樹脂層とする)ことが好ましい。カーボンナノチューブ構造体層101は、網目状にネットワークが形成されており、多孔性の構造体であるため、例えば金属蒸着膜の様にごく表面にのみ膜が形成され孔内部まで十分に浸透しない材料によりレジスト層17を形成すると、プラズマ等を照射した際にカーボンナノチューブが十分に封止された状態(プラズマ等に晒されない状態)にできない。そのため、プラズマ等が孔部を通過してレジスト層17の下層のカーボンナノチューブ構造体層まで侵食し、プラズマ等の回り込みにより残留するカーボンナノチューブ構造体層の外形が小さくなってしまう場合がある。この小形化を加味して、レジスト層17の外形(面積)を、前記輸送層に応じたパターンに比して十分に大きくする手法も考えられるが、この場合はパターン同士の間隔を広くとらざるをえず、密にパターンを形成できなくなる。
これに対して、レジスト層17の材料として樹脂を用いることで、当該樹脂を孔内部まで浸透させることができ、プラズマ等に晒されるカーボンナノチューブを減少させることができ、結果としてカーボンナノチューブ構造体層101の微細なパターニングが可能となる。
当該樹脂層を主として構成する樹脂材料としては、ノボラック樹脂、ポリメチルメタクリレート、およびこれらの樹脂の混合物等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
レジスト層17を形成するためのレジスト材料は、上記樹脂材料あるいはその前駆体と感光材料等の混合物であり、本発明では従来公知のあらゆるレジスト材料を使用しても差し支えない。例えば、東京応化工業製OFPR800、長瀬産業製NPR9710等を例示することができる。
硬化前のレジスト層170への露光(レジスト材料が熱硬化性の場合には加熱。その他レジスト材料の種類により適宜選択。)および現像の操作ないし条件(例えば、光源波長、露光強度、露光時間、露光量、露光時の環境条件、現像方法、現像液の種類・濃度、現像時間、現像温度、前処理や後処理の内容等)は、使用するレジスト材料に応じて、適宜選択する。市販されているレジスト材料を用いたのであれば、当該レジスト材料の取扱説明書の方法に従えばよい。一般的には、取り扱いの便宜から、紫外光を用いて前記輸送層に応じたパターン様に露光し、アルカリ現像液により現像する。そして水洗で現像液を洗い流し、乾燥してフォトリソグラフィープロセスが完了する。
(6−A−2−2)除去工程
除去工程では、前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層101およびレジスト層17が積層された面に、ドライエッチングを行うことで、前記領域以外の領域で表出している(図5(7)を参照。カーボンナノチューブ構造体層101は、レジスト層17が除去された部分から表出している。)カーボンナノチューブ構造体層を除去する。図5(8)に、当該(C−A−2−2)除去工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。
除去工程の操作は、一般にドライエッチングと称される方法全般を含み、方式としては、リアクティブイオン方式などがある。既述の(6−A−1)のイオンビームを用いる方式もドライエッチングに含まれる。 選択可能なガス種やその他装置および操作環境等は(6−A−1)の項で述べた通りである。
ドライエッチングで一般的に選択可能なガス種としては、酸素、アルゴン、フッ素系ガス(フロン、SF6、CF4等)等が挙げられるが、本発明においては特に酸素が好ましい。酸素ラジカルを用いると、除去するカーボンナノチューブ構造体層14のカーボンナノチューブを酸化させ(燃焼させ)、二酸化炭素化することができ、残存物の発生による影響がなく、また正確なパターニングをすることが可能となる。
ガス種として酸素を選択する場合には、酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを利用することができる。この方式で酸素ラジカルを生ずる装置が、UVアッシャーとの商品名で市販されており、容易に入手することができる。
(6−A−2−3)レジスト層剥離工程
本発明の電子素子の製造方法は、以上の(6−A−2−2)除去工程までの操作が完了した段階で、(7)ソース・ドレイン電極の形成工程に移ることもできるが、レジスト層17を除去したい場合には、上記除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられたレジスト層17を剥離するレジスト層剥離工程の操作を施すことが必要となる。図6(9)に、当該(6−A−2−3)レジスト層剥離工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。
レジスト層剥離工程の操作は、レジスト層17の形成に用いた材料に応じて選択すればよい。市販されているレジスト材料を用いたのであれば、当該レジスト材料の取扱説明書の方法に従えばよい。レジスト層17が樹脂層である場合には、一般的には、当該樹脂層を溶解し得る有機溶剤に接液することにより除去する。
(6−B)
前記基体表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、
前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、エッチング液を接液させることで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層を除去する除去工程と、を含む工程である態様。
この態様は、一般的にウェットエッチング(薬液=エッチング液を使用して任意の部分を取り除く方法)と称される方法である。
レジスト層形成工程の詳細については、エッチング液に耐性を有するレジスト材料を用いることが望まれること以外は、既述の(6−A−2−1)レジスト層形成工程と同様である。除去工程に引き続いてレジスト層剥離工程の操作を施しても構わないこと、およびその詳細については、(6−A−2−3)レジスト層剥離工程に記載された内容と同様である。そのため、これらについては、その詳細な説明は割愛する。
図5(7)を参照して説明すれば、除去工程においては、基体11のカーボンナノチューブ構造体層101およびレジスト層17が積層された面に、エッチング液を接液させることで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層101を除去する。
