以下、本発明によるインバータ装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるインバータ装置は、複数のインバータ装置において、運転切換タイミングを分散させることによって、電力系統において発生する運転切換に伴う電力動揺を抑制することができるものである。
図1は、本実施の形態による複数のインバータ装置4−1,4−2,4−3,…,4−Nと、電力系統2との接続状況を示す回路図である。なお、Nは、2以上の整数である。図1で示される電力系統2は、同期発電機を含むものである。その同期発電機は、例えば、ディーゼル発電機であってもよく、その他の発電機であってもよい。その電力系統2は、通常、離島などにおける独立した電力系統であるが、そうでなくてもよい。複数のインバータ装置4−1,4−2,4−3,…,4−Nは、複数の直流電源3−1,3−2,3−3,…,3−Nにそれぞれ接続されており、また、電力系統2に並列に接続されている。その複数のインバータ装置4−1,4−2,4−3,…,4−Nによって、インバータシステム1が構成されている。インバータシステム1は、連系点6に接続されているインバータ装置4−1等の集合である。なお、複数の直流電源3−1,3−2等を特に区別しない場合には、直流電源3と呼ぶものとする。また、複数のインバータ装置4−1,4−2等を特に区別しない場合には、インバータ装置4と呼ぶものとする。直流電源3は、例えば、太陽光発電パネルなどの直流の分散型電源であってもよい。本実施の形態では、直流電源3が太陽光発電パネルである場合について主に説明する。また、インバータ装置4は、例えば、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)であってもよい。
電力系統2において同期発電機から電力が供給されている場合には、電力系統2に入力される電力の変化が小さければ、電力動揺も小さくなる。一方、電力系統2に入力される電力の変化が大きいと、同期発電機における回転数の偏差が大きくなり、発散することによって脱調し、その同期発電機の脱調に起因して電力系統2に停電が発生する可能性がある。したがって、本実施の形態においては、複数のインバータ装置4から連系点6を介して電力系統2に入力される交流電力の変化を時間方向に分散させることによって、電力系統2に入力される電力変化を小さくし、その結果として、電力動揺が小さくなるようにして、同期発電機の脱調を防止する。その分散は、電力系統2において、限界を超える電力動揺を引き起こさない程度の分散であることが好適である。限界の電力動揺とは、例えば、電力系統2において停電が発生する程度の電力動揺であってもよい。なお、インバータ装置4の運転切換タイミングを分散させる方法として、(1)複数のインバータ装置4において、排他的に運転が切り換えられるように運転切換タイミングを決定する方法、(2)複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにあらかじめ設定されたスケジュールに応じて運転切換タイミングを決定する方法、(3)複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにランダムに運転切換タイミングを決定する方法などがある。本実施の形態では、(1)の方法について主に説明し、(2)、(3)の方法については後述する。
図2は、本実施の形態による複数のインバータ装置4の通信に関する接続状態を示す図である。図2において、複数のインバータ装置4は、有線または無線の通信回線500を介して通信可能に接続されている。通信回線500は、例えば、インターネットやイントラネット、公衆電話回線網等であってもよい。本実施の形態では、通信回線500がLAN(Local Area Network)である場合について主に説明する。
図3は、本実施の形態による各インバータ装置4の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるインバータ装置4は、インバータ部41と、判断部42と、通信部43と、マスタ判断部44と、記憶部45と、決定部46とを備える。
インバータ部41は、直流電源3からの直流電力を交流電力に変換して電力系統2に出力する。なお、インバータ部41は、決定部46によって決定された運転切換タイミングで運転を切り換える。その運転の切り換えは、運転の開始、すなわち起動であってもよく、運転の終了であってもよい。本実施の形態では、運転の切り換えが起動である場合について主に説明する。
判断部42は、インバータ部41の運転切換条件が満たされたかどうか判断する。運転の切り換えが運転の開始である場合には、運転切換条件は、直流電源3の出力電圧が、あらかじめ決められた閾値の電圧よりも大きくなったことであってもよい。また、運転の切り換えが運転の終了である場合には、運転切換条件は、直流電源3の出力電圧が、あらかじめ決められた閾値の電圧よりも小さくなったことであってもよい。運転開始の条件判断で用いられる閾値と、運転終了の条件判断で用いられる閾値とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。なお、判断部42は、直流電源3の出力電圧を測定してもよく、または、その測定結果を測定器等から受け取ってもよい。また、運転切換条件は、直流電源3の出力電圧以外に関する条件であってもよい。
