JP2004103403A - 多孔質炭素シート材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚み方向の導電性を向上させたウェブ構造の多孔質炭素シート材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の多孔質炭素シート材(10)は、ウェブを構成する炭素繊維(11)と、そのウェブの厚み(X−X)方向に配向した状態で該ウェブ中に存在するカーボンナノチューブ(12)とを有する。このシート材を製造する方法は、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程、当該分散液を漉いて炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程、そして、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれるカーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程を包含する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の多孔質炭素シート材(10)は、ウェブを構成する炭素繊維(11)と、そのウェブの厚み(X−X)方向に配向した状態で該ウェブ中に存在するカーボンナノチューブ(12)とを有する。このシート材を製造する方法は、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程、当該分散液を漉いて炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程、そして、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれるカーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程を包含する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池等の電極材に適用され得る多孔質炭素シート材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池(高分子電解質型燃料電池)スタックを構成する単セル構造の一例を図4に示す。燃料電池1は、電解質層(高分子電解質膜)2を挟んで燃料極3Aおよび酸素極3Bが設けられる。各電極は、電解質層2に接して配置される触媒層4a,4bと、その外側に配置される集電材としての多孔質支持層(ガス拡散層)5a,5bとから構成されている。また、各電極の外側にはセパレータ6a,6bが電極3A,3B及び電解質層2を挟むようにして配置されている。
燃料極3Aでは、水素ガスがガス通路7aから多孔質支持層5aを通って触媒層4aに至り、プロトンと電子に解離する。一方、酸素極3Bでは、空気(即ち酸素ガス)がガス通路7bから多孔質支持層5bを通って触媒層4bに至り、電解質層2を介してプロトンを受け取り、水を生じる。そして、この化学反応に伴って燃料極3Aから酸素極3Bへ外部回路(図示せず)を通って電子が流れる。
【0003】
従来、上述の高分子電解質型燃料電池(PEFC)あるいはリン酸型燃料電池(PAFC)の多孔質支持層(ガス拡散層)を形成する素材として、炭素繊維をベースとする多孔質炭素シート材が提案されている。
例えば、特開平8−2979号公報(特許文献1)には、炭素繊維をベースとする抄紙体で構成された電極(多孔質支持層)が記載されている。この他、特開平7−134992号公報(特許文献2)、特開平7−134993号公報(特許文献3)および特開平9−129243号公報(特許文献4)には、カーボンフェルトやカーボンクロスのような多孔質炭素シート材を利用して調製された多孔質支持層が記載されている。
【0004】
ところで、燃料電池の性能を高めるための一つの方策は、電極材料の機械的な強度を確保するとともにガス透過性および導電性を良好にすることである。特に、多孔質支持層5a,5bは、触媒層4a,4bとセパレータ6a,6b(ガス通路7a,7b)との間に介在する。このことから、多孔質支持層5a,5bの厚さ方向(図4における上下方向)のガス透過性および導電性を向上させることが重要になる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−2979号公報
【特許文献2】特開平7−134992号公報
【特許文献3】特開平7−134993号公報
【特許文献4】特開平9−129243号公報
【特許文献5】特開2002−97375号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載されるような従来の多孔質炭素シート材50(図5参照)では、当該シート材を構成している炭素繊維の配向特性から、面方向(図5におけるY−Y方向及びZ−Z方向)の導電性が比較的良好である反面、厚み方向(図5におけるX−X方向)の導電性は劣っている。従って、従来の多孔質炭素シート材50から成る電極(多孔質支持層)では、厚み方向(セル積層方向)の電気抵抗率が高く、熱損失も大きくなりがちであった。かかる厚み方向の導電性を向上させる一つの方策として、シート材を構成する炭素繊維の密度(含有量)を向上させることが考えられる。しかし、シート材の炭素繊維密度を向上させることは、同時に当該シート材の空隙率を低下させることにつながり、燃料電池の多孔質支持層を構成する観点から好ましくない。空隙率の低下は電極を構成する多孔質支持層のガス透過率を低下させる虞があるからである。
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、厚み方向の導電性が良好であり、燃料電池の発電効率等を向上させることを可能にした多孔質炭素シート材およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明者らは、炭素繊維で構成されたウェブについて、厚み方向の導電性を改良すべく、種々の検討を行った。そして、ウェブの構成要素として炭素繊維の他にカーボンナノチューブを添加するとともにカーボンナノチューブをウェブ厚み方向に磁場により選択的に配向させることによって、本発明を完成した。なお、燃料電池用セパレータとして、熱可塑性樹脂組成物にカーボンナノチューブを添加したものが報告されている(特開2002−97375号公報:特許文献5)が、燃料電池(PEFC、PAFC)の電極材料にカーボンナノチューブを適用したものではなく、その思想もない。
【0009】
本発明によって提供される多孔質炭素シート材は、ウェブを構成する炭素繊維と、そのウェブの厚み方向に配向した状態で該ウェブ中に存在するカーボンナノチューブとを有する。
なお、本明細書において「ウェブ」とは、繊維の集積体のことであり、特定の厚みや加工形態に限定されない。従って、繊維の絡み合った集積体、例えば、一般的な抄紙機の漉き網部に供給されるような湿潤状態の集積体や乾燥されて紙状にプレス処理された集積体は、何れも本明細書におけるウェブに該当する。
また、カーボンナノチューブについて「ウェブの厚み方向に配向した状態」とは、ウェブ中に存在するカーボンナノチューブの大部分(典型的には50個数%以上)がウェブ厚み方向(ウェブの面方向に対して略直交する方向及び該方向と同等視し得る程度にやや傾斜した方向を包含する。以下同じ。)に配向している状態、すなわちカーボンナノチューブの長手方向が厚み方向に沿っている状態をいう。
【0010】
