JP4483152B2 - 中空グラフェンシート構造体及び電極構造体とそれら製造方法並びにデバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子デバイスを始めとして広範に利用可能な中空グラフェンシート構造体及び電極構造体とそれら製造方法、並びに当該電極構造体を用いた新規なデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、グラフェンシート(炭素6角網目のシート状構造)を中空状に丸めた構造を有し、その化学的安定性に加え、1〜50nmといった細い径でありながら高い電気伝導性を示すため、放電電極のようなマクロスケールのデバイスから、ナノスケールの電子デバイスまで、応用研究が盛んに行われている。また、電気伝導性以外にもカーボンナノチューブ自体が強靭性を有することから、補強材や構造体の支持体として、さらには、中空構造の作用を利用した水素貯蔵材料としての応用研究も広く行われている。
【0003】
このようなカーボンナノチューブの応用研究としては、その入手の容易さから、一般に、1層のグラフェンシートからなるシングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)と、多層のグラフェンシートからなるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)を利用した研究が主に行われている。
【0004】
一方、カーボンナノチューブの大量生産については、アーク放電法や、レーザアブレイション法等、多様な方法が研究されている。しかしながら、カーボンナノチューブ自体は糸状の物質であるから、そのままでは応用範囲が制限されてしまう。このため、製造されたカーボンナノチューブを切断する等の加工技術が必要となる。
【0005】
例えば、大量の記憶素子を有する微小な電子デバイスを作製する場合には、たとえ配線自体をカーボンナノチューブで形成することにより、細線化できたとしても、そのカーボンナノチューブ自体の長さが長尺であっては、デバイス全体のサイズを小さくすることは困難となる。
【0006】
カーボンナノチューブの加工方法としては、強酸を用いた酸化によるSWNTの切断方法(J.Liu et al.,Science,280,p.1253(1998))、ポリマー中に分散させてスクリュー回転で切断する方法(M.Yudasaka et al.,Appl.Phys.,A71,p.441−451(2000))、金属パーティクル中に混合して固め、そのインゴットを研磨切断する方法(特開2000−223004号公報)、イオン照射による切断方法(特開2001−180920号公報)等が知られている。
【0007】
しかしながら、上記強酸を用いる方法では、カーボンナノチューブ全体がダメージを受けてしまうのに加え、長時間加熱しつづけなければならず、所望の特性を有する切断されたカーボンナノチューブを得ることが困難であるとともに、生産性が非常に悪いといった問題がある。
【0008】
また、マルチウォールカーボンナノチューブの場合は、切断に至るまで多くの層を酸化させなけれならないため、この方法による切断は不可能である。前記ポリマー中で分散させる方法では、切断を完全なものにするために超音波処理を施す必要があり、さらにポリマーを除去するために加熱して燃焼させる手順が必要となるため、手順が煩雑である。
【0009】
また、前記金属パーティクルを利用する方法では、最終的にインゴット表面に突き出したカーボンナノチューブを、エミッタとして使用する以外に切断されたカーボンナノチューブを汎用的に使えない。
【0010】
さらに、前記イオン照射による方法では、数kV〜数十kVのイオンの加速電圧を必要とするため、大掛りな装置が必要であると同時に、イオン照射によりカーボンナノチューブに未結合手部位を形成する工程と、その部位と酸素や水素との反応によって切断するという2つの工程を必要としており、手順が煩雑である。
以上のように、公知の加工方法にはそれぞれ問題があった。
【0011】
一方、金微粒子を酸化触媒として用いることで、グラファイト表面をエッチングする方法が、H.Watanabe,Jpn.J.Appl.Phys.,32,p.2809(1993)に記載されている。
【0012】
また、カーボンナノチューブはその製造過程において、アモルファスカーボンやグラファイトなど不純物が多量に混入してしまうため、E.Mizoguchiらはカーボンナノチューブを抽出する方法として、上記文献を参考にした上で、金の微粒子を界面活性剤とともに混入させ、酸素雰囲気中で加熱することで、アモルファスカーボンやグラファイトを酸化し分解することで除去し、これらの不純物に比べて安定なSWNTを残すことで抽出する方法を示した(E.Mizoguchi et al.,Chem.Phys.Lett.,321,p.297−301(2000))。
【0013】
この方法においては、さらに高温で加熱すると、SWNT自体が酸化分解して消滅してしまうことが記載されている。したがって、金微粒子とカーボンナノチューブの組み合わせでは、不純物の除去はできても、カーボンナノチューブの形状の加工に応用することは期待できないし、示唆もされていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
カーボンナノチューブを用いたデバイスを作製したり、カーボンナノチューブ自体に所望の機能を持たせたりするためには、カーボンナノチューブ自体を、その特性をなるべく損なわないように、かつ、簡便に加工できることが望ましいが、現在知られている方法には前記のように一長一短がある。
また、様々な用途にカーボンナノチューブを応用するためには、新たな形状のカーボンナノチューブが必要となる。
【0015】
一方、カーボンナノチューブを、素子を接続する電極として用いる場合には、カーボンナノチューブ自体をどのように配置するかが大きな問題となる。すなわち、カーボンナノチューブは非常に細いために取り扱いが難しく、例えば、カーボンナノチューブを少なくとも2本の電極として用いる場合、微小化された電子素子の微小なノード間隔に応じた微小間隙を有するように、2本のカーボンナノチューブを配置することはきわめて困難であった。
【0016】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブを含む中空グラフェンシート体の構造へのダメージを低減させた上で、簡易に中空グラフェンシート体を切断等することにより、新たな中空グラフェンシート構造体及び電極構造体を提供することを目的とする。また、上記電極構造体を利用して、カーボンナノチューブ等の中空グラフェンシート体の微小デバイスへの応用を実現させることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明はカーボンナノチューブを含む中空グラフェンシート体の形状を加工する新たな製造方法を提案するとともに、該製造方法により得られる新規な中空グラフェンシート構造体及び電極構造体についても提案するものである。さらに本発明は、前記電極構造体を応用したデバイス等についても提案するものである。
【0018】
なお、本発明において、前記中空グラフェンシート体とは、グラフェンシートを中空状に丸めた構造となっているものを指し、ストロー状のカーボンナノチューブの他、円錐状のカーボンナノホーン、ストロー状のカーボンナノチューブにビーズ状の炭素構造体が付加されたカーボンナノビーズ、螺旋形状のカーボンナノコイルなどを含むものとする。
【0019】
前記のように、E.Mizoguchiらの方法においては、カーボンナノチューブ自体が酸化分解して消滅してしまい、金微粒子では、カーボンナノチューブの形状の加工を行うことはできない。
【0020】
本発明者らは、この方法についてさらに検討し、E.Mizoguchiらの金微粒子とシングルウォールカーボンナノチューブとの混合による酸化の場合に、カーボンナノチューブがすべて消失してしまう原因を把握することで、酸化触媒作用を有する金属微粒子とカーボンナノチューブとの組み合わせによって、カーボンナノチューブの形状を加工することができることを見出した。また、同時に、金のみならず、他の金属でもカーボンナノチューブの酸化を誘起する触媒作用があり、中空グラフェンシート体の加工に利用できることを見出した。
【0021】
すなわち本発明は、
<1> グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子を固着させた基板表面に中空グラフェンシート体を供給し、酸素を含有する雰囲気中で、前記金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工した中空グラフェンシート構造体であって、
