JP6132389B2 - ナノカーボン材料含有ゲルの製造方法 - Google Patents
ナノカーボン材料含有ゲルの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6132389B2 JP6132389B2 JP2013017589A JP2013017589A JP6132389B2 JP 6132389 B2 JP6132389 B2 JP 6132389B2 JP 2013017589 A JP2013017589 A JP 2013017589A JP 2013017589 A JP2013017589 A JP 2013017589A JP 6132389 B2 JP6132389 B2 JP 6132389B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gel
- group
- nanocarbon material
- substituent
- aromatic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環がベンゼン、トルエン、アニリン、ニトロベンゼン、スチレン、フェノール、クロロベンゼン、安息香酸、ベンゾニトリルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、置換基を有していてもよい芳香族複素単環がピリジンであることを特徴とする。
また、請求項4記載の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法において、ナノカーボン材料がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
ナノカーボン材料と、ゲル化媒体としての液体状態にある置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環および/または置換基を有していてもよい芳香族複素単環(塩の形態であってもよいがイオン液体は除く)を、撹拌混合することによることを特徴とするものである(但しゲル化媒体に対するナノカーボン材料の配合割合は両者を撹拌混合することでゲル化する配合割合とする)。
以下、その詳細を説明する。
本発明の第1のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法の適用対象となるナノカーボン材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノホーン、ピーポッド、フラーレンなどの、大きさ(カーボンナノチューブにおいては直径、カーボンナノファイバーにおいては繊維径)がナノメートルスケールの炭素素材が例示される。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)であってもよいし、多層カーボンナノチューブ(MWNTs)であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
本発明の第1のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法に用いるゲル化媒体は、液体状態にある置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環および/または置換基を有していてもよい芳香族複素単環(塩の形態であってもよいがイオン液体は除く)である。ゲル化媒体は単一の物質を用いてもよいし複数種類の物質を混合して用いてもよい。
本発明の第1のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法においてゲル化媒体として用いる置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環が液体状態にて行う限り、どのような方法で行ってもよい。具体的には、手動または電動によるメノウ乳鉢と乳棒を使用した混合、超音波照射、攪拌子を使用した攪拌、振とう攪拌、粉砕機による高速振動といった機械的手法を採用することができる。特筆すべきは、特許文献1に記載の方法において必須とされているせん断力は必ずしも必要でないことである。なお、本発明の第1のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法においてゲル化媒体として用いる置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環は、常温(室温を意味し具体的には15℃〜25℃が例示される)で液体状態のものが多いので、そうしたものの場合、常温でそのままゲル化媒体としてナノカーボン材料と撹拌混合することができる。置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環が常温で固体状態であって液体状態でない場合、これらの物質に対して溶解能を有する液体物質、例えば、水、有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いて溶解することで液体状態にしてゲル化媒体として用いればよい。有機溶媒としては、メタノールやエタノールやイソプロパノールなどのアルコール、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリアルコール、アセトン、アセトニトリル、エーテル、ヘキサン、酢酸エチルなどを用いることができる。ゲル化媒体として用いる溶液中には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環が、30重量%以上含まれていることが望ましく、50重量%以上含まれていることがより望ましい。置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環が塩の形態である場合、常温で固体状態のものが多いが、こうした場合もこれらの物質に対して溶解能を有する液体物質を用いて溶解することで液体状態にしてゲル化媒体として用いればよい。また、加熱によって溶融させることで液体状態(溶融状態)にできるものはそうしてゲル化媒体として用いればよい。加熱の程度は、物質の融点に依存するため、個々の物質によって異なるが、本発明の第1のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法において用いるゲル化媒体は有機物質であることに鑑みれば、その上限は通常300℃である。また、常温で液体状態である置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環は、これらの物質に対して溶解能を有する液体物質を用いて希釈してゲル化媒体として用いることもできる。この場合、ゲル化媒体として用いる溶液中には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環や置換基を有していてもよい芳香族複素単環が、30重量%以上含まれていることが望ましく、50重量%以上含まれていることがより望ましい。