本発明の多孔質炭素シート材では、炭素繊維からなるウェブ(典型的には不織布構造をとる。)の内部でカーボンナノチューブが厚み方向に配向しているため、カーボンナノチューブの筒軸に沿って電子の通路が形成される。これにより、炭素繊維の向きに拘わらず、シート厚み方向の導電性が向上する。また、カーボンナノチューブが厚み方向に配向している結果、多孔質炭素シート材の厚み方向へのガス透過は、当該カーボンナノチューブの存在によって実質的に影響されない。
従って、本発明の多孔質炭素シート材を用いると、厚み方向の導電性とガス透過性に優れる電極の多孔質支持層(ガス拡散層)を製造することができる。
【0011】
本発明によって、上記多孔質炭素シート材と該シート材の表面に形成された触媒層とを有する燃料電池用電極が提供される。また、そのような構成の燃料電池用電極を備えた燃料電池(セル及びスタック)が提供される。
【0012】
また、本発明は、上記構成の多孔質炭素シート材を製造する方法を提供する。すなわち、本発明によって提供される多孔質炭素シート材製造方法の一つは、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、前記分散液を漉いて前記炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程とを包含する。
また、本発明によって提供される多孔質炭素シート材製造方法の他の一つは、炭化又は黒鉛化によって炭素繊維となり得る有機繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、前記分散液を漉いて前記有機繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程と、前記有機繊維が炭化又は黒鉛化し得る温度で前記ウェブを加熱する工程とを包含する。
【0013】
本発明の製造方法では、カーボンナノチューブが混入されたウェブ(典型的にはウェットな状態のもの)を磁場におく(典型的には磁力線の方向とウェブ厚み方向とが平行となる状態とする。)。そして、磁力(磁場のエネルギー)を作用させて、カーボンナノチューブを所望する方向(典型的には磁力線と平行方向)に配向させる。このことにより、ウェブ中のカーボンナノチューブを選択的に厚み方向に配向させることができる。本発明の製造方法では、磁場を利用することにより、容易にカーボンナノチューブの配向を実現することができる。典型的にはカーボンナノチューブは、磁場と軸平行に配向する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に関与する事柄(例えば、不織布を作製するために用い得る種々のタイプの抄紙機の操作方法、適当な触媒と電極材料を用いて所望する形態の燃料電池用電極を作製する方法、当該燃料電池用電極を採用して燃料電池スタックを構築する方法)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
本発明の多孔質炭素シート材は、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブ構造のものであればよく、特定の厚みやサイズに限定されない。例えば、炭素繊維を主要構成要素とする不織布、抄紙体、フェルト、クロス等が多孔質炭素シート材の範疇に包含される。また、所定の厚みの多孔質炭素シート材をいくつか厚み方向に積層して製造した不織布も、厚みの程度に拘わらず多孔質炭素シート材の範疇に包含される。
【0016】
多孔質炭素シート材の主要構成要素たる炭素繊維は、多孔質炭素シート材の曲げ強度や圧縮強度を向上させる補強材としても機能し、さらには多孔質炭素シート材が面方向に収縮するのを抑制することにも寄与し得る。
炭素繊維の種類は特に限定されるものでなく、例えば、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、再生セルロース系炭素繊維(例えばレーヨン系炭素繊維、ポリノジック系炭素繊維)、セルロース系炭素繊維等を使用することができる。その他、ベンゼン、ナフタレン、クレオトール油等の低沸点有機化合物を原料とする炭素繊維を用いることもできる。これらの炭素繊維を一種または二種以上組み合わせて使用してもよい。特に、圧縮強度や引張強度が大きいことから、PAN系炭素繊維が好ましい。
【0017】
使用する炭素繊維の繊維長さは、特に限定されない。長繊維を用いると、曲げ強度、面方向の導電性が良好になる。一方、短繊維を用いると抄造法によって繊維密度に偏りのない良好なウェブを作製することができる。抄紙の原料たる分散液における炭素繊維の流動性を良好に保つことができるからである。例えば、繊維長が0.05mm〜20mm(より好ましくは5〜15mm)程度の短繊維が好ましい。
炭素繊維の繊維径としては、例えば1〜100μm、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは5〜10μm程度である。繊維径が1μmよりも小さすぎると、ガス透過性や水の排出性を阻害する虞があり好ましくない。一方、繊維径が100μmよりも大きすぎると、ウェブの気孔径が大きくなり、炭素繊維とカーボンナノチューブとの接合性が低下し易くなるため好ましくない。
特に限定するものではないが、炭素繊維の引張強さは500MPa以上であるのが好ましく、1000MPa以上であるのがより好ましい。
【0018】
次に、本発明の多孔質炭素シート材に含有されるカーボンナノチューブについて説明する。
本発明の実施にあたって、上記炭素繊維から構成されるウェブに添加されるカーボンナノチューブとは、ウェブを構成する炭素繊維と比較して顕著に小さく、且つ、磁場を印加することによって選択的に所望する方向に配向させ得るサイズの微視的繊維状(チューブ形状を包含する)のカーボン構造体として定義づけられる物質である。
典型例としては、図2に模式的に示す単層構造のカーボンナノチューブ100が挙げられる。この図に示すカーボンナノチューブ100は、炭素六角網面が円筒状に閉じた多数の炭素原子101から構成される物質である。典型的には、直径が約1nm、長さが約1μm程度であり、直径と長さの比は1000倍以上になる。
また、かかる円筒構造体が入れ子状に重なって配置された多層構造(マルチチューブ構造)のカーボンナノチューブや、部分的に上記円筒構造を有しているカーボン材料(例えばチューブ内にフラーレン等の炭素同素体が内包されたカーボンナノチューブ)も、本発明の多孔質炭素シート材を製造するのに使用することができる。ウェブには単層構造のカーボンナノチューブと多層構造のカーボンナノチューブが混在していてもよい。
【0019】
カーボンナノチューブの製法については、例えば炭素電極間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成長させる方法、シリコンカーバイドにレーザービームを照射して加熱・昇華させる方法、遷移金属系触媒を用いて炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法等が挙げられる。本発明では、製法は特に限定されず、いずれの製法によるカーボンナノチューブであっても使用することができる。市販のカーボンナノチューブを特に制限なく使用することができる。
【0020】
ウェブに混入するカーボンナノチューブの添加量は特に限定されない。炭素繊維100重量部に対して50〜200重量部(特に好ましくは80〜150重量部)のカーボンナノチューブを配合するのが好ましい。
カーボンナノチューブの添加量が炭素繊維量に比べて少なすぎると、ウェブ厚み方向の電気抵抗率を十分に低下させることができないため好ましくない。また、カーボンナノチューブの添加量が炭素繊維量に比べて多すぎると、多孔質炭素シート材の強度が低下し易くなるため好ましくない。
