JP4900376B2 - カーボンナノチューブを処理する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブを処理する方法、かかる処理方法により製造されるカーボンナノチューブおよびそれを含むカーボンナノチューブデバイスに関する。特に、本発明は、半導体単層カーボンナノチューブ(S−SWNT)、金属性単層カーボンナノチューブ(M−SWNT)、カイラル型カーボンナノチューブ、本処理方法により製造されるカーボンナノチューブなど、タイプまたは特性の異なるカーボンナノチューブの効率的かつ費用効果に優れた分離/濃縮と、それらを含むカーボンナノチューブデバイスとに関するものである。
カーボンナノチューブ(CNT)は、電気的、機械的および化学的性質に優れているため、一次元ナノ材料として関心が高まっている。ナノ材料に関する集中的な研究により、カーボンナノチューブの用途は、多くの様々な分野で広範囲に拡大する可能性があると考えられている。たとえば、カーボンナノチューブは、ナノ電界効果トランジスタ、電界放出源、水素吸蔵材、高強度繊維およびセンサなど、エレクトロニクス、光学、力学、バイオテクノロジーおよび生態学の分野で使用することができる。
カーボンナノチューブは、層を形成する原子層の数により、単層カーボンナノチューブ(SWNT)および多層カーボンナノチューブ(MWNT)に分類することができる。具体的に述べると、多層カーボンナノチューブは、直径の異なる単層カーボンナノチューブを入れ子状にしたものとみなすことができる。カーボンナノチューブ分野の研究および応用では、単層カーボンナノチューブおよび原子層の数が比較的少ない多層カーボンナノチューブは、性能が際立っているため重要であることが示されている。
単層カーボンナノチューブは、伝導性に基づきM−SWNTおよびS−SWNTにさらに分類することができる。M−SWNTは、たとえば、導電性フィルム、電界放出装置および同種のものなど、様々な装置に用いることができる。S−SWNTは、たとえば、ナノ電界効果トランジスタ、センサおよび同種のものへの応用が確認されている。しかしながら、単層カーボンナノチューブは通常、M−SWNTおよびS−SWNTが混合されたバンドルとして成長するため、M−SWNTあるいはS−SWNTの用途は、バンドル中のそれらの割合によって制限される。単層カーボンナノチューブの直径およびカイラル角にもよるが、単層カーボンナノチューブは、ほとんどの場合、M−SWNTが1/3およびS−SWNTが2/3からなることが理論的に明らかになっている(たとえば、非特許文献1参照。)。しかしながら、プロセス条件、精製処理および同種のものが異なる場合、この炭素材料に含まれるM−SWNTおよびS−SWNTは、理論上の割合である1:2ではない。さらに、カーボンナノチューブは、炭素原子層の数の増加に伴い金属性が次第に高まり、最終的には、金属的になる。
カーボンナノチューブを作製する従来の方法として、グラファイトのアーク放電、化学蒸着プロセス、レーザー蒸発プロセスおよび同種のものが挙げられる。これら従来の方法で得られるカーボンナノチューブは、ほとんどの場合、M−SWNTとS−SWNTとの混じったバンドルを含む。したがって、M−SWNTおよびS−SWNTをそれぞれの応用分野で利用するには、伝導性の異なるカーボンナノチューブを互いに分離する必要がある。故に、カーボンナノチューブの分離は、重要な研究主題の1つになっている。
化学的および物理的性質の違いを利用してM−SWNTとS−SWNTとを分離すべく、これまでに多くの方法が提示されてきた。
齋藤 理一郎ら著,「マテリアルサイエンスアンドエンジニアリング(Material Science and Engineering)」,1993年,B19巻,p.185−191 「ジャーナルオブザアメリカンケミカルソサイティー(J.Am.Chem.Soc.)」,2003年,第125号,p.3370;アプライドフィジックスレターズ(Appl.Phys.Lett.)2004年,第85巻,p.1006 「ジャーナルオブザアメリカンケミカルソサイティー」,2004年,第126号,p.1014 「サイエンス(Science)」,2003年,第301巻,p.1519 「ナノレターズ(Nano Lett.)」,2003年,第3巻,p1245 「ネイチャーナノテクノロジー(Nature Nanotechnology)」,2006年,第1号,p.60 「サイエンス」,2003年,第302巻,p.1545;「ナノレターズ」,2004年,第4巻,p.543 ケムフィズケム(Chem.Phys.Chem.),2004年,第5巻,p.619;「ジャーナルオブザアメリカンケミカルソサイティー」,2005年,第127号,p.10287
化学的アプローチは、SWNTを効率的に分離する有望な手段と考えられている。化学/生体分子の中には、SWNTの直径/特性に対して選択性を有することが示されているものもある。たとえば、カルボキシ基を持つSWNTを出発材料として、オクタドデシルアミン(たとえば、非特許文献2参照。)またはポルフィリン(たとえば、非特許文献3参照。)を選択し、M−SWNTからS−SWNTを分離している。さらに、選択的な共有結合によるSWNTの機能化も報告されている(たとえば、非特許文献4参照。)。しかしながら、処理後のSWNTは、元の構造および特性が損なわれるか、劣化するため、所望の生成物は収率が低い。
M−SWNTについては、元のSWNTと臭素との選択的相互作用を利用して、得られたサンプルの密度の違いに基づきS−SWNTから分離されている(たとえば、非特許文献5参照。)。最近では、直径、バンドギャップおよび電子的特徴に従って異なるタイプのカーボンナノチューブを分離する密度勾配超遠心法が、有望なプロセスであると考えられている(たとえば、非特許文献6参照。)。しかしながら、この分離プロセスには時間がかかるうえ、遠心分離にも費用がかかる。
DNAでラッピングしたM−SWNTおよびS−SWNTを陰イオン交換クロマトグラフィーまたは遠心分離で分離することも報告されている(たとえば、非特許文献7参照。)。陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離を用いる場合、費用がかかるうえ、SWNTからラッピングしたDNAを除去する必要もある。
アミノ基とM−SWNTとの選択的相互作用を利用したSWNTの分離については、以前に報告されている(たとえば、非特許文献8参照。)。しかし、この分離プロセスでは、時間がかかるうえ、高価な遠心分離プロセスも必要となる。
そこで、カーボンナノチューブの処理に関しては、M−SWNTおよびS−SWNTなど、タイプまたは特性の異なるカーボンナノチューブを、手軽に分離することができる効率的で費用効果に優れた新しいプロセスが望まれている。
第1の態様では、本発明は、カーボンナノチューブを処理する方法であって、
該カーボンナノチューブを分散媒体中に分散させて分散系を調製することと、