ナノカーボン材料と、ゲル化媒体としての、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環、置換基を有していてもよい芳香族複素単環から選択される少なくとも1種を分子内にあわせて2個以上有する常温で固体状態の物質を、この物質に対して溶解能を有する液状物質に溶解することで得られる溶液を、攪拌混合することによることを特徴とするものである。
以下、その詳細を説明する。
本発明の第2のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法の適用対象となるナノカーボン材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノホーン、ピーポッド、フラーレンなどの、大きさ(カーボンナノチューブにおいては直径、カーボンナノファイバーにおいては繊維径)がナノメートルスケールの炭素素材が例示される。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)であってもよいし、多層カーボンナノチューブ(MWNTs)であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
本発明の第2のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法に用いるゲル化媒体は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環、置換基を有していてもよい芳香族複素単環から選択される少なくとも1種を分子内にあわせて2個以上有する常温で固体状態の物質を、この物質に対して溶解能を有する液体物質に溶解することで得られる溶液である。芳香族炭化水素単環、芳香族複素単環、これらが有していてもよい置換基の詳細については上述の通りである。ゲル化媒体は単一の溶液を用いてもよいし複数種類の溶液を混合して用いてもよい。
A.芳香族炭化水素縮合環:6員環同士
ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アセナフテン、アセナフチレン、アントラセン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[g,h,i]ペリレン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、フルオランテン、フルオレン、インデノ[1,2,3−c,d]ピレン、テトラセン、トリフェニレン、テトラフェン、ペンタセン、ピセン、ペリレン
B.ヘテロ原子を有する芳香族縮合環:5員環+6員環
ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾチオフェン、ベンゾ(c)チオフェン、ベンゾホスホール、ベンゾイミダゾール、プリン、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール
C.ヘテロ原子を有する芳香族縮合環:6員環+6員環
キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、アクリジン
D.その他
例えばシクロペンタジエニルアニオンとシクロヘプタトリエニウムイオンが縮合して構成されるアズレン(5員環+7員環)
本発明の第2のナノカーボン材料含有ゲルの製造方法において用いるゲル化媒体が液体状態にて行う限り、どのような方法で行ってもよい。具体的には、手動または電動によるメノウ乳鉢と乳棒を使用した混合、超音波照射、攪拌子を使用した攪拌、振とう攪拌、粉砕機による高速振動といった機械的手法を採用することができる。特筆すべきは、特許文献1に記載の方法において必須とされているせん断力は必ずしも必要でないことである。ナノカーボン材料とゲル化媒体の配合割合は、ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の重量比が0.1%以上が望ましく、0.5%以上がより望ましく、1%以上がさらに望ましい。ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の重量比が少なすぎると、得られるゲルのナノカーボン材料含有量が少なくなる。一方、ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の配合割合が多すぎると、ゲル化媒体がナノカーボン材料に対して相対的に不足することでゲルの状態を維持しにくくなる(軟性を失って乾いた粘土のような状態になりやすい)。従って、ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の重量比は30%以下が望ましく、25%以下がより望ましく、20%以下がさらに望ましい。
トルエン402.9mgをバイアルにとり、超音波照射しながらSWNTs(カーボンナノテクノロジー社製、以下同じ)55.2mg(前者に対して13.7wt%)を添加すると、内容物がゲル化した。内容物がゲルであることの確認は、バイアルを反転させてもバイアルの底の内容物が維持されたままである(流動性がない)ことと外観観察で行った。
トルエン500.0mgをバイアルにとり、超音波照射しながらMWNTs(Thomas Swan社製、以下同じ)45.1mg(前者に対して9.0wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