【0021】
本発明の多孔質炭素シート材は、大まかにいって、従来同様の不織布を調製する工程に加えて、ウェブを磁場においてカーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程を行うことによって製造することができる。
不織布(ウェブ)を調製する方法としては、湿式または乾式のいずれであってもよい。乾式法としては、ニードル等で繊維を引っかけて絡める方法、空気流で繊維を網状に吹き付ける方法、空気中で繊維を分散させて降り積もらせる方法等が挙げられる。一方、湿式法としては抄造法が挙げられる。
【0022】
本発明の多孔質炭素シート材を製造するにあたっては、特に抄造法の採用が好ましい。なお、抄造法自体は、従来公知の技術であり、種々の抄紙機、例えば長網抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ハーパー抄紙機等を用いた抄紙プロセスによって所望する性状の多孔質炭素シート材を製造することができる。
典型的には、ウェブの主体を成す炭素繊維およびカーボンナノチューブを水系媒質(典型的には水)中に分散する。分散媒質中には適当な接着材(好ましくは低融点の熱可塑性樹脂から成るバインダー繊維)や分散剤(例えばノニオン系界面活性剤)を適当量含有させてもよい。例えば、炭素繊維100重量部に対してバインダー繊維を10〜20重量部程度添加する。
本発明の実施においては、分散液中の繊維濃度(炭素繊維及びカーボンナノチューブ)を概ね0.01〜0.1質量%程度とするのがよく、0.02〜0.05質量%程度が特に好ましい。
【0023】
こうして得られた分散液を漉く(例えば、従来の手漉きを行うか所定のメッシュ上で吸引する)ことによって、原料繊維の絡み合った集積体即ちウェブを形成する。好ましくは、抄紙機を使用する。すなわち、抄紙機に装備されるポンプ等を用いて分散液を抄紙機(例えばヤンキー抄紙機)の漉き網部に供給する。かかる漉き網部において、炭素繊維相互が絡み合い、その内部にカーボンナノチューブが混入されたウェブ(未融着状態)が形成される。得られたウェブは、次いで、強磁場のもとで磁場のエネルギーによってカーボンナノチューブを配向させる処理に供される。この処理については後述する。なお、炭素繊維も磁場に平行に並ぶ傾向があるが、カーボンナノチューブと比べて重量があるので配向し難い。なお、カーボンナノチューブを配向させる処理を行う際のウェブはウェットな状態が好ましい。好ましくは、磁場を印加した際にウェブを構成する炭素繊維間でカーボンナノチューブが流動可能な程度に水分を含ませておく。
【0024】
後述するカーボンナノチューブ配向処理を終えたウェブについて、次に、不要な水分を除去する処理を行う。一般的な抄紙機を使用する場合は、フェルト等の吸水用布を備えた吸引プレスロール等から構成される脱水部(プレス部)にウェブを導入し、そこで不要な水分を吸引、除去する。
十分に脱水されたウェブを次に乾燥する。この乾燥処理は、ウェブを構成している繊維の移動を妨げ得る程度に粗い面を備えた乾燥支持体を用意し、その乾燥支持体の当該粗面上にウェブを配置(好ましくは圧着)した状態で行われる。かかる粗面上で乾燥(例えば50〜130℃で1〜5分程度)することによって、乾燥過程における繊維の移動や凝集を防止しつつ、全体に亘って均質なウェブ(不織布)を得ることができる。
なお、乾燥時の温度は、特に限定されないが、ウェブ中にバインダー繊維を含有する場合は、当該バインダー繊維が溶融可能な温度域が適当である。このことによって、熱可塑性樹脂等から成るバインダー繊維を炭素繊維相互の接着材として機能させることができる。
乾燥後、カレンダー機、圧延機、プレス機等を用いて厚み方向に圧縮することにより、所望する厚みの多孔質炭素シート材を得ることができる。
【0025】
本発明の実施にあたっては、最終的に炭素繊維を主体としてウェブが構成されればよく、上記抄造プロセス(ウェブ形成プロセス)において最初から炭素繊維を原料繊維として用いる必要はない。例えば、炭素繊維の一部又は全部を、1種又は2種以上の炭化又は黒鉛化によって炭素繊維を生成し得る性状の有機繊維に置換して、上述の抄造プロセス及び後述するカーボンナノチューブ配向処理を行ってもよい。
この用途に好適に用いられる有機繊維としては、従来から炭素繊維の原料として使用されていたものが挙げられる。例えば、ポリアクリロニトリル繊維、フェノール樹脂繊維、再生セルロース繊維(レーヨン、ポリノジック繊維等)、セルロース系繊維、ピッチ系繊維等が挙げられる。
【0026】
炭素繊維に代替して有機繊維を用いる場合は、上記抄造プロセスの途中又は終了後に、有機繊維が炭化又は黒鉛化し得る温度でウェブを加熱し、有機繊維を焼成する。これにより、ウェブを構成する有機繊維を炭化又は黒鉛化して炭素繊維を生成することができる。
かかる焼成処理(炭化処理)は、例えば、450〜1500℃程度、好ましくは800〜1500℃程度の温度で行うことができる。また、有機繊維を黒鉛化させる場合は、例えば1500〜3300℃程度、好ましくは2000〜3000℃程度の温度で焼成するとよい。焼成は、典型的には、真空減圧下、不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)雰囲気中あるいは一酸化炭素ガスまたは二酸化炭素ガス雰囲気中で行われる。
【0027】
次に、カーボンナノチューブ配向処理について説明する。本発明の実施にあたっては、上述の抄造プロセスの途中においてカーボンナノチューブ配向処理を行う。典型的には、上記分散液を漉くことによって得られたウェット状態のウェブを用いてこの処理を行う。
一具体例を図3に模式的に示す。本図に示すように、カーボンナノチューブ配向処理は、超伝導マグネット16A,16Bを備えた磁場発生装置16を利用することによって容易に行うことができる。すなわち、磁場発生装置16を作動させてウェブ15に強い磁場を印加する(即ちウェブ15を磁場内に配置する)ことにより、ウェブ15に含まれるカーボンナノチューブを、典型的には磁力線(図中に矢印で示す)に沿って配向させることができる。従って、図に示すように、磁力線の方向とウェブ厚み方向とが略同一となる状態で前記ウェブを磁場におくことにより、カーボンナノチューブの厚み方向への配向を実現することができる。
特に限定するものではないが、かかる配向処理に好適な磁場の強度は、1〜10テスラ(1万〜10万ガウス)であり、5〜10テスラ(5万〜10万ガウス)程度の強磁場がカーボンナノチューブの配向を行うのに好ましい。かかる強磁場を発生させる装置は、(株)東芝、ジャパンマグネットテクノロジー(株)、住友重機械工業(株)等から調達することができる。また、磁場の印加時間は1〜60分程度が適当であり、5〜30分程度が好ましい。磁場の温度は、室温でもよいし、必要に応じて加熱してもよい。
【0028】
以上に説明した抄造プロセス及びカーボンナノチューブ配向処理を行うことによって、典型的には図1に模式的に示すような多孔質炭素シート材10を製造することができる。すなわち、概して面方向に伸びる炭素繊維11から成るウェブ10の中に、厚み(X−X)方向に伸びる(配向する)カーボンナノチューブ12が存在している。
ウェブ中ではカーボンナノチューブ12は、図2に示す筒軸X1が厚み方向に沿うようにして配列されるため、チューブ12同士が接触し合って厚み方向に連なった状態(典型的には複数のカーボンナノチューブが直列した状態)を形成し得る。さらにはチューブ12の一部は炭素繊維11とも接触する結果、炭素繊維11とカーボンナノチューブ12とから成るウェブ内ネットワークが形成される。かかるネットワークの形成によって、多孔質炭素シート材10の導電性が向上し、電子を厚み方向に容易に伝達することができる。