該分散系に含まれるタイプ別カーボンナノチューブが、タイプまたは特性の異なるカーボンナノチューブに対して異なる吸着選択性を持つように化学的/生物学的変性剤により変性された吸着剤に吸着されるよう、該分散系と吸着剤とを混合することと、
吸着剤を分散系から分離し、吸着剤に吸着されたタイプ別カーボンナノチューブを分散系に濃縮された別のタイプのカーボンナノチューブから分離することと
を含む、方法を提供する。
M−SWNTおよびS−SWNTなど、タイプまたは特性の異なるカーボンナノチューブについては、本発明の方法によって濃縮または分離することができる。たとえば、M−SWNTに対して吸着選択性を示す化学的/生物学的変性剤を用いて、M−SWNTを吸着剤に吸着させ、得られる分散系中にS−SWNTを濃縮させる。別の方法としては、S−SWNTに対して吸着選択性を示す化学的/生物学的変性剤を用いて、S−SWNTを吸着剤に吸着させ、得られる分散系にM−SWNTを濃縮させる。
本発明の一実施形態では、本発明の方法に用いるカーボンナノチューブは、SWNTまたはMWNTである。本発明の好ましい一実施形態では、異なるタイプのカーボンナノチューブは、M−SWNT、S−SWNTおよびカイラル型カーボンナノチューブを含むものである。
本発明の一実施形態では、吸着剤は、無機酸化物材料を含むものである。特に、無機酸化物材料は、シリカ材料、アルミナ材料、マグネシア材料またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、シリカは、シリカ球、シリカ凝集体、シリカウェーハ、シリカ膜、多孔性シリカまたはこれらの組み合わせを含む。一層好ましくは、無機酸化物材料は、不規則または粗い形状のシリカ球またはシリカ凝集体から選択されてもよい。さらに一層好ましくは、無機酸化物材料は、平均直径が100nm〜50μm、好ましくは1μm〜40μm、一層好ましくは20μmのシリカ球またはシリカ凝集体である。さらに、このシリカ球またはシリカ凝集体は、不規則な形状または粗い形状であることが好ましい。
本発明の方法では、化学的/生物学的変性剤で吸着剤を変性させる。好ましくは、化学的/生物学的変性剤は、M−SWNTに対して吸着性を示す臭素、アミノ含有化合物、中性の芳香族高分子、電荷移動芳香族分子、ジアゾ化合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。アミノ含有化合物は、プロピルアミン、オクチルアミン、オクタデシルアミンまたは3−アミノプロピルトリエチルシランを含むものである。中性の芳香族高分子は、ナフタレンまたはアントラセンを含むものである。電荷移動芳香族分子は、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)および7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)を含むものである。化学的/生物学的変性剤は、S−SWNTに対して吸着を示すポルフィリン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)、特異的配列を持つ一本鎖DNAからなる群から選択されることが好ましい場合もある。化学的/生物学的変性剤は、カイラル型カーボンナノチューブに対して吸着性を示すジポルフィリンであることが好ましい場合もある。
本発明の一実施形態では、分散媒体は、水、アルコール、エーテル、ケトン、アミド、ハロゲン化炭化水素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される極性溶媒を含んでもよい。一層好ましくは、アルコール極性溶媒は、メタノール、エタノールおよび同種のものなど、低級アルコール(1個から6個の炭素原子を含むアルコール)を含むものである。エーテル極性溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよび同種のものを含むものである。ケトン極性溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトンおよび同種のものを含むものである。アミド極性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドおよび同種のものを含むものである。ハロゲン化炭化水素は、オルト−ジクロロベンゼン(ODCB)およびクロロホルムを含むものである。
本発明の好ましい一実施形態では、分散媒体は、界面活性剤および上記の極性溶媒を含むものである。界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤、トリトンX100などの非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。分散媒体は、ドデシル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤と水およびアルコールなどの極性溶媒とからなる系であることが好ましい。界面活性剤の量は、分散媒体の総重量に対して1wt%以下、好ましくは0.2〜1.0wt%、一層好ましくは0.5wt〜0.9wt%である。たとえば、分散媒体は、ドデシル硫酸ナトリウムを、好ましくは0.2〜1.0wt%、一層好ましくは0.5wt〜0.9wt%含むものである。
本発明の方法では、該吸着剤と分散系とを混合した後に任意に超音波処理を行う。
本発明の方法は、タイプ別カーボンナノチューブと吸着剤とが分離するよう、タイプ別カーボンナノチューブの吸着した吸着剤を処理し、吸着剤をさらに使用できるように再生させる後処理ステップをさらに含むものである。後処理ステップは、好ましくは、超音波処理またはアニーリングを用いて、あるいは、フッ化水素酸などの酸と水酸化ナトリウムなどの塩基とから選択される化学薬剤により該吸着剤を処理することを含むものである。
好ましくはおよび任意に、所望の特性またはタイプのカーボンナノチューブをより高い割合で得るため、本発明の方法を1回以上繰り返してもよい。
第2の態様では、本発明は、本発明の処理方法により製造されるカーボンナノチューブに関する。本発明の処理方法により得られるカーボンナノチューブは、S−SWNTまたはM−SWNTあるいはカイラル型カーボンナノチューブを含むものである。本発明の処理方法によるカーボンナノチューブは、従来のプロセスにより製造または処理されるカーボンナノチューブと比べると、所望のカーボンナノチューブ含有率が非常に高く、場合によっては100%にもなるため非常に特徴的な特性を有する。
第3の態様では、本発明は、本発明の方法により製造されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブデバイスを提供する。好ましくは、このデバイスは、カーボンナノチューブの導電性フィルム、電界放出源、トランジスタ、導線、ナノ電気機械システム(NEMS)、ナノカンチレバー、量子計算装置、発光ダイオード、太陽電池、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ、フィルタ、薬物送達システム、熱伝導材料、ナノノズル、エネルギー貯蔵システム、燃料電池、センサまたは触媒担体材料を含むものである。