トルエン115.0mgを、メノウ乳鉢にとったMWNTs7.0mg(前者に対して6.1wt%)に、乳棒を用いて混合しながら添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルにトルエン115.0mgを乳棒を用いて混合しながら添加すると、ゲルはマイクロピペットを用いてマイクロチューブに移し替えることができる程度に軟化したが、MWNTsの凝集(バンドル化)は認められなかった。
スチレン393.7mgをバイアルにとり、超音波照射しながらMWNTs39.4mg(前者に対して10.0wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
ベンゼン130.0mgをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いて混合しながらMWNTs5.0mg、5.3mg、5.4mgを順次添加すると(合計15.7mg:前者に対して12.1wt%)、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルにベンゼン130.0mgを乳棒を用いて混合しながら添加すると、ゲルはマイクロピペットを用いてマイクロチューブに移し替えることができる程度に軟化したが、MWNTsの凝集は認められなかった。
アニリン108.4mgをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いて混合しながらMWNTs5.1mg(前者に対して4.7wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルにアニリン108.4mgを乳棒を用いて混合しながら添加すると、ゲルはマイクロピペットを用いてマイクロチューブに移し替えることができる程度に軟化したが、MWNTsの凝集は認められなかった。
アニリン塩酸塩(結晶)61.075gを水150mLに溶解させてアニリン塩酸塩水溶液を得た。その一部(100μL:アニリン塩酸塩含有量は49.7mg)をゲル化媒体としてマクロピペットを用いてメノウ乳鉢に移し替え、乳棒を用いて混合しながらMWNTs6.1mg(ゲル化媒体に対して6.1wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
フェノール(結晶)1.0239mgをバイアルにとり、蒸留水100μLを加えた後、バイアルを手でよく振って結晶を溶解させてフェノール水溶液を得た。その一部(95.5μL:フェノール含有量は0.946mg)をゲル化媒体としてマクロピペットを用いてメノウ乳鉢に移し替え、乳棒を用いて混合しながらMWNTs5.6mg(ゲル化媒体に対して6.0wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
ニトロベンゼン123.0mgをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いて混合しながらSWNTs5.8mg(前者に対して4.7wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルにニトロベンゼン123.0mgを乳棒を用いて混合しながら添加すると、ゲルは軟化したが、SWNTsの凝集は認められなかった。軟化したゲルをマイクロピペットを用いてTEMグリッド(HIGH GRADE Cu/Rh HR−26 400mesh、Maxtaform社製、以下同じ)に塗布し、1日間自然乾燥してニトロベンゼンを抜去した後、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を得た。その結果、SWNTsは、そのほとんどが1本〜20本程度の束状(その太さは3nm〜50nm程度)になってゲル媒体であるニトロベンゼン中に分散され、立体的な3次元の網目構造を形成していたことがわかった(図1参照)。SWNTsとニトロベンゼンを撹拌混合することでゲル化し、SWNTsがニトロベンゼン中で安定に保持されるのは、SWNTsがニトロベンゼン中でこうした3次元の網目構造を形成することで、SWNTs同士の動的な会合が効果的に抑制されるためであると推察された。
ニトロベンゼン123.0mgをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いて混合しながらMWNTs3.6mg(前者に対して2.9wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルにニトロベンゼン123.0mgを乳棒を用いて混合しながら添加すると、ゲルは軟化したが、MWNTsの凝集は認められなかった。軟化したゲルをマイクロピペットを用いてTEMグリッドに塗布し、1日間自然乾燥してニトロベンゼンを抜去した後、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を得た。その結果は実施例9のSWNTsと同様であり、MWNTsも、そのほとんどが1本〜20本程度の束状(その太さは3nm〜50nm程度)になってゲル媒体であるニトロベンゼン中に分散され、立体的な3次元の網目構造を形成していたことがわかった(図2参照)。
トルエンのかわりにクロロベンゼンを用いること以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
トルエンのかわりに安息香酸を用いること以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
トルエンのかわりにベンゾニトリルを用いること以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
トルエンのかわりにピリジンを用いること以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
