JPH11220898A - 電気機器の漏洩電流軽減装置 - Google Patents

電気機器の漏洩電流軽減装置

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JPH11220898A
JPH11220898A JP10019686A JP1968698A JPH11220898A JP H11220898 A JPH11220898 A JP H11220898A JP 10019686 A JP10019686 A JP 10019686A JP 1968698 A JP1968698 A JP 1968698A JP H11220898 A JPH11220898 A JP H11220898A
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leakage current
power supply
potential
canceling
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JP10019686A
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Koji Tsukurida
弘司 造田
Toshiyuki Akamatsu
敏行 赤松
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な漏洩電流軽減効果を有し、かつ現場調
整が不要な漏洩電流軽減装置を提供する。 【解決手段】 交流電源1の出力端子間に全波整流回路
2を接続し、コンデンサ3で平滑化してインバータ用の
直流電源を作成し、この直流電源を入力とする三相イン
バータ4の各相の出力電圧を三相モータ5の各相の固定
子巻線に印加し、三相モータ5の固定子巻線の中性点電
位の筐体電位に対する変位を検出し、この変位に応答
し、かつインバータ用の直流電源を入力として、筐体8
へ流れ出している漏洩電流を相殺すべき相殺電流を相殺
電流発生装置9により発生し、筐体8に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電気機器の漏洩電
流軽減装置に関し、さらに詳細にいえば、電源に対し
て、インバータ回路およびモータを有する電気機器を接
続してモータを駆動するに当って、モータの導電部と鉄
心部との間の浮遊容量および冷媒、冷凍機油などを経由
する導電性に起因する漏洩電流を軽減するための装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気機器の漏洩電流軽減装置
として、図20に示す構成、図21に示す構成、および
図22に示す構成のものが提案されている。図20に示
す構成は、交流電源51からの交流電圧をノイズフィル
タ52を介してインバータ回路53に印加し、インバー
タ回路53からの出力電圧を電気機器に含まれる負荷
(モータ)54に印加している。そして、交流電源51
とノイズフィルタ52との間の交流電源供給線間にコン
デンサ55を介してトランス56の一次側巻線を接続
し、トランス56の二次側巻線をコンデンサ57を介し
て接地端子58に接続している。なお、交流電源51の
一方の端子も接地されている。また、電気機器の筐体も
接地されている。
【0003】この構成を採用した場合には、交流電源5
1よりノイズフィルタ52の外側に洩れ出してくる高調
波電流、電源周波数電流をコンデンサ55を介してトラ
ンス56の一次側巻線にかけ、トランス56の二次側巻
線の誘起電圧によって、電気機器の筐体に洩れ出してい
る漏洩電流(電源周波数電流成分および高調波電流成
分)を相殺できると思われる。
【0004】図21に示す構成は、交流電源61からの
交流電圧をノイズフィルタ62を介してインバータ回路
63に供給し、インバータ回路63からの出力電圧を電
気機器に含まれる負荷(モータ)64に印加している。
そして、モータ64の各相の電圧端子とインバータ回路
63の正電圧供給端子に接続されたコンデンサ65との
間に、抵抗66u、66v、66w、コンデンサ67
u、67v、67wおよびトランス68u、68v、6
8wの一次側巻線を直列接続し、前記コンデンサ65と
電気機器の筐体69との間に前記トランス68u、68
v、68wの二次側巻線およびコンデンサ70u、70
v、70wをそれぞれ直列接続している。なお、交流電
源61の一方の端子は接地され、電気機器の筐体69も
接地されている。そして、ノイズフィルタ62のアース
端子およびモータの外郭容器が電気機器の筐体69に接
続されている。
【0005】この構成を採用した場合には、モータ64
の各相の電圧端子に洩れ出してくる高調波電流、電源周
波数電流をそれぞれ抵抗66u、66v、66w、コン
デンサ67u、67v、67wを介してトランス68
u、68v、68wの一次側巻線にかけ、トランス68
u、68v、68wの二次側巻線の誘起電圧によって、
電気機器の筐体に洩れ出している漏洩電流(電源周波数
電流成分および高調波電流成分)を相殺できると思われ
る。
【0006】図22に示す構成は特開平9−23383
7号公報に示されたものであり、直流電源(交流電源を
整流することにより得た直流電源であってもよいが、別
途与えられた直流電源であってもよい)の出力端子間に
平滑用のコンデンサ71を接続し、コンデンサ71によ
り平滑化された直流電源をインバータ回路72に供給
し、インバータ回路72からの出力電圧を電気機器に含
まれる負荷(モータ)73に印加している。そして、イ
ンバータ回路72の各相のスイッチング素子のスイッチ
ング信号を制御回路74に供給して、漏洩電流を相殺す
るための相殺電流指令を算出し、相殺電流指令を、直流
電源を入力とする相殺電流発生回路75に供給して各相
毎の相殺電流を出力し、各相毎の相殺電流を、抵抗など
をY接続してなる等価回路76を通して電気機器の筐体
77に供給している。
【0007】この構成を採用した場合には、インバータ
回路72の各相のスイッチング素子のスイッチング信号
から漏洩電流を相殺するための相殺電流を電気機器の筐
体に供給することにより、モータ73から電気機器の筐
体に漏れ出してくる漏洩電流を相殺できると思われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図20に示す構成が実