少なくとも一対の中空グラフェンシート体が連続した形状に配置されており、前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有することを特徴とする中空グラフェンシート構造体である。
【0023】
<2> グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子を固着させた基板表面に中空グラフェンシート体を供給し、酸素を含有する雰囲気中で、前記金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工することを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0024】
<3> 前記金属微粒子が、金の微粒子であることを特徴とする<2>に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0026】
<4> 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体に、グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工する中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、
前記金属微粒子が、銀、銅及び白金から選ばれるいずれかの金属の微粒子であることを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0027】
<5> 前記中空グラフェンシート体がマルチウォールカーボンナノチューブであり、前記金属微粒子を、マスクを用いて前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属薄膜として配置することを特徴とする<4>に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
<6> 前記中空グラフェンシート体がマルチウォールカーボンナノチューブであり、前記金属微粒子が白金の微粒子であることを特徴とする<4>に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0028】
<7> 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体に、グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工する中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、
前記金属微粒子を、マスクを用いて前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に配置することを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0029】
<8> 前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に前記金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断することを特徴とする<2>、<4>及び<7>のいずれかに記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0030】
<9> <7>または<8>に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、さらに前記金属微粒子を除去する工程を備えることを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法である。
【0031】
<10> 間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体であって、前記電極が、連続した形状に配置された一対の中空グラフェンシート体であり、該一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有することを特徴とする電極構造体である。
【0032】
<10> 前記間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有することを特徴とする<9>に記載の電極構造体である。
【0033】
<11> 間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体であって、前記電極が、連続した形状に配置された一対の中空グラフェンシート体であり、該一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と、前記一対の中空グラフェンシート体の一方の端部とが、物理的に接触または接続され導通状態にあることを特徴とする電極構造体である。
【0034】
<12> <10>または<11>に記載の電極構造体を製造するための製造方法であって、酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断し、分離された一対の中空グラフェンシート体を電極とすることを特徴とする電極構造体の製造方法である。
【0035】
<13> <12>に記載の電極構造体の製造方法であって、前記金属微粒子が、基板表面に固着されていることを特徴とする電極構造体の製造方法である。
【0036】
<14> 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断し、分離された一対の中空グラフェンシート体を電極とし、さらに前記金属微粒子を除去する工程を備えることを特徴とする電極構造体の製造方法である。
【0037】
<15> 前記金属微粒子が、金の微粒子であることを特徴とする<12>〜<14>のいずれかに記載の電極構造体の製造方法である。
【0038】
<16> 前記金属微粒子が、銀、銅及び白金から選ばれる少なくともいずれかの金属の微粒子であることを特徴とする<12>〜<14>のいずれかに記載の電極構造体の製造方法である。
【0039】
<17> <10>に記載の電極構造体に対し、所定の電気的作用を生ずる機能素子を、前記微小間隙を介して対向する前記中空グラフェンシート体の端部と、前記金属微粒子と、にそれぞれ接続することによって構成されることを特徴とするデバイスである。
【0040】
<18> <10>に記載の電極構造体における、前記微小間隙を介して対向する前記中空グラフェンシート体の端部と前記金属微粒子との当該微小間隙に、機能性有機分子を挿入することよって構成されることを特徴とするデバイスである。
【0042】
上記についてさらに説明すれば、前記のように金微粒子はカーボンナノチューブに対し、非常に有効な酸化触媒として作用する。しかし、E.Mizoguchiらは、カーボンナノチューブの加工を目的とせず、不純物の除去のみを目的としていたので、金微粒子をカーボンナノチューブ全体に分散させた。このため、当該金微粒子は、酸化のための加熱工程において、微粒子近傍にあるカーボンナノチューブの分解が終わると、他のカーボンナノチューブに移動して、次々とカーボンナノチューブを分解していってしまった。結局、この試みにおいては、すべてのカーボンナノチューブが分解されてしまい、カーボンナノチューブの形状の加工への利用については示唆されなかった。
【0043】
しかし、本発明者らは、前記金微粒子を基板表面に固着させることにより、酸化を起こすための加熱工程において、自由に動き回れないような状態におけば、カーボンナノチューブを部分的に分解し、切断することができることを見出した。
【0044】
また、カーボンナノチューブの酸化を誘起する微粒子の材料によっては、酸化が発生する加熱温度では、前記金微粒子のような活発な触媒作用(おそらく加熱エネルギーによる微粒子の移動)を示さないものもあり、この場合酸化作用が生じるのは、当該微粒子の近傍だけに留まることから、カーボンナノチューブの形状の加工に利用できることを見出したのである。
【0045】
すなわち、本発明者らは、カーボンナノチューブの酸化を誘起する金属微粒子を作用させることで、カーボンナノチューブの形状を加工することが可能となることを見出したものである。また、この作用を利用して、新たなカーボンナノチューブ構造体、微小間隙を有する電極構造体等を提供することも可能としたものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態を挙げて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本実施形態においては、連続した形状に配置された一対のカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対しているカーボンナノチューブ構造体(中空グラフェンシート構造体)及びその製造方法について説明する。
【0047】