通信部43は、図2で示されるように、他のインバータ装置4との間で通信回線500を介した通信を行う。その通信の詳細については、後述する。なお、通信部43は、通信を行うための有線または無線の通信デバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、通信部43は、ハードウェアによって実現されてもよく、または通信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
マスタ判断部44は、自装置、すなわちマスタ判断部44を有するインバータ装置4がマスタであるかどうか判断する。マスタのインバータ装置4とは、排他制御で用いられる排他管理情報を保持しているインバータ装置4のことである。排他管理情報については後述する。なお、各インバータ装置4において、同じアルゴリズムによって、マスタの判断が行われるものとする。その結果、複数のインバータ装置4においてそれぞれ、自装置がマスタであるかどうかの判断が行われたとしても、ある特定の1つのインバータ装置4のみがマスタと判断されることになる。例えば、マスタ判断部44は、通信回線500で使用されている各インバータ装置4のIPアドレスにおけるホスト部の値が最も大きいインバータ装置4がマスタになるという規則で判断を行ってもよく、通信回線500で使用されている各インバータ装置4の物理アドレス(MACアドレス)の値が最も大きいインバータ装置4がマスタになるという規則で判断を行ってもよい。そのような場合に、マスタ判断部44は、例えば、他のインバータ装置4のIPアドレスや物理アドレスを、他のインバータ装置4から受け取ってもよく、または、通信回線500から取得してもよい。通信回線500がLANである場合には、その通信回線500からIPアドレスや物理アドレスを取得する方法として、例えば、ARP(Address Resolution Protocol:アドレス解決プロトコル)を用いてARPテーブルを参照する方法がある。マスタ判断部44は、例えば、排他管理情報を保持しているマスタのインバータ装置4が故障した場合に、自装置がマスタであるかどうかを判断してもよい。具体的には、マスタ判断部44は、決定部46が、他のインバータ装置4によって保持されている排他管理情報、すなわち排他制御で用いられる排他管理情報にアクセスできなくなった場合に、自装置がマスタであるかどうかを判断してもよい。他のインバータ装置4とは、マスタのインバータ装置4のことである。マスタ判断部44は、決定部46が、他の装置で保持されている排他管理情報にアクセスできなくなったことを、他のインバータ装置4からの情報によって知ってもよい。そのため、例えば、あるインバータ装置4の決定部46が、他のインバータ装置4で保持されている排他管理情報にアクセスできなくなった場合には、そのことを知らせる情報を、自装置以外のインバータ装置4にブロードキャスト等によって送信してもよい。そして、その情報を受信したインバータ装置4では、その情報の受信に応じて、マスタ判断部44が、自装置がマスタであるかどうかの判断を行ってもよい。また、インバータシステム1が構築された際には、各インバータ装置4においてマスタの判断処理が行われてもよい。また、マスタ判断部44によって自装置がマスタであると判断されたインバータ装置4は、他のインバータ装置4に自装置がマスタである旨を示す情報をブロードキャスト等によって送信してもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、各インバータ装置4において、すべてのインバータ装置4がマスタであるかどうかの判断を行ってもよい。そのような判断を行うことによって、各インバータ装置4は、自装置がマスタでない場合でも、どのインバータ装置4がマスタであるのかを知ることができるようになる。
記憶部45では、排他管理情報が記憶される。その排他管理情報は、自装置がマスタと判断された場合に、自装置であるインバータ装置4及び他のインバータ装置4によって排他制御のために用いられる情報である。したがって、記憶部45では、マスタ判断部44によって自装置がマスタであると判断された場合に、少なくとも排他管理情報が記憶されていることが好適である。排他管理情報は、運転の切り換えがロックされているかどうかを含む情報である。運転の切り換えがロックされているとは、あるインバータ装置4のみが運転の切り換えを独占的に行うことができるようになっていることを意味する。各インバータ装置4は、その排他管理情報を参照することにより、運転を切り換えられるかどうかを知ることができる。例えば、排他管理情報によって運転の切り換えがロックされていない場合には、運転を切り換えられると判断され、排他管理情報によって運転の切り換えがロックされている場合には、運転を切り換えられないと判断されてもよい。なお、前者の場合には、運転を切り換える際に、運転の切り換えがロックされるように排他管理情報が更新されることになる。本実施の形態では、排他管理情報が、運転の切り換えに関するロック・アンロックを示す情報であるロック情報と、運転の切り換えを待っているインバータ装置4の識別子がキューイングされる待ちキューとを含む場合について主に説明する。