本発明のこれらおよび他の態様は、本発明の種々の実施形態を開示する下記の本発明の詳細な説明および図面の説明から明らかになるであろう。
本発明では、半導体単層カーボンナノチューブ(S−SWNT)、金属性単層カーボンナノチューブ(M−SWNT)およびカイラル型カーボンナノチューブなどタイプまたは特性の異なるCNTの効率的で費用効果に優れた分離/濃縮を提供しており、処理後の生成物は、所望のカーボンナノチューブを高い割合あるいは100%で含むことも可能である。
本発明は、下記の詳細な説明および添付図面からさらに十分に理解されるであろう。詳細な説明および添付図面は、例示のみを目的としており、したがって、本発明を限定するものではない。
次に、図面を参照しながら、例示した本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態では、本発明は、カーボンナノチューブを処理する方法であって、
該カーボンナノチューブを分散媒体中に分散させて分散系を調製することと、
該分散系に含まれるタイプ別カーボンナノチューブが、タイプまたは特性の異なるカーボンナノチューブに対して異なる吸着選択性を持つように化学的/生物学的変性剤により変性された吸着剤に吸着されるよう、該分散系と吸着剤とを混合することと、
吸着剤を分散系から分離し、吸着剤に吸着されたタイプ別カーボンナノチューブを分散系に濃縮された別のタイプのカーボンナノチューブから分離することと
を含む、方法を提供する。
本発明の方法では、吸着剤は、化学的/生物学的変性剤上の化学的/生物学的官能基に共有的または非共有的に結合している。化学的/生物学的変性剤の化学的/生物学的官能基は、共有結合的、非共有結合的またはイオン的な手段あるいは他の生物学的な選択的相互作用および同種の手段により、分散媒体中に分散したタイプ別カーボンナノチューブと選択的に相互作用する。本発明の方法を、「フィッシング」分離プロセスとして模式的に示すことができる。ここで、分散媒体中に分散したカーボンナノチューブは、「魚」であり、カーボンナノチューブが分散した分散媒体は、「池」であり、吸着剤は、「釣り竿」として機能する。吸着剤と、カーボンナノチューブが分散媒体中に分散した分散系とを任意の従来の手段で混合し、分散系からタイプ別カーボンナノチューブを吸着剤に選択的に吸着させる。吸着剤を分散系から分離するときには、吸着剤は、「釣り竿」として機能してそのタイプ別カーボンナノチューブを選択的に釣り尽くしており、池に分散していたタイプ別カーボンナノチューブは、このとき吸着剤に吸着している。一方、別のタイプのカーボンナノチューブに関しては、このように得られた分散系に濃縮されており、濾過などの単純なプロセスにより得ることができる。
カーボンナノチューブ
本発明の方法で使用するカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブまたは二層カーボンナノチューブ(DWNT)および3層以上のカーボンナノチューブなどの多層カーボンナノチューブを用いることができる。本発明の方法では、M−SWNTとS−SWNTとが混合した単層カーボンナノチューブのバンドルを処理することが好ましい場合もある。本発明の処理対象のカーボンナノチューブについては、アーク放電プロセス、CVDプロセスおよびレーザー蒸発プロセスなど、従来のプロセスで成長させることができる。しかし、本発明の処理対象のカーボンナノチューブの作製方法は、特に限定されるものではない。本発明の方法では、たとえば、カーボンナノテクノロジーインク(Carbon Nanotechnologies Inc.)(米国)製の市販品HiPco−SWNT(Feナノ粒子を触媒として高温高圧で一酸化炭素を分解して製造される)など、市販されている、あるいは、任意の従来のプロセスで製造されるどのような単層カーボンナノチューブも処理することができる。
さらに、任意に好ましくは、本発明の処理対象のカーボンナノチューブを精製して、金属触媒粒子および無定形炭素などの不純物を減少させてから、本発明の方法により処理してもよい。
分散媒体に加えたカーボンナノチューブの分散系
本発明の「フィッシング」プロセスでは、吸着剤は、タイプ別カーボンナノチューブに対して吸着選択性を示す。吸着剤に吸着したタイプ別カーボンナノチューブを分離すると、分散媒体中に別のタイプのカーボンナノチューブが濃縮されている分散系が得られる。したがって、カーボンナノチューブの分散系を調製し、分離プロセスを成功裏に実施するには、本発明で使用する分散媒体の選択が極めて重要である。
分散媒体は、カーボンナノチューブの分散に使用できる任意の従来の極性溶媒のみからなっていても構わない。極性溶媒の例として、水;メタノール、エタノールおよび同種のものといった低級アルコール(1個から6個の炭素原子を含むアルコール)などのアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよび同種のものなどのエーテル;N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトンおよび同種のものなどのケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドおよび同種のものなどのアミド;ならびにオルト−ジクロロベンゼンおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、たとえば、金属塩化物(塩化ナトリウムなど)の溶融塩など、イオン性液体を、本発明の分散媒体として用いてもよい。極性溶媒のみを分散媒体として使用する場合、分散媒体は、N−メチル−2−ピロリドン、オルト−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランからなる群から選択されることが好ましい。
好ましくは、本発明の分散媒体は、界面活性剤および上記の極性溶媒からなる。界面活性剤が存在すると、選択性を有する化学的/生物学的官能基とタイプ別カーボンナノチューブ(M−SWNTなど)との相互作用と、界面活性剤分子とタイプ別カーボンナノチューブ(M−SWNTなど)との相互作用の間で競合が生じる。競合が起こると、効果的かつ効率的に「フィッシング」分離プロセスを実施することが可能になる。界面活性剤が分散媒体に含まれる場合、界面活性剤の量が多すぎると、カーボンナノチューブと吸着剤の活性基との相互作用を阻害する可能性があるため、分散媒体の総重量を基準として界面活性剤の量を制限する必要がある。したがって、界面活性剤の量は、分散媒体の総重量に対して1wt%以下、好ましくは0.2〜1.0wt%、一層好ましくは0.5wt〜0.9wt%である。