上記の配向処理を行うことによって、少なくとも90ml・mm/hr・cm2・Pa(≒900ml・mm/hr・cm2・mmAq)、好ましくは100ml・mm/hr・cm2・Pa以上のガス透過率を示し、且つ、厚み方向の電気抵抗率が15mΩ・cm以下(好ましくは10mΩ・cm以下)の多孔質炭素シート材を製造することができる。
【0029】
なお、多孔質炭素シート材(ウェブ)10に含まれるカーボンナノチューブ12の全てを厚み方向に配向させる必要はない。ウェブに含まれるカーボンナノチューブ全体のなかで、ウェブの面方向に配向しているものに比べて厚み方向に配向しているものの存在比率が高い状態であってもよい。ウェブに含まれるカーボンナノチューブ全体の50個数%以上(より好ましくは70個数%以上)が厚み方向に配向している状態であってもよい。
【0030】
本発明の多孔質炭素シート材は、炭素繊維及び/又は炭化又は黒鉛化して炭素繊維を生成し得る有機繊維と、カーボンナノチューブとを主構成要素として構成されるものである限り、他の物質を含有してもよい。
例えば、上記バインダー繊維と共にあるいはバインダー繊維に代えて熱可塑性樹脂成分を含有してもよい。例えば上記抄造用分散液中に熱可塑性樹脂(好ましくは粉状又は細粒状)を含有させておき、抄造工程において当該熱可塑性樹脂が溶融可能な温度域で乾燥、プレス等を行う。このことによって、上記バインダー繊維と同様、当該熱可塑性樹脂を接着材として機能させ、炭素繊維とカーボンナノチューブとの結合強度を向上させることができる。これにより、多孔質炭素シート材の曲げ強度等の機械的性能をさらに向上させることができる。ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂をかかる用途に用いることができる。
【0031】
また、本発明の多孔質炭素シート材に導電性を向上させる補助的物質を適量加えてもよい。この種の材料として、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
【0032】
本発明の多孔質炭素シート材は、種々の用途(例えば電磁シールド材、導電性シート)に適用することができる。特に、PEFC、PAFC等の燃料電池用電極に適用することができる。特に上述した多孔質支持層(ガス拡散層)を構成する材料として好適である。
本発明によれば、電極(多孔質支持層)の厚み方向にカーボンナノチューブが配向するため、起動時間が短く、応答性に優れた燃料電池用電極を得ることができる。
【0033】
燃料電池用電極の製造に際しては、本発明の多孔質炭素シート材は、従来の電極材料と同様に取り扱うことができる。例えば、本発明の多孔質炭化シート材の片面に従来技法に基づいて触媒層を形成することによって、燃料電池用電極を製造することができる。触媒層は、多孔質炭素シート材に触媒材料を吹き付けて形成することができる。触媒材料は公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金等の貴金属触媒が好ましく用いられる。ニッケル等の卑金属も同様に用いることができる。
【0034】
本発明の多孔質炭素シート材を用いて得られた燃料電池用電極は、種々の燃料電池(特に高分子電解質型、リン酸型)に適用することができる。
かかる電極を備えることにより、電極の厚み方向の導電性が良好となり(即ち電気抵抗率が低くなり)、熱損失の少ない高性能燃料電池を実現することができる。例えば、本発明の多孔質炭素シート材を用いて得られた高分子電解質型燃料電池は、高出力且つ起動時間が短いことが要求される移動体(自動車、船舶、電車等)の電力供給源として利用することができる。
なお、本発明の多孔質炭素シート材の適用範囲については、上述の燃料電池に限定されることなく種々の電気化学装置に適用することができる。
【0035】
【実施例】以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0036】
[多孔質炭素シート材の製造]
長さ12mm、繊維径7μmの炭素繊維1.56g、分散剤(ノニオン系界面活性剤「パルセットHA(商品名)」明成化学工業(株)製)0.08g、および多層カーボンナノチューブ(「Multi Walled Nanotube(商品名)」本荘ケミカル(株)製)2.00gを水10リットルに混合し、抄紙用の分散液(スラリー)を調製した。
次いで、市販品である抄紙装置(角型シートマシン:熊谷理機工業(株)製)の漉き網部に分散液を供給し、当該漉き網部のメッシュ板上に厚さ約400μmのウェブ(ウェット状態)を形成した。
【0037】
得られたウェブを強磁場発生装置(ジャパンマグネットテクノロジー(株)製:10tesla)の磁場発生部に導入し(図3参照)、強度が約10テスラの磁場を印加した(励磁最大速度:10テスラ/60分)。この処理はメッシュ厚み方向に磁力線が通るようにして、30分間行った。
その後、装置の磁場発生部からウェブを取り出し、抄紙装置の脱水部(圧搾部)に誘導し、十分に脱水した。その後、105℃で1分間乾燥した。
こうして、厚さ30〜100μm(ここでは80μm)および抄紙面積25cm×25cmの多孔質シート(実施例)を得た。電子顕微鏡によって観察したところ、ウェブ中に含まれるカーボンナノチューブのほぼ全量が厚み方向に配向していた。
また、比較例として、カーボンナノチューブを添加しないこと以外は上記と同じ条件・手順によって実施例のシートと同じ厚さ及び面積の多孔質シートを作製した。
【0038】
[電気抵抗率の測定]
ガラス状炭素板の片面に銅箔が貼着された試験電極板を使用した。すなわち、2枚の試験電極板の間に多孔質シート(実施例又は比較例)を挟み、試験電極板の電流用端子に1Aの電流を流した。このとき、電圧用の端子にて電圧V(V)を測定し、この電圧Vに基づいてシート厚み方向の電気抵抗率R(mΩ・cm)を求めた。
【0039】
[ガス透過率の測定]
得られた多孔質シート(実施例、比較例)から直径8cmの円筒を形成した。この円筒内に窒素ガスを流し、窒素ガスの透過時の圧力損失からガス透過率(ml・mm/cm2・hr・Pa)を求めた。
【0040】
【表1】
【0041】
[性能評価]
シート厚み方向の電気抵抗率およびガス透過率の測定結果を表1に示す。
この表に示すように、実施例のシート(ウェブの厚み方向に配向した状態でカーボンナノチューブを含む)は、比較例のシート(カーボンナノチューブを含まない)に比べ、電気抵抗率が4分の1程度に低下し、シート厚み方向の導電性が大幅に向上することが確認された。
一方、ガス透過率については、実施例および比較例ともに同じ値を示した。これにより、実施例のシートでは、ガス通路がカーボンナノチューブに遮られることなく、反応ガスを効率よく多孔質シートに拡散させ得ることが確認された。
【0042】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質炭素シート材の典型例を模式的に示す断面図である。
【図2】カーボンナノチューブの分子構造図である。
【図3】カーボンナノチューブの配向処理を模式的に示す説明図である。
【図4】燃料電池(高分子電解質型燃料電池)スタックを構成する単セル構造の一例を示す断面図である。
【図5】多孔質炭素シート材の一般的形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10,50 多孔質炭素シート材
11 炭素繊維