本発明の第1の製造方法によれば、ゲル化媒体に対してナノカーボン材料を重量比で5%以上含んでなるナノカーボン材料含有ゲルを製造することができる。ナノカーボン材料が高含有のゲルは、インク、塗料、プラスチック、ゴムなどをはじめとする各種の物品に所定量のナノカーボン材料を組み込んで機能性を付与したい場合などに有用である。また、ゲル化媒体をゲルに追加添加することでナノカーボン材料の凝集を引き起こすことなくゲルの粘性を容易に低下できることは、ゲルの取り扱い性の向上に寄与する。この実施例においてゲル化媒体として用いているベンゼン、アニリン、ベンゾニトリル、ピリジンは、特許文献2に記載の方法におけるゲル化媒体に要求される化学構造条件を満たさないことでゲル化媒体になり得ないと特許文献2において判定されているものである。その根拠は、これらの物質に対してSWNTsを3.5wt%添加した場合に内容物がゲル化しなかったことによる。しかしながら、これらの物質も、これらの物質に対するSWNTsの添加量を増やすことでゲル化媒体として機能し、内容物がゲル化することがこの実施例によってわかった。即ち、特許文献2に記載の方法におけるゲル化媒体に要求される化学構造条件を満たさない芳香族炭化水素単環や芳香族複素単環であっても、本質的にゲル形成能を有しないのではないということである。これらの物質も、特許文献2に記載の方法におけるゲル化媒体に要求される化学構造条件を満たす物質(芳香族炭化水素単環や芳香族複素単環を分子内にあわせて2個以上有する物質)よりもゲル形成能は低いものの、ゲル形成能を有している。ゲル形成能が低いことには有利な点がある。それは、ゲル形成能が高いゲル化媒体を用いた場合、ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の添加量が少なくてもゲル化をもたらすので、高含量のゲルを得にくい側面を有するが、ゲル形成能が低いゲル化媒体を用いた場合、ゲル化媒体に対するナノカーボン材料の添加量が多くなければゲル化をもたらさないので、結果として高含量のゲルを得やすいという利点である。本発明の第1の製造方法によれば、ゲル化媒体に対してナノカーボン材料を重量比で5%以上、望ましくは10%以上含んでなるナノカーボン材料含有ゲルを製造することができることには、こうしたゲル化媒体の特質が関与していると考えられる。
ニトロベンゼン123.0mgをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いて混合しながら市販のグラファイト電極をメノウ乳鉢で乳棒を用いて微細に粉砕したもの51.9mg(前者に対して42.2wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
エピクロルヒドリン10mLをバイアルにとり、ビスフェノールA5.0152gを加えた後、ボルテックスミキサーと超音波照射によって両者をよく混ぜ合わすことでビスフェノールA型エポキシ樹脂のモノマー溶液を得た。その一部(581.0mg)をマイクロピペットを用いて別のバイアルに移し替え、超音波照射しながらMWNTs6.0mg(モノマー溶液に対して1.0wt%)を添加すると、内容物がゲル化した(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。
ゲル化媒体としてベンゼン環を有する各種の物質とMWNTsをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いてすりつぶし混合することでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。用いたゲル化媒体の種類と得られたゲルのゲル化媒体に対するMWNTsの重量比を表1に示す。
ゲル化媒体としてベンゼン環を有する各種の物質とMWNTsをマイクロチューブまたはバイアルにとって混合し、超音波分散させることでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。用いたゲル化媒体の種類と得られたゲルのゲル化媒体に対するMWNTsの重量比を表2に示す。
ゲル化媒体としてピリジン環またはベンゼン環を有する常温で固体状態である各種の物質の溶液とMWNTsをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いてすりつぶし混合することでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。用いたゲル化媒体の種類と得られたゲルのゲル化媒体に対するMWNTsの重量比を表3に示す。
ゲル化媒体としてベンゼン環またはピロール環を有する各種の物質とMWNTsをメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いてすりつぶし混合することでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。用いたゲル化媒体の種類と得られたゲルのゲル化媒体に対するMWNTsの重量比を表4に示す。
市販の重合度500のポリビニルアルコール樹脂996mgと水19mLを300mLのビーカー内でホットプレートを用いて加熱混合し、ポリビニルアルコール樹脂の5wt%水溶液を得た。このポリビニルアルコール樹脂水溶液2mLをバイアルにとったアニリン塩酸塩(結晶)300mgに加え、ボルテックスミキサーによって両者をよく混ぜ合わせた。得られたアニリン塩酸塩を含むポリビニルアルコール樹脂水溶液400μLをゲル化媒体としてMWNTs8.0mg(ゲル化媒体に対して2.0wt%)とともにメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いてすりつぶし混合することでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。このゲルをマイクロピペットを用いてTEMグリッドに塗布し、1週間自然乾燥した後、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を得た。また、このゲルをマイクロピペットを用いてSEM試料台(LK22T/Type−BA、φ10×7、日新EM社製)に塗布し、1週間自然乾燥した後、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を得た。図3にTEM画像を示し、図4にSEM画像を示す。TEM画像から明らかなように、MWNTsは、そのほとんどが数本程度の束状(その太さは3nm〜10nm程度)になってゲル媒体であるアニリン塩酸塩を含むポリビニルアルコール樹脂水溶液中に分散され、立体的な3次元の網目構造を形成していたことがわかった。また、SEM画像から明らかなように、MWNTsは、そのほとんどが緻密な網目(その太さは3nm〜10nm程度)になってゲル媒体であるアニリン塩酸塩を含むポリビニルアルコール樹脂水溶液中に分散され、立体的な3次元網目構造を形成していたことがわかった。このゲルをガラス基板に塗布してから硬化させることで、基板上にMWNTs分散複合樹脂膜を形成することができた。その外観を図5に示す。