ロック情報によって、運転を切り換え可能であるかどうかが示される。例えば、ロック情報がアンロックを示す場合には、運転を切り換えられることになり、ロック情報がロックを示す場合には、運転を切り換えられないことになってもよい。また、待ちキューによって、運転の切り換えを待っているインバータ装置4の待ち順番が示されることになる。その排他管理情報を用いた運転切り換えの排他制御については、後述する。記憶部45で記憶されている排他管理情報は、マスタ判断部44によって自装置がマスタであると判断された場合に、排他制御に用いられることになる。したがって、自装置がマスタである場合にのみ、記憶部45において排他管理情報が記憶されてもよく、または、自装置がマスタであるかどうかに関わらず、記憶部45において排他管理情報が記憶されてもよい。後者の場合であっても、記憶部45で記憶されている排他管理情報が排他制御に用いられるのは、自装置がマスタであるときだけである。記憶部45での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部45は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
決定部46は、判断部42によって運転切換条件が満たされたと判断された場合に、複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにインバータ部41の運転切換タイミングを決定する。本実施の形態では、決定部46が、複数のインバータ装置4において、排他管理情報を用いて排他的に運転が切り換えられるように運転切換タイミングを決定する場合について主に説明する。運転切換タイミングを決定するとは、インバータ部41の運転切り換えをいつ行うのかを決定することである。また、排他的に運転が切り換えられるとは、一時期に運転を切り換えているインバータ装置4が一台となるように運転の切り換えが行われることである。そのような排他制御は、例えば、バイナリセマフォやミューテックスなどを用いて実現されてもよい。決定部46は、排他管理情報にアクセス可能であり、インバータ部41の運転を切り換え可能であることが排他管理情報によって示された場合に、運転を切り換えると決定する。排他管理情報にアクセス可能であるとは、直接的に、または通信部43等を介して間接的にアクセスできることである。例えば、排他管理情報が自装置の記憶部45で記憶されている場合には、決定部46は、直接、排他管理情報にアクセスできることになる。一方、排他管理情報が他のインバータ装置4において保持されている場合には、決定部46は、自装置の通信部43や、他の装置の通信部43を介して、他のインバータ装置4において保持されている排他管理情報にアクセスすることになる。そのアクセス対象の排他管理情報は、インバータシステム1における運転切り換えに関する排他制御で用いられる排他管理情報である。したがって、決定部46は、複数のインバータ装置4のうち、自装置がマスタであると判断したインバータ装置4、すなわち自装置がマスタであると判断したマスタ判断部44を有するインバータ装置4において保持されている排他管理情報にアクセスするものとする。具体的には、自装置がマスタである場合には、決定部46は、記憶部45で記憶されている排他管理情報にアクセスすることになり、他のインバータ装置4がマスタである場合には、決定部46は、そのマスタのインバータ装置4において保持されている排他管理情報にアクセスすることになる。なお、自装置がマスタでない場合に、どのインバータ装置4がマスタであるのかについては、各インバータ装置4によって判断されてもよく、または、自装置がマスタであると判断したインバータ装置4から他の装置に通知されてもよい。また、排他管理情報へのアクセスは、排他管理情報の参照や、排他管理情報の更新のために行われることになる。
ここで、ロック情報と待ちキューとを含む排他管理情報を用いて運転切換タイミングを決定する方法について説明する。運転切換条件が満たされたと判断されると、決定部46は、マスタのインバータ装置4で保持されている排他管理情報にアクセスする。そして、排他管理情報にアクセスした場合に、ロック情報によってアンロックであることが示され、かつ、待ちキューにキューイングされている情報が存在しないときには、決定部46は、その時点が自装置の運転切換タイミングであると判断し、ロックであることを示すようにロック情報を更新する。このように、アンロックであるロック情報と、キューイングされている情報のない待ちキューとを有する排他管理情報によって、インバータ部41の運転を切り換え可能であることが示されることになる。そして、その運転切換タイミングの決定に応じて、インバータ部41によって運転切り換えが行われた後に、決定部46は、アンロックであることを示すようにロック情報を更新する。