カーボンナノチューブの分散に使用できるのであれば、本発明の方法で使用する界面活性剤に特に制限はない。本発明では、たとえば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤または両性界面活性剤など、標準的なものであれば、どのような界面活性剤を使用しても構わない。陰イオン界面活性剤の典型的な例として、たとえば、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、ナトリウム第二級アルキルスルファートおよび同種のものなどが挙げられる。陰イオン界面活性剤の具体的な例として、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium
dodecyl sulfate,SDS)を挙げることができる。陽イオン界面活性剤の典型的な例として、たとえば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび同種のものなど、第四級アンモニウム塩界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤の典型的な例として、たとえば、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよび同種のものが挙げられる。非イオン性界面活性剤の具体例として、トリトンX100がある。両性界面活性剤の典型的な例として、ベタイン両性界面活性剤、アミノ両性界面活性剤およびイミダゾリン界面活性剤が挙げられる。通常、上記の界面活性剤の1種または複数種を水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの従来の溶媒に溶解させることで、分散媒体系を得ることができる。
本発明の方法では、SWNTを分散しやすくなるため、イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。たとえば、本発明で使用する界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムでもよく、濃度は、分散媒体の総重量に対して1wt%以下、好ましくは0.2〜1.0wt%、一層好ましくは0.5wt〜0.9wt%である。
さらに、極性溶媒/界面活性剤系を分散媒体として用いる場合、使用する単層カーボンナノチューブは、シリカ、アルミナおよび同種のものといった無機酸化物材料などの吸着剤あるいは本方法で使用する界面活性剤と、非特異的に相互に作用してもよい。したがって、非特異的な相互作用または非選択的な物理吸着が本発明の方法に与える悪影響を排除するため、適切な処理を行うことが望ましい。そこで、本発明の処理方法の別の方法として、非特異的な相互作用を排除するために超音波処理を施してもよい。
また、分散媒体に加えたカーボンナノチューブの分散系を調製する方法にも特に制限はない。任意の従来の分散手法を用いることができる。たとえば、撹拌、超音波処理および同種のものを用いて、分散媒体に加えたカーボンナノチューブの均一な分散系を生成してもよい。
吸着剤
「フィッシング」分離プロセスで「釣り竿」として用いる吸着剤に関しては、ナノサイズ粒子への加工が可能であり、十分に変性することができて、加熱あるいは化学薬品による分解によって手軽に除去または再利用できるものであれば、どのような材料を用いても構わない。たとえば、シリカ材料、アルミナ材料、マグネシア材料および同種のものといった無機酸化物材料などの吸着剤を本発明の「釣り竿」として用いてもよい。好ましくは、シリカ材料を本発明の方法の釣り竿として用いる。一層好ましくは、シリカ材料は、シリカ球、シリカ凝集体、シリカウェーハ、シリカ膜もしくは多孔性シリカまたはこれらの組み合わせなど、構造が異なるシリカであってもよい。
作業が簡便なため、シリカウェーハなどのシート状のシリカ材料を用いてもよい。変性シリカウェーハを使用する場合は、分散系に直接入れて、分散系から手で簡単に引き上げることができる。また、シリカ球またはシリカ凝集体を「釣り竿」として使用する場合も、単純な分離プロセス、すなわち、濾過を用いることができるため、作業には好都合である。
シリカ球またはシリカ凝集体を「釣り竿」として用いる場合、カーボンナノチューブの吸着効率はシリカ球またはシリカ凝集体の構造および直径の違いが反映されるのが一般的であるため、シリカ球またはシリカ凝集体は、構造および直径が異なっても構わない。たとえば、中空シリカ球とシリカ殻を持つ核−殻構造は、ほとんどの場合、表面積が大きいため、「釣り竿」として用いるのが望ましい。シリカ球の直径が極度に小さいと、制御できない物理吸着が起こるため、導電特性が異なるカーボンナノチューブの変性シリカへの選択的な吸着に好ましくない影響を与える。一方、直径が極度に大きいと、表面積が小さくなるため、化学的相互作用の効率が低下する。そのため、シリカ凝集体の平均直径は、100nm〜50μm、好ましくは1μm〜40μm、一層好ましくは10μm〜30μm、最も好ましくは20μmの範囲であってもよい。
形状が相対的に不規則的または粗い場合、表面積がある程度は大きくなるかもしれないが、他方でナノスケール系におけるカーボンナノチューブとシリカ球との集塊が減少する可能性がある。したがって、本発明の一実施形態では、形状が相対的に不規則的または粗くて、平均直径が100nm〜50μm、好ましくは1μm〜40μm、一層好ましくは10μm〜30μm、最も好ましくは20μmであるシリカ球またはシリカ凝集体を本発明の「釣り竿」として用いることが好ましい。
同様に、使用する多孔性シリカ材料の細孔の平均的な大きさが小さい場合も、制御できない物理吸着が起こる可能性がある。一方、使用する多孔性シリカ材料の細孔の平均的な大きさが大きい場合、吸着全体が低下するであろう。したがって、使用する多孔性シリカ材料の細孔の平均的な大きさは、好ましくは1nm〜10μm、一層好ましくは5nm〜1μm、さらに一層好ましくは10nm〜500nmである。
また、構造および形状面から見たシリカ材料の上記の選択性は、アルミナ材料およびマグネシア材料といった無機酸化物材料など、他の吸着剤に当てはめてもよい。