ここで、本発明において「接液」とは、対象物を液体に接触させる行為全てを含む概念であり、浸漬、スプレー、流し掛け等、いずれの方法で液体に対象物を接触させても構わない。
エッチング液は、一般に酸あるいはアルカリであり、どのような種類のエッチング液を選択すればよいかは、レジスト層17を構成するレジスト材料やカーボンナノチューブ構造体層101におけるカーボンナノチューブ相互間の架橋構造等により決まってくる。できる限りレジスト層17を侵しにくく、カーボンナノチューブ構造体層101を除去しやすい材料を選択することが望ましい。
ただし、エッチング液の温度や濃度、および接液時間を適切に制御することで、レジスト層17が完全に消滅してしまう前に、元々表出しているカーボンナノチューブ構造体層101を除去することが可能であれば、レジスト層17を侵してしまうような種類のエッチング液を選択しても構わない。
(7)ソース−ドレイン電極の形成工程
(2)のゲート電極と同様の手法で、輸送層10上に間隙を介して、ソース電極15およびドレイン電極16を対向配置する。図5(10)に、当該工程を経た後の基体表面の状態を表す模式断面図を示す。電極材料についても、ゲート電極の場合と同じであり、ゲート絶縁膜及びカーボンナノチューブ構造体に対する濡れ性を考慮して選択するのが好ましい。
なお、先に述べたように、例えばボトムゲート型にする場合は、本実施形態の説明のように先にゲート電極を形成するが、トップゲート構造とする場合には、先にソース−ドレイン電極工程を先に行うことになる。
(8)その他の工程
以上の各工程を経ることで、本発明の電子素子を製造することができるが、本発明の電子素子の製造方法においては、その他の工程を含めることもできる。
例えば、前記塗布工程に先立ち、前記基体の表面を予め処理する表面処理工程を設けるのも好適である。表面処理工程は、例えば、塗布される架橋塗布液の吸着性を高めるため、上層として形成されるカーボンナノチューブ構造体層と基体表面との接着性を高めるため、基体表面を清浄化するため、基体表面の電気伝導度を調整するため、等の目的で行われる。
架橋塗布液の吸着性を高める目的で行われる表面処理工程としては、例えば、シランカップリング剤(例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等)による処理が挙げられる。中でもアミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、広く行われており、本発明における表面処理工程でも好適である。アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、例えば、Y.L.Lyubchenko et al.,Nucleic Acids Research,1993,vol.21,p.1117−1123等の文献に見られるように、従来よりDNAのAFM観察において基板に使うマイカの表面処理に用いられている。
カーボンナノチューブ構造体層自体を2層以上積層する場合には、上記本発明の電子素子の製造方法による操作を、2回以上繰り返せばよい。カーボンナノチューブ構造体層の層間に誘電体層や絶縁層等の中間層を設ける場合には、これらの層を形成するための工程を挟んで、上記本発明の電子素子の製造方法による操作を繰り返せばよい。
また基板上に複数本発明の電子素子を並置して集積する場合には、各パターニング工程で複数の電子素子を並行して作成し、電極形成工程で各素子間あるいは抵抗やコンデンサなどの素子との間で相互配線を形成し、回路を構成する。
また、保護層や電極層等その他の層を別途積層する場合には、これらの層を形成するための工程が必要となる。これら各層は、その目的に応じた材料・方法を従来公知の方法から選択して、あるいは、本発明のために新たに開発した物ないし方法により、適宜形成すればよい。
<本発明の電子素子の製造方法の応用例>
本発明の電子素子の製造方法の有用な応用例として、仮基板の表面に一旦カーボンナノチューブ構造体層をパターニングした後、所望の基体に転写する方法がある。また、転写工程において、当該仮基板から中間転写体表面にパターニングされたカーボンナノチューブ構造体層を一旦転写し、さらに所望とする基体(第2の基体)に転写する構成としても構わない。
本発明の電子素子の一つの態様であるMES−FET型のカーボンナノチューブトランジスタを形成する方法について、具体的な方法を図15を用いて示す。
先に説明したのと同様の方法で、仮基板11'上にカーボンナノチューブ構造体を形成し、パターニングして輸送層10に応じた形状とする。(図15(a))なお、この説明では、2つの輸送層を同時に仮基板11'上に形成した。
引き続き、粘着面111を形成した基板11を仮基板11'上の輸送層10上に貼り付ける。(図15(b)および(c))
基板11と仮基板11'を引き剥がすことで、基板11上に輸送層10が転写される。(図15(d))
続いて、基板11に転写された輸送層10上に、ゲート電極14、ソース電極15、及び、ドレイン電極16をスパッタリング等を用いて形成する。
これによりトップゲート型のMES−FETが同時に2つ形成される。(図15(e))
当該応用例において使用可能な仮基板としては、[電子素子]の項で説明した基体と同様の材質のものが使用可能であり、好ましいものである。ただし、転写工程における転写適性を考慮すると、少なくとも1つの平面を有することが望まれ、平板状であることがより好ましい。
当該応用例において使用可能な基体あるいは中間転写体としては、粘着剤を保持した粘着面、あるいは保持し得る面を有することが必要であり、セロファンテープ、紙テープ、布テープ、イミドテープのような一般的なテープは勿論使用可能である。また、これらテープのような可撓性ないし柔軟性を有する材料以外の硬質の材料からなるものであっても構わない。粘着剤を保持していない材料の場合には、保持し得る面に粘着剤を塗りつけた上で、これを粘着面として、通常のテープと同様に使用することができる。
当該応用例によれば、本発明の電子素子を容易に製造することができる。
なお、基体の表面にカーボンナノチューブ構造体層が担持された状態のものを用意し、電子素子を構成する3つの電極が形成された所望の第2の基体(例えば筐体)の表面に基体ごと貼付けて、電子素子を製造することもできる。