際の設置現場で有効になるのは、もともと接地されてい
る電源側の接地電位と接地時に敷設された接地の電位と
が完全には一致していない場合であり、両接地電位が一
致している場合には、図20に示す構成のうち、漏洩電
流軽減装置は動作しないことが知られている。しかし、
実際の設置現場では通常は完全な接地状態ではないので
あるから、図20に示すように、電気機器の筐体に直接
的に働きかけるように相殺電流を供給する方式が有効で
ある。また、トランス56の二次側に要求される電圧条
件は、両接地電位の差、すなわち設置現場での接地状態
に多分に左右される。さらに、トランス56の一次側巻
線、または二次側巻線の結線の方向を間違えないように
しなければならない。
【0009】したがって、図20に示す構成のうち、漏
洩電流軽減装置は、工場出荷時に予め設定しておくこと
は不可能であり、設置現場での調整が不可欠になるとい
う不都合がある。また、図20に示す構成のうち、トラ
ンス56の一次側巻線は、外来の高調波(ノイズ)も感
知するが、このような外来ノイズを除去するためにノイ
ズフィルタ52が設けられており、インバータ回路53
内部からの高調波(ノイズ)もノイズフィルタ52で除
去されるようになっている。したがって、図20に示す
構成のうち、漏洩電流軽減装置は、基本波成分を主とし
て相殺の対象としており、インバータ回路などからの高
調波(ノイズ)に対しては、ノイズフィルタ52で除去
された後のものにしか効果が期待できないという不都合
もある。
【0010】図21に示す構成のうち、漏洩電流軽減装
置は、モータ64の相数分のトランス68u、68v、
68w、抵抗66u、66v、66w、コンデンサ67
u、67v、67wなどが必要であり、構成が著しく複
雑化するとともに、著しいコストアップを招き、しか
も、それぞれの調整が必要となるので、調整作業が著し
く煩雑化してしまうという不都合がある。
【0011】また、インバータ回路63の直流電源部の
−極に着目した場合、1相が接地された交流電源61を
考えると、通常の全波整流を採用していれば、接地に対
して+、−の変化をしており、図21の漏洩電流軽減装
置では、低周波電流成分(電源周波数電流成分)の洩れ
は、トランス68u、68v、68wの二次側巻線、コ
ンデンサ70u、70v、70wなどを経て却って増加
させられててしまうという不都合がある。なお、この不
都合は三相交流電源を採用した場合にも同様に発生する
が、単相3線式の構成、倍電圧整流を行う構成を採用し
た場合には発生しない。
【0012】図22に示す構成のうち、漏洩電流軽減装
置は、制御回路74、相殺電流発生回路75、および等
価回路76が必須であるから、全体として構成が複雑化
するとともに、コストアップを招いてしまうという不都
合がある。また、モータ73からは回転状態に応じて逆
起電力が発生しており、インバータ回路72の各相のス
イッチング素子のスイッチング信号は必ずしも逆起電力
を反映するものではないから、十分な漏洩電流軽減効果
を達成できない可能性があるという不都合もある。
【0013】図20の漏洩電流軽減装置、図21の漏洩
電流軽減装置は共に、既に出てしまった漏洩電流を検出
し、事後的にこれをキャンセルしようとするものであ
る。これに対して、図22の漏洩電流軽減装置は、既に
出てしまった漏洩電流を検出し、事後的にこれをキャン
セルしようとする考えが少なくなっている。また、近
年、インバータモータなどの普及によるチョッピング用
の高周波の使用に伴い、また、インバータエアコンなど
ではコイル部が直接冷媒や潤滑油に漬かるため、漏洩電
流が増加する。一方、オゾン層破壊防止のため、従来の
冷媒よりも誘電率が高い冷媒や潤滑油が使用される傾向
にある。したがって、電気機器、特にインバータエアコ
ンなどでは漏洩電流の軽減は緊急の問題であり、十分に
漏洩電流軽減効果を有する漏洩電流軽減装置を提供する
ことが期待されている。
【0014】また、日本では、特に家庭用電気機器にお
いて、欧米と比較して必ずしも接地が完全でない場合が
多いので、この面からも、接地状態に拘らず漏洩電流を
十分に軽減することができる漏洩電流軽減装置を提供す
ることが期待されている。
【0015】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、十分な漏洩電流軽減効果を有し、かつ現
場調整が不要な漏洩電流軽減装置を提供することを目的
としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の電気機器の漏
洩電流軽減装置は、電源に対して、インバータ回路およ
びモータを有する電気機器を接続し、モータの固定子巻
線の中性点の電位の変動を検出する電位変動検出手段を
設け、検出された中性点の電位の変動に応答して、固定
子巻線から固定子鉄心に向かって流れる漏洩電流を相殺
する方向に電流を流す相殺電流供給手段を設けたもので
ある。
【0017】請求項2の電気機器の漏洩電流軽減装置
は、電位変動検出手段として、モータから引き出された
中性線における中性点電位を検出し続けることにより、
モータの固定子巻線の中性点の電位の変動を検出するも
のを採用するものである。請求項3の電気機器の漏洩電
流軽減装置は、電位変動検出手段として、モータの各相
の固定子巻線端子に一端が接続された抵抗手段の他端を
互いに接続し、抵抗手段どうしの接続点における電位を
検出し続けることにより、モータの固定子巻線の中性点
の電位の変動を検出するものを採用するものである。な
お、ここで、抵抗手段とは、抵抗のみならず、コイル、
コンデンサなどのインピーダンスをも含む概念として使
用される。
【0018】請求項4の電気機器の漏洩電流軽減装置
は、電位変動検出手段として、インバータ回路に対する
スイッチング指令と同期して、予め設定されている波形
データから中性点の電位を予測し続けることにより、モ
ータの固定子巻線の中性点の電位の変動を検出するもの
を採用するものである。請求項5の電気機器の漏洩電流
軽減装置は、相殺電流供給手段として、インバータ回路
の直流電源部の直流電源を入力として漏洩電流を相殺す
る方向に電流を流すものを採用するものである。
【0019】請求項6の電気機器の漏洩電流軽減装置