12 カーボンナノチューブ
16 磁場発生装置
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池等の電極材に適用され得る多孔質炭素シート材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池(高分子電解質型燃料電池)スタックを構成する単セル構造の一例を図4に示す。燃料電池1は、電解質層(高分子電解質膜)2を挟んで燃料極3Aおよび酸素極3Bが設けられる。各電極は、電解質層2に接して配置される触媒層4a,4bと、その外側に配置される集電材としての多孔質支持層(ガス拡散層)5a,5bとから構成されている。また、各電極の外側にはセパレータ6a,6bが電極3A,3B及び電解質層2を挟むようにして配置されている。
燃料極3Aでは、水素ガスがガス通路7aから多孔質支持層5aを通って触媒層4aに至り、プロトンと電子に解離する。一方、酸素極3Bでは、空気(即ち酸素ガス)がガス通路7bから多孔質支持層5bを通って触媒層4bに至り、電解質層2を介してプロトンを受け取り、水を生じる。そして、この化学反応に伴って燃料極3Aから酸素極3Bへ外部回路(図示せず)を通って電子が流れる。
【0003】
従来、上述の高分子電解質型燃料電池(PEFC)あるいはリン酸型燃料電池(PAFC)の多孔質支持層(ガス拡散層)を形成する素材として、炭素繊維をベースとする多孔質炭素シート材が提案されている。
例えば、特開平8−2979号公報(特許文献1)には、炭素繊維をベースとする抄紙体で構成された電極(多孔質支持層)が記載されている。この他、特開平7−134992号公報(特許文献2)、特開平7−134993号公報(特許文献3)および特開平9−129243号公報(特許文献4)には、カーボンフェルトやカーボンクロスのような多孔質炭素シート材を利用して調製された多孔質支持層が記載されている。
【0004】
ところで、燃料電池の性能を高めるための一つの方策は、電極材料の機械的な強度を確保するとともにガス透過性および導電性を良好にすることである。特に、多孔質支持層5a,5bは、触媒層4a,4bとセパレータ6a,6b(ガス通路7a,7b)との間に介在する。このことから、多孔質支持層5a,5bの厚さ方向(図4における上下方向)のガス透過性および導電性を向上させることが重要になる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−2979号公報
【特許文献2】特開平7−134992号公報
【特許文献3】特開平7−134993号公報
【特許文献4】特開平9−129243号公報
【特許文献5】特開2002−97375号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載されるような従来の多孔質炭素シート材50(図5参照)では、当該シート材を構成している炭素繊維の配向特性から、面方向(図5におけるY−Y方向及びZ−Z方向)の導電性が比較的良好である反面、厚み方向(図5におけるX−X方向)の導電性は劣っている。従って、従来の多孔質炭素シート材50から成る電極(多孔質支持層)では、厚み方向(セル積層方向)の電気抵抗率が高く、熱損失も大きくなりがちであった。かかる厚み方向の導電性を向上させる一つの方策として、シート材を構成する炭素繊維の密度(含有量)を向上させることが考えられる。しかし、シート材の炭素繊維密度を向上させることは、同時に当該シート材の空隙率を低下させることにつながり、燃料電池の多孔質支持層を構成する観点から好ましくない。空隙率の低下は電極を構成する多孔質支持層のガス透過率を低下させる虞があるからである。
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、厚み方向の導電性が良好であり、燃料電池の発電効率等を向上させることを可能にした多孔質炭素シート材およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明者らは、炭素繊維で構成されたウェブについて、厚み方向の導電性を改良すべく、種々の検討を行った。そして、ウェブの構成要素として炭素繊維の他にカーボンナノチューブを添加するとともにカーボンナノチューブをウェブ厚み方向に磁場により選択的に配向させることによって、本発明を完成した。なお、燃料電池用セパレータとして、熱可塑性樹脂組成物にカーボンナノチューブを添加したものが報告されている(特開2002−97375号公報:特許文献5)が、燃料電池(PEFC、PAFC)の電極材料にカーボンナノチューブを適用したものではなく、その思想もない。
【0009】
本発明によって提供される多孔質炭素シート材は、ウェブを構成する炭素繊維と、そのウェブの厚み方向に配向した状態で該ウェブ中に存在するカーボンナノチューブとを有する。
なお、本明細書において「ウェブ」とは、繊維の集積体のことであり、特定の厚みや加工形態に限定されない。従って、繊維の絡み合った集積体、例えば、一般的な抄紙機の漉き網部に供給されるような湿潤状態の集積体や乾燥されて紙状にプレス処理された集積体は、何れも本明細書におけるウェブに該当する。
また、カーボンナノチューブについて「ウェブの厚み方向に配向した状態」とは、ウェブ中に存在するカーボンナノチューブの大部分(典型的には50個数%以上)がウェブ厚み方向(ウェブの面方向に対して略直交する方向及び該方向と同等視し得る程度にやや傾斜した方向を包含する。以下同じ。)に配向している状態、すなわちカーボンナノチューブの長手方向が厚み方向に沿っている状態をいう。
【0010】
本発明の多孔質炭素シート材では、炭素繊維からなるウェブ(典型的には不織布構造をとる。)の内部でカーボンナノチューブが厚み方向に配向しているため、カーボンナノチューブの筒軸に沿って電子の通路が形成される。これにより、炭素繊維の向きに拘わらず、シート厚み方向の導電性が向上する。また、カーボンナノチューブが厚み方向に配向している結果、多孔質炭素シート材の厚み方向へのガス透過は、当該カーボンナノチューブの存在によって実質的に影響されない。
従って、本発明の多孔質炭素シート材を用いると、厚み方向の導電性とガス透過性に優れる電極の多孔質支持層(ガス拡散層)を製造することができる。
【0011】
本発明によって、上記多孔質炭素シート材と該シート材の表面に形成された触媒層とを有する燃料電池用電極が提供される。また、そのような構成の燃料電池用電極を備えた燃料電池(セル及びスタック)が提供される。
【0012】
また、本発明は、上記構成の多孔質炭素シート材を製造する方法を提供する。すなわち、本発明によって提供される多孔質炭素シート材製造方法の一つは、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、前記分散液を漉いて前記炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程とを包含する。
また、本発明によって提供される多孔質炭素シート材製造方法の他の一つは、炭化又は黒鉛化によって炭素繊維となり得る有機繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、前記分散液を漉いて前記有機繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程と、前記有機繊維が炭化又は黒鉛化し得る温度で前記ウェブを加熱する工程とを包含する。
【0013】