本発明では、化学的/生物学的変性剤については、シリカ材料といった無機酸化物材料などの吸着剤の化学的/生物学的な変性に使用できるものであれば、分離対象のタイプ別または特性別CNTに応じて好適に決定しても構わない。本発明者らが行った集中的な研究および調査により、臭素、アミノ含有化合物(オクチルアミン(octylamine)、プロピルアミン(propylamine)、オクタデシルアミン(octadecylamine)または3−アミノプロピルトリエチルシラン(3−aminopropyltriethylsilane)および同種のものなど)、中性の芳香族高分子(ナフタレンまたはアントラセンおよび同種のものなど)、電荷移動芳香族分子(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(2,3−dichloro−5,6−dicyano−1,4−benzoquinone,DDQ)、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane,TCNQ)および同種のものなど)およびジアゾ化合物は、M−SWNTへの吸着を示すことが明らかになった。シリカ材料といった無機酸化物材料などの吸着剤にM−SWNTを吸着させるには、カーボンナノチューブ/分散媒体系中に分散したM−SWNTを吸着剤に吸着させる間に、得られる分散系中にS−SWNTが濃縮されるように、上記の任意の材料を用いて吸着剤を変性してもよい。他方、ポルフィリン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(poly(9,9−dioctylfluorenyl−2,7−diyl)および特異的配列を持つ一本鎖DNAは、S−SWNTへの吸着を示す。したがって、ポルフィリン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)および特異的配列を持つ一本鎖DNAのいずれか1つで吸着剤を変性すれば、カーボンナノチューブ/分散媒体系中に分散したS−SWNTが吸着剤に吸着する間に、M−SWNTは得られる分散系に濃縮する。
金属性特性および半導体特性に基づくカーボンナノチューブの分離に加えて、キラリティーなどの特性を基準として、本発明の「フィッシング」分離プロセスを用いて所望のカーボンナノチューブを分離することもできる。カイラル型カーボンナノチューブの分離には、シリカ材料といった無機酸化物材料などの吸着剤を処理するために、ジポルフィリンなどの高度な選択的材料を化学的/生物学的変性剤として用いてもよい。一例を挙げると、カイラル型カーボンナノチューブを選択的に分離する「フィッシング」プロセスでは、メタ−フェニレン架橋亜鉛(II)ジポルフィリン(meta−phenylene−bridged zinc(II)diporphyrin)を化学的/生物学的変性剤として用い、メタノールなどのアルコール溶媒を分散媒体として用いることができる。
シリカ材料といった無機酸化物材料などの吸着剤を化学的/生物学的変性剤で変性するプロセスに特に制限はない。変性は、ほとんどの場合、吸着剤と化学的/生物学的変性剤とを混合し、任意に加熱、超音波処理および同種のものにより、変性剤を吸着剤の表面に吸着させることで実施することができる。
「フィッシング」分離プロセスの概略説明
本発明のプロセスを模式的に示す図1を参照しながら、本発明の「フィッシング」分離プロセスを説明する。
図1のステップ1に示すように、市販のシリカまたは溶液で合成したシリカに、化学的/生物学的変性剤で化学的/生物学的変性を施す。このプロセスで用いるシリカ(silica)は、シート状でも、粉末状でもよい。市販のHipco SWNTなどのカーボンナノチューブを、任意に超音波処理などの従来の技法を利用して、界面活性剤を使用してあるいは使用せずに(図1のステップ2に示したように)適切な分散媒体中に分散させる。次いで、図1のステップ3に示すように、この変性シリカを上記のSWNT/分散媒体系と混合する。使用する吸着剤が、シリカウェーハなど、プレート状である場合、調製済みの分散系に直接入れてもよい。その後、吸着剤と混合した分散系に、適切な時間にわたり超音波処理、加熱および同種のものなどの処理を施して、タイプ別カーボンナノチューブを吸着剤の表面に吸着させることができる。続いて、図1のステップ5に示すように、タイプ別カーボンナノチューブの吸着した吸着剤を分散媒体から分離することができる。使用する吸着剤の形状に応じて、上記の分離作業を行う際に異なるプロセスを用いても構わない。たとえば、シリカウェーハなどのプレート状材料の場合、手または機械などによる単純な作業で、タイプ別カーボンナノチューブが吸着したプレート状材料を分散媒体から引き上げることができる。シリカ球またはシリカ凝集体など、顆粒状の吸着剤を用いる場合、適切な孔径の大きさの濾過膜を利用した従来の濾過プロセスで吸着剤を分散媒体から分離しても構わない。他方で、タイプ別カーボンナノチューブの吸着した吸着剤を分離すると、図1のステップ4に示すように分散媒体中に別のタイプのカーボンナノチューブが濃縮されている。
本発明の「フィッシング」分離プロセスにより、タイプの異なるカーボンナノチューブを高い割合で得ることができる。たとえば、吸着したタイプ別カーボンナノチューブを、超音波処理などの従来の技法により吸着剤から分離することで、非常に高い割合、最大100%でタイプ別カーボンナノチューブ(M−SWNTまたはS−SWNTなど)を得ることもできる。分散媒体中に濃縮される別のタイプのカーボンナノチューブの割合は、60〜100%、好ましくは60〜80%になる場合もある。
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の「フィッシング」分離プロセスを繰り返してもよい。その結果、分散媒体中に分散した別のタイプのカーボンナノチューブの割合をさらに高めることができる。タイプまたは特性の異なるSWNTが高い割合またはおよそ100%になるまで、本発明の「フィッシング」分離を繰り返してもよい。
本発明の別の実施形態では、本発明の方法は、タイプ別カーボンナノチューブと吸着剤とを分離し、さらに使用できるように吸着剤を再生させるよう、タイプ別カーボンナノチューブの吸着した吸着剤を処理する後処理ステップをさらに含むものである。再生処理は、超音波処理またはアニーリングあるいは他のプロセスを用いて該吸着剤を処理することで行うことができる。1つには、再生処理を行うことで吸着剤に吸着したタイプ別カーボンナノチューブを回収し、得られるタイプ別カーボンナノチューブを100%にもなる高い割合にすることが可能である。もう1つには、再生処理により得られる吸着剤を「フィッシング」プロセスにおいて再び用いることができ、それにより費用が削減される。
超音波処理またはアニーリングなどの再生処理を用いると、吸着剤とカーボンナノチューブとの間の吸着が弱まるため、吸着したカーボンナノチューブを吸着剤から分離することができる。他のプロセスとして、酸または塩基などの化学薬剤を用いて吸着したカーボンナノチューブを吸着剤から分離する化学的プロセスが挙げられる。たとえば、シリカ材料を吸着剤とした場合、フッ化水素酸(HF)の水溶液を適切な濃度(5%〜49%HFなど)で用いてシリカ材料を溶解/分散させてもよい。あるいは、アルミナ材料を用いる場合、酸と塩基の水溶液、たとえば、NaOH溶液を用いてアルミナ材料を溶解/分散させてもよい。タイプ別カーボンナノチューブの吸着した吸着剤を酸または塩基などの化学薬剤で処理する場合、タイプ別カーボンナノチューブの堆積物が得られ、次いでこれを水またはアルコールで洗浄し、タイプ別カーボンナノチューブを高い割合で得る。
評価および解析方法