あるいは、仮基板(もしくは中間転写体)の表面にカーボンナノチューブ構造体層が担持されたカーボンナノチューブ転写体を用いて、電子素子を構成する基体の表面に前記カーボンナノチューブ構造体層だけを転写し、仮基板(もしくは中間転写体)を除去するようにすれば、利用者は架橋工程を省略しても、電子素子の輸送層を作製できる様になる。なお、ここではプロセス上中間転写体がカーボンナノチューブ転写体の仮基板となる場合があるが、カーボンナノチューブ転写体自体としては区別する必要はないので、この場合も含むものとする。3電極は予め基板上に形成するか、仮基板を除去後形成することで、電子素子を形成することができる。
カーボンナノチューブ転写体を用いると、仮基板の表面に架橋された状態でカーボンナノチューブ構造体層が担持されているため、その後の取り扱いが極めて簡便になり、電子素子の製造は極めて容易に行うことができるようになる。仮基板の除去方法は、単純な剥離、化学的に分解、焼失、溶融、昇華、溶解させる等適宜選択できる。
かかる応用例の電子素子の製造方法は、デバイスの基体として、そのまま本発明の電子素子の製造方法を適用し難い材質および/または形状のものの場合に、特に有効である。
例えば、前記架橋工程で、塗布後の前記溶液を硬化するために加熱する温度が、電子素子の基体にしようとしている材料の融点ないしガラス転移点以上となってしまう場合に、上記本発明の応用例は有効である。このとき、前記加熱温度を前記仮基板の融点よりも低く設定することで、硬化のために必要な加熱温度を確保することができ、適切に本発明の電子素子を製造することができる。
また、例えば、前記パターニング工程が、前記仮基板表面における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輸送層に応じたパターンにパターニングする工程であるとき、電子素子の基体にしようとしている材料が、前記パターニング工程で行うドライエッチングに対して耐性を有しない場合に、上記本発明の応用例は有効である。このとき、前記仮基板にドライエッチングに対して耐性を有する材料を用いることで、前記仮基板にパターニングする工程の操作に対する耐性を確保することができ、適切に本発明の電子素子を製造することができる。
具体的な耐性、材料等は、ドライエッチングのガス種、強度、時間、温度、圧力等の条件により異なるため一概には言えないが、樹脂材料は比較的耐性が低いため、これを前記基体とした場合に、本応用例を適用することで、耐性が低いことによる制約から解放される。したがって、樹脂材料を前記基体に適用することは、本応用例によるメリットを生かし得る点で好適である。一方、無機材料は比較的耐性が高いため、前記仮基板に適している。また、可撓性ないし柔軟性を有する材料は一般に当該耐性が低いため、これを前記基体に適用することは、本応用例によるメリットを生かし得る点で好適である。
さらに、例えば、前記パターニング工程として、前記仮基板表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、前記仮基板の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、エッチング液を接液させることで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体を除去する除去工程と、を含むとき、前記パターニング工程で用いるエッチング液に対して、前記基体は耐性を有しないが、前記仮基板は耐性を有する場合に、上記本発明の応用例は有効である。このとき当該電子素子の基体を本応用例における基体とし、前記仮基板に前記エッチング液に対して耐性を有する材料を用いることで、前記仮基板にパターニングする工程の操作に対する耐性を確保することができ、適切に本発明の電子素子を製造することができる。
具体的な耐性、材料等は、用いるエッチング液の種類、濃度、温度、接液時間等の条件により異なるため一概には言えない。例えば、エッチング液が酸性であり、酸に弱いアルミニウム等の材料を電子素子の基体としたい場合に、これを前記基体にし、酸に耐性のあるシリコン等の材料を前記仮基板にして本応用例を適用することで、耐性が低いことによる制約から解放される。その他、エッチング液の液性により一概には言えないが、既述の通りエッチング液に対する耐性が低い材料を前記基体にすることで、耐性が低いことによる制約から解放される。
さらに別の態様として、カーボンナノチューブ構造体を担持する基体を、よりハンドリングしやすい電子素子とするために、第2の基体に貼り付けて、本発明の電子素子およびこれを用いた装置を構成しても良い。第2の基体としては、物性的に剛体であっても、可撓性ないし柔軟性であってもよいし、形状的にも球体、凹凸形状等多様な形状のものを選択することができる。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に記載の電子素子の製造方法の流れにより、MOS−FET型のカーボンナノチューブトランジスタを製造した。なお、本実施例の説明においては、図1の符号を用いる場合がある。
(A)塗布工程(A−1)架橋塗布液の調製(付加工程)
(i)単層カーボンナノチューブの精製
単層カーボンナノチューブ粉末(純度40%、Aldrich製)を予めふるい(孔径125μm)にかけて、粗大化した凝集体を取り除いたもの(平均直径1.5nm、平均長さ2μm)30mgを、マッフル炉を用いて450℃で15分間加熱し、カーボンナノチューブ以外の炭素物質を除いた。残った粉末15mgを5規定塩酸水溶液{濃塩酸(35%水溶液、関東化学製)を純水で2倍に希釈したもの}10mlに4時間沈めておくことにより、触媒金属を溶解させた。
この溶液をろ過して沈殿物を回収した。回収した沈殿物に対して、上記の加熱・塩酸に沈めるという工程をさらに3回繰り返して精製を行った。その際、加熱の条件は450℃で20分間、450℃で30分間、550℃で60分間と段階的に強めていった。
精製後のカーボンナノチューブは、精製前(原料)と比べ、純度が大幅に向上していることがわかる(具体的には、純度90%以上と推定される。)。なお、最終的に得られた、精製されたカーボンナノチューブは、原料の5%程度の質量(1〜2mg)であった。