図1〜図4は、本実施形態におけるカーボンナノチューブ構造体の製造工程を模式的に示す拡大断面図である。図1は基板10の表面に金属薄膜20を形成した状態、図2は該金属薄膜20を金属微粒子21とした状態、図3は該金属微粒子21にカーボンナノチューブ30を被せた状態、図4は該カーボンナノチューブ30が切断されたカーボンナノチューブ構造体を各々示す。
【0048】
まず、図1に示すように、基板10表面にスパッタリング法により金属薄膜20を形成する。製膜方法としては、スパッタリング以外にも真空蒸着法やCVD法等公知の薄膜形成方法を用いることができる。
【0049】
金属としては、カーボンナノチューブ30に対して、微粒子化したときに酸素雰囲気中で酸化作用を誘起する金属であれば特に制限されるものではなく、さらに、金属以外の微粒子であってもよい。本発明においては、金、銀、白金、銅が特に好ましく用いられる。また、合金や、これらの金属微粒子を樹脂等に分散させた状態でも使用することが可能である。
【0050】
基板10としては、金属原子のトラップの少ないガラス基板を用いれば、後述する微粒子化のための加熱(前処理工程)後の、金属微粒子21の分布を一様とすることができるが、あえて凝集位置に規則性を持たせるような、トラップを有する基板を用いることも可能である。
【0051】
ここで、当該トラップとは、金属原子を固定させ、加熱時においても当該金属原子が移動しにくい状態にさせる場を意味し、例えば、結晶表面における微小な凹部分や、金属原子が集合しやすい比較的エネルギーレベルの低い部分等をいう。
【0052】
金属薄膜20の膜厚は、微粒子として触媒作用をさせるため、予め基板10の表面で不連続な膜となる程度に薄い膜厚で形成することが望ましい。具体的には、1〜100nmの範囲であることが好ましい。特に、以下に述べる微粒子化(前処理工程)を行う場合には、5〜30nmの範囲であることが好ましい。
【0053】
次に、図2に示すように、金属薄膜20を該金属の融点付近まで加熱する(前処理工程)。このとき、金属と基板10との間の表面エネルギー差や、加熱による金属原子(凝集体)の移動により、金属薄膜20は基板10の表面で凝集して金属微粒子21となる。
【0054】
通常、金などの金属は酸素雰囲気中で加熱しても不活性であるが、微粒子化することにより、融点より低い加熱温度で活性化される。従って、上記前処理工程等により金属を微粒子化することは、カーボンナノチューブを微小な点で切断するという目的のためだけでなく、酸化反応の活性点を得るという目的からも重要である。
【0055】
また、上記金属原子の微粒子化に伴い、金などの金属は基板10表面に固着されることとなる。この場合、前記固着とは、後述するカーボンナノチューブを酸化する温度まで加熱しても、金属微粒子21が移動しない状態をいう。すなわち、前記加熱前あるいは加熱時において、金属微粒子21が小さく、球状に近い粒子である場合には、基板10との接触面積が小さいため金属微粒子21は加熱時に基板10の表面を動きやすい。しかし、粒子の大きさがある程度大きくなったり、粒子の形状が、半球状に近くなったりすることにより、基板10との接触面積が大きくなり、加熱時においても基板10の表面を動き回ることはない。このような状態が固着された状態と考えられる。
【0056】
既述のように、本発明では、カーボンナノチューブを含む中空グラフェンシート体を金属微粒子21の酸化作用により切断するために、金属によっては前処理工程等によって基板10の表面に当該金属の微粒子を固着させることが必要である。
【0057】
前記金属微粒子21の粒径は、10nm〜5μmであることが好ましく、50nm〜1μmの範囲であることがよりこの好ましい。粒径が10nmに満たない場合は、当該金属微粒子21がカーボンナノチューブ30に接触できず、十分な酸化作用を及ぼすことができなかったり、当該金属微粒子21の基板10への固着が不十分となったりする場合があり、粒径が50nmを超える場合には、触媒としての活性が低下する場合がある。
【0058】
なお、前記前処理工程は、加熱をしなくとも、金属原子が粒子状に凝集化した状態で基板10の表面に形成されている場合には、あえて行う必要はない。この基板10の表面に直接金属微粒子を形成する方法としては特に制限されるものではないが、薄膜に近い状態や粒径が大きい状態は好ましくなく、10nm〜5μmの範囲の粒径に形成されることが好ましい。
【0059】
また、上記金属微粒子21同士の間隔は、後述するように加工目的に応じてコントロールすることが可能である。しかし、当該間隔が10nmに満たない場合は、通常用いる長さの1本のカーボンナノチューブ30を、1個の金属微粒子21に対し適切に配置できなくなることがあり、当該間隔が5μmを超える場合には、金属微粒子21に接触しないカーボンナノチューブ30が多くなり、効率的にカーボンナノチューブ30の形状の加工を行うことができないことがある。
【0060】
なお、金属微粒子21同士の間隔(基板10表面での金属微粒子21の分布)は、金属あるいは基板10の種類に加え、金属薄膜20の膜厚、前処理工程の加熱温度等でコントロールすることが可能である。例えば、基板10表面に同種・同量の金属薄膜20を形成した場合でも、前処理工程の加熱温度を高くすれば、金属微粒子21の粒径が大きくなり粒子間隔も大きくなる。逆に、前記加熱温度を低くすれば、金属微粒子21の粒径が小さくなり粒子間隔も小さくなる。
【0061】
次に、前記金属微粒子21を形成させた基板10の表面に、有機溶媒にカーボンナノチューブ30を分散させた分散液をスプレー塗布し、図3に示すように、カーボンナノチューブ30を前記金属微粒子21に被さるように配置する。この場合、切断対象となるカーボンナノチューブ31は少なくとも1点以上で前記金属微粒子21と接触していることが必要である。ただし、切断されないカーボンナノチューブが基板10表面に存在してもかまわない。
【0062】
本実施形態に用いるカーボンナチューブ30は、シングルウォールカーボンナノチューブであっても、マルチウォールカーボンナノチューブであってもよい。
【0063】
当該カーボンナノチューブ30の長さは、10nm〜100μmの範囲であることが好ましく、20nm〜10μmの範囲であることがより好ましい。長さが10nmに満たない場合は、金属微粒子21の粒径と比較しても短く、後述する金属微粒子21による酸化でカーボンナノチューブ30全体が消失してしまうことがあり、長さが100nmを超える場合には、カーボンナノチューブ同士の絡み合いも多くなり、取り扱いが不便となることがある。
【0064】
前記カーボンナノチューブ30の径は、1〜100nmの範囲であることが好ましい。径が1nmに満たない場合は、ナノチューブとして弱すぎ、構造体としても維持できないことがあり、径が100nmを超える場合には、本実施形態において切断が困難となることがある。
【0065】
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等を用いることが好ましい。また、当該有機溶媒に分散させる場合のカーボンナノチューブ30の濃度としては、0.1〜1質量%の範囲であることが、基板10の表面に均一に金属微粒子21を配置することができるため好ましい。
【0066】
前記カーボンナノチューブ30の分散液の作製において、カーボンナノチューブ30の有機溶媒へ分散を均一化するために界面活性剤を混合してもよい。ただし、界面活性剤を用いることで、金属微粒子21と基板10との間の固着力に影響を及ぼすおそれがあるので、当該界面活性剤は、触媒によりカーボンナノチューブ30が酸化される温度よりも低い温度で分解されることが望ましい。具体的に界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ベンザルコニウムクロライド等を用いることができる。
【0067】
塗布方法はスプレー塗布に限らず、分散液を用いる場合にはスピンコーティングや、ディッピングさせることも可能であるし、粉体状のカーボンナノチューブ30を前記基板10の表面に直接付与することもできる。
【0068】
前記金属微粒子21に対して、カーボンナノチューブ30を被せるように配置する方法としては、例えば、1個の金属微粒子21に対し、1本のカーボンナノチューブ30を配置することもできる。この場合には、走査型プローブ顕微鏡(SPM)において、試料基板を前記金属微粒子21を表面に形成した基板10とし、プローブとしてカーボンナノチューブを用いることにより、顕微鏡観察下でカーボンナノチューブ30を移動させ、金属微粒子21に被せる等の方法を採ることができる。
【0069】
次いで、前記スプレー塗布した基板10について、溶媒を揮発させた後、前記金属微粒子21及び前記カーボンナノチューブ30が配置された基板10全体を、酸素含有雰囲気中に置き、触媒である金属微粒子21によりカーボンナノチューブ30の酸化が誘起される温度で加熱する(加熱工程)。
【0070】