タイプ別カーボンナノチューブと選択的に相互に作用する化学基の存在を確認するため、シリカ材料などの吸着剤をX線光電子分光法で評価および解析する。
ラマンスペクトルおよび可視−近赤外スペクトルにより、分離したカーボンナノチューブ(S−SWNTまたはM−SWNTなど)の評価および解析を行う。
ラマン分光法は、単層カーボンナノチューブの解析を行う強力な手段であり、単層カーボンナノチューブの直径および電気的特性を決定することができる。ラマン分光法を実施する場合、ラマン試験に使用するサンプルをすべて以下のとおり処理してもよい:単層カーボンナノチューブの凝集が試験結果に与える影響を排除するため、エタノールで5分以上超音波処理し、次いで得られた懸濁液をガラスシートに滴下し、風乾させる。
ラマンスペクトルでは、単層カーボンナノチューブの特徴的な散乱モードの1つであるラジアルブリージングモード(Radial−Breathing Mode,RBM)が、130〜350cm-1という低波数で現れる。RBMモードの波数は、単層カーボンナノチューブの直径に反比例し、この反応をω=223.75/d+6.5と表すことができ(たとえば、リュー,S.C.(Lyu,S.C.);リウ,B.C.(Liu,B.C.);リー,T.J.(Lee,T.J.);リウ,Z.Y.(Liu,Z.Y.);ヤン,C.W(Yang,C.W);パーク,C.Y.(Park,C.Y.);リー,C.J.(Lee,C.J.)著,ケミカルコミュニケーション(Chem.Commun.),2003年,p.734を参照。)、式中、ωはcm-1単位のRBMの波数、dはnm単位の単層カーボンナノチューブの直径であり、この式には凝集作用も考慮されている。130〜350cm-1のRBMの波数は、0.6〜1.8nmの直径に対応する。一方、1552cm-1のショルダーピークは、1586cm-1(Gバンド)のメインピークの左に出現するが、これは、グラファイトのE2gモードの分裂に起因するものである。また、ショルダーピークも、単層カーボンナノチューブの特徴的な散乱モードの1つである(たとえば、粕谷厚生(A.Kasuya),佐々木勇一(Y.Sasaki),▲斎▼藤弥八(Y.Saito),田路和幸(K Tohji),仁科雄一郎(Y.Nishina)著,フィジカルレビューレターズ(Phys.Rev.Lett.),1997年,第78巻,p.4434を参照。)。これらの特徴的なピークに加えて、1320cm-1に出現するピークは、欠陥が誘発するモード、すなわち、Dバンドに対応し、これは、サンプルに含まれる無定形炭素および同種のものの欠陥に対応するものである。さらに、G/D比は、単層カーボンナノチューブの純度を評価する指標であり、この比は、単層カーボンナノチューブの純度の上昇とともに大きくなる(たとえば、片浦弘道(H.Kataura),熊沢吉徳(Y.Kumazawa),真庭豊(Y.Maniwa),大塚洋介(Y.Ohtsuka),R.セン(R.Sen),鈴木信三(S.Suzuki),阿知波洋次(Y.Achiba)著,カーボン(Carbon),2000年,第38巻,p.1691を参照。)。
可視−近赤外スペクトルを用いて半導体SWNTとM−SWNTの比を判定することもできる。
実施例
以下の実施例は、本発明を詳細に説明することを意図している。しかしながら、本発明の範囲は、こうした実施例により限定されるものではなく、特許請求の範囲により規定されるものである。本明細書に特に記載がない限り、元のカーボンナノチューブまたは処理後のカーボンナノチューブにおけるS−SWNTまたはM−SWNTの割合は、S−SWNTおよびM−SWNTの総重量に対するS−SWNTまたはM−SWNTの比率を指す。本明細書に特に記載がない限り、本発明で使用する原料および原試薬は、すべて市販品であるか、あるいは、当該技術分野における任意の従来の技法により取得することができる。
本実施例では、無機酸化物材料、すなわち、シリカ凝集体を「釣り竿」として用い、アクロス(Acros)から市販されている3−アミノプロピルトリエチルシランを化学的/生物学的変性剤として用い、イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate,SDS)/水を分散媒体として用いる。
最初に、分散媒体中にカーボンナノチューブを分散させ、調製を行った。図2のステップ2に示すように、Carbon Nanotechnologies Inc.(米国)の市販品Hipco SWNT(0.5mg)を、1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いて脱イオン水(25ml)によく分散させ、SWNT/分散媒体系を得た。
次に、化学的/生物学的変性剤で吸着剤を変性させた。図2に示すように、「釣り竿」としての吸着剤には、シノシリカカンパニーリミテッド(Sino Silica Co.,Ltd.,中国)社製の市販品で平均直径が20μmのシリカ凝集体を利用したが、シリカ凝集体については、入手したままで用いた。シリカ凝集体の典型的な走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)画像を図3に示す。図2のステップ1に示すように、シリカ凝集体(100mg)をアミノ化合物で変性させた。具体的には、シリカ凝集体を3−アミノプロピルトリエチルシラン(3−aminopropyltriethylsilane,アクロス)の10mMエタノール溶液に導入した。この反応混合物を連続的に撹拌しながら80℃で3時間保持した。次いで得られた混合物を遠心分離し、エタノールで十分にすすいだ。シリカ凝集体にアミノ基が存在することをX線光電子分光法で確認した。結果を図4に示す。この図は、元のシリカ凝集体とアミノ基で変性させたシリカ凝集体とのX線光電子スペクトルを比較する。図4では、アミノ修飾シリカ凝集体の399.7eVでのピークがアミノ基の窒素に起因すると見られることが確認できる。
その後、図2のステップ3に示すように、アミノ修飾シリカ凝集体(50mg)をSWNT/分散媒体系と混合した。この混合物を適切な出力で約2時間超音波処理に付した。その結果、アミノ基との特異的な相互作用により、M−SWNTがアミノ修飾シリカ凝集体に選択的に吸着した。
図2のステップ4は、従来の濾過手段を用いて、M−SWNTが吸着したアミノ修飾シリカ凝集体を、得られた分散系から分離できることを示す。たとえば、濾過には、孔径が1μmの濾紙を用いてもよい。図5の濾過プロセスに示すように、M−SWNTが吸着したシリカ凝集体は、直径が濾紙の孔径よりも大きいため、濾紙に保持された。一方、シリカ凝集体に吸着していないM−SWNTおよび分散媒体に残留しているS−SWNTは、濾液として濾紙を通過した。その結果、S−SWNTは、濾液中に濃縮されており、これを均一な分散系として維持した。