以上の操作を複数回繰返すことで、高純度の単層カーボンナノチューブ粉末15mg以上を精製した。
(ii)カルボキシル基の付加・・・カーボンナノチューブカルボン酸の合成
単層カーボンナノチューブ粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mlに加え、120℃の条件で還流を5時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。以上の反応スキームを図6に示す。なお、図6中カーボンナノチューブ(CNT)の部分は、2本の平行線で表している(反応スキームに関する他の図に関しても同様)。
溶液の温度を室温に戻したのち、5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した。回収した沈殿物を純水10mlに分散させて、再び5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した(以上で、洗浄操作1回)。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、最後に沈殿物を回収した。
回収された沈殿物について、赤外吸収スペクトルを測定した。また、比較のため、用いた単層カーボンナノチューブ原料自体の赤外吸収スペクトルも測定した。両スペクトルを比較すると、単層カーボンナノチューブ原料自体においては観測されていない、カルボン酸に特徴的な1735cm-1の吸収が、前記沈殿物の方には観測された。このことから、硝酸との反応によって、カーボンナノチューブにカルボキシル基が導入されたことがわかった。すなわち、沈殿物がカーボンナノチューブカルボン酸であることが確認された。
また、回収された沈殿物を中性の純水に添加してみると、分散性が良好であることが確認された。この結果は、親水性のカルボキシル基がカーボンナノチューブに導入されたという、赤外吸収スペクトルの結果を支持する。
(iii)エステル化
上記工程で調製されたカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、メタノール(和光純薬製)25mlに加えた後、濃硫酸(98質量%、和光純薬製)5mlを加えて、65℃の条件で還流を6時間行い、メチルエステル化した。以上の反応スキームを図7に示す。
溶液の温度を室温に戻したのち、ろ過して沈殿物を分離した。沈殿物は、水洗した後回収した。回収された沈殿物について、赤外吸収スペクトルを測定した。その結果、エステルに特徴的な1735cm-1および1000〜1300cm-1の領域における吸収が観測されたことから、カーボンナノチューブカルボン酸がエステル化されたことが確認された。
(混合工程)
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、グリセリン(関東化学製)4gに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール4gに加え、架橋塗布液(100)を調製した。
(A−2)基体の表面処理工程
基体11として表面にシリコン酸化膜が形成され絶縁化されたシリコンウエハー(アドバンテック製、76.2mmφ(直径3インチ)、厚さ380μm、表面酸化膜の厚さ1μm)上に、ゲート電極14としてアルミニウム薄膜を蒸着し、酸化シリコンのMODコート材(高純度化学製)を用いてゲート電極14上に酸化シリコン絶縁膜13を形成した。ゲート電極の幅は2000μmとした。
この上に塗布する架橋塗布液(100)と、当該シリコンウエハーとの吸着性を上げるために、アミノプロピルトリエトキシシランにより、シリコンウエハーの表面処理を行った。
アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、密閉したシャーレ内で、上記シリコンウエハーをアミノプロピルトリエトキシシラン(アルドリッチ社製)50μlの蒸気に3時間程度晒すことで行った。
なお、比較のために、表面処理を施さないシリコンウエハーも、別途用意した。
(A−3)塗布工程
工程(A−1)で調製された架橋塗布液100(1μl)を、表面処理が施されたシリコンウエハー表面にスピンコーター(ミカサ社製、1H−DX2)を用い、100rpm,30秒の条件で塗布した。表面処理を施さない比較のためのシリコンウエハーについても、同様にして塗布を行った。
(B)架橋工程
架橋塗布液100を塗布した後、当該塗布膜が形成されたシリコンウエハー(基体11)を、200℃で2時間加熱し塗布膜を硬化し、カーボンナノチューブ構造体層101を形成した(図1(a))。スキームを図8に示す。
得られたカーボンナノチューブ構造体層101の状態を光学顕微鏡で確認したところ、極めて均一な硬化膜となっていた。
(C)パターニング工程
(C−1)レジスト層形成工程
カーボンナノチューブ構造体層101が形成されたシリコンウエハー12(表面処理を施したもの)の当該カーボンナノチューブ構造体層101側の表面に、スピンコーター(ミカサ社製、1H−DX2)を用い、レジスト剤170(長瀬産業製、NPR9710、粘度50mPa・s)を、2000rpm、20秒の条件で塗布し、ホットプレートにより2分間、100℃で加熱して製膜させて、レジスト層17を形成した(図1(b))。
なお、レジスト剤NPR9710の組成は、以下の通りである。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:50〜80質量%
・ノボラック樹脂: 20〜50質量%
・感光剤: 10質量%未満
カーボンナノチューブ構造体層101およびレジスト層17が形成されたシリコンウエハー11の当該レジスト層17側の表面に、マスクアライナー(ミカサ製水銀灯、MA−20、波長436nm)を用いて、光量12.7mW/cm2、8秒の条件で、図1のMOS−FET型に用いる輸送層10に相当する形状に露光した。
さらに、露光されたシリコンウエハー11をホットプレートにより1分間、110℃で加熱した後、放冷し、現像液として東京応化工業製NMD−3(テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド 2.38質量%)を用い、現像機(AD−1200 滝沢産業)により現像を行った(図1(c))。このとき、レジスト層17が輸送層10の形状に形成されていることを、光学顕微鏡観察により確認した。