この場合の加熱温度は、前記触媒が存在しない状態でのカーボンナノチューブ30の燃焼温度未満である必要がある。前記加熱温度がカーボンナノチューブ30の燃焼温度以上である場合には、カーボンナノチューブ30全体が焼失してしまう場合がある。
【0071】
具体的に本実施形態のように、カーボンナノチューブ30の切断を行うような加工の場合の加熱温度としては、前記触媒の存在下でのカーボンナノチューブ30の燃焼開始温度をToとすると、To〜To+200℃の範囲であることが好ましい。
【0072】
前記酸化が誘起される機構については明らかではないが、酸化が起こるためには、金属微粒子21表面で酸素が一旦解離する必要があることから、酸化開始時には、金属微粒子21はその表面が多少溶融し活性化された状態となっていると考えられる。従って、前記加熱温度は、金属微粒子21に用いられる金属が溶融し始める温度付近以上であることが好ましいが、金属微粒子21の粒径が小さくなるほど、金属微粒子21が熱の影響を受けやすくなるため、前記加熱温度を低めに設定することが好ましい。
【0073】
前記酸化が誘起され、カーボンナノチューブ30が切断されるための酸素含有雰囲気における酸素濃度は、0.1%以上であることが好ましいが、通常の大気中において上記酸化は十分に誘起されるものである。以下の酸素含有雰囲気については、上記と同様である。
【0074】
なお、この工程において、前記E.Mizoguchi et al.,Chem.Phys.Lett.,321,p.297−301(2000)に示されているように、金属薄膜20を金としたときには、金微粒子が基板10に固着していない状態では、加熱中に金微粒子が基板10表面を移動して、カーボンナノチューブ30が完全に分解され消失してしまう。従って、特に金属として金を用いてカーボンナノチューブ30に対して加工を施す場合には、金微粒子を前記のように基板10と固着させた状態とし、その近傍にあるカーボンナノチューブ30だけが切断されるようにすることが好ましい。
【0075】
図4は、このようにしてカーボンナノチューブ30が切断され、分離されたカーボンナノチューブ31a,31bからなるカーボンナノチューブ構造体の概念図である。ここで切断とは、実際はグラフェンシートを酸化する金属微粒子21により、その近傍のカーボンナノチューブ30の一部分が消失し、間隙が形成された状態をいう。
【0076】
前記構造体における一対のカーボンナノチューブ31a,31bの互いに近接する側の端部同士の間隙は、触媒微粒子の大きさを選択することによってコントロールすることが可能である。このため、機械的に切断した2本のカーボンナノチューブを再配置するのと比べて、高い精度で2本のカーボンナノチューブを対向させることができる。
【0077】
また、一対のカーボンナノチューブ31の間に配置された金属微粒子21と近接する一方のカーボンナノチューブ31の端部31との間隙(微小間隙)は、切断によって金属微粒子との間に間隙が形成された時点で反応は止まると考えられるため、0.1〜50nmの範囲となる。
【0078】
さらに、図4に示すカーボンナノチューブ構造体について、前記カーボンナノチューブ31a,31bを基板10に固定した状態で、基板10ごと金属微粒子21を溶解する溶液(金微粒子の場合には王水等)に浸漬し、金属微粒子21を除去することにより、一対のカーボンナノチューブ31の相対している端部間に、金属微粒子が存在しないカーボンナノチューブ構造体を得ることもできる。
【0079】
このようにして、カーボンナノチューブだけでなく、他の中空グラフェンシート体についても、前記方法によれば、少なくとも一対の中空グラフェンシート体が連続した形状に配置され、前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対している中空グラフェンシート構造体を得ることができる。
【0080】
なお、前記切断されたカーボンナノチューブは、エタノール等の溶媒中に浸した状態で、超音波を印加することで,基板10から剥離され、溶媒を除去することで、切断されたカーボンナノチューブを抽出することができる。基板10の表面に金属微粒子21が一様に分布していれば、上記の結果得られるカーボンナノチューブは、金属微粒子21の平均間隔に応じて揃った長さを有することとなる。
【0081】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、金属薄膜20を形成した基板10を、一度加熱という前処理工程によって金属を微粒子化させたが、用いる金属や組み合わせる基板10の種類によっては、触媒作用の生じるカーボンナノチューブの燃焼温度付近にて、金属微粒子21の移動がほとんど見られないものもある。例えば、金属薄膜20の形成条件で金属微粒子21の径が非常に大きくなると、触媒の作用によりカーボンナノチューブ30を酸化させる温度付近であっても、金属微粒子21は動かない。また、金属原子をトラップしやすい基板10を用いる場合にも、前記カーボンナノチューブ30を酸化させる温度付近では、金属微粒子21が当該トラップから逃げられない場合がある。
【0082】
そこで、このような金属微粒子として動かない金属を用いたり、金属原子をトラップしやすい基板を用いたりする場合には、予めカーボンナノチューブ30を基板10の表面に塗布し、その後から金属薄膜を形成することもできる。
本実施形態では、上記のような方法により得られる、前記一対のカーボンナノチューブの互いに近接する端部同士が、間隙を介して相対しているカーボンナノチューブ構造体について説明する。
【0083】
図5〜図7は、本実施形態におけるカーボンナノチューブ構造体の製造工程を模式的に示す拡大断面図である。図5は基板10の表面にカーボンナノチューブ30を配置した状態、図6は該カーボンナノチューブ30表面に金属微粒子21を形成させた状態、図7は該カーボンナノチューブ30が切断されたカーボンナノチューブ構造体を各々示す。
【0084】
まず、第1の実施形態と同様の、有機溶媒中にカーボンナノチューブを30分散させた分散液を、基板10の表面にスプレー塗布し、図5に示すようにカーボンナノチューブ30を基板10表面に配置する。
【0085】
なお、用いるカーボンナノチューブ30の好ましい長さ、径は、第1の実施形態で用いたものと同様である。また、用いる有機溶媒、濃度、塗布方法についても同様とすることができる。
【0086】
このとき、前記有機溶媒中に、該有機溶媒が揮発したのちにカーボンナノチューブ30が飛散しないように、バインダーとなる有機高分子を混合してもよい。バインダーは、触媒によりカーボンナノチューブ30のグラフェンシートが酸化される温度よりも低い温度で分解することが望ましく、例えば、ビニル系高分子、アクリル系高分子、ポリウレタン等を用いることができる。
【0087】
次に、この基板10の表面にスパッタリングにより金属薄膜を形成し、引き続き、真空中で基板10を前記金属の融点付近まで加熱する。このようにすることで、カーボンナノチューブ30が触媒である金属微粒子21によって酸化作用を引き起こさずに、図6に示すように、金属微粒子21の形成、あるいは前記バインダーの分解を行うことができる。
なお、好ましい金属薄膜の膜厚、金属微粒子21の粒径、金属微粒子21の間隔は、第1の実施形態と同様である。
【0088】
前記のように、金微粒子は基板10の表面に固着させる場合以外は、加熱時に移動しやすいため、上記金属薄膜形成に用いられる金属としては好ましくない。従って、本実施形態に用いられる金属としては、金以外の銀、銅、白金等であることが好ましい。
【0089】
ただし、金属微粒子21の融点やバインダーの分解温度が、真空中でのカーボンナノチューブ30の安定な上限温度を超える場合には、この方法を用いることはできない。従って、そのような場合にはこの工程を除いてもよい。
【0090】
続いて、前記基板10を酸素含有雰囲気中に移動し、第1の実施形態同様、金属微粒子21によりカーボンナノチューブ30の酸化が誘起される温度で加熱する。この状態でも、図6の金属微粒子21はカーボンナノチューブ30の表面を動き回ってカーボンナノチューブ30全体を酸化させることはなく、金属微粒子21に接している位置近傍のグラフェンシートが徐々に酸化され消失し、やがて図7に示すようにカーボンナノチューブ30は切断され、分離したカーボンナノチューブ31a,31bからなるカーボンナノチューブ構造体となる。
【0091】
上記方法により得られた図7に示すカーボンナノチューブ構造体は、結果的に、図4に示すカーボンナノチューブ構造体と同様、中途で切断された構造となっており、本実施形態によっても、少なくとも一対の中空グラフェンシート体が連続した形状に配置され、前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対している中空グラフェンシート構造体を得ることができる。
【0092】