また、排他管理情報にアクセスした場合に、ロック情報によってロックであることが示されるか、または、待ちキューにキューイングされている情報が存在するときには、決定部46は、自装置の識別子を待ちキューの末尾に追加する。すなわち、その時点が自装置の運転切換タイミングであるとは判断されないことになる。その後、決定部46は、排他管理情報に繰り返しアクセスして、自装置の識別子が待ちキューの先頭になったかどうか判断する。そして、自装置の識別子が待ちキューの先頭になった場合には、決定部46は、ロック情報がアンロックになったかどうか判断し、アンロックになると、その時点が自装置の運転切換タイミングであると判断し、待ちキューの先頭から自装置の識別子を取り出すと共に、ロックであることを示すようにロック情報を更新する。このように、アンロックであるロック情報と、先頭に自装置の識別子をキューイングしている待ちキューとを有する排他管理情報によって、インバータ部41の運転を切り換え可能であることが示されることになる。また、その運転切換タイミングの決定に応じて、インバータ部41によって運転切り換えが行われた後に、決定部46は、アンロックであることを示すようにロック情報を更新する。
なお、ロック情報がロックにされてからアンロックにされるまでの期間が、最小期間(例えば、1秒や2秒、5秒など)以上となるようにされてもよい。そして、決定部46は、ロック情報をロックからアンロックに更新する際に、ロックに更新してから最小期間が経過していない場合には、その最小期間が経過するのを待ってから、アンロックに更新してもよい。そのような設定により、ロック情報がロックとなっている期間が少なくとも最小期間以上となるため、その最小期間に運転切り換えが行われるインバータ装置4を一台に制限することができる。
次に、インバータ装置4の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートでは、運転の切り換えが起動(運転開始)であり、排他管理情報にロック情報と待ちキューとが含まれている場合について説明する。
(ステップS101)判断部42は、インバータ部41の起動条件が満たされたかどうか判断する。そして、起動条件が満たされた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
(ステップS102)決定部46等は、起動に関する処理を行う。その処理の詳細については、図5のフローチャートを用いて後述する。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS103)マスタ判断部44は、自装置がマスタであるかどうかの判断処理を行うかどうか判断する。そして、その判断処理を行う場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、マスタ判断部44は、例えば、決定部46がマスタのインバータ装置4にアクセスできなくなった場合に、自装置がマスタであるかどうかの判断処理を行うと判断してもよく、インバータシステム1が構築された場合、すなわち各インバータ装置4が初めて動作する場合に、自装置がマスタであるかどうかの判断処理を行うと判断してもよい。
(ステップS104)マスタ判断部44は、自装置がマスタであるかどうか判断し、マスタである場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
(ステップS105)マスタ判断部44は、記憶部45で記憶されている排他管理情報を初期化する。排他管理情報を初期化するとは、例えば、ロック情報をアンロックに更新し、待ちキューにキューイングされている情報をなくすことであってもよい。なお、マスタ判断部44は、他の装置に、自装置がマスタである旨を通信部43を介して送信してもよい。そして、ステップS101に戻る。
図5は、図4のフローチャートにおける起動処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)決定部46は、マスタのインバータ装置4で保持されている排他管理情報にアクセスし、待ちキューに情報が存在するかどうか判断する。そして、待ちキューに情報が存在する場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、ステップS208に進む。
(ステップS202)決定部46は、待ちキューの末尾に自装置の識別子を追加する。
(ステップS203)決定部46は、自装置の識別子が、待ちキューの先頭になったかどうか判断する。そして、先頭になった場合には、ステップS204に進み、そうでない場合には、先頭になるまでステップS203の処理を繰り返す。
(ステップS204)決定部46は、ロック情報がアンロックになったかどうか、すなわち起動可能になったかどうか判断する。そして、アンロックになった場合には、起動すると決定してステップS205に進み、そうでない場合には、アンロックになるまでステップS204の処理を繰り返す。
(ステップS205)決定部46は、ロック情報をロックに更新し、待ちキューの先頭から自装置の識別子を取り出す。
(ステップS206)インバータ部41は、決定部46による起動の決定に応じて起動する。その結果、直流電源3からの直流電力が交流電力に変換されて連系点6に出力されることになる。
(ステップS207)決定部46は、排他管理情報のロック情報をアンロックに更新し、図4のフローチャートのステップS101に戻る。なお、上記のように、ロックにされてからアンロックにされるまでの最小期間が設定されている場合には、決定部46は、ロック情報をロックに更新してから最小期間が経過していないときには、その最小期間の経過を待って、ロック情報をアンロックに更新してもよい。