(C−2)除去工程
以上のようにしてレジスト層17が所定のパターンの形状に形成されたシリコンウエハー11を、UVアッシャー(エキシマ真空紫外線ランプ、アトム技研製、EXM−2100BM、波長172nm)により、混合ガス(酸素10mL/min,窒素40mL/min)中200℃で加熱し、2時間紫外線(172nm)を照射することで酸素ラジカルを発生させカーボンナノチューブ構造体層101におけるレジスト層17で保護されていない部分を除去した。その結果、レジスト層17で覆われた状態でカーボンナノチューブ構造体層101が輸送層10の形状に形成された(図5(8))。
レジスト層17は、図に現れないカーボンナノチューブ構造体層11を介して基体11の表面に残存している。
(C−3)レジスト層除去工程
上記「所定のパターン」の形状に形成されたカーボンナノチューブ構造体層10の上層として残存しているレジスト層16を、アセトンで洗い流すことにより洗浄して除去し(図5(9))、実施例1の電子素子の輸送層を得た。
この輸送層上にソース電極15、ドレイン電極16として金を蒸着し図1に示した、MOS−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを得た。ソース電極15とドレイン電極間のギャップは1000μmとした。
次に半導体パラメーターアナライザー4156B(アジレントテクノロジー製)を使って、ゲート電極の電圧Vgsに対するソース、ドレイン電極間の直流電流−電圧特性測定を行った。この結果を図10に示す。この結果から、ゲート電圧に対してドレイン、ソース電極間の導伝率が変化していることからカーボンナノチューブ構造体が輸送層として作用することが確認された。
[実施例2]
実施例1の絶縁膜作成工程を除いた以外は、同じ工程で図3に示したMES−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを作成した。このときの、ゲート電極幅は500μm、ソース・ドレイン電極間は1500μmとした。そしてこの電界効果トランジスタを、パラメーターアナライザー4156B(アジレントテクノロジー製)を用いて実施例1と同様に測定し、ゲート電圧Vgsに対するソース、ドレイン間の電気伝導率の変化を確認し、ゲート電圧でソース−ドレイン電流を制御することができることを確認した。(図11)
[実施例3]
多層カーボンナノチューブを使用した架橋塗布液を用いてカーボンナノチューブ構造体を形成し、実施例1と同様な工程で図1のMOS−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを作成した。塗布膜の制作方法については下記に示す。その他の工程については、実施例1と同様に行った。
(A)塗布工程
(A−1)架橋塗布液の調製(付加工程)
(i)カルボキシル基の付加・・・カーボンナノチューブカルボン酸の合成
多層カーボンナノチューブ粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mlに加え、120℃の条件で還流を20時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。
溶液の温度を室温に戻したのち、5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した。回収した沈殿物を純水10mlに分散させて、再び5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した(以上で、洗浄操作1回)。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、最後に沈殿物を回収した。
回収された沈殿物について、赤外吸収スペクトルを測定した。また、比較のため、用いた多層カーボンナノチューブ原料自体の赤外吸収スペクトルも測定した。両スペクトルを比較すると、多層カーボンナノチューブ原料自体においては観測されていない、カルボン酸に特徴的な1735cm-1の吸収が、前記沈殿物の方には観測された。このことから、硝酸との反応によって、カーボンナノチューブにカルボキシル基が導入されたことがわかった。すなわち、沈殿物がカーボンナノチューブカルボン酸であることが確認された。
また、回収された沈殿物を中性の純水に添加してみると、分散性が良好であることが確認された。この結果は、親水性のカルボキシル基がカーボンナノチューブに導入されたという、赤外吸収スペクトルの結果を支持する。
(混合工程)
上記工程で得られたカーボンナノチューブカルボン酸5mgと1,4−ヒドロキノン(和光純薬製)30mgを、ジメチルホルムアミド(和光純薬製)20mlに加えた後、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩、ALDRICH製)30mgを、超音波分散機を用いて混合した。
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、グリセリン(関東化学製)4gに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール4gに加え、架橋塗布液(1)を調製した。この反応スキームを、図9に示す。
次に半導体パラメーターアナライザー4156B(アジレントテクノロジー製)を使って、ゲート電極の電圧に対するソース、ドレイン電極間の直流電流−電圧特性測定を行った。(図12)
その結果、ゲート電圧Vgsに対してドレイン、ソース電極間の電気伝導率を変化させることができ、多層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ構造体においても、構造体が輸送層として使用できることを確認した。
[実施例4]
実施例3の絶縁膜作成工程を除いた以外は、同じ工程で製造工程で、多層カーボンナノチューブを使用したカーボンナノチューブ構造体を用いた図3に示したMES−FET型の電子素子を製作し、半導体パラメーターアナライザー4156B(アジレントテクノロジー製)を使って、ゲート電極の電圧に対するソース、ドレイン電極間の直流電流−電圧特性測定を行った。(図13)
その結果、ゲート電圧に対してドレイン、ソース電極間の導伝率が変化していることからカーボンナノチューブ構造体が輸送層として作用することが確認された。