一方、本実施形態における方法では、金のように触媒の作用する温度付近で移動が起きやすい金属微粒子21を用いると、カーボンナノチューブ30全体が酸化されてしまうため、カーボンナノチューブ30の形状を加工することができない。そのような場合には、前記の金属原子をトラップしやすい基板を選択する、金属微粒子21の粒径を大きくするといった、触媒微粒子の移動を抑制するような工夫が必要である。
【0093】
このようにすることで、金属微粒子21がカーボンナノチューブ30表面から移動しても、基板10表面に達したところで基板10に固着され、第1の実施形態と同様に金属微粒子21に接している位置近傍のカーボンナノチューブ30が酸化され、切断される。
【0094】
また、前記金属微粒子21の粒径を大きくすることに関しては、例えば基板10としてトラップの少ないガラスを用いた場合には、金微粒子の粒径が100nm以上であれば、基板10表面に固着された状態となる。
【0095】
<第3の実施形態>
次に、第1及び第2の実施形態と異なり、1本の連続したカーボンナノチューブの太さを、長さ方向の中途の位置で細く加工することで得られる、新たなカーボンナノチューブ構造体及びその製造方法について説明する。
当該製造方法により得られるカーボンナノチューブ構造体は、具体的には、1層以上のグラフェンシートがチューブ状に構成されるカーボンナノチューブ構造体であって、該カーボンナノチューブ構造体の長さ方向において、さらに1層以上のグラフェンシートがチューブ状に積層された領域を有するカーボンナノチューブ構造体である。
【0096】
図8〜図11は、本実施形態におけるカーボンナノチューブ構造体を製造する工程を模式的に示す拡大断面図である。図8は基板10の表面にカーボンナノチューブ30を配置した状態、図9は該カーボンナノチューブ30に対しマスク40を用いて金属を蒸着している状態、図10は該カーボンナノチューブ30のマスキング部分以外の領域が細く加工されたカーボンナノチューブ構造体、図11は該カーボンナノチューブ30に対しパターニングされたマスク41を用いて金属を蒸着している状態を各々示す。
【0097】
まず、第2の実施形態と同様に、基板10表面に、有機溶媒中にカーボンナノチューブ30を分散した分散液をスプレー塗布し、図8に示すようにカーボンナノチューブ30を基板10の表面に配置する。
【0098】
この場合、本実施形態のように、カーボンナノチューブ30の長さ方向の一定領域の径を細くする加工を行うには、カーボンナノチューブ30はマルチウォールカーボンナノチューブである必要がある。シングルウォールカーボンナノチューブを用いると、第1あるいは第2の実施形態と同様に、白金の微粒子を付着させた箇所でカーボンナノチューブが分解され、切断されたカーボンナノチューブしか得られないからである。
【0099】
上記を考慮すると、本実施形態に用いられるカーボンナノチューブ30は、長さが10nm〜100μmであることが好ましく、20nm〜10μmの範囲であることがより好ましい。長さが20nmに満たない場合は、カーボンナノチューブ30の長さ方向で径を細くする加工が困難となることがあり、長さが10μmを超える場合は、カーボンナノチューブ同士の絡み合い等が生じ、同様に加工が困難となることがある。
【0100】
また、径は加工目的に応じたものを選択する必要がある。しかし、径が10nmに満たない場合は、上記のようにカーボンナノチューブ30が酸化により切断されてしまうことがある。
【0101】
上記のようなカーボンナノチューブ30を構成するのグラフェンシートの層の数は、数層〜数十層程度である。ただし、本実施形態に用いられるカーボンナノチューブ30の層の数は、これに限定されるものではない。
【0102】
引き続いて、図9に示すようにカーボンナノチューブ30の一定領域Aを、マスク40にてマスキングしてスパッタリングを行い、カーボンナノチューブ30の前記一定領域A以外の領域Bに金属薄膜を形成する。なお、図9において、矢印はアルゴンイオン等によってスパッタリングされた金属原子・分子の動きを示し、マスク40によりマスキングされたカーボンナノチューブ30の領域Aには、前記金属原子・分子が到達していない。
その後、本実施形態においては、金属の微粒子化工程(前処理工程)を行うことなく酸素含有雰囲気中における加熱工程により、カーボンナノチューブ30の酸化が行なわれる。
【0103】
このとき、金属薄膜に用いる金属としては、カーボンナノチューブ30の中心方向(深さ方向)への酸化作用を優先的に誘起する触媒を用いる。上記触媒としては、白金の微粒子を用いることが好ましい。すなわち、白金の微粒子は金属薄膜として蒸着されても、触媒作用による酸化温度付近では、白金の微粒子の移動、凝集が殆ど起きないため、加熱工程において、該微粒子の近傍に存在するカーボンナノチューブを、深さ方向に侵食するように酸化させていくと考えられる。このため、前記のようにマスキングした場合、図10に示すように、カーボンナノチューブ30の白金の微粒子が存在する領域Bで、径が細くなったカーボンナノチューブ32(カーボンナノチューブ構造体)を得ることが可能となる。
【0104】
なお、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体を製造するために、上記のようにマスクを用いて白金薄膜を一定領域に形成させてもよいが、基板表面に、複数のカーボンナノチューブが重なったカーボンナノチューブ層を形成し、該層の表面のみに白金微粒子を付着させ、酸化を行うことにより、カーボンナノチューブのうち表面近傍の部分のみ径を細くさせて、前記カーボンナノチューブ構造体を得てもよい。
【0105】
前記白金の微粒子の、他の金属微粒子に対する特異性については明らかではないが、白金の融点が他の金属に比べかなり高いため、カーボンナノチューブ30の酸化が起こる温度では溶融による凝集が起こりにくく、この結果、白金の凝集より酸化反応の方が優先して進行していくためと考えられる。
【0106】
以上のように、本実施形態では白金がスパッタリングにより微粒子化されている必要があるため、スパッタリング後の金属薄膜の膜厚は、1〜10nmであることが好ましく、形成される白金の微粒子の粒径は、0.1〜5nmの範囲であることが好ましい。
【0107】
また、本実施形態のようにカーボンナノチューブ30の径を細くする加工を行う加熱工程においては、加熱温度は、触媒存在下でのカーボンナノチューブ30の燃焼開始温度をToとした場合、To〜To+200℃の範囲であることが好ましい。
【0108】
本実施形態においては、図11に示すように、所望のパターンにパターニングされたマスク41を用いて、白金の微粒子をカーボンナノチューブ30に付着させることで、パターン間隔Cに応じた長さに径の太さを変えた、あるいは切断されたカーボンナノチューブ構造体を得ることも可能である。なお、図11において、矢印は図9と同様にスパッタリングされた金属原子・分子の動きを示す。
【0109】
(第4の実施形態)
本実施形態においては、微小間隙を有する電極構造体、間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体及びその製造方法の一例を説明する。
図12〜14は本実施形態の電極構造体の製造工程を模式的に示す拡大図である。図12は電極50、50’の配置、図13は該電極50、50’間に金属微粒子21が形成された状態、図14は微小間隙を有する電極構造体を各々示す。
【0110】
まず、図12に示すように、基板10の表面に外部との接続端子となる電極50、50’を形成する。この電極50、50’の間隔は、電極構造体形成に用いられるカーボンナノチューブの長さを考慮すると、10nm〜20μmであることが好ましい。次に、カーボンナノチューブに対して酸化触媒作用を有する金属の薄膜を、基板10の表面にスパッタリング等で付着させる。引き続き、基板10を当該金属の融点近傍まで加熱し、図13に示すように、金属微粒子21を形成させる。これらの金属微粒子21は、冷却されることで基板10の表面に固着される。
【0111】
なお、前記金属微粒子21の粒径及び粒子間隔は、後述するカーボンナノチューブを電極50間に配置した場合に、少なくとも1つの金属微粒子21と、必ず1点以上で当該カーボンナノチューブが接触するように設定される必要があり、この観点から、粒径は10nm〜1μmの範囲であることが好ましい。また、粒子間隔は10nm〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0112】
次いで、カーボンナノチューブを電極50、50’間に配置する。カーボンナノチューブを電極50間に配置する方法としては、前記カーボンナノチューブの粉体をそのまま基板10の表面に付与し、ランダムに配置して、最終的に電極50に電気的に接続されているカーボンナノチューブを利用するようにしてもよいし、既述の如く、プローブとしてカーボンナノチューブを用いたSPMにより、カーボンナノチューブを電極50の間に配置することも可能である。ただし、生産性を考慮すると前者の方が有効である。