本発明の製造方法では、カーボンナノチューブが混入されたウェブ(典型的にはウェットな状態のもの)を磁場におく(典型的には磁力線の方向とウェブ厚み方向とが平行となる状態とする。)。そして、磁力(磁場のエネルギー)を作用させて、カーボンナノチューブを所望する方向(典型的には磁力線と平行方向)に配向させる。このことにより、ウェブ中のカーボンナノチューブを選択的に厚み方向に配向させることができる。本発明の製造方法では、磁場を利用することにより、容易にカーボンナノチューブの配向を実現することができる。典型的にはカーボンナノチューブは、磁場と軸平行に配向する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に関与する事柄(例えば、不織布を作製するために用い得る種々のタイプの抄紙機の操作方法、適当な触媒と電極材料を用いて所望する形態の燃料電池用電極を作製する方法、当該燃料電池用電極を採用して燃料電池スタックを構築する方法)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
本発明の多孔質炭素シート材は、炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブ構造のものであればよく、特定の厚みやサイズに限定されない。例えば、炭素繊維を主要構成要素とする不織布、抄紙体、フェルト、クロス等が多孔質炭素シート材の範疇に包含される。また、所定の厚みの多孔質炭素シート材をいくつか厚み方向に積層して製造した不織布も、厚みの程度に拘わらず多孔質炭素シート材の範疇に包含される。
【0016】
多孔質炭素シート材の主要構成要素たる炭素繊維は、多孔質炭素シート材の曲げ強度や圧縮強度を向上させる補強材としても機能し、さらには多孔質炭素シート材が面方向に収縮するのを抑制することにも寄与し得る。
炭素繊維の種類は特に限定されるものでなく、例えば、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、再生セルロース系炭素繊維(例えばレーヨン系炭素繊維、ポリノジック系炭素繊維)、セルロース系炭素繊維等を使用することができる。その他、ベンゼン、ナフタレン、クレオトール油等の低沸点有機化合物を原料とする炭素繊維を用いることもできる。これらの炭素繊維を一種または二種以上組み合わせて使用してもよい。特に、圧縮強度や引張強度が大きいことから、PAN系炭素繊維が好ましい。
【0017】
使用する炭素繊維の繊維長さは、特に限定されない。長繊維を用いると、曲げ強度、面方向の導電性が良好になる。一方、短繊維を用いると抄造法によって繊維密度に偏りのない良好なウェブを作製することができる。抄紙の原料たる分散液における炭素繊維の流動性を良好に保つことができるからである。例えば、繊維長が0.05mm〜20mm(より好ましくは5〜15mm)程度の短繊維が好ましい。
炭素繊維の繊維径としては、例えば1〜100μm、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは5〜10μm程度である。繊維径が1μmよりも小さすぎると、ガス透過性や水の排出性を阻害する虞があり好ましくない。一方、繊維径が100μmよりも大きすぎると、ウェブの気孔径が大きくなり、炭素繊維とカーボンナノチューブとの接合性が低下し易くなるため好ましくない。
特に限定するものではないが、炭素繊維の引張強さは500MPa以上であるのが好ましく、1000MPa以上であるのがより好ましい。
【0018】
次に、本発明の多孔質炭素シート材に含有されるカーボンナノチューブについて説明する。
本発明の実施にあたって、上記炭素繊維から構成されるウェブに添加されるカーボンナノチューブとは、ウェブを構成する炭素繊維と比較して顕著に小さく、且つ、磁場を印加することによって選択的に所望する方向に配向させ得るサイズの微視的繊維状(チューブ形状を包含する)のカーボン構造体として定義づけられる物質である。
典型例としては、図2に模式的に示す単層構造のカーボンナノチューブ100が挙げられる。この図に示すカーボンナノチューブ100は、炭素六角網面が円筒状に閉じた多数の炭素原子101から構成される物質である。典型的には、直径が約1nm、長さが約1μm程度であり、直径と長さの比は1000倍以上になる。
また、かかる円筒構造体が入れ子状に重なって配置された多層構造(マルチチューブ構造)のカーボンナノチューブや、部分的に上記円筒構造を有しているカーボン材料(例えばチューブ内にフラーレン等の炭素同素体が内包されたカーボンナノチューブ)も、本発明の多孔質炭素シート材を製造するのに使用することができる。ウェブには単層構造のカーボンナノチューブと多層構造のカーボンナノチューブが混在していてもよい。
【0019】
カーボンナノチューブの製法については、例えば炭素電極間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成長させる方法、シリコンカーバイドにレーザービームを照射して加熱・昇華させる方法、遷移金属系触媒を用いて炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法等が挙げられる。本発明では、製法は特に限定されず、いずれの製法によるカーボンナノチューブであっても使用することができる。市販のカーボンナノチューブを特に制限なく使用することができる。
【0020】
ウェブに混入するカーボンナノチューブの添加量は特に限定されない。炭素繊維100重量部に対して50〜200重量部(特に好ましくは80〜150重量部)のカーボンナノチューブを配合するのが好ましい。
カーボンナノチューブの添加量が炭素繊維量に比べて少なすぎると、ウェブ厚み方向の電気抵抗率を十分に低下させることができないため好ましくない。また、カーボンナノチューブの添加量が炭素繊維量に比べて多すぎると、多孔質炭素シート材の強度が低下し易くなるため好ましくない。
【0021】
本発明の多孔質炭素シート材は、大まかにいって、従来同様の不織布を調製する工程に加えて、ウェブを磁場においてカーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程を行うことによって製造することができる。
不織布(ウェブ)を調製する方法としては、湿式または乾式のいずれであってもよい。乾式法としては、ニードル等で繊維を引っかけて絡める方法、空気流で繊維を網状に吹き付ける方法、空気中で繊維を分散させて降り積もらせる方法等が挙げられる。一方、湿式法としては抄造法が挙げられる。
【0022】
本発明の多孔質炭素シート材を製造するにあたっては、特に抄造法の採用が好ましい。なお、抄造法自体は、従来公知の技術であり、種々の抄紙機、例えば長網抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ハーパー抄紙機等を用いた抄紙プロセスによって所望する性状の多孔質炭素シート材を製造することができる。
典型的には、ウェブの主体を成す炭素繊維およびカーボンナノチューブを水系媒質(典型的には水)中に分散する。分散媒質中には適当な接着材(好ましくは低融点の熱可塑性樹脂から成るバインダー繊維)や分散剤(例えばノニオン系界面活性剤)を適当量含有させてもよい。例えば、炭素繊維100重量部に対してバインダー繊維を10〜20重量部程度添加する。
本発明の実施においては、分散液中の繊維濃度(炭素繊維及びカーボンナノチューブ)を概ね0.01〜0.1質量%程度とするのがよく、0.02〜0.05質量%程度が特に好ましい。
【0023】