は、相殺電流供給手段として、インバータ回路の直流電
源部に対して一次側巻線が接続されたトランスを含むも
のを採用するものである。請求項7の電気機器の漏洩電
流軽減装置は、相殺電流供給手段として、インバータ回
路の直流電源部の直流電圧の対地電圧に対する相対関係
をも検出し、インバータ回路の直流電源部の直流電圧の
対地電圧に対する相対関係を補償するとともに、漏洩電
流を相殺する方向に電流を流すものを採用するものであ
る。
【0020】請求項8の電気機器の漏洩電流軽減装置
は、電源として、商用交流電源と整流回路とを含むもの
を採用し、相殺電流供給手段として、商用交流電源部と
整流回路出力側との間の導通・非導通を検出する導通・
非導通検出手段と、導通・非導通の検出結果に応答して
漏洩電流を相殺する方向に流す電流を制御する電流制御
手段とを含むものを採用するものである。
【0021】請求項9の電気機器の漏洩電流軽減装置
は、モータから発生するノイズ電流のうち、線間に生じ
る不平衡分を接地端子に流すべく接続されたコンデンサ
の中性点と、相殺電流供給手段の電流出力端子とを互い
に接続して接地端子に接続しているものである。
【0022】
【作用】請求項1の電気機器の漏洩電流軽減装置であれ
ば、電源に対して、インバータ回路およびモータを有す
る電気機器を接続することにより電気機器を動作させる
に当って、モータの固定子巻線の中性点の電位の変動を
電位変動検出手段を検出し、検出された中性点の電位の
変動に応答して、相殺電流供給手段により、固定子巻線
から固定子鉄心に向かって流れる漏洩電流を相殺する方
向に電流を流すことができる。したがって、モータの固
定子巻線から固定子鉄心に向かって流れる漏洩電流を効
果的に軽減することができる。また、接地電圧を検出し
て相殺電流を流すようにしているのではないから、工場
での設定のみで、現場調整が不要であり、しかも、敷設
現場の接地条件に拘らず(電化製品の接地が不完全であ
っても)漏洩電流を効果的に軽減することができる。
【0023】請求項2の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、電位変動検出手段として、モータから引き出さ
れた中性線における中性点電位を検出し続けることによ
り、モータの固定子巻線の中性点の電位の変動を検出す
るものを採用するのであるから、中性線が引き出された
モータを有する電気機器に適用することにより、請求項
1と同様の作用を達成することができる。
【0024】請求項3の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、電位変動検出手段として、モータの各相の固定
子巻線端子に一端が接続された抵抗手段の他端を互いに
接続し、抵抗手段どうしの接続点における電位を検出し
続けることにより、モータの固定子巻線の中性点の電位
の変動を検出するものを採用するのであるから、中性線
が引き出されていないモータを有する電気機器に適用す
ることができ、請求項1と同様の作用を達成することが
できる。
【0025】請求項4の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、電位変動検出手段として、インバータ回路に対
するスイッチング指令と同期して、予め設定されている
波形データから中性点の電位を予測し続けることによ
り、モータの固定子巻線の中性点の電位の変動を検出す
るものを採用するのであるから、モータの固定子巻線の
中性点の電位の変動を実際に検出することなく、請求項
1と同様の作用を達成することができる。
【0026】請求項5の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、相殺電流供給手段として、インバータ回路の直
流電源部の直流電源を入力として漏洩電流を相殺する方
向に電流を流すものを採用するのであるから、相殺電流
を供給するための特別の電源を用いることなく、請求項
1と同様の作用を達成することができる。請求項6の電
気機器の漏洩電流軽減装置であれば、相殺電流供給手段
として、インバータ回路の直流電源部に対して一次側巻
線が接続されたトランスを含むものを採用するのである
から、相殺電流を供給するための特別の電源を用いるこ
となく、トランスを採用するだけで、請求項5と同様の
作用を達成することができる。
【0027】請求項7の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、相殺電流供給手段として、インバータ回路の直
流電源部の直流電圧の対地電圧に対する相対関係(結合
状態)をも検出し、インバータ回路の直流電源部の直流
電圧の対地電圧に対する相対関係を補償するとともに、
漏洩電流を相殺する方向に電流を流すものを採用するの
であるから、請求項5の作用に加え、漏洩電流を一層軽
減することができる。
【0028】請求項8の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、電源として、商用交流電源と整流回路とを含む
ものを採用し、相殺電流供給手段として、商用交流電源
部と整流回路出力側との間の導通・非導通を検出する導
通・非導通検出手段と、導通・非導通の検出結果に応答
して漏洩電流を相殺する方向に流す電流を制御する電流
制御手段とを含むものを採用するのであるから、請求項
5から請求項7の何れかの作用に加え、整流回路素子が
非導通の期間において必要以上に電流を流してしまうと
いう不都合の発生を防止し、漏洩電流を効果的に軽減す
ることができる。
【0029】請求項9の電気機器の漏洩電流軽減装置で
あれば、モータから発生するノイズ電流のうち、線間に
生じる不平衡分を接地端子に流すべく接続されたコンデ
ンサの中性点と、相殺電流供給手段の電流出力端子とを
互いに接続して接地端子に接続しているのであるから、
請求項1から請求項8の何れかの作用に加え、接地端子
の接地が不完全な場合であっても、コンデンサの中性点
への接続線が擬似的な接地線として機能し、漏洩電流を
効果的に軽減することができる。
【0030】図17に示す概略図を参照してさらに詳細
に説明する。モータの巻線と固定子鉄心との間には、各
相にかけられた+または−の電圧(中性点電位)V±、
および+または−電極の対地電圧の変動(直流極電位)
Veの和がかかる。したがって、モータの巻線と固定子