[実施例5]
多層カーボンナノチューブを使用した架橋塗布液を用いてカーボンナノチューブ構造体を形成し、実施例3と同様の工程で図1のMOS−FET型の半導体装置を作成した。架橋塗布液の実施例3と異なる混合工程について説明する。
(混合工程)
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、グリセリン(関東化学製)4gに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール4gに加え、架橋塗布液(1)を調製した。
次に半導体パラメーターアナライザー4156B(アジレントテクノロジー製)を使って、ゲート電極の電圧に対するソース、ドレイン電極間の直流電流−電圧特性測定を行った。その結果、ゲート電圧に対してドレイン、ソース電極間の導伝率が変化していることからカーボンナノチューブ構造体が輸送層として使用できることを確認した。(図14)
本発明の実施形態のMOS−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの模式断面図を示したものである。 図1で示したMOS−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを上方からみた模式図である。 本発明の実施形態のMES−FET型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの模式断面図を示したものである。 本発明の電子素子の製造方法の一例を説明するための基体表面の模式断面図であり、製造工程に添って(1)〜(5)の順に示したものである。 本発明の電子素子の製造方法の一例を説明するための基体表面の模式断面図であり、図4に示される工程後のパターニング工程につき、製造工程に添って(6)〜(10)の順に示したものである。 実施例1中の(付加工程)におけるカーボンナノチューブカルボン酸の合成の反応スキームである。 実施例1中の(付加工程)におけるエステル化の反応スキームである。 実施例1中の(架橋工程)におけるエステル交換反応による架橋の反応スキームである。 実施例3中の(架橋工程)におけるエステル交換反応による架橋の反応スキームである。 実施例1で作成された単層カーボンナノチューブとグリセリンから構成されるカーボンナノチューブ構造体を使用した電子素子のゲート電圧に対する、ソース、ドレイン間のコンダクタンスの変化を示すグラフである。 実施例2で作成された単層カーボンナノチューブとグリセリンから構成されるカーボンナノチューブ構造体を使用した電子素子のゲート電圧に対する、ソース、ドレイン間のコンダクタンスの変化を示すグラフである。 実施例3で作成された多層カーボンナノチューブと1,4−ヒドロキノンから構成されるカーボンナノチューブ構造体を使用した電子素子のゲート電圧に対する、ソース、ドレイン間のコンダクタンスの変化を示すグラフである。 実施例4で作成された多層カーボンナノチューブと1,4−ヒドロキノンから構成されるカーボンナノチューブ構造体を使用した電子素子のゲート電圧に対する、ソース、ドレイン間のコンダクタンスの変化を示すグラフである。 実施例5で作成された多層カーボンナノチューブとグリセリンから構成されるカーボンナノチューブ構造体を使用した電子素子のゲート電圧に対する、ソース、ドレイン間のコンダクタンスの変化を示すグラフである。 本発明の電子素子の製造方法の応用例を説明するための基体表面の模式断面図であり、製造工程に添って(a)〜(c)の順に示したものである。
符号の説明
10:輸送層、 101:カーボンナノチューブ構造体層、 11:基体、 11':仮基板、 13:ゲート絶縁膜、 14:ゲート電極、 15:ソース電極、 16:ドレイン電極、 17:レジスト層

Claims (56)

  1. 3以上の複数の電極と、
    複数のカーボンナノチューブ、および、異なる前記カーボンナノチューブ間を化学結合で架橋する架橋部位、によって網目構造に形成されたカーボンナノチューブ構造体から構成される層であって、前記複数の電極に印加された電圧に応じてキャリアが輸送される輸送層と、
    を備えることを特徴とする電子素子。
  2. 前記複数の電極が、少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を備え、電界効果トランジスタ構造を構成していることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
  3. 前電界効果トランジスタ構造が、MOS−FET型構造であることを特徴とする請求項2記載の電子素子。
  4. 前記電界効果トランジスタ構造が、MES−FET型構造であることを特徴とする請求項2記載の電子素子。
  5. 前記カーボンナノチューブ構造体層は、前記複数のカーボンナノチューブの架橋部位間を接続するカーボンナノチューブが、主として単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子素子。
  6. 前記カーボンナノチューブ構造体層は、前記複数のカーボンナノチューブの架橋部位間を接続するカーボンナノチューブが、主として多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子素子。
  7. 前記架橋部位を構成する化学結合が、(−COO(CH22OCO−)、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OH、−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−、および、−COO−C64−COO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの化学結合であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子素子。
  8. 前記架橋部位を構成する化学結合が、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−、および、−S−S−、からなる群より選ばれる少なくとも1つの化学結合であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子素子。