こうして得られた分散液を漉く(例えば、従来の手漉きを行うか所定のメッシュ上で吸引する)ことによって、原料繊維の絡み合った集積体即ちウェブを形成する。好ましくは、抄紙機を使用する。すなわち、抄紙機に装備されるポンプ等を用いて分散液を抄紙機(例えばヤンキー抄紙機)の漉き網部に供給する。かかる漉き網部において、炭素繊維相互が絡み合い、その内部にカーボンナノチューブが混入されたウェブ(未融着状態)が形成される。得られたウェブは、次いで、強磁場のもとで磁場のエネルギーによってカーボンナノチューブを配向させる処理に供される。この処理については後述する。なお、炭素繊維も磁場に平行に並ぶ傾向があるが、カーボンナノチューブと比べて重量があるので配向し難い。なお、カーボンナノチューブを配向させる処理を行う際のウェブはウェットな状態が好ましい。好ましくは、磁場を印加した際にウェブを構成する炭素繊維間でカーボンナノチューブが流動可能な程度に水分を含ませておく。
【0024】
後述するカーボンナノチューブ配向処理を終えたウェブについて、次に、不要な水分を除去する処理を行う。一般的な抄紙機を使用する場合は、フェルト等の吸水用布を備えた吸引プレスロール等から構成される脱水部(プレス部)にウェブを導入し、そこで不要な水分を吸引、除去する。
十分に脱水されたウェブを次に乾燥する。この乾燥処理は、ウェブを構成している繊維の移動を妨げ得る程度に粗い面を備えた乾燥支持体を用意し、その乾燥支持体の当該粗面上にウェブを配置(好ましくは圧着)した状態で行われる。かかる粗面上で乾燥(例えば50〜130℃で1〜5分程度)することによって、乾燥過程における繊維の移動や凝集を防止しつつ、全体に亘って均質なウェブ(不織布)を得ることができる。
なお、乾燥時の温度は、特に限定されないが、ウェブ中にバインダー繊維を含有する場合は、当該バインダー繊維が溶融可能な温度域が適当である。このことによって、熱可塑性樹脂等から成るバインダー繊維を炭素繊維相互の接着材として機能させることができる。
乾燥後、カレンダー機、圧延機、プレス機等を用いて厚み方向に圧縮することにより、所望する厚みの多孔質炭素シート材を得ることができる。
【0025】
本発明の実施にあたっては、最終的に炭素繊維を主体としてウェブが構成されればよく、上記抄造プロセス(ウェブ形成プロセス)において最初から炭素繊維を原料繊維として用いる必要はない。例えば、炭素繊維の一部又は全部を、1種又は2種以上の炭化又は黒鉛化によって炭素繊維を生成し得る性状の有機繊維に置換して、上述の抄造プロセス及び後述するカーボンナノチューブ配向処理を行ってもよい。
この用途に好適に用いられる有機繊維としては、従来から炭素繊維の原料として使用されていたものが挙げられる。例えば、ポリアクリロニトリル繊維、フェノール樹脂繊維、再生セルロース繊維(レーヨン、ポリノジック繊維等)、セルロース系繊維、ピッチ系繊維等が挙げられる。
【0026】
炭素繊維に代替して有機繊維を用いる場合は、上記抄造プロセスの途中又は終了後に、有機繊維が炭化又は黒鉛化し得る温度でウェブを加熱し、有機繊維を焼成する。これにより、ウェブを構成する有機繊維を炭化又は黒鉛化して炭素繊維を生成することができる。
かかる焼成処理(炭化処理)は、例えば、450〜1500℃程度、好ましくは800〜1500℃程度の温度で行うことができる。また、有機繊維を黒鉛化させる場合は、例えば1500〜3300℃程度、好ましくは2000〜3000℃程度の温度で焼成するとよい。焼成は、典型的には、真空減圧下、不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)雰囲気中あるいは一酸化炭素ガスまたは二酸化炭素ガス雰囲気中で行われる。
【0027】
次に、カーボンナノチューブ配向処理について説明する。本発明の実施にあたっては、上述の抄造プロセスの途中においてカーボンナノチューブ配向処理を行う。典型的には、上記分散液を漉くことによって得られたウェット状態のウェブを用いてこの処理を行う。
一具体例を図3に模式的に示す。本図に示すように、カーボンナノチューブ配向処理は、超伝導マグネット16A,16Bを備えた磁場発生装置16を利用することによって容易に行うことができる。すなわち、磁場発生装置16を作動させてウェブ15に強い磁場を印加する(即ちウェブ15を磁場内に配置する)ことにより、ウェブ15に含まれるカーボンナノチューブを、典型的には磁力線(図中に矢印で示す)に沿って配向させることができる。従って、図に示すように、磁力線の方向とウェブ厚み方向とが略同一となる状態で前記ウェブを磁場におくことにより、カーボンナノチューブの厚み方向への配向を実現することができる。
特に限定するものではないが、かかる配向処理に好適な磁場の強度は、1〜10テスラ(1万〜10万ガウス)であり、5〜10テスラ(5万〜10万ガウス)程度の強磁場がカーボンナノチューブの配向を行うのに好ましい。かかる強磁場を発生させる装置は、(株)東芝、ジャパンマグネットテクノロジー(株)、住友重機械工業(株)等から調達することができる。また、磁場の印加時間は1〜60分程度が適当であり、5〜30分程度が好ましい。磁場の温度は、室温でもよいし、必要に応じて加熱してもよい。
【0028】
以上に説明した抄造プロセス及びカーボンナノチューブ配向処理を行うことによって、典型的には図1に模式的に示すような多孔質炭素シート材10を製造することができる。すなわち、概して面方向に伸びる炭素繊維11から成るウェブ10の中に、厚み(X−X)方向に伸びる(配向する)カーボンナノチューブ12が存在している。
ウェブ中ではカーボンナノチューブ12は、図2に示す筒軸X1が厚み方向に沿うようにして配列されるため、チューブ12同士が接触し合って厚み方向に連なった状態(典型的には複数のカーボンナノチューブが直列した状態)を形成し得る。さらにはチューブ12の一部は炭素繊維11とも接触する結果、炭素繊維11とカーボンナノチューブ12とから成るウェブ内ネットワークが形成される。かかるネットワークの形成によって、多孔質炭素シート材10の導電性が向上し、電子を厚み方向に容易に伝達することができる。
上記の配向処理を行うことによって、少なくとも90ml・mm/hr・cm2・Pa(≒900ml・mm/hr・cm2・mmAq)、好ましくは100ml・mm/hr・cm2・Pa以上のガス透過率を示し、且つ、厚み方向の電気抵抗率が15mΩ・cm以下(好ましくは10mΩ・cm以下)の多孔質炭素シート材を製造することができる。
【0029】
なお、多孔質炭素シート材(ウェブ)10に含まれるカーボンナノチューブ12の全てを厚み方向に配向させる必要はない。ウェブに含まれるカーボンナノチューブ全体のなかで、ウェブの面方向に配向しているものに比べて厚み方向に配向しているものの存在比率が高い状態であってもよい。ウェブに含まれるカーボンナノチューブ全体の50個数%以上(より好ましくは70個数%以上)が厚み方向に配向している状態であってもよい。
【0030】
本発明の多孔質炭素シート材は、炭素繊維及び/又は炭化又は黒鉛化して炭素繊維を生成し得る有機繊維と、カーボンナノチューブとを主構成要素として構成されるものである限り、他の物質を含有してもよい。
例えば、上記バインダー繊維と共にあるいはバインダー繊維に代えて熱可塑性樹脂成分を含有してもよい。例えば上記抄造用分散液中に熱可塑性樹脂(好ましくは粉状又は細粒状)を含有させておき、抄造工程において当該熱可塑性樹脂が溶融可能な温度域で乾燥、プレス等を行う。このことによって、上記バインダー繊維と同様、当該熱可塑性樹脂を接着材として機能させ、炭素繊維とカーボンナノチューブとの結合強度を向上させることができる。これにより、多孔質炭素シート材の曲げ強度等の機械的性能をさらに向上させることができる。ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂をかかる用途に用いることができる。