鉄心との間の漏洩電流は、この和電圧に比例して発生す
る。
【0031】このうち、各相の電流は固定子鉄心内で中
和されるので見かけ上、いわゆる中性点電圧に近い。ま
た、直流電源の各極の電圧変動は、交流電源の整流時に
生じる、導通時間帯では確定するが、非導通時間帯では
不確定であり、この時間帯はむしろ前記電圧V±の吸収
インピーダンスとして作用する。このことは、図23に
示す実際の洩れ電流波形より明らかである。図23にお
いて電流振幅が減少している部分は整流素子が非導通の
期間であり、非導通の期間は電源部の接地部との相対関
係はあたかも途中にインピーダンスが挿入された如くに
振る舞う。すなわち、これらの電圧がモータというイン
ピーダンスを経て、筐体へ漏洩してくると考えられる。
したがって、中性点電位を予測したり、検出する手段を
用意し、かつ交流−直流変換時のダイオードの通電電流
を予測し、これに適当な変換を施せば、漏洩電流を相殺
させるべき電流を発生することができる。また、モータ
またはモータにより駆動される機器の外皮が導電体から
なるものである場合には、外皮に相殺電流を流せば、漏
洩電流を軽減することができる。図18は中性点電位の
一例を示す図であり、包絡線がモータの逆起電力を表す
正弦波になっていることが分かる。また、図19中
(A)は整流回路の出力の−側と整流回路の入力の一方
の線との間の電圧(電位差)の変動の一例を示す図であ
り、図19中(B)は整流回路の出力の−側と整流回路
の入力の他方の線との間の電圧(電位差)の変動の一例
を示す図である。図19中(A)(B)において、電位
差のない部分は整流素子が導通している期間であり、電
位差がある部分は整流素子が非導通の期間である。後者
の期間は、インバータモータにかかった中性点電圧は一
方の極が半ば絶縁した形であり、この間は特に低周波成
分の洩れ電流の発生は少ない。したがって、この状況を
踏まえて、この間は相殺電流を小さくすべく制御する必
要がある。図19中(A)(B)から分かるように、整
流素子が非導通の期間が全体に占める割合は大きく、図
19では全体の約1/3以上にもなっている。また、モ
ータの回転数が低い時ほど大きくなる。因みに、空気調
和機の場合などには、低回転時の方が洩れ電流が多く、
上記のような相殺電流の制御が重要である。
【0032】この発明は、上記の点に鑑みてなされたも
のであり、インバータモータの場合には、波形を出現さ
せるために予めマイコンにチョッピング波形発生用のプ
ログラムがメモリされているのであるから、中性点電位
の波形および整流時の導通波形をもマイコンにメモリさ
せておき、波形生成部(インバータ)に波形情報を出力
する際に、相殺電流生成部に相殺電流情報を出力して相
殺電流を発生させる構成を採用した。また、中性線を有
するモータを採用した場合には、中性線からの出力を情
報源として相殺電流生成部に供給し、相殺電流を発生さ
せる構成を採用した。さらに、前記の何れの構成も実現
できない場合、もしくは実現することが困難な場合に
は、例えば、インバータからモータへの入力線の各相に
対して高インピーダンス素子の一方の端子を接続し、他
方の端子を互いに接続して擬似的な中性点を作成し、擬
似的な中性点からの出力を情報源として相殺電流生成部
に供給し、相殺電流を発生させる構成を採用することが
できる。ここで、擬似的な中性点に関しては、中性点の
電圧変動、周波数成分の割合に応答させてインピーダン
スを調整することにより、実際の漏洩電流に関わる中性
点電位に近似する擬似的な中性点電位とすることができ
る。
【0033】ただし、後2者に関しては、直流電極(+
極または−極)の電圧の変動を別個の方法で検知して相
殺電流に反映させることが好ましい。また、相殺電流の
発生については、インバータの直流電源の+極または−
極からの電位がモータの中性点において中和されずに、
瞬間的に変動するために漏洩電流が発生することを考慮
し、この直流電源を源として相殺電流の作成を行なえば
よい。具体的には、上述の検出方法に基づいて漏洩電流
の大きさ、波形を再現し、位相を逆に設定することによ
り、相殺電流を発生する。
【0034】このようにすることにより、相殺電流を発
生し、モータの固定子鉄心、または固定子鉄心などに接
触する外皮に相殺電流を流すことにより漏洩電流を相殺
することができ、ひいては浮遊容量および冷媒、冷凍機
油などを経由する導電性を通じた漏洩電流の十分な軽減
を達成することができる。また、この発明は接地電圧を
検出して相殺電流を発生させているのではないから、例
えば、日本国内の現状のように、電化製品に対する接地
が必ずしも完全でないような場合であっても、漏洩電流
に起因する危険性を十分に軽減することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明の電気機器の漏洩電流軽減装置の実施の態様を詳細
に説明する。図1はこの発明の漏洩電流軽減装置の一実
施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回
路図である。
【0036】この電気機器制御システムは、交流電源1
の出力端子間に全波整流回路2を接続し、コンデンサ3
で平滑化してインバータ用の直流電源を作成する。そし
て、この直流電源を入力とする三相インバータ4の各相
の出力電圧を三相モータ5の各相の固定子巻線に印加す
る。また、三相モータ5の固定子巻線の中性点から引き
出された中性点電位引き出し線7aにより得られる中性
点電位の筐体電位に対する変位を検出し、この変位に応
答し、かつインバータ用の直流電源を入力として、筐体
8へ流れ出している漏洩電流を相殺すべき相殺電流を相
殺電流発生装置9により発生し、筐体8に供給する。
【0037】図2はこの発明の漏洩電流軽減装置の他の
実施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気
回路図である。この電気機器制御システムは、交流電源
1の出力端子間に全波整流回路2を接続し、コンデンサ
3で平滑化してインバータ用の直流電源を作成する。そ
して、この直流電源を入力とする三相インバータ4の各
相の出力電圧を三相モータ5の各相の固定子巻線に印加
する。また、三相モータ5の固定子巻線の端子電圧を擬
似的中性点電位検出装置7に供給して、擬似的中性点電