  9. 前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を用い、前記カーボンナノチューブが接続された複数の前記官能基間を化学結合させて架橋部位が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
  10. 前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基を有するカーボンナノチューブおよび前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液を硬化させることにより、異なる前記カーボンナノチューブに結合した複数の前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成されてなることを特徴とする請求項9に記載の電子素子。
  11. 前記架橋剤が、非自己重合性の架橋剤であることを特徴とする請求項10に記載の電子素子。
  12. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、前記架橋剤が、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得る架橋剤であることを特徴とする請求項10または11に記載の電子素子。
  13. 前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、前記官能基が、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得る官能基であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の電子素子。
  14. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、
    前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、
    前記官能基と前記架橋剤とが、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるようにそれぞれ選択されたことを特徴とする請求項10または11に記載の電子素子。
  15. 前記架橋部位は、複数の前記官能基同士の化学結合により形成されていることを特徴とする請求項9に記載の電子素子。
  16. 前記化学結合を生ずる反応が、脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応からなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項15に記載の電子素子。
  17. 前記輸送層が、前記カーボンナノチューブ構造体を前記輸送層の形成領域に応じた形状にパターニングされたものであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の電子素子。
  18. 前記複数の電極と、前記輸送層が形成されたフレキシブル基板とを備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか記載の電子素子。
  19. 請求項1〜17のいずれかに記載の電子素子が複数個、基板上に集積されてなることを特徴とする集積回路。
  20. 基体上に3以上の複数の電極と、該複数の電極に印加された電圧に応じてキャリアが輸送される輸送層と、を備える電子素子の製造方法において、
    官能基を結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を前記基体上に供給する供給工程と、
    複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成し、前記輸送層として用いられるカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、
    を含むことを特徴とする電子素子の製造方法。
  21. 前記供給工程が、前記基体上に前記溶液を塗布する塗布工程を含み、前記カーボンナノチューブ構造体が膜状であることを特徴とする請求項20に記載の電子素子の製造方法。
  22. 前記カーボンナノチューブが、主として単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項20または21に記載の電子素子の製造方法。
  23. 前記カーボンナノチューブが、主として多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項20または21に記載の電子素子の製造方法。
  24. 前記溶液は、複数の前記官能基間を架橋する架橋剤を含むことを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の電子素子の製造方法。
  25. 前記架橋剤が、非自己重合性であることを特徴とする請求項24記載の電子素子の製造方法。
  26. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、前記架橋剤が、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得る架橋剤であることを特徴とする請求項24または25に記載の電子素子の製造方法。
  27. 前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、前記官能基が、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得る官能基であることを特徴とする請求項24または25に記載の電子素子の製造方法。
  28. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、
    前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド、ポリイソシアネートおよびヒドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、