【0031】
また、本発明の多孔質炭素シート材に導電性を向上させる補助的物質を適量加えてもよい。この種の材料として、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
【0032】
本発明の多孔質炭素シート材は、種々の用途(例えば電磁シールド材、導電性シート)に適用することができる。特に、PEFC、PAFC等の燃料電池用電極に適用することができる。特に上述した多孔質支持層(ガス拡散層)を構成する材料として好適である。
本発明によれば、電極(多孔質支持層)の厚み方向にカーボンナノチューブが配向するため、起動時間が短く、応答性に優れた燃料電池用電極を得ることができる。
【0033】
燃料電池用電極の製造に際しては、本発明の多孔質炭素シート材は、従来の電極材料と同様に取り扱うことができる。例えば、本発明の多孔質炭化シート材の片面に従来技法に基づいて触媒層を形成することによって、燃料電池用電極を製造することができる。触媒層は、多孔質炭素シート材に触媒材料を吹き付けて形成することができる。触媒材料は公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金等の貴金属触媒が好ましく用いられる。ニッケル等の卑金属も同様に用いることができる。
【0034】
本発明の多孔質炭素シート材を用いて得られた燃料電池用電極は、種々の燃料電池(特に高分子電解質型、リン酸型)に適用することができる。
かかる電極を備えることにより、電極の厚み方向の導電性が良好となり(即ち電気抵抗率が低くなり)、熱損失の少ない高性能燃料電池を実現することができる。例えば、本発明の多孔質炭素シート材を用いて得られた高分子電解質型燃料電池は、高出力且つ起動時間が短いことが要求される移動体(自動車、船舶、電車等)の電力供給源として利用することができる。
なお、本発明の多孔質炭素シート材の適用範囲については、上述の燃料電池に限定されることなく種々の電気化学装置に適用することができる。
【0035】
【実施例】以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0036】
[多孔質炭素シート材の製造]
長さ12mm、繊維径7μmの炭素繊維1.56g、分散剤(ノニオン系界面活性剤「パルセットHA(商品名)」明成化学工業(株)製)0.08g、および多層カーボンナノチューブ(「Multi Walled Nanotube(商品名)」本荘ケミカル(株)製)2.00gを水10リットルに混合し、抄紙用の分散液(スラリー)を調製した。
次いで、市販品である抄紙装置(角型シートマシン:熊谷理機工業(株)製)の漉き網部に分散液を供給し、当該漉き網部のメッシュ板上に厚さ約400μmのウェブ(ウェット状態)を形成した。
【0037】
得られたウェブを強磁場発生装置(ジャパンマグネットテクノロジー(株)製:10tesla)の磁場発生部に導入し(図3参照)、強度が約10テスラの磁場を印加した(励磁最大速度:10テスラ/60分)。この処理はメッシュ厚み方向に磁力線が通るようにして、30分間行った。
その後、装置の磁場発生部からウェブを取り出し、抄紙装置の脱水部(圧搾部)に誘導し、十分に脱水した。その後、105℃で1分間乾燥した。
こうして、厚さ30〜100μm(ここでは80μm)および抄紙面積25cm×25cmの多孔質シート(実施例)を得た。電子顕微鏡によって観察したところ、ウェブ中に含まれるカーボンナノチューブのほぼ全量が厚み方向に配向していた。
また、比較例として、カーボンナノチューブを添加しないこと以外は上記と同じ条件・手順によって実施例のシートと同じ厚さ及び面積の多孔質シートを作製した。
【0038】
[電気抵抗率の測定]
ガラス状炭素板の片面に銅箔が貼着された試験電極板を使用した。すなわち、2枚の試験電極板の間に多孔質シート(実施例又は比較例)を挟み、試験電極板の電流用端子に1Aの電流を流した。このとき、電圧用の端子にて電圧V(V)を測定し、この電圧Vに基づいてシート厚み方向の電気抵抗率R(mΩ・cm)を求めた。
【0039】
[ガス透過率の測定]
得られた多孔質シート(実施例、比較例)から直径8cmの円筒を形成した。この円筒内に窒素ガスを流し、窒素ガスの透過時の圧力損失からガス透過率(ml・mm/cm2・hr・Pa)を求めた。
【0040】
【表1】
【0041】
[性能評価]
シート厚み方向の電気抵抗率およびガス透過率の測定結果を表1に示す。
この表に示すように、実施例のシート(ウェブの厚み方向に配向した状態でカーボンナノチューブを含む)は、比較例のシート(カーボンナノチューブを含まない)に比べ、電気抵抗率が4分の1程度に低下し、シート厚み方向の導電性が大幅に向上することが確認された。
一方、ガス透過率については、実施例および比較例ともに同じ値を示した。これにより、実施例のシートでは、ガス通路がカーボンナノチューブに遮られることなく、反応ガスを効率よく多孔質シートに拡散させ得ることが確認された。
【0042】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質炭素シート材の典型例を模式的に示す断面図である。
【図2】カーボンナノチューブの分子構造図である。
【図3】カーボンナノチューブの配向処理を模式的に示す説明図である。
【図4】燃料電池(高分子電解質型燃料電池)スタックを構成する単セル構造の一例を示す断面図である。
【図5】多孔質炭素シート材の一般的形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10,50 多孔質炭素シート材
11 炭素繊維
12 カーボンナノチューブ
16 磁場発生装置
Claims (7)
- ウェブを構成する炭素繊維と、そのウェブの厚み方向に配向した状態で該ウェブ中に存在するカーボンナノチューブとを有する、多孔質炭素シート材。
- 少なくとも90ml・mm/hr・cm2・Paのガス透過率を示し、且つ、厚み方向の電気抵抗率が15mΩ・cm以下である、請求項1に記載の多孔質炭素シート材。
- 前記ウェブにはバインダー繊維が含まれる、請求項1又は2に記載の多孔質炭素シート材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素シート材と、該シート材の表面に形成された触媒層とを有する、燃料電池用電極。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素シート材と、該シート材の表面に形成された触媒層とを有する燃料電池用電極を備えた、燃料電池。
- 炭素繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、
前記分散液を漉いて前記炭素繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、
前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程とを包含する、多孔質炭素シート材の製造方法。 - 炭化又は黒鉛化によって炭素繊維となり得る有機繊維とカーボンナノチューブとを含む分散液を用意する工程と、
前記分散液を漉いて前記有機繊維とカーボンナノチューブとを含むウェブを形成する工程と、
前記ウェブを磁場におき、該ウェブに含まれる前記カーボンナノチューブを厚み方向に配向させる工程と、
前記有機繊維が炭化又は黒鉛化し得る温度で前記ウェブを加熱する工程とを包含する、多孔質炭素シート材の製造方法。
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