ゲル化媒体としてピリジン環またはベンゼン環を有する各種の物質とMWNTsからMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。用いたゲル化媒体の種類と得られたゲルのゲル化媒体に対するMWNTsの重量比と製法を表5に示す。
ゲル化媒体としてのスチレンを含む市販のFRP(繊維強化プラスチック)樹脂(スチレン架橋型不飽和ポリエステル樹脂)とMWNTs(ゲル化媒体に対して5.0wt%)をメノウ乳鉢にとり、乳棒を用いてすりつぶし混合することでMWNTs含有ゲルを得た(実施例1と同様にして内容物がゲルであることを確認)。得られたMWNTs含有ゲル(透過型電子顕微鏡(TEM)画像によりゲル化媒体中にMWNTsが分散されていることを確認)をガラス基板に塗布してから硬化させることで75mm×5mm×0.15mmの試料片を作製し、4探針法にてその体積抵抗値を測定したところ、0.815Ω・cmであった。以上の結果から、このMWNTs含有ゲルは、電気伝導性を有する機能性高分子であることがわかった。
Claims (4)
- ゲル化媒体に対して重量比で5%以上のナノカーボン材料(高分子電解質塩の形態を除く)と、ゲル化媒体としての液体状態にある置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環および/または置換基を有していてもよい芳香族複素単環(塩の形態であってもよいがイオン液体は除く)を、撹拌混合(超音波照射による撹拌混合を除く)することによることを特徴とするナノカーボン材料含有ゲルの製造方法(但しゲル化媒体に対するナノカーボン材料の配合割合は両者を撹拌混合することでゲル化する配合割合とする)。
- 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素単環がベンゼン、トルエン、アニリン、ニトロベンゼン、スチレン、フェノール、クロロベンゼン、安息香酸、ベンゾニトリルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 置換基を有していてもよい芳香族複素単環がピリジンであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- ナノカーボン材料がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013017589A JP6132389B2 (ja) | 2012-01-31 | 2013-01-31 | ナノカーボン材料含有ゲルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012018251 | 2012-01-31 | ||
JP2012018251 | 2012-01-31 | ||
JP2013017589A JP6132389B2 (ja) | 2012-01-31 | 2013-01-31 | ナノカーボン材料含有ゲルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013177295A JP2013177295A (ja) | 2013-09-09 |
JP6132389B2 true JP6132389B2 (ja) | 2017-05-24 |
Family
ID=49269380
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013017589A Expired - Fee Related JP6132389B2 (ja) | 2012-01-31 | 2013-01-31 | ナノカーボン材料含有ゲルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6132389B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2549850A1 (en) * | 2004-01-09 | 2005-08-04 | Leandro Balzano | Carbon nanotube pastes and methods of use |
JP5119443B2 (ja) * | 2005-11-04 | 2013-01-16 | 国立大学法人九州大学 | 芳香族ポリイミドを用いるカーボンナノチューブの可溶化 |
FR2923823B1 (fr) * | 2007-11-21 | 2010-10-08 | Centre Nat Rech Scient | Aerogels de nanotubes de carbone |
KR101820543B1 (ko) * | 2009-11-06 | 2018-01-19 | 가꼬우호진 시바우라 고교 다이가꾸 | 나노 카본 재료 함유 겔의 제조방법 |
-
2013
- 2013-01-31 JP JP2013017589A patent/JP6132389B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013177295A (ja) | 2013-09-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhang et al. | Low percolation threshold in single-walled carbon nanotube/high density polyethylene composites prepared by melt processing technique | |
Wu et al. | Cotton candy-templated fabrication of three-dimensional ceramic pathway within polymer composite for enhanced thermal conductivity | |
Yu et al. | Characterization of conductive multiwall carbon nanotube/polystyrene composites prepared by latex technology | |