    前記官能基と前記架橋剤とが、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるようにそれぞれ選択されたことを特徴とする請求項24または25に記載の電子素子の製造方法。
  29. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であることを特徴とする請求項24または25に記載の電子素子の製造方法。
  30. 前記架橋剤が、ポリオールであることを特徴とする請求項29に記載の電子素子の製造方法。
  31. 前記架橋剤が、グリセリンおよび/またはエチレングリコールであることを特徴とする請求項30に記載の電子素子の製造方法。
  32. 前記化学結合を生ずる反応が、複数の前記官能基同士を化学結合させる反応であることを特徴とする請求項20に記載の電子素子の製造方法。
  33. 前記溶液は、前記官能基同士の化学結合を生じさせる添加剤を含むことを特徴とする請求項32に記載の電子素子の製造方法。
  34. 前記反応が脱水縮合であって、前記添加剤が縮合剤であることを特徴とする請求項33に記載の電子素子の製造方法。
  35. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項34に記載のカーボンナノチューブ構造体の製造方法。
  36. 前記官能基が、−COOHであることを特徴とする請求項35に記載の電子素子の製造方法。
  37. 前記縮合剤が、硫酸、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項34に記載の電子素子の製造方法。
  38. 前記反応が置換反応であって、前記添加剤が塩基であることを特徴とする請求項33に記載の電子素子の製造方法。
  39. 前記官能基が、−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3からなる群より選ばれる少なくとも一つの基であることを特徴とする請求項38に記載の電子素子の製造方法。
  40. 前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジンおよびナトリウムエトキシドからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項38記載の電子素子の製造方法。
  41. 前記反応が付加反応であることを特徴とする請求項32に記載の電子素子の製造方法。
  42. 前記官能基が、−OHおよび/または−NCOであることを特徴とする請求項41に記載の電子素子の製造方法。
  43. 前記反応が酸化反応であることを特徴とする請求項32に記載の電子素子の製造方法。
  44. 前記官能基が、−SHであることを特徴とする請求項43に記載の電子素子の製造方法。
  45. 前記溶液には、酸化反応促進剤を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子素子の製造方法。
  46. 前記酸化反応促進剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項45記載の電子素子の製造方法。
  47. 前記溶液が、さらに溶剤を含むことを特徴とする請求項20に記載の電子素子の製造方法。
  48. 前記架橋剤が、溶剤を兼ねることを特徴とする請求項24に記載の電子素子の製造方法。
  49. 前記カーボンナノチューブ構造体層を前記輸送層に応じた形状にパターニングするパターニング工程を備えたことを特徴とする請求項20〜48のいずれかに記載の電子素子の製造方法。
  50. 前記パターニング工程が、前記基体表面における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層に、ドライエッチングを行うことで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層を前記輸送層に応じたパターンにパターニングする工程であることを特徴とする請求項49に記載の電子素子の製造方法。
  51. 前記パターニング工程が、
    前記基体表面における前記輸送層に応じたパターンの領域のカーボンナノチューブ構造体層の上に、レジスト層を設けるレジスト層形成工程と、
    前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、ドライエッチングを行うことで、前記領域以外の領域で表出しているカーボンナノチューブ構造体層を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする請求項49に記載の電子素子の製造方法。
  52. 前記除去工程において、前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に、酸素分子のラジカルを照射することを特徴とする請求項51に記載の電子素子の製造方法。
  53. 酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを前記基体の前記カーボンナノチューブ構造体層およびレジスト層が積層された面に照射するラジカルとして用いることを特徴とする請求項52に記載の電子素子の製造方法。
  54. 前記パターニング工程が、除去工程に引き続いてさらに、レジスト層形成工程で設けられた前記レジスト層を剥離するレジスト層剥離工程を含むことを特徴とする請求項51に記載の電子素子の製造方法。
  55. 前記レジスト層が、樹脂層であることを特徴とする請求項54に記載の電子素子の製造方法。
  56. 前記パターニング工程が、前記基体表面における前記輸送層に応じたパターン以外の領域のカーボンナノチューブ構造体層に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域のカーボンナノチューブ構造体層を除去し、前記カーボンナノチューブ構造体層を前記輸送層に応じたパターンにパターニングする工程であることを特徴とする請求項50に記載の電子素子の製造方法。
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