水/SDS中に分離したサンプルを可視−近赤外スペクトルで調べてもよい。SDS/水中に濃縮されたS−SWNTの分散系の可視−近赤外スペクトルを図6に示す。この図では、曲線「a」が水/SDS中に濃縮されたSWNTに対応し、曲線「b」が元のSWNTに対応する。図6の吸着スペクトルでは、M−SWNTによる第1の遷移M(450〜650cm-1)と、S−SWNTによる第1の遷移S11(1050〜1350nm)および第2の遷移S22(650〜900nm)という3つの領域を特定することができる。元のSWNTと比較すると、分離後のSWNTでは、金属性のM領域においてピークが減少または分散し、半導体の領域のS11およびS22では、明確なピークがあり、濾液に存在するS−SWNT(約67重量%)が濃縮されていることが示唆される。
さらに、図7に示すように、水/SDS中に分離したサンプルをラマンスペクトル(633nm励起)でも調べた。ラマンの結果は、可視−近赤外スペクトルの結果と整合する。図7のラマンスペクトルでは、相対強度の増減がRBM領域(175nm〜315nm)に示されており、これを図8A〜図8Dに拡大して示す。ラマンスペクトルにより、SWNT分散系からM−SWNTが分離されていることを確認することができる。さらに、分離効率を、オリジン(Origin)(6.0)統合ソフトウェアに基づきピーク面積を積分して評価した。元のSWNTのM−SWNTとS−SWNTとの割合(図8Aおよび図8B)および濾液中の分離後のSWNTのM−SWNTとS−SWNTとの割合(図8Cおよび図8D)を、図8A〜図8Dに記載したピーク面積を積分して算出した。濾液中の分離後のSWNTにおけるS−SWNTの割合は、67重量%、元のSWNTにおけるS−SWNTの割合は、56.4重量%である。つまり、本発明の「フィッシング」分離プロセスにより、S−SWNTの割合が約11重量ポイント上昇した。
濾液中のS−SWNTの割合をさらに上昇させるため、上記の「フィッシング」分離プロセスのサイクルを複数回実施してもよい。本実施例では、実施例1に示す分離プロセスを繰り返した。分離結果を図9A〜図9Dに示した。図9A〜図9Dは、元のSWNTと、「フィッシング」分離プロセスを1回繰り返した後の濾液中のSWNTとのRBM領域における典型的なラマンスペクトルであり、図9Eは、上図のピークの積分値を示す。
図9Eから、プロセスを1回繰り返した後の濾液には、S−SWNTが73.1%の割合で含まれることを求めることができる。「フィッシング」分離プロセスを2回実施したことで、S−SWNTは、元の割合である54%と比べると、約16ポイントの上昇が得られた。プロセスを1回実施して得られた結果(67%)と比べても、約5ポイントの上昇が得られた。その結果、本発明の「フィッシング」分離プロセスは、S−SWNTに対して顕著な分離効率を示す。本発明のプロセスを複数回繰り返すことで、100%にもなる高い割合でS−SWNTを得ることができると考えられる。
この実施例では、「フィッシング」分離プロセスを実施し、直径の比較的小さいシリカ凝集体(アルドリッチ(Aldrich)社製の市販品)を「釣り竿」として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルを調べた。試験結果を図10に示した。この図は、シリカ凝集体の典型的なSEM画像および対応する分離結果である。
実施例1と実施例3との結果を比較すると、平均直径が20μmのシリカ凝集体を用いることで、より良い分離結果が得られることが示される。
この実施例では、「フィッシング」分離プロセスを実施し、ジャーナルオブコロイドアンドインターフェイスサイエンス(J.Colloid Interface Sci.)1968年,第26巻,p.62で報告されている方法で合成した、規則的で滑らかな表面のシリカ球を「釣り竿」として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルを調べた。試験結果を図11に示した。この図は、規則的で滑らかな表面のシリカ球の典型的なSEM画像および対応する分離結果である。
図11では、規則的で滑らかな表面のシリカ球は、SWNTの分離効率が低いことが明らかに示される。したがって、分離プロセスを実施するには、不規則または粗い形状のシリカ球/凝集体が望ましい。
この実施例では、「フィッシング」分離プロセスを実施し、トリトンX100/DMFを分散媒体として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルを調べた。
本実施例の「フィッシング」プロセスで得られた濾液は、図12Aに示すように透明であり、実施例1で用いたSDS/水の場合の方が、よく分散された系が得られた。比較検討すると、本発明のフィッシング手法の分離では、SDS/水の方が、適切かつ好ましいことが示される。
上記の結果に基づき、本発明の発明者らは、下の図13に示すように推察されるメカニズムを提示した。
簡単に説明すると、図13Aおよび図13Bに示すように、トリトンX100およびSDSはともにSWNTを効果的に分散させるが、トリトンX100は、変性シリカ球と相互に作用して、濾過プロセス(図13A)の過程で変性シリカ球によるSWNTの効率的な分散を妨げるため、濾紙に変性シリカ球およびS/M−SWNTが残留してしまう可能性がある。SDSは、トリトンX100に比べてSWNT(大部分はS−SWNT)を濾紙の孔に効果的に通すことができる。
また、分散媒体中のSDSの量を最適化することも重要である。ほとんどの場合、界面活性剤の量は、分散媒体の総重量に対して1wt%以下、好ましくは0.2wt〜1wt%、一層好ましくは0.5wt〜0.9wt%である。一例を挙げると、SDSが過剰な場合(2.5wt%など)、元のSWNTと分離後のSWNTには、ほとんど差がない(図14)。すなわち、分離プロセスが発生しない。
本発明の実施形態による処理方法には、以下の利点がある可能性がある。第1に、本発明の処理方法は、タイプ別カーボンナノチューブと別のタイプのカーボンナノチューブとを分離するために、遠心分離などの複雑な後処理を必要としないこと、第2に、本発明による方法は、収率が高く、2種類のタイプまたは特性のカーボンナノチューブを得ることができること、最後に、本発明の処理方法は、特定のタイプのカーボンナノチューブを100%にもなる高い割合で濃縮させることができることである。さらに、本発明の処理により得られる特定のタイプのカーボンナノチューブの構造は、処理の過程で損傷を受けることがなく、構造および特性も、そのまま維持され得る。
上記の実施例では、単層カーボンナノチューブを処理対象として説明しているが、本発明の処理方法は、多層カーボンナノチューブ、特に直径が小さく、側壁数が比較的少ない(たとえば2層または3層)多層カーボンナノチューブにも同じ作用を引き起こし、金属性多層カーボンナノチューブおよび半導体多層カーボンナノチューブの分離を可能にすることを、当業者ならば理解するはずである。