(ステップS208)決定部46は、ロック情報がアンロックであるかどうか、すなわち起動可能であるかどうか判断する。そして、アンロックである場合には、起動すると決定してステップS209に進み、そうでない場合には、ステップS202に進む。
(ステップS209)決定部46は、ロック情報をロックに更新し、ステップS206に進む。
なお、図4、図5のフローチャートには含まれていないが、自装置がマスタのインバータ装置4である場合には、通信部43は、記憶部45で記憶されている排他管理情報への他のインバータ装置4からのアクセスを受信し、そのアクセスに応じた排他管理情報に関する処理を行ってもよい。アクセスに応じた排他管理情報に関する処理は、例えば、排他管理情報の参照や、排他管理情報の更新であってもよい。また、図4、図5のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図4、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、本実施の形態によるインバータ装置4の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例において、直流電源3は、太陽光発電パネルであるとする。また、説明の簡単のため、N=3である場合、すなわちインバータシステム1に3個のインバータ装置4−1,4−2,4−3が含まれる場合について説明する。また、インバータ装置4−i(iは、1から3のいずれかの整数である。)のIPアドレスが、192.168.0.10iであるとする。また、この具体例では、マスタ判断部44では、自装置のIPアドレスの下位側8ビットの値が、他装置のIPアドレスの下位側8ビットの値よりも大きい場合に、自装置がマスタであると判断するものとする。また、この具体例では、インバータ装置4−iの識別子が、INV0iであるとする。
まず、インバータ装置4−1,4−2,4−3を含むインバータシステム1が構築されると、各装置のマスタ判断部44は、自装置がマスタであるかどうかの判断処理を行うと判断し、LANである通信回線500から各装置のIPアドレスを取得する(ステップS103)。そして、IPアドレスの下位側8ビットの値は、インバータ装置4−3に対応する値「103」が最も大きいため、インバータ装置4−3のマスタ判断部44が、自装置がマスタであると判断する(ステップS104)。また、インバータ装置4−3のマスタ判断部44は、記憶部45で記憶されている排他管理情報を、ロック情報がアンロックを示す「0」となり、待ちキューにキューイングされている情報がなくなるように初期化すると共に、自装置がマスタである旨を各装置に通信部43を介してブロードキャストで送信する(ステップS105)。その結果、その排他管理情報は、図6Aで示されるようになる。なお、この具体例では、ロック情報「0」がアンロックを示し、ロック情報「1」がロックを示すものとする。また、インバータ装置4−3から送信された情報は、インバータ装置4−1,4−2の通信部43でそれぞれ受信され、決定部46に渡される。その情報を受け取ると、各装置の決定部46は、排他管理情報のアクセス先として、IPアドレス「192.168.0.103」を設定する。
その後、太陽が昇り、太陽光発電パネルである直流電源3において発電が開始され、その発電された直流電圧が閾値以上になったとする。すると、各インバータ装置4の判断部42は、起動条件が満たされたと判断し、その旨を決定部46に渡す(ステップS101)。なお、この具体例では、インバータ装置4−1,4−2,4−3の順番で、起動条件を満たしたと判断されたものとする。そのため、まず、インバータ装置4−1の決定部46が、起動処理を開始する(ステップS102)。具体的には、インバータ装置4−1の決定部46は、通信部43を介してインバータ装置4−3で保持されている排他管理情報にアクセスする。その決定部46は、待ちキューに情報がなく、また、ロック情報がアンロックを示す「0」であるため、起動可能であると判断し(ステップS201,S208)、排他管理情報のロック情報を「1」に更新すると共に、インバータ部41に起動可能である旨、すなわち起動タイミングである旨を渡す(ステップS209)。その結果、排他管理情報は、図6Bで示されるようになる。
インバータ装置4−1によって排他管理情報が更新された後に、インバータ装置4−2の決定部46が、通信部43を介してインバータ装置4−3で保持されている排他管理情報にアクセスしたとする。その決定部46は、待ちキューに情報はないが、ロック情報がロックを示す「1」であるため、起動可能でないと判断し(ステップS201,S208)、排他管理情報の待ちキューに自装置の識別子「INV02」を追加する(ステップS202)。その結果、排他管理情報は、図6Cで示されるようになる。この場合には、識別子「INV02」が待ちキューの先頭であるため(ステップS203)、インバータ装置4−2の決定部46は、ロック情報が「0」になるのを待つことになる(ステップS204)。
インバータ装置4−2によって排他管理情報が更新された後に、インバータ装置4−3の決定部46が、自装置の記憶部45で記憶されている排他管理情報にアクセスしたとする。その決定部46は、待ちキューに情報があるため(ステップS201)、その待ちキューの末尾に自装置の識別子「INV03」を追加する(ステップS202)。その結果、排他管理情報は、図6Dで示されるようになる。この場合には、決定部46は、識別子「IVN03」が待ちキューの先頭になるのを待つことになる(ステップS203)。