なお、本実施形態で用いられるカーボンナノチューブの好ましい長さ、径の範囲は、第1の実施形態のものと同様である。
【0113】
次に、この基板10を酸素含有雰囲気中で、金属微粒子21によるカーボンナノチューブの酸化を誘起する温度まで加熱する。カーボンナノチューブのうち、金属微粒子21に接触した箇所は酸化による分解が生じ、カーボンナノチューブが消失する。同時に、切断されたカーボンナノチューブ31a及び31bの前記金属微粒子21側の端部と金属微粒子21との間には、それぞれ金属微粒子21のサイズと比較して極めて微小な間隙が形成されることとなる。
なお、1本のカーボンナノチューブが1箇所に限らず2箇所以上で切断され、31c,31d,31eとなる場合には、図14に示すように複数箇所でこのような微小間隙が形成される場合もある。
【0114】
このようにして、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側の端部同士の間隙に、金属微粒子が配置され、該金属微粒子と前記一対のカーボンナノチューブの近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有する電極構造体を得ることができる。
【0115】
当該電極構造体における一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側の端部同士の間隙は、触媒微粒子の大きさを選択することによりコントロール可能である。
【0116】
また、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する端部間に配置された金属微粒子21と、近接する一方のカーボンナノチューブ31の端部31と、の微小間隙は、前記と同様に0.1〜50nmの範囲となる。
【0117】
さらに、図14に示す電極構造体について、切断されたカーボンナノチューブが基板10表面に固定された状態で、前記電極構造体を有する基板10ごと、金属微粒子を溶解する溶液(金微粒子の場合には王水等)に浸漬し、金微粒子を取り除くことにより、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側の端部間に金属微粒子が存在しない電極構造体を得ることもできる。
【0118】
以上より、カーボンナノチューブだけでなく、他の中空グラフェンシート体についても、前記方法によれば、間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体であって、前記電極が、連続した形状に配置された一対の中空グラフェンシート体であり、該一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対している電極構造体を得ることができる。また、同時に、前記間隙に、金属微粒子が配置され、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有する電極構造体を得ることができる。
【0119】
(第5の実施形態)
本実施形態においては、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する端部の間隙に金属微粒子が配置され、該金属微粒子と前記一対のカーボンナノチューブの一方の端部が電気的に接続された電極構造体、及びその製造方法の一例を説明する。なお、本実施形態における電気的に接続とは、主として物理的に接触または接続され導通状態にあることをいう。
【0120】
前記電極構造体は、具体的に以下に述べる2つの方法により製造することができる。
1つは、第4の実施形態で製造される、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する端部の間隙に金属微粒子が配置され、該金属微粒子と前記一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側のそれぞれの端部との間に微小間隙を有する電極構造体を用い、前記金属微粒子と、該金属微粒子と近接する一方の端部と、を接続手段より接続する方法である。この場合、前記接続手段としては、導電性のナノチューブ等を用いて前記金属微粒子と、前記一方の端部とを接続することなどが挙げられ、また、該接続は、単に上記ナノチューブを前記金属微粒子及び前記一方の端部に接触させてもよいし、化学的に結合等させてもよい。ただし、前記接続手段は、上記に限定されるものではない。
【0121】
もう1つは、前記第4の実施形態における金属微粒子の形成、カーボンナノチューブの切断を、特異的に利用する方法である。すなわち、前記第4の実施形態のカーボンナノチューブが切断された状態後において、前記金属微粒子と、一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側のそれぞれの端部との間に微小間隙が形成されるのではなく、切断後も一方の端部は前記金属微粒子に接触している状態とするものである。
【0122】
図15は、上記状態を模式的に示す拡大断面図である。図15において、31f、31gは金属微粒子21により酸化され切断されたカーボンナノチューブであるが、31gは明らかに金属微粒子21から離れ微小間隙を形成しているのに対し、31fは切断後も金属微粒子21に接触し電気的に接続された状態となっている。従って、この状態は結果的に前記接続手段により金属微粒子21と、該金属微粒子21と近接する一方のカーボンナノチューブの端部と、を接続した場合と同様の構造となる。
【0123】
このような状態を形成するためには、金属微粒子21がある程度以上の粒径を有していることが好ましい。すなわち、金属微粒子21が大きい場合には、切断前のカーボンナノチューブが金属微粒子21と接触する接触点数、接触面積が大きくなるため、切断後においても前記図15のような状態となる確率が高くなるからであり、また、触媒としての活性が低下することも影響していると考えられる。
【0124】
(第6の実施形態)
本実施形態では、前記第4の実施形態で得られた、金属微粒子と一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有する電極構造体を利用したデバイスについて説明する。
【0125】
第4の実施形態の、微小間隙を有する一対のカーボンナノチューブからなる電極構造体は、ナノスケールの電子デバイスを作製する際に非常に利用価値がある。すなわち、ナノスケールの高集積デバイスを作製する場合に、配線の太さや長さが小さくなると同時に、抵抗やキャパシタといった基本的な機能素子や、メモリ性等を有する高機能の機能素子自体も微小化される必要がある。このため、当該微小化された機能素子の電気的な端子間隔も当然のことながら狭くなることになる。従って、当該機能素子に通電する端子間を接続する場合には、微小間隙を有する電極構造体が必要となるのであり、この微小間隙が小さいほど、小さい機能素子を接続することができるようになる。
【0126】
図16は、本実施形態のデバイスの構成部分を示す拡大図である。図16において、機能素子60は、切断された一方のカーボンナノチューブ31aの端部と、微小間隙を介して対向する金属微粒子21と、に接続されている。電極50と金属微粒子21とを外部に配線することにより、前記構成部分を含むデバイスとなる。
【0127】
上記微小間隙を有する一対のカーボンナノチューブ構造体を電極として有する電極構造体と前記機能素子との接続により実現される本実施形態のデバイスは、従来法によるシリコンデバイスに比べ、例えばデバイス中の電極としてのカーボンナノチューブが柔らかく、機能素子のサイズに対してある程度自由度を持って当該機能素子を接続できること、リソグラフィの分解能よりも細い径のカーボンナノチューブ電極であること、化学結合を用いて接続ができること、など多くの優れた利点を有する。これらの利点により、例えば5nm以下ほどの小さな分子サイズの機能素子に対して、直接的にアクセスできる。そのため、本発明の電極構造体を用いれば、例えば大規模の電子集積回路を、低コストで、簡単に、そして高密度に作製できる。
【0128】
また、カーボンナノチューブ表面のグラフェンシートを改質処理したナノワイヤーからなるナノネットワークを、分子エレクトロニクス用の機能素子として設計し、該機能素子を前記微小間隙を介して対向する、カーボンナノチューブの端部と金属微粒子とに接続すれば、分子スイッチ、分子メモリ、分子プロセッサーなどを実現できるようになる。
【0129】
(第7の実施形態)
本実施形態では、前記第4の実施形態で得られた、金属微粒子と一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有する電極構造体を利用した他のデバイスについて説明する。当該デバイスは、前記微小間隙を介して対向する前記カーボンナノチューブの端部と前記金属微粒子との当該微小間隙に、機能性有機分子を挿入することよって得られるデバイスである。