本発明の実施形態による処理方法の場合、伝導性が異なるカーボンナノチューブの分離を行い、S−SWNTとM−SWNTとの両方を濃縮することができるため、濃縮されたS−SWNTおよびM−SWNTを、様々な電子デバイス、たとえば、導電性フィルムおよび電界放出源などにさらに使用することができ、加えて、本発明により処理したカーボンナノチューブを使用する電界効果トランジスタ、導線、ナノ電気機械システム(NEMS)、ナノカンチレバー、量子計算装置、発光ダイオード、太陽電池、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ、フィルタ(高周波またはフォトニックバンドなど)、薬物送達システム、熱伝導材料、ナノノズル、エネルギー貯蔵システム、燃料電池、センサ(ガスセンサ、グルコースセンサまたはイオンセンサなど)または触媒担体体材料など、他のタイプのカーボンナノチューブデバイスでも用いることができる。本発明の別の実施形態は、上記の処理後のカーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブデバイスの製造に関するものである。
本発明を、その例示的な実施形態を参照しながら具体的に示し、記載してきたが、形態および詳細については、以下の特許請求の範囲により規定される本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更が可能であることを当業者ならば理解するであろう。
本発明の処理方法を示す模式図である。 本発明の実施例1のステップを示す模式図である。 本発明の実施例1で使用したシリカ凝集体のSEM写真を示す図面代用写真である。 本発明の実施例1で使用した元のシリカ凝集体およびアミノ修飾シリカ凝集体のX線光電子スペクトルを示す略線図である。 本発明の実施例1の濾過プロセスを示す模式図である。 本発明の実施例1における元のSWNTおよび分離後のSWNTの可視−近赤外スペクトルを示す略線図である。 本発明の実施例1における元のSWNTおよび分離後のSWNTのラマンスペクトル(633nm)を示す略線図である。 図7のRBM領域の部分拡大図を示し、本発明の実施例1で使用した元のSWNTの金属性(M)のRBM領域の積分面積、本発明の実施例1で使用した元のSWNTの半導体(S)のRBM領域の積分面積、本発明の実施例1で使用した第1の分離後の金属性(M)のRBM領域の積分面積および本発明の実施例1で使用した第1の分離後のSWNTの半導体(S)のRBM領域の積分面積を示す略線図である。 本発明の実施例2で使用した元のSWNTの金属性(M)のRBM領域の積分面積、本発明の実施例2で使用した元のSWNTの半導体(S)のRBM領域の積分面積、本発明の実施例2で使用した第2の分離後のSWNTの金属性(M)のRBM領域の積分面積、本発明の実施例2で使用した第2の分離後のSWNTの半導体(S)のRBM領域の積分面積、ならびに、本発明の実施例2における元のSWNTの半導体(S)および金属性(M)と、第2の分離後のSWNTの半導体(S)および金属性(M)とのRBM領域での積分面積の計算値を示す略線図である。 直径が比較的小さいシリカ凝集のSEM画像と、本発明の実施例3の「フィッシング」プロセス後の濾液のラマンスペクトルとを示す略線図である。 表面が規則的で滑らかなシリカ球のSEM画像と、本発明の実施例4の「フィッシング」プロセス後の濾液のラマンスペクトルを示す略線図である。 実施例5で得られた濾液の外観および実施例1で得られた濾液の外観を示す図面代用写真である。 本発明の実施例5の「フィッシング」プロセスの過程で、シリカの活性基と、トリトンX100(A)およびSDS(B)とでそれぞれ起こると推察される競合メカニズムを説明する模式図である。 過剰なSDS(1wt%超)による「フィッシング」プロセス後のラマンスペクトルを示す略線図である。
符号の説明
1 SWNT/界面活性剤
2 Siウェーハ

Claims (5)

  1. カーボンナノチューブを処理する方法であって、
    単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブあるいはこれらの組み合わせであるカーボンナノチューブであって、金属性カーボンナノチューブまたは半導体カーボンナノチューブを含むタイプの異なるカーボンナノチューブを含むものを、水、アルコール、エーテル、ケトン、アミド、ハロゲン化炭化水素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される極性溶媒と界面活性剤とを含む分散媒体であって、前記界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものの中に分散させて分散系を調製することと、
    前記分散系に含まれるタイプ別カーボンナノチューブが、タイプの異なるカーボンナノチューブに対して異なる吸着選択性を持つように化学的/生物学的変性剤であって、それぞれが半導体単層カーボンナノチューブへの吸着を示すポルフィリン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)、特異的配列を持つ一本鎖DNAからなる群から選択されるものにより変性された吸着剤であって、平均直径が100nm〜50μmである不規則または粗い形状のシリカ球、平均直径が100nm〜50μmである不規則または粗い形状のシリカ凝集体、シリカウェーハ、シリカ膜、多孔性シリカまたはこれらの組み合わせを含むシリカ材料、アルミナ材料、マグネシア材料およびこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸化物材料であるものに吸着されるよう、前記分散系と前記吸着剤とを混合することと、
    前記分散系と前記吸着剤とを混合した後に超音波処理を実施することと、
    前記吸着剤を前記分散系から分離することで、前記吸着剤に吸着した前記半導体単層カーボンナノチューブが、前記分散系中に濃縮された別のタイプの前記カーボンナノチューブから分離されることと
    を含み、この方法を1回以上繰り返す、方法。
  2. 前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムであるイオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤の量は、前記分散媒体の総重量に対して1%以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記タイプ別カーボンナノチューブが吸着した前記吸着剤を処理して、前記タイプ別カーボンナノチューブおよび前記吸着剤を分離し、前記吸着剤をさらに使用できるように再生する後処理ステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記処理は、超音波処理またはアニーリングを用いて、あるいは、フッ化水素酸および水酸化ナトリウムから選択される化学薬剤により、前記吸着剤を処理することを含む、請求項4に記載の方法。
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