インバータ装置4−1のインバータ部41は、決定部46から起動可能である旨を受け取ると、直流電源3−1から入力される直流電力の交流電力への変換を開始する(ステップS206)。その結果、インバータ装置4−1からの交流電力が連系点6に出力されることになり、インバータ装置4−1の出力は、図7(a)で示されるようになる。なお、図7における時間は、ある時点を基準としたものである。また、この具体例では、ロック情報が「1」に更新されてから「0」に戻されるまでの最小期間として、1秒が設定されているものとする。そのため、インバータ装置4−1の決定部46は、ロック情報を「1」に更新してから1秒経過後に、ロック情報を「0」に戻す(ステップS207)。その結果、排他管理情報は、図6Eで示されるようになる。
インバータ装置4−2の決定部46は、ロック情報が「0」に更新されたことを検知すると(ステップS204)、排他管理情報のロック情報を「1」に更新し、待ちキューの先頭から自装置の識別子「INV02」を削除すると共に、インバータ部41に起動可能である旨を渡す(ステップS205)。その結果、排他管理情報は、図6Fで示されるようになる。なお、インバータ装置4−3の決定部46は、待ちキューにおいて自装置の識別子「INV03」が先頭になったことを検知すると(ステップS203)、次にロック情報が「0」になるのを待つことになる(ステップS204)。
インバータ装置4−2のインバータ部41は、決定部46から起動可能である旨を受け取ると、直流電源3−2から入力される直流電力の交流電力への変換を開始する(ステップS206)。その結果、インバータ装置4−2の出力は、図7(b)で示されるようになる。その後、ロック情報が「1」に更新されてから1秒経過した後に、インバータ装置4−2の決定部46は、ロック情報を「0」に戻す(ステップS207)。その結果、排他管理情報は、図6Gで示されるようになる。
インバータ装置4−3の決定部46は、ロック情報が「0」に更新されたことを検知すると(ステップS204)、排他管理情報のロック情報を「1」に更新し、待ちキューの先頭から自装置の識別子「INV03」を削除すると共に、インバータ部41に起動可能である旨を渡す(ステップS205)。その結果、排他管理情報は、図6Hで示されるようになる。インバータ装置4−3のインバータ部41は、決定部46から起動可能である旨を受け取ると、直流電源3−3から入力される直流電力の交流電力への変換を開始する(ステップS206)。その結果、インバータ装置4−3の出力は、図7(c)で示されるようになる。その後、ロック情報が「1」に更新されてから1秒経過した後に、インバータ装置4−3の決定部46は、ロック情報を「0」に戻す(ステップS207)。その結果、排他管理情報は、図6Iで示されるようになる。
図7(d)は、連系点6における有効電力の時間変化を示す図である。図7(a)〜図7(c)で示されるように、各インバータ装置4の起動タイミングがずれているため、連系点6における有効電力の変化も、図7(d)の実線で示されるように、徐々に変化することになる。その結果、図8のグラフ(分散あり)で示されるように、電力系統2に含まれる同期発電機の回転数の偏差(rad/s)、すなわち電力動揺は小さいものとなる。一方、各インバータ装置4の起動タイミングを分散させなかった場合には、例えば、図7(d)の一点鎖線で示されるように、2秒の時点における連系点6に入力される有効電力の変化が大きくなる。その結果、図8のグラフ(分散なし)で示されるように、同期発電機の回転数の偏差が大きくなる。例えば、回転数の偏差が0.7(rad/s)程度で同期発電機が脱調するとした場合には、各インバータ装置4の起動タイミングを分散させないと、同期発電機が脱調することになり、状況によっては停電することになる。それに対して、各インバータ装置4の起動タイミングを分散させた場合には、回転数の偏差は小さいため、同期発電機が脱調する可能性を低減できることになる。なお、図8のグラフ(分散あり、分散なし)は、図7(d)における、分散を行った場合の有効電力の変化(実線のグラフ)と、分散を行わなかった場合の有効電力の変化(一点鎖線のグラフ)とのそれぞれが連系点6に入力された際の同期発電機の回転数の偏差の時間変化をシミュレーションによって算出したものである。
以上のように、本実施の形態によるインバータ装置4によれば、複数のインバータ装置4が同時に運転を切り換えないようにすることができる。より具体的には、排他管理情報を用いることによって、複数のインバータ装置4の運転切り換えを排他的に行うことができるようになり、電力系統2において発生する電力動揺を小さくすることができる。その結果、電力系統2に含まれる同期発電機が脱調する可能性を低減することができ、停電を回避することができる。また、そのような電力系統2における電力動揺の抑制を、連系点6の有効電力を検出することなく実現できる。したがって、インバータ装置4の構成を複雑にしたり、コストを上げたりすることなく、簡易な構成によって電力動揺を抑制することができることになる。また、いずれかのインバータ装置4が、排他管理情報を保持するマスタとなることによって、インバータ装置4のみで、運転切換タイミングの分散を行うことができるようになる。さらに、マスタ判断部44を備えたことによって、各装置において自装置がマスタであるかどうかを判断することができ、例えば、マスタであったインバータ装置4が故障した場合であっても、そのマスタの機能を、他のインバータ装置4に引き継ぐことができるようになる。
なお、本実施の形態では、運転の切り換えが起動である場合について主に説明したが、運転の切り換えが運転の終了であってもよいことは上記のとおりである。運転が終了される場合であっても、複数のインバータ装置4が同時に運転を終了すると、電力系統2に入力される有効電力偏差が大きくなり、その結果、電力系統2における電力動揺が大きくなる。そのため、複数のインバータ装置4の運転の終了タイミングを分散させることによって、電力系統2における電力動揺を抑制することができ、停電が発生する可能性を低減させることができる。
また、本実施の形態において、排他管理情報に複数のインバータ装置4から同時にアクセスがあった場合には、例えば、所定のルールに応じて、排他管理情報にアクセスするインバータ装置4の順番を決めるようにしてもよい。そのルールは、例えば、IPアドレスが小さいこと(または、大きいこと)などであってもよい。そのようなルールを用いることで、例えば、排他管理情報に複数のインバータ装置4から同時にアクセスがあった場合であっても、待ちキューに識別子を追加する順番を決めることができるようになる。
また、本実施の形態では、排他管理情報に待ちキューが含まれる場合について説明したが、そうでなくてもよい。排他管理情報には、ロック情報のみが含まれており、ロック情報が「0」に更新された後に、各インバータ装置4は、早い者勝ちでロック情報を「1」に更新し、その更新を行うことができたインバータ装置4が、運転の切り換えを行ってもよい。この場合には、アンロックであるロック情報を有する排他管理情報によって、インバータ部41の運転を切り換え可能であることが示されることになる。
また、本実施の形態では、各インバータ装置4において自装置がマスタかどうかの判断を行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、事前にマスタであるインバータ装置4が決められており、マスタの変更も人手によって行われる場合には、各インバータ装置4は、マスタ判断部44を備えていなくてもよい。また、マスタのインバータ装置4のみが、排他管理情報が記憶される記憶部45を備えていてもよい。
また、本実施の形態では、排他管理情報がマスタのインバータ装置4で記憶される場合について説明したが、そうでなくてもよい。排他管理情報は、複数のインバータ装置4以外の装置であって、複数のインバータ装置4がアクセス可能な装置において保持されている。その装置は、通信回線500に接続された装置であってもよい。その場合には、各インバータ装置4において排他管理情報を保持することはないため、インバータ装置4は、マスタ判断部44や、排他管理情報を保持する記憶部45を有していなくてもよい。
また、決定部46は、排他管理情報を用いないで排他制御を行ってもよい。そのような排他制御の方法として、各インバータ装置4が、運転を切り換える旨を他の装置に送信する方法について簡単に説明する。その方法では、通信部43は、運転を切り換える旨を他のインバータ装置4から受信するものとする。また、通信部43は、運転を切り換えることが決定部46によって決定された場合に、運転を切り換える旨を他のインバータ装置4に送信するものとする。その運転を切り換える旨の他のインバータ装置4への送信は、例えば、ブロードキャスト等によって行われてもよい。そして、決定部46は、判断部42によって運転切換条件が満たされたと判断された場合であって、通信部43が、他のインバータ装置4から運転を切り換える旨を受信していない場合に、運転を切り換えると決定する。なお、その運転の切り換えの決定に応じて、通信部43は、他のインバータ装置4に、運転を切り換える旨を送信する。また、決定部46は、判断部42によって運転切換条件が満たされたと判断された場合であっても、通信部43が、他のインバータ装置4から運転を切り換える旨を受信した場合には、運転の切り換えを行わないことになる。したがって、この方法では、複数のインバータ装置4において同時期に運転切換条件が満たされた場合には、運転を切り換える旨を早く送信した装置が、運転を切り換えることができるようになる。なお、通信部43によって他の装置から運転を切り換える旨が受信されると、運転切換条件が満たされたと判断されても運転切り換えを行うことができないが、その場合には、決定部46は、例えば、運転切換条件が満たされたと判断されてから所定の期間(例えば、1秒や2秒など。上記の最小期間に相当する期間としてもよい。)だけ待ち、その間に他の装置から運転を切り換える旨が受信されないときには、運転を切り換えると決定してもよい。そして、その決定に応じて、通信部43から他のインバータ装置4に、運転を切り換える旨が送信されることになる。なお、運転を切り換える旨の送信が一時点に集中しないようにするため、その所定の期間が、ランダムに変化するようにしてもよい。また、運転切換条件が満たされたと判断されてから所定の期間だけ待っている間に、他の装置から送信された、運転を切り換える旨が受信された場合には、決定部46は、その所定の期間の経過後に、さらに所定の期間(1回目の所定の期間と同じでもよく、違っていてもよい。)を待つようにしてもよい。そして、その所定の期間に他の装置から運転を切り換える旨が受信されないときには、決定部46は、運転を切り換えると決定してもよい。なお、その2回目の所定の期間を待っている間にも、他装置から運転を切り換える旨が受信された場合には、決定部46は、その所定の期間の経過後に、さらに所定の期間を待つようにしてもよい。また、そのような処理が、運転を切り換えると決定されるまで繰り返されてもよい。