位の筐体電位に対する変位を検出し、この変位に応答
し、かつインバータ用の直流電源を入力として、筐体8
へ流れ出している漏洩電流を相殺すべき相殺電流を相殺
電流発生装置9により発生し、筐体8に供給する。
【0038】なお、何れの実施態様においても、中性点
電位の筐体電位に対する変位を実際に検出するようにし
てもよいが、制御用のマイコンなどに中性点電位の波形
および整流時の導通波形などを記憶させておき、記憶デ
ータから予測などを行って中性点電位の筐体電位に対す
る変位を検出するようにしてもよい。図3は相殺電流発
生装置9の具体的構成の一例を示すブロック図である。
【0039】この相殺電流発生装置9は、チョッピング
波形用のデータのみならず、予め波形に最適化された相
殺電流波形用のデータが設定されたマイコン9aと、マ
イコン9aから出力される相殺電流波形用のデータをア
ナログデータに変換する1対のデジタル−アナログ変換
器(以下、D/A変換器と略称する)9b、9cと、D
/A変換器9bから出力されるアナログデータを増幅す
るとともに極性を反転させる反転アンプ9dと、D/A
変換器9cから出力されるアナログデータを増幅するア
ンプ9eと、反転アンプ9dからの出力信号により制御
されるフォトカプラ9fと、アンプ9eからの出力信号
により制御されるフォトカプラ9gと、フォトカプラ9
f、フォトカプラ9gを介して直流電源の+極、−極に
それぞれ一方の端子が接続されるとともに、他方の端子
が筐体8に接続されるインピーダンス素子(例えば、抵
抗、コンデンサ)9hとを有している。
【0040】この構成を採用した場合には、チョッピン
グ波形用のデータを出力する際に、相殺電流波形用のデ
ータをマイコン9aから出力し、アナログデータに変換
し、直流電源の−極に接続されたフォトカプラ9gをこ
のアナログデータにより制御するとともに、直流電源の
+極に接続されたフォトカプラ9fを反転させられたア
ナログデータにより制御する。したがって、筐体8に流
れる漏洩電流を、フォトカプラ9f、フォトカプラ9
g、インピーダンス素子9hを通して流れる相殺電流に
より相殺し、漏洩電流を十分に軽減することができる。
【0041】また、この構成は、接地電圧を検出して相
殺電流を流すのではないから、電気機器の接地状態の影
響を受けることなく、良好な漏洩電流軽減効果を達成す
ることができる。図4は相殺電流発生装置9の具体的構
成の他の例を組み込んだ電気機器制御システムを示す電
気回路図である。
【0042】この相殺電流発生装置9は、三相モータ5
の固定子巻線の中性点電位を制御信号として直接にフォ
トカプラ9f、フォトカプラ9gの発光部の一方の端子
に供給し、フォトカプラ9f、フォトカプラ9gの受光
部の一方の端子を共にインピーダンス素子9hを介して
筐体8に接続するとともに、フォトカプラ9f、フォト
カプラ9gの受光部の他方の端子をそれぞれ直流電源の
+極、−極に接続している。そして、フォトカプラ9
f、フォトカプラ9gの発光部の他方の端子をそれぞれ
抵抗9i、9jを介して直流電源の+極、−極に接続し
ている。また、全波整流回路2の入力電流を電流検出器
10により検出し、インピーダンス素子9hのインピー
ダンスを制御するようにしている。
【0043】この構成を採用した場合には、漏洩電流の
源となる中性点電位により直接にフォトカプラ9f、フ
ォトカプラ9gを制御して相殺電流を発生させることが
できる。そして、全波整流回路2の入力電流を電流検出
器10により検出して、インピーダンス素子9hのイン
ピーダンスを制御するのであるから、上記相殺電流の大
きさを制御することができ、十分な漏洩電流軽減効果を
達成することができる。
【0044】もちろん、この構成も、接地電圧を検出し
て相殺電流を流すのではないから、電気機器の接地状態
の影響を受けることなく、良好な漏洩電流軽減効果を達
成することができる。図5は相殺電流発生装置9の具体
的構成のさらに他の例を組み込んだ電気機器制御システ
ムを示す電気回路図である。
【0045】この相殺電流発生装置9は、三相モータ5
の固定子巻線端子に一方の端子が接続された抵抗9k、
9l、9mの他方の端子を互いに接続して擬似的中性点
電位を得、この擬似的中性点電位を制御信号として直接
にフォトカプラ9f、フォトカプラ9gの発光部の一方
の端子に供給し、フォトカプラ9f、フォトカプラ9g
の発光部の他方の端子を共に、直流電源の+極、−極間
に互いに直列接続された抵抗9i、9jどうしの接続点
に接続しているとともに、インピーダンス素子9hを介
して筐体8に接続している。また、フォトカプラ9f、
フォトカプラ9gの受光部に対してそれぞれ並列接続さ
れた抵抗9n、9oを直流電源の+極、−極間に互いに
直列接続し、抵抗9n、9oの接続点と筐体8との間に
コンデンサ9pを接続している。
【0046】この構成を採用した場合には、漏洩電流の
源となる中性点電位に近似できる擬似的中性点電位によ
り直接にフォトカプラ9f、フォトカプラ9gを制御し
て相殺電流を発生させることができる。そして、直流電
源の+極、−極の電圧の筐体8電圧に対する値をインピ
ーダンス素子9hによりフォトカプラ9f、フォトカプ
ラ9gの発光部の制御条件に反映するのであるから、上
記相殺電流の大きさを制御することができ、十分な漏洩
電流軽減効果を達成することができる。
【0047】もちろん、この構成も、接地電圧を検出し
て相殺電流を流すのではないから、電気機器の接地状態
の影響を受けることなく、良好な漏洩電流軽減効果を達
成することができる。図6は相殺電流発生装置9の具体
的構成のさらに他の例を示す電気回路図である。
【0048】この相殺電流発生装置9は、三相モータ5
の固定子巻線端子に一方の端子が接続された抵抗9k、
9l、9mの他方の端子を互いに接続して擬似的中性点
電位を得、この擬似的中性点電位を制御信号として直接
にフォトカプラ9f、フォトカプラ9gの発光部の一方
の端子に供給するとともに、フォトカプラ9f、フォト
カプラ9gの発光部の他方の端子を共に、直流電源の+
極、−極間に互いに直列接続された抵抗9i、9jどう
しの接続点に接続している。また、フォトカプラ9f、
フォトカプラ9gの発光部の一方の端子を共にインピー
ダンス素子9hを介して筐体8に接続しているととも
に、他方の端子をそれぞれ直流電源の+極、−極に接続
している。また、全波整流回路の入力電流を電流検出器
により検出し、インピーダンス素子9hのインピーダン
スを制御するようにしている。
【0049】この構成を採用した場合には、漏洩電流の
源となる中性点電位に近似できる擬似的中性点電位によ
り直接にフォトカプラ9f、フォトカプラ9gを制御し
て相殺電流を発生させることができる。そして、全波整
流回路の入力電流をインピーダンス素子9hによりフォ
トカプラ9f、フォトカプラ9gの発光部の制御条件に
反映するのであるから、上記相殺電流の大きさを制御す
ることができ、十分な漏洩電流軽減効果を達成すること
ができる。
【0050】もちろん、この構成も、接地電圧を検出し
て相殺電流を流すのではないから、電気機器の接地状態
の影響を受けることなく、良好な漏洩電流軽減効果を達
成することができる。図7は筐体への相殺電流の供給を
行なうための構成の一例を示す電気回路図である。
【0051】この構成は、相殺電流をコンデンサ9qを
介して筐体8に供給するようにしている。したがって、
低周波成分を除く相殺電流を筐体8に供給して十分な漏
洩電流軽減効果を達成することができる。図8は筐体へ
の相殺電流の供給を行なうための構成の他の例を示す電
気回路図である。
【0052】この構成は、相殺電流を、直流電源の−極
からトランス9rの二次側巻線およびコンデンサ9qを
直列に介して筐体8に供給するようにしている。なお、
トランス9rの一次側巻線は、例えば、中性点、擬似的
中性点などに接続されている。したがって、直流電源の
−極の電圧に対する中性点電位、擬似的中性点電位など
の変化分を筐体8に供給して漏洩電流の軽減を達成する
ことができる。
【0053】図9は筐体への相殺電流の供給を行なうた
めの構成のさらに他の例を示す電気回路図である。この
構成は、全波整流回路2およびコンデンサ3を含む直流
電源部への充電電流を検出すべくトランス10aの一次
側巻線を設け、このトランス10aの二次側巻線の端子
間に全波整流回路10bを接続し、全波整流回路10b
の出力端子間にフォトカプラ10cの発光部を接続し、
三相モータ5の中性点からの電流出力の最終段にフォト
カプラ10cの受光部を直列接続している。
【0054】したがって、この構成を採用した場合に
は、直流電源部への充電電流を検出してフォトカプラ1
0cを制御し、ひいては中性点からの電流出力を制御し
て良好な漏洩電流軽減を達成することができる。図10
はこの発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実施態様を
組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図であ
る。
【0055】この電気機器制御システムが図2の電気機
器制御システムと異なる点は、コンデンサ3と並列に1
対の抵抗16を直列接続し、擬似的中性点電位検出装置
7の出力端子と抵抗16どうしの接続点との間にトラン
ス17の一次側巻線を接続し、このトランス17の二次
側巻線を筐体8と接地端子との間に接続した点のみであ
る。
【0056】この構成を採用した場合には、例えば、擬
似的中性点電位検出装置7の出力端子から抵抗16どう
しの接続点に向かって流れる電流がトランス17の一次
側巻線に流れることにより、トランス17の二次側巻線
に電圧が発生させられ、この発生電圧により定まる電流
が筐体8と接地端子との間に流れる。そして、トランス
17の二次側巻線により筐体8と接地端子との間に流れ
る電流によって漏洩電流を相殺し、十分な漏洩電流軽減
効果を達成することができる。
【0057】図11はトランス17を設けたことに伴う
漏洩電流軽減効果の一例を示す電流波形図である。な
お、図11中(A)はトランス17の一次側巻線に流れ
る電流に起因する出力電流I1を、図11中(B)は漏
洩電流I2を、図11中(C)はトランス17により合
成した後の漏洩電流を、それぞれ示している。図11中
(B)から明らかなように、もともとかなり大きい漏洩
電流I2が流れていたのであるが、トランス17を設け
ることによって筐体8と接地端子との間に出力電流I1
を流すことにより、漏洩電流を十分に軽減し、図11中
(C)に示すように、十分な漏洩電流軽減効果を達成す
ることができる。
【0058】図12、図13は、それぞれこの発明の漏
洩電流軽減装置のさらに他の実施態様を組み込んだ電気
機器制御システムを示す電気回路図である。これらの電
気機器制御システムが図1、図2の電気機器制御システ
ムと異なる点は、全波整流回路2の出力端子のうち、−
極と、全波整流回路2の両入力端子との間の導通・非導
通を検出する検出回路11を設けた点、および相殺電流
発生装置9として、導通・非導通検出結果をも入力とし
て相殺電流を発生させるものを採用した点のみである。
【0059】図14、図15は、全波整流回路2の導通
状態、非導通状態に対応する電気機器制御システム主回
路の等価回路を示す電気回路図である。導通状態におい
ては、三相モータ5と筐体8との間が浮遊容量および冷
媒、冷凍機油などを経由する導電性(抵抗)を介して接
続されているとともに、三相モータ5と接続された中性
電位発生回路(インバータ回路4)と交流電源側の接地
端子との間が直接接続されている。
【0060】逆に、非導通状態においては、三相モータ
5と筐体8との間が浮遊容量および冷媒、冷凍機油など
を経由する導電性(抵抗)を介して接続されているとと
もに、三相モータ5と接続された中性電位発生回路(イ
ンバータ回路4)と交流電源側の接地端子との間が、整
流用のダイオードの空乏層に起因すると思われるキャパ
シタンスを介して接続されている。
【0061】そして、このように図14、図15の等価
回路を交互に実現することにより、図23に示すよう
に、非導通状態に対応して振幅が著しく小さい漏洩電流
が実際に発生する。また、検出回路11によって全波整
流回路2の出力端子のうち、−極と、全波整流回路2の
両入力端子との間の電位差を検出すれば、図19中
(A)(B)に示す検出結果が得られるのであるから、
電位差の有無によって非導通状態、導通状態を検出する
ことができる。そして、非導通状態に対応して漏洩電流
の振幅が著しく小さくなることが分かっているのである
から、検出回路11による検出結果に応答して、相殺電
流発生装置9により漏洩電流を相殺するための相殺電流
の大きさを制御することにより、漏洩電流を制度よく相
殺することができる。
【0062】ただし、実際に導通状態、非導通状態を検
出する回路を設ける代わりに、導通状態、非導通状態を
マイコンにメモリさせておき、マイコンのメモリ内容に
基づいて相殺電流の制御を行うようにしてもよい。さら
に詳細に説明する。図22に示す構成を採用した場合に
は、スイッチング信号を3相分取出してこれを加工する
ことにより、相殺電流指令を発生する。また、直流電源
部より始めており、直流電源の極それぞれの対地電圧と
の相対関係に関わりなく相殺電流を発生させている。し
かし、実際の漏洩電流は、負荷にかかった中性点電圧と
対地電圧との関係で発生しているのであるから、図22
に示す構成を採用すると、整流素子が非導通の期間(図
23の漏洩電流振幅が小さい期間参照)には必要以上の
相殺電流が流れてしまうことになる。また、特開平9−
233837号公報においては、相殺結果としての漏洩
電流を検出し、検出結果をフィードバックすることも提
案されている。しかし、漏洩電流の検出を、モータフレ
ームと直流電源の一方の極との間に流れる高周波成分を
検出することにより達成しているのであるから、例え
ば、一般の空気調和装置のように、モータフレーム自体
が接地と接続されている場合には、直流電源の一方の極
と接地との間に流れる電流をモニターしていることにな
り、接地がない場合、接地が不完全な場合にしか適用で
きないことになる。したがって、接地の状態によって検
出量が変化し、漏洩電流検出機能が不完全であり、十分
なフィードバック効果を期待することができない。この
結果、漏洩電流を十分には相殺することができない。
【0063】これに対して、図12、図13の構成を採
用すれば、全波整流回路2の整流素子の導通・非導通を
検出して相殺電流を制御しているのであるから、必要以
上の相殺電流を流してしまうという不都合の発生を防止
し、漏洩電流を十分に相殺することができる。図16は
この発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実施態様を組
み込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図であ
る。
【0064】この電気機器制御システムが図2の電気機
器制御システムと異なる点は、交流電源の各相の出力端
子に対してコモンモードチョーク12を介して交流電源
供給線を接続し、交流電源供給線間に、ノイズ電流のう
ち線間に生じた平衡分をコモンモードチョーク12と共
に吸収するXコンデンサ13を接続するとともに、各相
の交流電源供給線と接地端子15との間に接続されて不
平衡分を流すYコンデンサ14を接続した点、および相
殺電流発生装置9の出力端子とYコンデンサ14同士の
接続点とを直接接続した点のみである。
【0065】この実施態様を採用した場合には、接地端
子15の接地が不完全な場合であっても、Yコンデンサ
14同士の接続点と相殺電流発生装置9の出力端子とを
接続する線が接地線の代替線として機能し、十分な漏洩
電流軽減効果を達成することができる。もちろん、接地
端子15の接地が完全な場合には、接地端子15を通し
て相殺電流を流すことにより、十分な漏洩電流軽減効果
を達成することができる。
【0066】なお、この構成は、前記の他の実施態様に
も同様に適用することができる。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明は、モータの固定子巻線
から固定子鉄心に向かって流れる漏洩電流を効果的に軽
減することができ、また、接地電圧を検出して相殺電流
を流すようにしているのではないから、工場での設定の
みで、現場調整が不要であり、しかも、敷設現場の接地
条件に拘らず漏洩電流を効果的に軽減することができる
という特有の効果を奏する。
【0068】請求項2の発明は、中性線が引き出された
モータを有する電気機器に適用することにより、請求項
1と同様の効果を奏する。請求項3の発明は、中性線が
引き出されていないモータを有する電気機器に適用する
ことができ、請求項1と同様の効果を奏する。請求項4
の発明は、モータの固定子巻線の中性点の電位の変動を
実際に検出することなく、請求項1と同様の効果を奏す
る。
【0069】請求項5の発明は、相殺電流を供給するた
めの特別の電源を用いることなく、請求項1と同様の効
果を奏する。請求項6の発明は、相殺電流を供給するた
めの特別の電源を用いることなく、トランスを採用する
だけで、請求項5と同様の効果を奏する。請求項7の発
明は、請求項5の効果に加え、漏洩電流を一層軽減する
ことができるという特有の効果を奏する。
【0070】請求項8の発明は、請求項5から請求項7
の何れかの効果に加え、整流回路素子が非導通の期間に
おいて必要以上に電流を流してしまうという不都合の発
生を防止し、漏洩電流を効果的に軽減することができる
という特有の効果を奏する。請求項9の発明は、請求項
1から請求項8の何れかの効果に加え、接地端子の接地
が不完全な場合であっても、Yコンデンサの中性点への
接続線が擬似的な接地線として機能し、漏洩電流を効果
的に軽減することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の漏洩電流軽減装置の一実施態様を組
み込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図であ
る。
【図2】この発明の漏洩電流軽減装置の他の実施態様を
組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図であ
る。
【図3】相殺電流発生装置の具体的構成の一例を示すブ
ロック図である。
【図4】相殺電流発生装置の具体的構成の他の例を組み
込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図である。
【図5】相殺電流発生装置の具体的構成のさらに他の例
を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回路図で
ある。
【図6】相殺電流発生装置の具体的構成のさらに他の例
を示す電気回路図である。
【図7】筐体への相殺電流の供給を行なうための構成の
一例を示す電気回路図である。
【図8】筐体への相殺電流の供給を行なうための構成の
他の例を示す電気回路図である。
【図9】筐体への相殺電流の供給を行なうための構成の
さらに他の例を示す電気回路図である。
【図10】この発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実
施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回
路図である。
【図11】トランスを設けたことに伴う漏洩電流軽減効
果の一例を示す電流波形図である。
【図12】この発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実
施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回
路図である。
【図13】この発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実
施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回
路図である。
【図14】全波整流回路の導通状態に対応する電気機器
制御システム主回路の等価回路を示す電気回路図であ
る。
【図15】全波整流回路の非導通状態に対応する電気機
器制御システム主回路の等価回路を示す電気回路図であ
る。
【図16】この発明の漏洩電流軽減装置のさらに他の実
施態様を組み込んだ電気機器制御システムを示す電気回
路図である。
【図17】漏洩電流の発生を説明する概略図である。
【図18】中性点電位の一例を示す図である。
【図19】全波整流回路の出力端子のうち、−極と、全
波整流回路の両入力端子との間の電位差の検出結果の一
例を示す図である。
【図20】従来の電気機器の漏洩電流軽減装置の一例を
示す電気回路図である。
【図21】従来の電気機器の漏洩電流軽減装置の他の例
を示す電気回路図である。
【図22】従来の電気機器の漏洩電流軽減装置のさらに
他の例を示す電気回路図である。
【図23】実際の洩れ電流波形の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 交流電源 4 三相インバータ回路 5 三相モータ 7 擬似的中性点電位検出装置 8 筐体 9 相殺電流発生装置 9a マイコン 9k、9l、9m 抵抗 10a トランス 11 検出回路 14 Yコンデンサ 15 接地端子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源(1)(2)に対して、インバータ
    回路(4)およびモータ(5)を有する電気機器を接続
    し、モータ(5)の固定子巻線の中性点の電位の変動を
    検出する電位変動検出手段(7)(7a)(9a)を設
    け、検出された中性点の電位の変動に応答して、固定子
    巻線から固定子鉄心に向かって流れる漏洩電流を相殺す
    る方向に電流を流す相殺電流供給手段(9)を設けたこ
    とを特徴とする電気機器の漏洩電流軽減装置。
  2. 【請求項2】 電位変動検出手段(7a)は、モータ
    (5)から引き出された中性線における中性点電位を検
    出し続けることにより、モータ(5)の固定子巻線の中
    性点の電位の変動を検出するものである請求項1に記載
    の電気機器の漏洩電流軽減装置。
  3. 【請求項3】 電位変動検出手段(7)は、モータ
    (5)の各相の固定子巻線端子に一端が接続された抵抗
    手段(9k)(9l)(9m)の他端を互いに接続し、
    抵抗手段(9k)(9l)(9m)どうしの接続点にお
    ける電位を検出し続けることにより、モータ(5)の固
    定子巻線の中性点の電位の変動を検出するものである請
    求項1に記載の電気機器の漏洩電流軽減装置。
  4. 【請求項4】 電位変動検出手段(9a)は、インバー
    タ回路(4)に対するスイッチング指令と同期して、予
    め設定されている波形データから中性点の電位を予測し
    続けることにより、モータ(5)の固定子巻線の中性点
    の電位の変動を検出するものである請求項1に記載の電
    気機器の漏洩電流軽減装置。
  5. 【請求項5】 相殺電流供給手段(9)は、インバータ
    回路(4)の直流電源部の直流電源を入力として漏洩電
    流を相殺する方向に電流を流すものである請求項1に記
    載の電気機器の漏洩電流軽減装置。
  6. 【請求項6】 相殺電流供給手段(9)は、インバータ
    回路(4)の直流電源部の電源に対して一次側巻線が接
    続されたトランス(10a)を含むものである請求項5
    に記載の電気機器の漏洩電流軽減装置。
  7. 【請求項7】 相殺電流供給手段(9)は、インバータ
    回路(4)の直流電源部の直流電圧の対地電圧に対する
    相対関係をも検出し、インバータ回路(4)の直流電源
    部の直流電圧の対地電圧に対する相対関係を補償すると
    ともに、漏洩電流を相殺する方向に電流を流すものであ
    る請求項5に記載の電気機器の漏洩電流軽減装置。
  8. 【請求項8】 電源(1)(2)は、商用交流電源
    (1)と整流回路(2)とを含み、相殺電流供給手段
    (9)は、商用交流電源部と整流回路出力側との間の導
    通・非導通を検出する導通・非導通検出手段(11)
    と、導通・非導通の検出結果に応答して漏洩電流を相殺
    する方向に流す電流を制御する電流制御手段(9)とを
    含むものである請求項5から請求項7の何れかに記載の
    電気機器の漏洩電流軽減装置。
  9. 【請求項9】 モータ(5)から発生するノイズ電流の
    うち、線間に生じる不平衡分を接地端子に流すべく接続
    されたコンデンサ(14)の中性点と、相殺電流供給手
    段(9)の電流出力端子とを互いに接続して接地端子
    (15)に接続している請求項1から請求項8の何れか
    に記載の電気機器の漏洩電流軽減装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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