【0130】
図17に、本実施形態のデバイスの構成部分の拡大図を示す。図17において、機能性有機分子61は、切断されたカーボンナノチューブ31aの端部と、微小間隙を介して対向する金属微粒子21と、の間に挿入されている。電極50と金属微粒子21とを外部に配線することにより、前記構成部分を含むデバイスとなる。
【0131】
前記機能性有機分子としては、例えば、イオン、結晶、粒子、高分子、生物体から抽出された分子や組織などが挙げられ、その性質としては、絶縁性、導電性、半導電性(半導体特性および電気抵抗特性のいずれをも含む概念とする。)、吸光性、発光性、発色性、伸縮性、発電性、光電性などの特性を有するものが挙げられる。これら特性が、温度や湿度や雰囲気ガスによって変化するものであってもよい。
【0132】
また、機能性高分子や機能性微粒子など、設計された機能を有するものでもよい。近年、高分子や微粒子の多くには半導体特性が多く見出されており、これらを本実施形態に用いることにより、スイッチング機能やメモリー機能などが付与されたデバイスを提供することができる。
【0133】
特に、前記機能性有機分子としては、分子内部に電荷の偏りのある分子が好ましく、電荷供与性のある分子種と、電荷受容性のある分子種とを組み合わせた分子、対称的な分子に電荷供与性あるいは電荷受容性のある分子種を組み合わせた分子、それらの繰り返しからなる巨大分子、あるいはそれら分子の集合により機能させられる分子集合体等が挙げられる。なお、上記電荷供与性および電荷受容性は、電子親和力やイオン化ポテンシャルの値で定義することができる。
さらに、DNA、コラーゲンなどの生体分子、あるいは生体に模倣した人工分子を使用してもよく、これにより、生体に類似した機能を付加することが可能となる。
【0134】
これらの機能性有機分子を、前記微小間隙に挿入する方法としては、例えば、機能性高分子を用いた場合には、機能性高分子を分子スケールまたは集合体の状態で前記微小間隙にそのまま配置してもよいし、機能性高分子の反応性末端を、前記カーボンナノチューブの端部、及び/または、前記金属微粒子に化学的に結合させてもよい。また、挿入された機能性有機分子と、前記金属微粒子、及び/または、近接するカーボンナノチューブの端部と、を電気的に接続してもよい。
【0135】
このように、第6及び第7の実施形態によれば、本発明の、金属微粒子と一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有する電極構造体を利用したデバイスを作製することができる。
なお、間隙は広くなってしまうが、第4の実施形態で説明した、間隙間にある金属微粒子が除去され、カーボンナノチューブが連続した形状に配置され、互いにその端面が対向した状態の電極構造体を、前記デバイス用の電極構造体として利用することも可能である。
【0136】
また、前記第6及び第7の実施形態と同様にして、カーボンナノチューブだけでなく、他の中空グラフェンシート体についても、該中空グラフェンシート体の端部と、金属粒子との間に形成される微小間隙を介して機能素子を接続、または該微小間隙に機能性有機分子を挿入することにより、機能素子、機能性有機分子の各々の機能が付与されたデバイスを構築することが可能となる。
【0137】
以上、本発明について、7つの実施形態を挙げて説明した。前記第1〜第7の実施形態においては、カーボンナノチューブを用いる場合を例示して説明したが、これ以外のカーボンナノホーン、カーボンナノビーズ、カーボンナノコイルなど他の中空グラフェンシート体を用いる場合も、これらの長さ、径等については、前記実施形態と同様のものを用いることができ、また、製造方法についても同様の方法により行うことができる。
【0138】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
(工程1)
金板をアルゴン雰囲気下でスパッタリングして、ガラス基板表面に膜厚3nmの均一な金薄膜を形成した。
【0139】
(工程2)
(工程1)で表面に金薄膜を形成したガラス基板を、ワッフル炉を用いて550℃で2時間加熱し、平均直径200nm、平均粒子間隔500nmの金微粒子を前記基板表面に形成した(前処理工程)。
【0140】
(工程3)
マルチウォールカーボンナノチューブ(純度90〜95%、平均長3μm、平均径30nm)0.02gをテトラヒドロフラン20g中に加え、超音波分散機にて出力3Wでよく分散させ、カーボンナノチューブの分散液を作製した。
【0141】
(工程4)
(工程2)で得られた、表面に金微粒子を有するガラス基板の片面に、(工程3)で作製した分散液をスポイトで数滴滴下し、テトラヒドロフランを蒸発させることによって、前記基板表面にカーボンナノチューブを均一に配置させた。
【0142】
(工程5)
(工程4)で作製した基板を、ワッフル炉を用いて400℃で2時間加熱することにより、金微粒子とカーボンナノチューブが接触した部位でナノチューブを切断した(加熱工程)。図18に、得られたカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率50000倍)を示す。なお、写真の倍率は、写真の引き伸ばしの程度により、多少の誤差が生じている(図19の写真についても同様)。
【0143】
図18の写真において、白色の粒子は金微粒子であり、ひも状に見えるのがカーボンナノチューブである。図18の写真からわかるように、カーボンナノチューブの連続した形状の中途に金微粒子が存在するところでは、当該カーボンナノチューブが切断されており、結果として一対のカーボンナノチューブの互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対しているカーボンナノチューブ構造体が形成されていることがわかる。
【0144】
<実施例2>
(工程1)
マルチウォールカーボンナノチューブ(純度90〜95%、平均長3μm、平均径30nm)0.02gを、テトラヒドロフラン20g中に加え、出力3Wの超音波にてよく分散させカーボンナノチューブの分散液を得た。
【0145】
(工程2)
ガラス基板表面に、(工程1)で作製した分散液をスポイトで数滴滴下し、溶媒を蒸発させることによってカーボンナノチューブを均一に基板表面に配置させた。
【0146】
(工程3)
白金板をアルゴン雰囲気下でスパッタリングして、(工程2)でカーボンナノチューブを配置させた基板表面に、膜厚3nmの均一な白金薄膜を形成した。
【0147】
(工程4)
(工程3)で白金薄膜が形成された基板を、ワッフル炉を用いて400℃で2時間加熱した(加熱工程)。図19に、得られたカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率30000倍)を示す。
【0148】
図19の写真において、細い枝状に見えるのが、酸化により細径化されたカーボンナノチューブ、ひも状に見えるのが、酸化前の元のカーボンナノチューブである。図17の写真からわかるように、白金微粒子が蒸着されたカーボンナノチューブ層表面近傍のカーボンナノチューブは細くなっているが、白金微粒子が蒸着していないカーボンナノチューブ層内部(ガラス基板近傍)のカーボンナノチューブは細くなっていないことがわかる。
【0149】
このことから、白金を触媒微粒子として配置し、マルチウォールカーボンナノチューブを酸化した場合には、前記白金の微粒子が配置された領域のみのカーボンナノチューブの径を細くすることができ、所望のマスキングにより白金の蒸着を行えば、カーボンナノチューブの長さ方向において、グラフェンシートの積層数の異なる領域を有する(部分的に径の異なる)カーボンナノチューブ構造体が得られることがわかる。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、カーボンナノチューブを含めた中空グラフェンシート体の特性を損なうことなく、その形状を加工することができるようになり、得られる中空グラフェンシート構造体は、多くの用途に利用することが可能となる。
また、同様に得られる本発明の電極構造体により、より微細化された高集積のデバイスを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基板表面に形成された金属薄膜を示す模式拡大断面図である。
【図2】 基板表面に形成された金属微粒子を示す模式拡大断面図である。
【図3】 基板表面に配置された金属微粒子及びカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)を示す模式拡大断面図である。
【図4】 本発明の中空グラフェンシート構造体を示す模式拡大断面図である。
【図5】 基板表面に配置されたカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)を示す模式拡大断面図である。
【図6】 カーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)表面に形成された金属微粒子を示す模式拡大断面図である。
【図7】 本発明の他の中空グラフェンシート構造体を示す模式拡大断面図である。
【図8】 基板表面に配置されたカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)を示す模式拡大断面図である。
【図9】 マスキングをして金属蒸着を行う工程を示す模式拡大断面図である。
【図10】 細径化された領域を有するカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート構造体)を示す模式拡大断面図である。
【図11】 パターニングされた蒸着を行う工程を示す模式拡大断面図である。
【図12】 電極の配置を示す拡大図である。
【図13】 電極間に形成された金属微粒子を示す拡大図である。
【図14】 本発明の電極構造体を示す拡大図である。
【図15】 本発明の他の電極構造体を示す模式拡大断面拡大図である。
【図16】 本発明のデバイスの構成部分を示す拡大図である。
【図17】 本発明の他のデバイスの構成部分を示す拡大図である。
【図18】 実施例のカーボンナノチューブ構造体(中空グラフェンシート構造体)を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図19】 他の実施例のカーボンナノチューブ構造体(中空グラフェンシート構造体)を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 基板
20 金属薄膜
21 金属微粒子
30 カーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)
31 切断されたカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート体)
32 細径化された領域を有するカーボンナノチューブ(中空グラフェンシート構造体)
40 マスク
41 パターニングされたマスク
50、50’ 電極
60 機能素子
61 機能性有機分子
Claims (18)
- グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子を固着させた基板表面に中空グラフェンシート体を供給し、酸素を含有する雰囲気中で、前記金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工した中空グラフェンシート構造体であって、
少なくとも一対の中空グラフェンシート体が連続した形状に配置されており、前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有することを特徴とする中空グラフェンシート構造体。 - グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子を固着させた基板表面に中空グラフェンシート体を供給し、酸素を含有する雰囲気中で、前記金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工することを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 前記金属微粒子が、金の微粒子であることを特徴とする請求項2に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体に、グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工する中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、
前記金属微粒子が、銀、銅及び白金から選ばれるいずれかの金属の微粒子であることを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法。 - 前記中空グラフェンシート体がマルチウォールカーボンナノチューブであり、前記金属微粒子を、マスクを用いて前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属薄膜として配置することを特徴とする請求項4に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 前記中空グラフェンシート体がマルチウォールカーボンナノチューブであり、前記金属微粒子が白金の微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体に、グラフェンシートの酸化を誘起する金属微粒子が存在しない状態での前記中空グラフェンシート体の燃焼温度未満の温度で加熱することにより前記グラフェンシートに前記金属微粒子を作用させ、前記中空グラフェンシート体の形状を加工する中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、
前記金属微粒子を、マスクを用いて前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に配置することを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法。 - 前記中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に前記金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断することを特徴とする請求項2、4及び7のいずれかに記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 請求項7または8に記載の中空グラフェンシート構造体の製造方法であって、さらに前記金属微粒子を除去する工程を備えることを特徴とする中空グラフェンシート構造体の製造方法。
- 間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体であって、前記電極が、連続した形状に配置された一対の中空グラフェンシート体であり、該一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と前記一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側のそれぞれの端部との間に、微小間隙を有することを特徴とする電極構造体。
- 間隙を介して相対する一対の電極を有する電極構造体であって、前記電極が、連続した形状に配置された一対の中空グラフェンシート体であり、該一対の中空グラフェンシート体の互いに近接する側の端部同士が、間隙を介して相対し、該間隙に、金属微粒子が配置されてなり、該金属微粒子と、前記一対の中空グラフェンシート体の一方の端部とが、物理的に接触または接続され導通状態にあることを特徴とする電極構造体。
- 請求項10または11に記載の電極構造体を製造するための製造方法であって、酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断し、分離された一対の中空グラフェンシート体を電極とすることを特徴とする電極構造体の製造方法。
- 請求項12に記載の電極構造体の製造方法であって、前記金属微粒子が、基板表面に固着されていることを特徴とする電極構造体の製造方法。
- 酸素を含有する雰囲気中で、中空グラフェンシート体の長さ方向の中途位置に金属微粒子を配置し、該金属微粒子が配置された位置近傍のみのグラフェンシートを酸化させることにより、前記中空グラフェンシート体を当該位置で切断し、分離された一対の中空グラフェンシート体を電極とし、さらに前記金属微粒子を除去する工程を備えることを特徴とする電極構造体の製造方法。
- 前記金属微粒子が、金の微粒子であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の電極構造体の製造方法。
- 前記金属微粒子が、銀、銅及び白金から選ばれるいずれかの金属の微粒子であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の電極構造体の製造方法。
- 請求項10に記載の電極構造体に対し、所定の電気的作用を生ずる機能素子を、前記微小間隙を介して対向する前記中空グラフェンシート体の端部と、前記金属微粒子と、にそれぞれ接続することによって構成されることを特徴とするデバイス。
- 請求項10に記載の電極構造体における、前記微小間隙を介して対向する前記中空グラフェンシート体の端部と前記金属微粒子との当該微小間隙に、機能性有機分子を挿入することよって構成されることを特徴とするデバイス。
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