また、本実施の形態では、決定部46において、排他的になるようにインバータ部41における運転切換タイミングが決定される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、電力系統2に含まれる同期発電機が、より大きな電圧動揺に耐えられるものである場合や、各インバータ装置4から出力される有効電力が大きくない場合などには、決定部46は、K個のインバータ装置4までは、同時期に運転を切り換えてもよいように制御してもよい。Kは2以上の整数である。そのような制御は、例えば、K−相互排除の制御と呼ぶことができる。例えば、バイナリセマフォではないセマフォを用いることによって、排他制御ではない分散制御を実現することができる。その場合には、電力系統2に含まれる同期発電機は、K個のインバータ装置4が同時に運転を切り換えても、脱調しないものであることが好適である。
次に、インバータ装置4の運転切換タイミングを分散させる方法として、(2)複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにあらかじめ設定されたスケジュールに応じて運転切換タイミングを決定する方法、(3)複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにランダムに運転切換タイミングを決定する方法について説明する。上記(2)の場合には、決定部46は、運転切換タイミングを分散させるため、スケジュールに応じて運転切換タイミングを決定することになる。そのスケジュールは、複数のインバータ装置4において運転切換タイミングが分散されるようにあらかじめ設定されている。例えば、インバータシステム1にN個のインバータ装置4が含まれており、同時期にM個のインバータ装置4が運転を切り換えることができ、あるM個のインバータ装置4の運転切り換えから次のM個のインバータ装置4の運転切り換えまではT秒経過しなくてはならない場合には、T秒ごとにM個のインバータ装置4が運転切換タイミングとなるようにスケジュールが設定されてもよい。なお、Mは1以上の整数であり、Tは正の実数である。そのスケジュールでは、ceil(N/M)×Tを1周期として、その1周期においてT秒の期間ごとにM個以下のインバータ装置4が運転切り換えを行うように設定されてもよい。そして、その周期が繰り返されてもよい。ここで、ceil(x)は、実数xよりも大きい最小の整数を返す関数(天井関数)である。具体的には、N=180,M=3,T=1である場合には、インバータ装置4−1〜4−3は、各分の1秒(例えば、21分1秒など)が運転切換タイミングとなるスケジュールを用い、インバータ装置4−4〜4−6は、各分の2秒(例えば、21分2秒など)が運転切換タイミングとなるスケジュールを用いるというようになってもよい。その場合には、例えば、各インバータ装置4の決定部46は、図示しない時計部から時刻(時分秒)を取得し、その時刻を用いて運転切換タイミングを決定してもよい。また、上記(3)の場合には、決定部46は、運転切換タイミングを分散させるため、ランダムに運転切換タイミングを決定することになる。具体的には、決定部46は、判断部44によって運転切換条件が満たされたと判断された場合に、その時点から、所定のランダム関数によって生成した時間だけ経過した後の時点を運転切換タイミングとしてもよい。その場合には、N個のインバータ装置4の各決定部46が、同じランダム関数を用いるようにしてもよい。そして、そのランダム関数は、N個のインバータ装置4において、運転切換条件が満たされたと同時に判断された場合であっても、そのランダム関数を用いて各装置において運転切換タイミングを決定したときに、運転切換タイミングとなるインバータ装置4の数の期待値が、その時点からT秒ごとにそれぞれM個以下となるような関数であることが好適である。なお、上記(2)(3)による運転切換タイミングの分散が行われる場合には、複数のインバータ装置4は、通信可能でなくてもよい。すなわち、各インバータ装置4は、通信部43を備えていなくてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、インバータ装置4に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態で説明した各構成要素のうち、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、磁気ディスクや半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。