Grossiord et al. | On the crucial role of wetting in the preparation of conductive polystyrene− carbon nanotube composites | |
Georgakilas et al. | Multipurpose organically modified carbon nanotubes: from functionalization to nanotube composites | |
Dang et al. | Tailored dielectric properties based on microstructure change in BaTiO3-carbon nanotube/polyvinylidene fluoride three-phase nanocomposites | |
Naz et al. | Comparative review on structure, properties, fabrication techniques, and relevance of polymer nanocomposites reinforced with carbon nanotube and graphite fillers | |
Li et al. | Large dielectric constant of the chemically functionalized carbon nanotube/polymer composites | |
CN102618107B (zh) | 导电石墨乳及其制备方法 | |
Tang et al. | Conductive polymer nanocomposites with hierarchical multi-scale structures via self-assembly of carbon-nanotubes on graphene on polymer-microspheres | |
Zhang et al. | Single-walled carbon nanotube-based coaxial nanowires: synthesis, characterization, and electrical properties | |
Pal et al. | Synthesis and properties of novel nanocomposites made of single-walled carbon nanotubes and low molecular mass organogels and their thermo-responsive behavior triggered by near IR radiation | |
KR101471044B1 (ko) | 탄소나노튜브 분산체를 이용한 탄소나노튜브의 분산방법 | |
Zhao et al. | Electrical conductivity of poly (vinylidene fluoride)/carbon nanotube composites with a spherical substructure | |
KR101157451B1 (ko) | 전도성이 향상된 고분자-탄소나노튜브 복합체 제조방법 | |
US7976731B2 (en) | Metal complexes for enhanced dispersion of nanomaterials, compositions and methods therefor | |
Xu et al. | A two-step shearing strategy to disperse long carbon nanotubes from vertically aligned multiwalled carbon nanotube arrays for transparent conductive films | |
US7713448B1 (en) | Carbon nanomaterial dispersion and stabilization | |
CN100478398C (zh) | 一种制备聚合物/碳纳米管复合材料的方法 | |
WO2015096591A1 (zh) | 高分散碳纳米管复合导电墨水 | |
WO2007050408A2 (en) | Metal complexes for enhanced dispersion of nanomaterials, compositions and methods therefor | |
Cui et al. | High-concentration self-cross-linkable graphene dispersion | |
Farrell et al. | Organic dispersion of polyaniline and single-walled carbon nanotubes and polyblends with poly (methyl methacrylate) | |
KR101820543B1 (ko) | 나노 카본 재료 함유 겔의 제조방법 | |
Gholami et al. | The effect of choline-based ionic liquid on CNTs' arrangement in epoxy resin matrix |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20161013 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161025 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20161222 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170224 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170328 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170414 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6132389 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |